麻帆良の学園都市の郊外。そこには雪広財閥グループが所有するLBXの製造・販売会社があった。
「ネギ先生、本日はLBXメーカー"雪広タイニーマキナ"へお越しいただきありがとうございます! ……あら、アスナさんもいらしてたんですか」
「なによ、あたしが居たら悪い?」
春休みを利用して、ネギとアスナは工場見学に来ていた。ここで生まれた小さな戦士たちが、世界中の子供たちを熱狂させている。LBXの製造は今や雪広財閥の一大事業となっていた。
「ここって委員長さんの財閥の子会社なんですよね?」
「はい、LBXの再販売の引き金となった『マジックダンボール』の製造、販売もこちらでやっておりますわ」
(ここでマジックダンボールのこと、何かわかるかな……?)
「それにしてもネギ、なんでLBXの会社の見学なんてしようと思ったのよ?」
「に、日本のLBXの製造ラインを見てみたくて……」
「そんなの見て何になるのよ」
「アスナさんも少しは興味を持ってくれます!? では先生、ご案内いたしますわ」
「ありがとうございます!」
「お邪魔しまーす」
委員長のガイドで、ネギとアスナは工場の中を見て回る。
「この会社は主に集積回路を作ってまして、そのノウハウをLBXに応用したのですわ」
「へぇ~」
「ここがコアスケルトンの生産ラインですわ」
「わぁ……こうやって作ってるんだー」
「なんか機械だらけでわけわかんないわね……」
「こちらがアーマーフレームの成形機ですわ」
「プラモデルの金型みたい!」
「ホント男子ってそーいうの好きよね」
「ここではLBXの耐久試験をしてますわ」
ガァン ガァン
「これも大事な工程ですよね!」
「うるさいだけだしもう行くわよ!」
見学エリアの大半を見終わると、ネギが本題を切り出した。
「委員長さん、マジックダンボールを作ってるとこ見せてもらってもいいですか?」
「ごめんなさい、その部署だけは関係者以外立ち入り禁止になってますの」
(やっぱり無理か、魔法が関係してるんだもんな……)
魔力を用いた商品の販売、ネギはそれが気になって工場見学に来たのだが、あっさりと断られてしまった。
どうにかしてマジックダンボールの秘密を知ることはできないか……とネギが考えているうちに、時刻は正午を過ぎた。
「そろそろお昼にしましょうか。屋上庭園へ行きましょう」
ネギたちが屋上の自動ドアを通ると、何かが真上を通過した。
「あっ、あれは!?」
「オーディーンです。K・アーサーと同じ可変機ですわ。海外メーカーには後れを取りましたが、今年度の主力商品になるかと」
「まだ発売されてないのね。ちょっと見てきていい?」
「いいですわよ」
屋上庭園の上空を飛び回るオーディーン。バーナーからはピンク色の炎を噴かしている。
アスナがオーディーンを見に行くと、LBXの開発部門の科学者が近づいてきた。
「失礼します。お嬢様、LBXの調子はいかがでしょうか」
「特に異常ありませんわ。今日はLBXを置いて帰るので、メンテナンスをお願いしますね」
「かしこまりました」
科学者は委員長のCCMからデータを受け取ると、その場を去って行った。
「あれ? 委員長さんもLBX持ってたんですか」
「ネギ先生には紹介してませんでしたね。これが私の愛機、ジ・エンペラーですわ!」
委員長は紫色のLBXを取り出した。手には
「かっこいい……いかにも皇帝って感じですね」
「実は私、ジ・エンペラーのテストプレイヤーをやってますの」
「へぇー、そうだったんですか。いつから持ってるんですか?」
「……8年前ですわ」
ネギは委員長の雰囲気に陰りを感じた。
「委員長さん? 何かあったんですか?」
「8年前、私には弟ができるはずでした。このジ・エンペラーは元々、弟のために用意したおもちゃのひとつだったんです……結局、流産になりましたが……」
「そ、そうだったんですか……ごめんなさい、余計なこと聞いちゃって」
「いえ、お気になさらず……」
委員長の辛い経験を聞き、ネギは何を言っていいかわからなくなる。そこにアスナが戻ってきた。
「ただいまー。ん?どうしたのよ、二人で暗い顔して」
「アスナさんには関係ありませんわ」
「……なるほど、ネギに話したのね。そろそろテンション戻しなさいよ。せっかくネギと一緒にいるのに、いつものショタコンはどうしたのよ」
「ア、アスナさん……今はそっとしておいた方が……」
アスナはネギの制止を聞かずに続ける。
「そうだ、委員長!今からバトルするわよ! そういう嫌な気分は、バトルして吹っ飛ばすのよ!」
「まったく、あなたはどうしてそう単純なんですか……」
「あんたが暗い顔してんのは見てらんないのよ!」
「……ありがとう」
「ん? なんか言った?」
「なんでもありませんわ! マジックダンボール展開!」
いつもの表情に戻り、屋上庭園にバトルフィールドを広げた。
「やる気になったのね。行くわよ、アキレス!」
「GO! ジ・エンペラー!」
バトルスタート
アキレス、槍を突き出し突進する。ジ・エンペラーは一歩も動かず、向かってくる槍の先端を掴んだ。
「また突撃ですか。アスナさん!その戦い方では私に勝てないのはわかってるはずです!」
「だからネギ相手に特訓したの! あんたに負けっぱなしとかイヤだからね!」
至近距離でアキレスに蹴りを入れられ、エンペラーは掴んだ槍を放してしまう。
アスナは委員長とは初等部からの仲だが、LBXバトルで委員長に勝てたことがほとんど無い。
今回も自分の勝ちだろうと高を括っていた委員長だが……
「ハンマーが、当たりませんわ……」
「回避だって覚えたわよ!」
特訓の甲斐あってか、エンペラーの重い一撃を次々と躱していく。
「でも避けてばかりじゃ勝てませんわ!」
回避に必要なテンションゲージがなくなり、ハンマーを槍で受け止める。
「ハンマー振り回すやつが相手なら、その隙を突いて攻撃するのよね?」
「はい。でも委員長さん、なかなか隙がありませんね……」
「隙なんて見せませんわよ!」
ジ・エンペラー、鍔迫り合いの状態から急に力を抜いて一歩後ろに下がる。
アキレスはバランスを崩して前傾姿勢になり、そこにハンマーのスイングがぶつかる。
「あっ!」
「追撃ですわ!」
ジ・エンペラーの二撃目をジャンプで飛び越え、背後から胴体に槍を突き刺す。
「っ! やりますわね」
「攻撃直後なら、隙ってできるんじゃない?」
「いいですよアスナさん!」
「一気に削るわよ! 必殺ファンクション!」
『アタックファンクション ライトニングランス』
「ではこちらも、必殺ファンクション!」
『アタックファンクション インパクトカイザー』
「必殺ファンクションの撃ち合い!?」
強烈な閃光と衝撃波がフィールドの中央でぶつかり合い、大爆発を起こした。
「う、うわぁ……!」
爆心地を見て驚くネギ。バトルフィールドの地面は大きく抉れ、穴が空いてしまっていた。
「これは改良が必要ですわね……アスナさん、対戦は中止ですわ。この状態でバトルを続けるのは危険ですので」
「しょうがないわね。でも次こそあんたに勝ってやるんだから!」
そのとき、マジックダンボールの破損箇所から謎の光が漏れ出した。
「え、なによこれ」
「わ、わかりませんわ……」
漏れ出した光がアスナと委員長を包み込む。光が消えると、二人は自身のLBXを模した鎧を身に纏っていた。
「どうなってんのよ……この格好、アキレスよね……」
「これは、ジ・エンペラー……?」
「アスナさんと委員長さんが、"装甲娘"になっちゃった……」
To be continued
アスナのライバルは委員長、アキレスのライバルはジ・エンペラーというわけで、委員長はジ・エンペラーを使います。
委員長とソフィアさんはクラス、チームのまとめ役って所が共通点です。