ー エレボニア帝国 ヘルダイム宮 ー
《 執務室 》
エレボニアの立て直しを早急に進める為に宰相執務室に訪れたレーグニッツは予想外の言葉を聞かされた…
《帝都知事 レーグニッツ》
「オーベルシュタイン宰相!先程何と仰ったか?もう一度お聞きしたい!!」
《帝国宰相 パウル・フォン・オーベルシュタイン》
「軍縮にあたり退役する兵士達の見直しをすべき…と云ったのだ」
激昂するレーグニッツにオーベルシュタインは淡々と答えた
「はっきり言って正気ですかな!?カルバートとの講話の条件には軍縮も明記されてるのに其れを反故するような…!」
「どうもレーグニッツ殿は誤解なされているようだ…私は軍縮には賛成だし、財政健全化の意味でも必要であると認識している」
「なら…!」
「私が言いたいのは退役させる兵士に優先順位を付けろと言っているのだ」
「優先順位…?どういうことですか?」
その言葉を聴いて比較的冷静になったレーグニッツが尋ねると…
「例えば軍にいる医療関係者や鉄道などのインフラに関わる職業に就いていた人材を優先的に民間に帰す。技術を持っている人間は比較的復帰しやすいからな、だがそういった技術を持たない人間が軍を退役して職を簡単に得られるとおもうか?」
「そ、それは…!」
当たり前ではある、技能持ちを優先的に採用するのは何処の国だろうと同じ事をしているし、そういった技能がない元兵士が雇われる仕事など限られてくる。そうして限られた仕事すらあぶれる元兵士も確実に出てくる、その結果不満が高まる元兵士達の怒りの矛先が向くのは…
「《クロスベル再事変》の時の兵士達の暴走は其れこそ居場所を取り上げられた原因の《あの御仁》自業自得なのだろうよ」
「宰相閣下、其れはあまりにも不敬なのではないでしょうか?幾ら除籍されたとしても《あの方》は皇族だった方ですぞ」
流石に皇室批判に繋がりかねないとして嗜めようとしたが
「失策は失策だと言わずになんとする?ただ兵器や兵士を減らすだけで満足し、兵士達のその後の再就職の道筋すら着けづに新婚旅行などと奥方は兎も角《あの御仁》は兵達に不満をぶつけられても文句は言えなかったろうさ」
容赦無い宰相の言葉にレーグニッツは沈黙するしかなかったが本題がそれていると気づいた
「しかし閣下、技能のない兵士達には結局どうするのですか?そういった人間でも結局退役せざるをえないといおもいますが?」
「無論幾つか対策を考えた。」
「対策…?それはどういった…?」
「再編成待ちの衛士隊に退役した兵士達を組み込み彼等を他国で言う警察の役割を与え帝国各地に配置し帝国の治安維持に当たらせる。無論遊撃士とは良い関係を築きたいからいざという時には連携も視野に入れる」
「其れは…良い考えかもしれませんが鉄道憲兵隊(TMP)では駄目なのですか?」
ある意味当然の疑問を問うレーグニッツに対しての答えは
「鉄道憲兵隊はその性質上鉄道が通ってる都市部は展開が速いが鉄道が通っていない地方には時間が掛かる。それだったら最初から配備している治安維持組織がいた方が効率がいいはずだ」
「……分かりました。ではこの案を検討する為持ち帰らせてもらいます」
そこまで言い切られてしまうと反論する理由もないのでレーグニッツは部下に先に帰り具体的な話を進めるよう指示した。
後にこの《案》は採用され衛士隊はエレボニアの民の身近な守護者として親しまれるようになった。