カコン、と心地の良い竹の音が鳴り響く。庭にある獅子脅しが丁度十二時の刻限を示す。
藺草の香りが漂う中、様々な料理が大皿で運ばれてくる。さながらバイキング形式といった所だろうか。
配膳されていく昼食を傍目に、一人の少年が深い溜息を吐いた。
「どうした、坊。折角の宴会なんだ。そんな辛気臭い顔するんじゃない」
「あのなぁ……そう言われたってな」
「まぁまぁ、いずれ慣れるさ。それにお前は気兼ねなーくいつも通りしていればいいんだ」
そう言った目の前に座っている叔父さんは、
「俺の嫁ももっとやさしければなぁ……」
「坊、こんな風になっては行けません」
「いってぇ! 角を引っ張る事はないだろうよ!」
「……反面教師にさせて頂きます」
目の前で繰り広げられる夫婦三昧に苦笑いを浮かべつつ、少年は辺りを見渡した。
叔父さんの様に角を生やす者もいれば、鎧に身を包む者。大広間の反対側には黒や白や青といった様々な角を持つ者もいた。
そんな中、和洋折衷、様々な料理が並べられていく。
坊、と呼ばれた少年は正座していた足を崩し、胡座をかいて再び大きなため息を吐いた。体から空気が抜けていくたびに、現実を受け止めなければならない事を自覚していく。逃げ場が少しずつなくなっていくその感覚が、嫌に体を蝕んだ。
その時、隣に影一つ。ふわりと花の香りを漂わせて、少年の隣に座る。
「大丈夫ですか? 何かお身体の悪い所でも……?」
心配そうな表情を浮かべて、少女が一人隣に座った。
「あぁいや、これからどうしようかなって考えていた所さ」
「そうですよね! 学校の事もだし、後……」
頬を赤らめてぽしょぽしょと呟く隣の少女。
眩いほどの銀色の髪に花飾りをつけ、淡い赤色の着物に身を包んだ少女。
蒼い瞳が此方を見てくる中、恥ずかしそうに指と指を合わせてつんつんしていた少女は意を決した様に口を開いた。
「
にっこりと年相応の笑顔を浮かべる少女に、少年は笑顔を返した裏側で、深いため息を吐いた。
そして少女は、少年の着ている着物の端をきゅっと掴み、にへらと笑った。
ヒューヒューと叔父さんが囃し立てる中、未だ走る激痛に耐えながらも、少年は笑みを返した。
そもそも何でこんなことになっているのか。
なんで可愛い少女がやってきて、なんで宴会なんか開いているのか。それは数日前に遡る。