さて、私は学校から自身の部屋がある寮へと向かっているのだが……。
いやぁ、仲良く談笑している一年生グループが多くて……辛いっすわ。
「……チッ、クソが」
そんな平和でノホホーンとした雰囲気の中、顔の一部にアザが出来ている黒髪の男子生徒がイラつきながら歩いていた。
あの人は……一年生かな?
ちょっち聞いてみるか。
「あのー、すみません、そこの方」
そう言いながら、その男子生徒の肩をチョンチョンとつつく。
「あ? 誰だお前……?」
……ちょっ、圧が。
初手威圧とか平和的じゃないなぁ。
「えーっと、1年Bクラスの霧ヶ峰ひびきです」
「……なんだ、Bクラスのヤツか。悪かったな、態度悪くて。俺は1年Cクラスの石崎大地だ。よろしくな」
「えぇ、こちらこそよろしくお願いします」
お? 意外と優しい。
不良だけど話せば分かる系か?
あと、一年生だったね。
Cクラスでその傷ってことは……彼、石崎君はさっきの大乱闘の被害者か。
……ふーん。
私は、周囲に監視カメラがあるのを確認してから柔らかな笑みを浮かべながら口を開く。
「ところで、そのアザはどうしたのですか? 新学期初日から和やかでは無さそうですが」
「あぁ、俺のいるCクラスでな……龍園とかいうヤツが"俺がこのクラスの王だ"とかほざきやがってよ。それにイラッときちまった俺がソイツを殴りに行ったら返り討ちにあっちまったんだ。あぁ、思い出したらまたムカついてきた!」
「そ、そっか」
龍園……ね、要注意人物として脳内メモ帳に名前を記しておこう。
にしても……Cクラスの王、か。
このまま放置していたら間違いなく彼は王になれるだろう。
だが……クラス交替の要因になり得るなんらかの戦いがあると睨んでいる私が放置する訳もなく。
ちょーっと、妨害しちゃおっと。
ごめんね、龍園君。
「……ねぇ、石崎君。もし、龍園に勝てる手段を知ってるって私が言ったら……どうしますか?」
「そうだな。そしたら、今度こそアイツをボコボコにしてやるぜ! って、その話……本当か?」
「はい」
そう言いながら、私は軽く頷く。
「そうかそうか……なぁ、その手段とやらを教えてくれ! 頼む!」
と言って、石崎君は両手を合わせて頭を下げる。
うん、本当に教えられるよ……龍園を倒す方法。
まぁ……別にそこまで特別な事って訳でもないが。
ほら、何事も基礎からって言うじゃん?
「……その手段を教えるので、私について来てください」
そう私が言うと、石崎君は分かりやすく嬉しそうな表情を浮かべる。
「おう!」
さて、入学式前に見つけた監視カメラのない場所……体育館裏へと向かうとしよう。
次回、石崎死す!
デュエルスタンバイ