「…うう」
『おやマム。おはよう。』
「またベッド…」
『あはは、4課入ってから倒れまくってるよねー。』
「あんまり笑えないよ…」
何度目かはわからない病院の天井。
どうやら私はまた病院に担ぎ込まれたらしい。
最近は悪魔を狩るたびに何かしらの原因で倒れていたるするし、自分の弱さが嫌になる。
「どうやったら強くなれるかなぁ…」
思わずそう呟く。
とはいえ力も体格もない私じゃ強くなるのは無理だ。
本当にどうすればいいんだろう。
『ん? マムもう十分強くない?』
「…気休めはいらないよ…」
『いや気休めじゃなくて。左手みなよ、まだ残ってるし。』
「え…?」
そういえば掛け布団で隠れていて手が見えなかった。
手を布団から持ち上げる。
『ほら。』
布団から現れたのは、私の手のひらではなく、銃だった。
「えっ…あっ…なん…で?」
『あれ? 覚えてないの? マム使ってたじゃん、銃の力。』
「なん、なんで私…こんなの…」
その銃は引っ張っても叩いても、何をしても私の手首から取れなかった。
『…マム、まさか気づいてなかったの…?』
「わ、私、悪魔…人間じゃないの…?」
『…マジか。マム、少なくとも君は人間。だから一旦落ち着こ。大丈夫だから。』
深呼吸して、というエンティティの言葉に合わせ、大きく息を吸い、そして吐く。
…少し落ち着いた。
「…私、なんでこんなのに…?」
『マムの体にはね、何があったのかはわからないけど、銃の肉片が結構な量埋め込まれてるの。』
ああ、と少し納得した。ホテルで肉片が私に反応したのはそういうことだったんだ。
『それでね、マムは今まで本能的だかなんだかで力をセーブしてたんだ。でも今回ので全力で力使っちゃった。だから肉体の一部が銃に置き換わったっぽいんだよね。』
「…」
『アキが力を使わせすぎるなって言ってたのもそういうことなんだよ。てっきりマム自覚あると思って伝えてなかったんだけど…まさか無意識とは。』
「…ずっと、あったんだ。私の中に。」
気持ち悪い。
思わず自分の左手だったものを強く握ってしまう。
本来あるはずの左手の痛みはなく、そこにあったのは銃の硬い感触と右手の痛みだけだった。
『…まあ、使わなければそれ以上の侵食はないと思うよ。』
「…そっか。」
左手から目を逸らし、流れ続けていたテレビを見る。
そこでは今回の事件についての報道がされていた。
一部のビルに綺麗な穴が空いている様子も写っていた。
『…うるさいし消すね。』
「…」
エンティティがテレビを消したその時だった。
病室がノックされる。
『おや。誰かな?』
「…どうぞ。」
私の言葉を聞いてから、扉のドアが開かれる。
入ってきたのはアキさんだった。
「…大丈夫か。」
「まあ、一応は、怪我も…少し痛むけど。」
アキさんは備え付けの椅子に座って、話を続ける。
「…お前がそれを使ってくれたおかげで、俺たちは生き残れた。」
「っ…」
思わずまた布団に隠れた左手を握りしめてしまう。
「…だから、気にすんな。」
「本当は、怖いんじゃないんですか。」
アキさんに向かって言う。
「私が銃の悪魔だから。」
「…お前は銃の悪魔じゃ…」
「でも、私の左手は銃の悪魔のそれじゃないですか。本当は怖いんですよね。」
「…」
私の言葉に、アキさんは黙ってしまう。
…やっぱり。
「やっぱり、怖いんじゃないですか。」
「…」
「それもそうですよね。みんな中の悪魔に大事な人を殺されたって言ってましたもんね。」
「…」
「私、デビルハンター辞めます。銃なんていても迷惑ですよね。だから…」
「澪。」
黙っていたアキさんが突然声を上げた。私は思わずそれに驚いて、喋るのを辞めてしまう。
今辞めちゃったらダメなのに。
「お前は銃の悪魔なんかじゃない。」
「っ…でも!」
「お前が銃の悪魔なら、今俺はこうやって話せないだろ。もう死んでる。」
「…そう、ですけど…」
「それに。」
アキさんは私の銃を手に取り、続ける。
「お前がいてくれなきゃ、あいつらの世話が大変なんだ。」
「…」
まだ、私は必要なんだ。
思わず涙がこぼれる。
「あのバカ二人はやべえ。俺一人じゃ制御しきれない。だからお前がいなくなったら、俺が困るんだ。」
私の左手を撫でながら、アキさんは言葉を続ける。
「お前がどんなに変わっても、中身が変わらないなら澪のままだ。ただでさえ人手が足りないし、だから……辞めないでくれ。」
「わかり…ました…。 まだ、続けます。」
「…助かる。」
アキさんは私の体を強く抱きしめてくれた。特に私の続けますと言う言葉のところで。
♢
『いやー、熱い抱擁だったね! でもアキ今度からマムの半径20m以内に近づかないでね!ムカつくから!』
「…無視でいいです。」
「わかってる。」
アキさんがむいてくれているりんごを食べながら、二人で話を続ける。
「…誰が、いなくなったんですか。」
「姫野先輩とバカ二人以外、だな。」
「そうですか…。」
飲み会で仲良くなった人、みんないなくなっちゃったんだな。
少し寂しくなる。
「…そういえば。マキマさんがお前呼んでたな。退院したらきてくれって。」
「あ、わかりました。」
「…切ったやつ、ここに置いとくから。俺は一旦帰る。」
「…はい。」
お土産のリンゴを剥き終わったアキさんは、椅子から立ち上がって、そのままドアを開けて帰って行った。
『…受け入れられるとは。なかなかメンタル強いねアキ君。』
「…でも、よかった。」
『んねー、マムが追い出されたら公安潰すところだったよ。あ、でもマキマと戦いたくはないしスルーしてたかなぁ。』
「潰しちゃダメだよ…」
『マムまだいるし潰さないって〜。』
そんな風に、目覚めの1日は過ぎていった。
アキ君もいくら姫パイ死んでないとはいえ顔馴染み死んじゃってると寂しいと思うんですよ。その上で澪ちゃんにまで辞めるとか言われたらほんとに悲しくなると思うんですよ。でも考え改めてくれたら嬉しいと思うんですよ。それを表現しようと思ったらこうなりました。別にヤンデレとか恋愛描写とかではないです、はい。どっちかって言うと親目線。(早口)
次回は岸辺先生と訓練することになる…のですが。澪ちゃんの性格じゃあのいかれポンチの皮被ったバケモンのお眼鏡には叶わないと思うんですよね…
まあそのうち書くので更新をお楽しみに〜。
1部アニメ、流石に原作全部までは今年中に出ないと思うので、先に2部のストーリーで書こうと思うのですがどうでしょうか
-
ええやん
-
1部から順番に書けカス