セバスが屋敷帰ると星々が煌めくような薄い霧がセバスを覆うと、
2階の応接室に転移した。
「時間の指定をしていなかった俺が悪い面もあるから、待たせた事を責めないでくれるかい?」
ドッペルリングによる擬態を解いた天之禍津神の言葉が聞こえるとセバスを覆っていた霧が晴れ、その場には至高なる方々とNPCもいた。
「この位で怒るような事はないから安心してくれないかい?幾らたっちさんが嫌いだとしてもこの程度で何か言う事ではない」
デミウルゴスが声を出そうとするのを遮りウルベルトが言った。
「デミウルゴス、何も問題はないだろう」
ウルベルトはデミウルゴスに確認するように言うと
「もちろんです、何も問題はございません」
デミウルゴスがが答えた。
「さて、セバスよ。なぜここに仲間たちがいるかわかるかい?」
アインズの問にセバス
「はい、わかっております。わたくしめが屋敷に連れて来た人間のことですございますね」
と答えた。
「天之さんが我々に報告をあげなかったのは重要性が低い事象だしそこまで責めることでは無いが、その結果役人を1人殺して犯罪組織に目をつけられたのは痛い。」
最終日の課金ショップにワールドエネミーのドロップ品があった事と、それらをインベントリに入れていて外を歩いている事を報告していない天之がカモフラージュとなりセバスに対する評価は下がる事はなかった。
「今この部屋にいないだけで隣の部屋にぶくぶく茶釜様とやまいこ様とアウラマーレの2人が月詠様とその胎児の安全確保の為に来ております。」
銃を腰のホルスターに装備したベルが扉を開けながら答えて紅茶とクッキーをテーブルに置いた。
「我々としてナザリックに帰還させてから話を聞こうと思ったのだけど、人間をナザリックに入れるのは抵抗の多いもの達が多いからこの部屋で聞くことになった。君の創造主のたっちさんが来ていないのはこの話し合いを力でねじ伏せてしまう可能性が高いからだ」
ぬーぼーが説明すると話し合いが始まった。
「私としては偽装工作の一環であるという事は評価できる。だが、その結果厄介事を引き込んでしまったことには罰が必要である。」
アインズの言葉にデミウルゴスが賛成すると
「まぁまぁ、セバスにも考えがあっての事だ。せめて連れてきた者の意見を聞かないのは後々ギルド分裂の危機になる可能性があるのでセバスの意見を聞いてからでも遅くはないでしょう」
ぷにっと萌えがヒートアップしそうな悪大好き組を牽制するように言うと
「ほら、セバス意見があるなら言いなよ。もし何もないならせめてもの救いに慈悲をかけて痛みすらなく殺すけど?」
天之はセバスに声をかけた
「現地登用した者たちの中にはナザリック内で働いている者はいません、外部雇用でもナザリック内で働いている例を作るのはどうでしょう。今は大丈夫でも至高なる皆様方の子供達を見守る者がいた方が良いと愚行します。」
セバスの説明は確かな利益を提示したが
「セバスの意見は素晴らしいと思うが見落としがある。人間である必要はないし、元奴隷がナザリックにふさわしい従者とは思えないと思うがね」
デミウルゴスは否定した。
「デミウルゴス様の意見にも見落としがございます。確かにツアレにナザリックにふさわしい従者であるとは今現時点では断言できませんが、彼女がこれから成長しないとも断言出来ないハズです。」
デミウルゴスとセバスの言い合いがヒートアップしていくのを見て昔を思い出したギルメンと何時もこんな事をたっちとしていなのか〜と思うウルベルトが見ていると
「至高ナル方々ノ前デ何ヲシテイル」
コキュートスが槍で床を叩き制止すると
「セバスよ、その拾って来た女を連れて来い。」
アインズが命令するとセバスは部屋から出ると
「今から軽いテストを行う、その結果を見てナザリックに仮メイドとして連れて行く事にする」
モモンガがギルメンとNPCに内容を説明し確認すると了承が出た。
ツアレが部屋の中に入ると緊張しているのか恐怖を感じているのか分からないが震えていた。
「この女がセバスの拾って来た人間か?」
アインズが確認すると天之が頷いた。
「私の名はアインズ・ウール・ゴウン。セバスの支配者だ、君の名を聞いても良いかい?」
アインズが聞くとツアレはセバスの服を指先で掴みながらも
「つ、ツアレ・ニニャです。」
緊張した様子で答えた。
「セバスがそこのツアレを連れて来るまでの時間に少し話し合い先程の話をを考慮した結論を言いたいのだがいいか?」
アインズが聞くと全員が頷いた、セバスはツアレを部屋に連れて来るまでに殺される事はないと最悪でも記憶を消されて二度と会えなくなる程度と語り、ツアレはセバスと離れたくないと話していた。
「セバスよ」
アインズがセバスに声をかけると
「そこの女を今、我々の目の前で殺せ」
セバスは一瞬固まり
「アインズ様今なんとおっしゃいましたか?」
思わず聞き返してしまった、
「セバス、君は100Lvでありナザリックの中でも至高なる方々にも届きうる存在だ。そんな存在であるセバスの忠誠心に疑問が生まれたからだよ、現にシャルティアが洗脳された例もあるし君は世界の守りを受けてないだろう」
デミウルゴスがわかるように説明すると
「君の撒いた厄介事の種の処理を我々がしてあげてもいいがそれでは君の忠誠心を証明出来ない」
ウルベルトが追い討ちをかけるように言うとセバスは覚悟を決めてツアレの方を向き構えた、ツアレもセバスの方に体を向け微笑みながら目を閉じた。
セバスが正拳突きを放つとその一撃はツアレに当たる前に夜空の様な靄が飲み込みコキュートスの手に当たった
「コキュートスよ、先の一撃はその女を殺せる一撃だったか?」
アインズの問に
「間違イナク」
コキュートスが答えると
「セバスを離してやれ」
天之がそういうとセバスの腕を覆っていた靄が晴れ、セバスの腕は元に戻った。
「セバスの忠誠心に偽り無し判断し、そこの女はアインズ・ウール・ゴウンの名に置いて保護を約束する」
アインズの決定にその場の全員が納得した。