そういえば……
バカレンジャー
レッド、ブラック、ブルー、イエロー、ピンク
オタレンジャー
レッド、ブルー、イエロー、ピンク、ブラック
まさかの同じ配色。
猿とパンダの着ぐるみを追いかけるネギとアスナと刹那。アスナが駅の違和感に気付く。
「京都駅なのに、なんで誰も人がいないのよ」
「さっき人払いの呪符を見かけました。やはり、最初から計画的な犯行かと」
暗い面持ちで、俯いたまま走るネギ。
「やっぱり、僕が戦った方が良かったのかな?」
「どうしたのよネギ?」
「花咲さんの護衛を任されてるのは僕ですよ。もしも花咲さんに何かあったら……」
「ネギ!花咲さんを信じなさい! 味方の安否を気にしてたらこのかを助けられないでしょ!?」
「そうだぜ兄貴!」
「う、うん……」
猿の着ぐるみの女、天ヶ崎千草はその着ぐるみを脱ぎ捨て、京都駅の大階段を駆け上った。
「フフ……ようここまで追ってこれましたな。そやけど、それもここまでですえ」
再び呪符を取り出す千草。
「お札さんお札さん、ウチを逃がしておくれやす」
放たれた呪符から火柱が上がった。
「うわっ!」
「あちちち!!」
京都大文字焼き。階段を『大』の字の炎が蹂躙し、ネギたちの行く手を阻む。
「ホホホ、並の術者ではその炎は越えられまへんえ。ほな、さいならー」
千草と、木乃香を抱えたパンダの着ぐるみは階段を上っていく。
「逃がすかぁーーっ!! 必殺ファンクション!」
『アタックファンクション ハリケーンブロー』
ネギたちの背後からミネルバ改が現れた。腕を勢いよく振ると、竜巻が発生。それを三回連続で起こした。
「なっ、何や!?」
ミネルバ改が得意とするナックルの必殺ファンクションの一種。竜巻が燃え盛る火炎を掻き消した。
階段を駆け上がり、追いつくラン。
「花咲さん! よかった、無事でしたか」
「あんな雑魚LBX、全部倒したよ!」
「早っ! 心配するだけ無駄だったわね」
「さっきから全部ランの姐さんが解決してくれてるよな。いやー、頼りになる味方がいてよかったぜー」
愛機と出会って3年。その腕前は当時よりさらに洗練されていた。ミネルバ改を操作して手元に戻す。
(それにしても、水や炎を出したり、大量のLBXを遠隔操作したり、あの人は何者なの? さっきカモ君が『魔法で操ってる』って言ってたような……)
千草とパンダの着ぐるみは階段をさらに上り、逃げようとする。
「このかお嬢様を返せーーっ!!」
木乃香を抱えたパンダの着ぐるみに刹那が刀を抜いて肉迫する。
そこに、両手に一振ずつ刀を持った少女が上から飛びかかってきた。互いの刃が衝突する。
「どうも~、神鳴流ですぅ。おはつにー」
刹那の刃を弾いたのは、ゴスロリのファッションに身を包む少女だった。右手に長刀、左手に短刀を持つ二刀流剣士である。
「お、おまえが神鳴流剣士だと?」
「はいー、月詠いいますー。あなたは神鳴流のセンパイさんみたいですけど、護衛に雇われたからには本気でいかせてもらいますわぁ」
「こんなのが神鳴流とは……時代も変わったな」
千草は隣にいるパンダの着ぐるみに指示を出す。
「敵は四人、こっちは三人。悪いけど、あんたにも戦うてもらいますえ」
「ええ、任せてちょうだい」
指示を聞いたパンダの着ぐるみは、木乃香を階段の踊り場にゆっくりと下ろす。
そして、着ぐるみを脱いで正体を現した。
護衛として雇われたパンダの着ぐるみの正体。それはランがよく知る人だった。
「アミ……? アミ! なんでここにいるの!?」
「えっ? あの人が!?」
淡い紫色の髪にイヤーマフを着けた少女が千草の隣に立つ。
「友達との約束をすっぽかすなんて、あんたひどいんじゃないの!? さっさと謝りなさいよ!」
憤るアスナ。
イヤーマフの少女は謝るどころか、薄ら笑いを浮かべながら自己紹介を始めた。
「あら、アミって誰のことかしら? 私は"ミア"よ。よろしくね」
「変な冗談はやめてよ! そのイヤーマフ、アミ以外に着けてる人なんて見たことないんだけど!?」
ミアと名乗る少女はイヤーマフを外し、階段の上段からランに向かって投げつけた。下段のランはそれを掴み取る。
「ちょっと!? これアミの大事なトレードマークじゃん! なんで投げるの!?」
「鬱陶しかったから外しただけよ。他人と間違えられるくらいなら、そんなものいらないわ」
「あ……あんた、何様のつもりよ! 花咲さんがどんな思いで捜してたと思ってんのよ!!」
「アスナさん、落ち着いて!」
相手を小ばかにしたかのような態度のミア。安い挑発に乗って興奮するアスナを宥めるネギ。
「ほな月詠はん、ミアはん、頼みましたえ」
「
月詠の体を、藤色の装甲が覆う。右手に長剣のベリアルブレード、左手に短剣のベリアルエッジを持つ二刀流剣士となった。
「LBCSコネクト、ダークパンドラ!」
ミアもLBCSの鎧に身を包む。
パンドラに酷似した装甲を纏うミア。アミのパンドラとは違い、アーマーフレームの色は藍。額からは角を生やし、肩の装甲もパンドラとは異なる。両手に持つ武器はいつものホープエッジではなく、薄い鉄板のデスペレイトエッジである。
「ダークパンドラ!?」
ランは藍色のLBCSに見覚えがあった。かつてアミがテロリストに操られた時に使っていたLBXである。
「私たちもやるしかない! LBCSコネクト、アキレス!」
「……ミネルバ改」
アスナとランもLBCSの鎧を身に纏った。
「花咲さん、LBCS使えるのね。桜咲さんも使えるの?」
「いえ、私は……」
階段を一気に駆け降り、刹那に向かって急接近する月詠。両手の剣で斬りかかった。
「なっ!?」
月詠の斬撃を自身の得物である刀"夕凪"で受け止める刹那。
「センパイ、ウチはLBXが好きですわぁ。おもちゃとしてではなく、人を斬る道具として」
「……何が言いたい?」
「センパイもLBCSを
刹那の目から視線を外さない月詠。柔和な顔つきとは不釣り合いなほど、目の奥が笑ってない。
「ちっ、仕方ない」
刹那は左手でバル・ダイバーを取り出す。片手でバル・ダイバーの背中からブースターだけを器用に外し、それをケースの中に落とした。
「
バル・ダイバーを身に纏い、鉄刀・鬼機丸を構える刹那。
「LBCSになっても、得物のジャンルは変わりませんなあ。まあ、ウチも人のことは言えませんけど。ではいきます。ひとつおてやわらかに」
月詠の長剣の斬撃を鬼機丸で受け止める。次の瞬間には短剣で足を狙われる。月詠の流れるような二刀流の連撃に翻弄される刹那。
戦闘狂の月詠。相手の急所を狙い、無駄な動きはしない。
致命傷を軽減できるLBCSの鎧だが、刹那はそれを過信せず、敵の攻撃を堅実に防ぐ。
「こいつ……意外にできる!」
「僕もLBCSを…」
「ちょっと待て兄貴! こっちは三人もLBCSがいるんだ。接近戦は姐さんたちに任せて、兄貴は魔法で攻撃したらどうだ?」
「あんたはどうせ使いこなせないんだから、足引っぱんないでよ?」
「……わかりました」
ミネルバ改を装着したランは、まだその場を一歩も動いてない。腕のビーム砲をミアに向ける。
(どうして、アミと戦わなきゃならないの……)
動揺するラン。腕が震える。意を決してビーム砲を撃つが、ミアがいる位置に当たらない。
「あら、どこ撃ってるのかしら?」
「鬼クノイチさん、おいでなはれー」
千草の手から呪符が放たれ、鬼クノイチ軍団がネギに襲いかかる。
「うわっ」
「こんだけLBXまみれだと、さすがにきめぇな……」
「鬼クノイチさんを甘う見たらあきまへんえ。一機でも首の動脈くらい、余裕で斬れるさかい」
「ラス・テル・マ・スキル・マギステル。吹け、一陣の風。風花・風塵乱舞!」
目の前のLBXを強風で払い除ける。だが、千草が呪符を追加し、敵LBXは次々と湧き出てくる。
「兄貴! いつの間にか後ろにも大量にいるぞ!」
ネギは大量のLBXに囲まれてしまった。
「だったら、こうだ!」
杖を真上に放り投げ、右手でCCMを取り出し、左手でK・アーサーも放り投げる。先に落ちてきた杖を左手で掴み取る。
「必殺ファンクション!」
『アタックファンクション JETストライカー』
K・アーサーは地面と衝突する前に飛行形態に変形し、ネギの後ろの集団に突撃して薙ぎ倒す。
目の前の敵は左手の杖から放つ魔法で、背後の敵は右手に持ったCCMの画面にK・アーサーの視界を映して戦う。『前を見ながら後ろを見る』スタイルである。
ネギの助太刀をしようと千草に接近するアスナ。段を飛ばして駆け上がる。
だが、千草へ向けた槍はミアの持つ刃が食い止めた。
アスナの攻撃は全て見切られているのか、アスナがどう動いてもまったく当たらない。
「あなた、アキレスなのに盾を持ってないのね。LBCSの力も引き出せてないし、話にならないわ」
「くっ……」
アスナは槍でミアの腹部を狙うが、それを見切られ、背後を取られてしまう。
「邪魔よ」
ミアはアスナの脹脛に蹴りをくらわせた。アスナは体勢を崩し、階段を転げ落ちる。
「痛ったー! なにすんのよーー!!」
「私とランの戦いを邪魔しないでちょうだい。このかお嬢様がどうなってもいいのかしら?」
転落するアスナを見たランは、一歩一歩階段を上る。
(あたしが……あたしがやらなきゃ……)
ミアと同じ位置に立つラン。勇を鼓してミアと対峙する。
「アミ! なんでこいつらの味方なんかしてんの!?」
「ミアよ。私と戦うのが怖いのかしら?」
常に不敵な笑みを浮かべ、デスペレイトエッジの刃をランに向ける。
「怖くなんか……怖くなんかない! ていうか、パンドラはどうしたの!?」
「パンドラ? 何のことかしら? ダークパンドラこそ私の相棒よ。弱いパンドラなんかいらないわ」
あっけらかんとパンドラを否定するミア。
「あたしの知ってるアミは、そんなこと言わない! あいつらに洗脳されてるんだ。倒してでも元に戻さなきゃ!」
「洗脳ですって!?」
「ミア……じゃなくて、アミの姐さんは元々あんな性格じゃねぇってことか」
ミアの間合いに踏み込むラン。震える拳がミアの武器に当たる。
「アミ、あたしが正気に戻してあげるからね!」
「ミアって言ってるじゃない。何度も間違えるんじゃないわよ!」
ミアの右手をランが左手で受け止め、ミアの顔面に右の拳を向ける。
だが、すんでの所で拳を止めてしまう。
(……ダメだ。アミを殴れない! ミネルバ改のパワーで殴ったりなんかしたら、アミはひとたまりも……)
アミとは3年前からの友人関係。友達の顔を殴る覚悟が、ランにはなかった。
「……はぁ。びびってんじゃ、ないわよ!!」
躊躇った隙を突かれ、背中に回り込まれて武器の斬撃をくらった。
「あのガキんちょ、ウチの鬼クノイチさんをぎょうさんスクラップにしよってからに……呪符がいくらあっても足りんわ」
ネギをLBXで無力化するつもりだった千草だが、予想外の抵抗に苛立つ。
「今ならあの女がガラ空きね。アタックファンクション、ライトニング…」
「おーっと、ちょい待ちぃ! このかお嬢様ごと攻撃するつもりかえ?」
「くっ……卑怯よ!」
千草は木乃香を盾にした。ライトニングランスを撃てば、木乃香をも感電させてしまう。アスナは攻撃を躊躇った。
「ホーホホホホホ! まったく、この娘は役に立ちますなぁ! この調子でこの後も利用させてもらうわぁ」
「な、なんですって……?」
「さて、ウチはこのままこのかお嬢様とずらかりますわ。ほななー、ケツの青いクソガキども。おしりぺんぺーん♪」
担いだ木乃香の尻を叩く千草。アスナたちの目つきが険しくなる。
「LBXの数が減ったぞ! 兄貴今だ!」
「風花・武装解除!!」
「なあ〜〜っ!?」
風の魔法が吹き荒れ、千草の服が破かれる。担いだ木乃香を落としてしまうが、地面に衝突する前にネギが魔法で浮かせて事なきを得た。
「ライトニングランス!!」
「あばばばばーーっ!!」
槍から放たれた青い電撃をくらい、痙攣する千草。アスナの怒りの一撃である。
「
「はう〜〜っ」
鉄刀・鬼機丸が描く三日月のような斬撃が、月詠の装甲の腹部を水平に裂いた。月詠本人へのダメージは軽減されたが、LBCSは解除され、ガウンタ・イゼルファーの腹部には斬られた跡が残った。
「ちっ、今日のところは引き下がりますえ。ミアはんがそこの嬢ちゃんのお友達っちゅうんなら、人質としてもらっとくわ! このかお嬢様と交換するんなら、返してやってもええで」
「はああ!? ふざけんな!!」
「ほな、さいならー」
千草と月詠は屋上の広場から飛び出し、京都駅を去った。ミアもランとの交戦を止め、千草たちの後を追う。
「さよなら」
背を向けたまま別れを告げるミア。
「ダメだよアミ! 行かないで! 戻ってきてよーー!!」
「花咲さん落ち着いてください! 深追いは危険です!」
アミを連れ戻せなかった現実を受け入れられず、その場にへたりこむラン。アミが捨てたイヤーマフを拾って握りしめる。
「う……うわあああーーー!!!」
ランの悲痛な慟哭が京都駅の構内に響いた。
To be continued
月詠のLBXはガウンタ・イゼルファー。共通点は右手に長剣、左手に短剣を持つ二刀流剣士です。
原作通り刹那はまだ誰とも仮契約をしていません。LBCSを使えるのは、式神を使える程の魔力を扱えるからです。
刹那はLBCSをそのまま使うと、バル・ダイバーの背中のブースターの熱で翼が火傷します。なので、使うときは必ずブースターを外してから装着します。