霧ヶ峰が何をどうしてこうなったかは後ほど書きますので、安心してください。
さて、なんやかんやあって1ヶ月くらい経過した。
今は5月1日。
恐らく、今日の朝のホームルームで教師からこの学校における特別なシステムのネタバラシがあると思われる日だ。
今日に至るまで、色々あった。
龍園政権が確立したCクラスが再び分裂したり、ただでさえ葛城派と坂柳派に分裂しているAクラスでさらに神室真澄をリーダーとする中立派が出現したり……本当に色々とあったがこれらの出来事に問題はない。
全て計画通りだ。
……他のクラスの生徒を何人か駒にするってのは私がやろうと思ってやったことだ。
でも、ここまでやる必要は……まだなかったはずだった。
……はぁ、
おかげで、私自身の意思とは関係なく、着々と学年支配への布石を打ってたよ、私の身体は。
まぁ、終わったことは仕方ない。
そんな事を考えながら、自分の席に座る。
「……ねぇ、霧ヶ峰さん」
私の元に一之瀬さんが訪れる。
「どうしましたか?」
彼女は一瞬不安そうな表情を見せたが、すぐにその表情を消して口を開く。
「私たちのクラスは……上手くやれたのかな?」
表情は取り繕えているが、言葉までは繕えなかった。
彼女はきっと不安なのだろう、ここまで暫定クラスリーダーとして皆を率いた者として。
その気持ちは凄く分かる……でも、安心して?
あなたは……。
「大丈夫ですよ、ちゃんと8万ポイントくらい振り込まれたのですから。一之瀬さんは頑張ったと思いますよ?」
「そっか、うんそうだよね。ありがとう、霧ヶ峰さん」
「はーい、皆さん! 席についてくださーい!」
……と、めちゃくちゃ元気な星之宮先生が教室に入って来た。
いや、何があったし……。
「えっと、何か良いことでもあったんですか、先生?」
前の席の女子生徒が尋ねる。
いや、ほんとに気になる。
「それはすぐに分かりますよ〜。はい、じゃあまずは
星之宮先生がホワイトボードにペンで文字を書いていく。
内容は以下の通りだ。
一学年クラスポイント一覧
Aクラス 910
Bクラス 820
Cクラス 440
Dクラス 0
生徒全員がこれを見たのを確認したのちに、星之宮先生が再び口を開く。
「では、みんなが疑問に思っているであろうクラスポイントとSシステムについて説明します。まず、クラスポイント、略してCPは簡単に言うとクラスの成績を表しています。このCPに100をかけたものが毎月支給されるプライベートポイント、略してPPの額になります。だから、みんなの学生証端末に今月分の8万2000PPが振り込まれています。ちなみに、入学時には全クラスが1000CPに設定されています」
やっばりそんな感じか。
私の予想通りだ。初日に私が質問していたおかげで、ほとんどの生徒が真面目に授業を受けていたが……180CP引かれちゃったかぁ。
まぁ、仕方ないのかな?
「そして、このCPは学生らしくない生徒の授業態度や行動をとると減らされていきます。4月の1年Bクラスの場合は、遅刻・欠席3回、授業中の私語1回、授業中に学生証端末をいじっていた等の回数が12回……これらのことを考慮して180CPの減点という判断を私たちは下しました」
いや、その判断基準でDクラス何をやったらこうなったんだ……
-1000CPって何さ? ある意味天才でしょ。
あとで、櫛田さんにでも聞いてみよう。
「ただ、この時期のBクラスの減点が180ですんだのはかなり優秀な成績と言えます。頑張りましたね」
あぁ、機嫌良かった理由はそう言う。
そりゃ、自分のクラスの成績が良かったら嬉しいわよね。
「ところで、この各クラスのクラスポイントを見て、何か気づいたことはありませんか?」
「……クラスポイントの値がやたら綺麗ですね」
そう私が言う。
「良い着眼点ですね、霧ヶ峰さん。これを見て分かる通り、最も優秀な生徒たちがAクラスへと、逆に最も不出来な生徒たちがDクラスへと配属されます。そして、Bクラスは最優のAクラスに最も近いクラスです。頑張ってAクラスのCPを超えてください。そうすればあなた達が新たなAクラスです」
……なるほど。私はお父様のヒントのおかげで気づいてたからそこまで衝撃的じゃないけど、他の人にはすごい衝撃的な事実なんだろうね。
クラスなんて適当に決めるケースの方が多いだろうし。
にしても、この星之宮先生の発言って、逆に言うとC、Dクラスに転落することもあるってことだよね。
そこも気をつけないと。
「ちなみに、この学校の謳い文句である《望む進学先・就職先をほぼ100%叶える》って言う恩恵はAクラス卒業者でしか受けられないから気をつけてね」
今まで黙って先生の話しを聞いていたBクラスの生徒たち。
しかし、この事実の露呈は流石に効いたらしく、小声で多くの生徒が話し始めた。
「はーい、一旦静かにしてください。……次に先日行った小テストの結果を公表します」
あ、あの最後の3問だけやたら難しかったあのテストの成績って公表されるんだ。
そんなことを思っている間に、星之宮先生はBクラスの生徒の各科目の小テストの点数が記されている紙をホワイトボードに貼り付けた。
私の名前は一番上にあった。
点数は……全科目100点。
うん、もう実力隠して裏方に徹するのは諦めたからね、これでよし。
本当は、よくはないが。
「うん、赤点はいないみたいですね。そんなこのクラスには不要な情報かもしれませんが、この学校では赤点を取った生徒は即退学ですので、気をつけてください」
うん、厳しくない?
普通の学校はそこまで厳しくないと聞いているが。
国立の学校怖い。
「最後に、月末の中間テストについて軽く説明します。この月末に実施される中間テストの成績次第ではCPが増加します。範囲は後ほど連絡します。この中間テストで、あなた達全員が高得点を取れる方法が必ずあると私は確信しています。頑張ってください。では、これで朝のSHRを終わります」
……さて、先生は教室に出て行った。
その直後に、私の学生証端末に沢山のメールが複数人から届く。
概ね計画通り、C、Dクラスに対するBクラスの優位は確立された。
そして、Aクラスとの差もまぁまぁと言ったところだ。
私は、抜けがないかどうか昨日までの行動を振り返り始めた。
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