とりあえず、その場しのぎではあるがどうにか一之瀬さんの頭をピンク色から遠ざけたあと、私たち4人は部屋に入った。
「……清隆くんに櫛田さん。なんで、私の部屋に居るの?」
私は彼らに天然水の入ったコップを配りながら、最大の疑問を彼ら2人に尋ねる。
ほんとになんで居るんだ……特に清隆くん。
それなりの仲の相手とはいえ、付き合ってたりする訳でもない女子の部屋に勝手に入るなとあれほど……。
「あ、私は綾小路くんに頼まれただけだよ。女子の部屋に男が勝手に入るのはダメだから女子に着いてきて欲しいってね」
なるほど、考えたなぁ……。
女子を連れ込めば男子"だけが"入った訳じゃない、と。
いや、普通に考えたら結論がそうはならないでしょう……なってるんだけどさ。
「……清隆くん、ないわ」
私は思わずそう呟く。
それを聞いた彼は顔の表情を一切変えずに口を開く。
「これもダメか……」
いや、当たり前だろ。
ホワイトルームは何を教えてたんですかねェ……。
ん? 待てよ。
そもそも、私は部屋に鍵をかけてたはず。なんで、彼ら2人は入ってるんだ?
「そう言えば、どうやって鍵を開けたの?」
「それはだな……」
彼はチラッと櫛田さんの方を見る。
え? 櫛田さんがなんかやったの???
まさか、櫛田さんがピッキングのプロとか?
「えーっと、櫛田さん?」
「あのね……これ、管理人さんに作ってもらったの。ほら、私たちよく遊ぶでしょ?」
櫛田さんがブレザーのポケットから小さな金属物体……私の部屋の鍵と思われるモノを取り出した。
……管理人さんに何も言った覚えもないし、何かを言われた覚えもないんだが。
合鍵、勝手に作れるのかぁ。セキュリティどうなってんのさ……。
まぁとにかく、あとで管理人さんに合鍵を作らないように言っとこう。
「ふーん、にしても霧ヶ峰さんって櫛田さんと仲良かったんだ」
お、今まで機能停止をしていた一之瀬さんが復帰したわね。
どうやら、私と櫛田さんとの間に接点があるのが意外らしい。
クラスも違うし、そう思うのも無理はない。
「ちょっと前にカフェで会ってさ。その時にたまたま話したら割と馬があったんだよね。その後から一緒に遊びに行ったりしてるんだ。そうだよね、櫛田さん?」
嘘しか入ってない……いや、カフェで出会って話したことあるのはホントか。それ、4月の最初の方くらいだった気がするけど、まぁ私の中ではちょっと前判定ということで。
「うん、そうだね」
……私たち、微笑みながらしれっと嘘つけてるあたり碌でもないな。
今更だけど。
「うーん、まぁそういう事もある、のかなぁ?」
どうやら、一之瀬さんはまだ私たちの関係の何かに納得できないらしい。
……私たちの契約、今はまだ一之瀬さんにバレる訳にはいかないから、話題変えよ。
「あ、そう言えば清隆くん。わざわざ、私の部屋に来たって事は何か用事があるのかな?」
露骨だが、焦点を清隆くんに変える。
頼む、綾小路清隆。爆弾発言で一之瀬さんの注目度を稼いでくれ!
「あー、そうだな。実は霧ヶ峰に話があってきた。……お前が恐らく持っているであろう次の中間テストの過去問を安価で譲って欲しい」
はい、ほのぼの終わり。
今回の伏線
霧ヶ峰ひびきは綾小路清隆と以前から付き合いがある。