くもりくもらせ   作:aru

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6,ダブルチームVS七人ミサキ

 

 

 

 

 ときおり、両親が死んだ日を思い出す。

 

 夜のドライブ。家族で遊園地に行き、高速道路で帰っている途中だった。逆走してきた車と正面衝突し、その衝撃で私たち家族の乗っていた車は吹き飛んだ。

 

 運転席と助手席にいた両親は即死だった。後部座席にいた私は衝撃こそマシだったが、フロントガラスを突き破ってきたフレームが腹に刺さり、大量失血で死んだ。

 

 だが、オカルトマニアだった父が私にくれた、殺生石のおまもり―それが私を蘇らせた。私は気づくと、大破炎上している車のそばで、おまもりを握りしめて立ち尽くしていた。

 

 目の前で両親と自分の死体が炎に巻かれていった。お土産に買った大きなクマのぬいぐるみがそばに転がっていたが、綿が内臓のようにはみ出し、表面は炎に焼かれて原型をとどめていなかった。

 

 最悪の気分だった。心細かった。どうしようもなく寂しかった。真っ暗な世界に、一人だけ私がいるような気がして、吐きそうだった。どうして私だけがこんな目に遭わないといけなかったのだろう。

 

 そんな昏い感情が、事故の処理が終わって一人暮らしを始めた後も心の奥底で頭をもたげ続けていた。ファミレスで食事している親子を見るときも、同級生の話す親の悪口を聞くときも。

 

 だからだろうか。楽しそうに笑うあかりを見て、私と同じような目にあったらどんな顔になるのだろうと思い始めたのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあ、今日も来てくれてありがとう」

 

 丑三課長は怪異課にやってきたあかりに気づくと、パソコンから目をあげた。

 

 今は放課後の夕方。魔に逢うとき、つまり逢魔時(おうまがとき)と表現されたように、怪異が活動を始める時間帯。あかりや凛のような臨時職員も応援に加わり、忙しくなる。

 

 だが、今日だけは。今日はなるべく早く仕事を切り上げて凛と一緒にいてやりたかった。

 

(今日は、凛の誕生日だから)

 

 以前、何となしに聞いていた。凛の誕生日は1月12日。つまり今日である。舞という唯一の肉親はすでにこの世になく、誕生日会を友達とするようなノリの子でもないだろうから、何も言わなかったらきっと1人で一日を終えるかもしれない。

 

(……でも、それじゃ寂しいよね)

 

 あかりは誕生日プレゼントとして、細い銀色のネックレスを買ってきていた。舞の代わりになるとは思わないが、祝ってあげたかった。

 

「今回は、ダブルチームで戦ってもらうから」

 

「ダブルチーム……ですか」

 

 しかし課長の言葉を聞き、あかりは頭が痛くなった。ダブルチーム前提ということは、今日は絶対抜けられない仕事ということではないか。

 

「凛君には説明していなかったね。基本、うちは職員の生存率を高めるために二人一組でバディを組ませてるけど、そのバディをもう一つ加えて一緒に戦うのが、ダブルチームだ」

 

「つまり……それって強い敵と戦うってことですよね」

 

「そうだね。ちょうどもう片方のバディが来たし、そのあたりはまとめて説明しようか」

 

 丑三課長がそう言ったとき、部屋に二人の人物が入ってきた。

 

「……おう、久しぶりだな。学生二人組」

 

「御剣ちゃん、今日はよろしくね」

 

 一人は浜矢。今日はなぜか季節外れのアロハに上着を着ている。そして、もう一人の方―神標は、串に刺した肉をライターであぶりながら中に入ってきた。

 

「神標君。役所内は火気厳禁だ」

 

「すみません課長。さっき新鮮なお肉が手に入ったものでつい」

 

「君はこれさえなければなあ……まあいい、凛君はたぶん初対面だろうから、紹介しとこう。神標千鶴君だ。浜矢君のバディでもある」

 

「よろしくね。ところで、凛ちゃんもこれ食べる? お近づきのしるしに」

 

 そう言うと、神標は肉の串を凛に差し出した。

 

「いえ、いいです。……というか何の肉です?」

 

「人面犬♡」

 

 あかりは吐き気を催して口を押さえた。よくそんなものを食べられるものだ。さすがの凛も困惑したような表情で神標を見ている。

 

「怪異って殺すとチリになるんじゃないですか」

 

「そうよ。だから私は生け捕りにして肉を切り取ってるの」

 

「うえ」

 

 それを聞いていた浜矢は舌打ちした。

 

「気色わりい話してんじゃねえよ。で、課長。俺たちを集めたってことは、相当ヤバいやつとやるんでしょうね」

 

「ああ。今回は私も出る」

 

「ほぼ課の全員ってことっすね。五幣は来ないんですか?」

 

「五幣君は隣町の役場を守りに行ってるから、この作戦には参加しないよ」

 

 それを聞いた浜矢は、あきれたようにぽりぽりと頭をかいた。

 

「隣町の怪異課は何やってんだ。あの辺は大した怪異も出ねえのに」

 

「うん、だからだろうね。昨日やってきた強力な怪異と戦って全滅したそうだ」

 

 丑三課長の言葉に、緊張が走った。

 

「隣町は呪具も人員もウチほどよかったわけじゃないがね。怪異と遭遇したと思われるため池周辺で課長クラス以下全員の死亡が確認された。この怪異は他の市町村でも出現しててかなりの被害を出している。ルート的に、次にやって来るのはこの藤見市だ」

 

 移動型の怪異か、とあかりは思った。怪異にも習性らしきものはあり、俗にいう地縛霊のように特定の場所から移動しないタイプ、範囲は狭いがある程度自由に動くタイプ、長大な距離を移動するタイプの3通りがある。

 

 移動型の例として世界各国で天然痘を流行させた「疱瘡神」、船幽霊の一種「モウレイヤッサン」などがあり、いずれも強力な怪異として知られている。

 

「これまで戦ってきた他の怪異課からの報告を見るに、この怪異は『七人ミサキ』という伝承に分類されるだろう。7人一組で行動する怨霊で、倒しても7体のうちどれかが残っていればその個体の近くで復活する」

 

「んじゃー7体まとめてぶっ潰せばいいわけっすね」

 

「作戦の方針としてはそうなるな。私が1体捕縛したあと、それを起点に復活するまで他の場所にいるミサキたちを倒し続け、集まったところで全滅させるのが効率的だと思う」

 

「神標の雲外鏡で集められないっすか?」

 

「すでに別の課が似たような呪具で試しているが、どうも奴らは鏡に映らないらしく、失敗している」

 

「ああ、吸血鬼系ですか。それなら私はあまり役に立ちませんね」

 

 神標はそう言って肩をすくめた。霊感のない人間にも見えるか、カメラで撮れるかなど、一口に怪異と言っても様々な違いがある。雲外鏡は鏡に映らないものに干渉できないので、百足を封じ込めたようにはいかないだろう。

 

「神標君は退避用に呪具を使ってもらおう。後で凛君と浜矢君に手鏡を渡すから、危なくなったらメッセージを飛ばしてくれ。それと、ミサキに触られないよう気を付けてほしい。ミサキの手に触れ、瘴気を流し込まれた人間はミサキになってしまう」

 

「味方がミサキにされた場合、どうすれば戻せるんですか?」

 

 神標の問いに、課長は首を振った。

 

「戻す方法は無い。ので、気をつけてほしい。まあ我々のように霊力をもつ人間しかミサキにされないから、一般人への被害はあまり気にしなくていい」

 

「なかなかハードなクエストが来たな。触られたらダメ系ってことは俺と凛は要注意か」

 

 その通りだ。おそらく外傷でないので犬神でも無効化できない。今回ばかりはあかりが前を張った方がいいかもしれない。

 

「課長、七人ミサキの画像などはありますか?」

 

「ああ。ここにあるよ。全滅した怪異課が最後に仕事をしてくれた」

 

 あかりは丑三課長のスマホに映っている画像を見て、あっ、と思わず声を上げてしまった。

 

「どうしたんだ? 時雨君」

 

「いえ。あの……これ、私と舞が廃病院で会った怪異です」

 

 薄汚い病人服を着た不気味な怨霊の姿は記憶に焼き付いている。病院で遭遇したときはボールのように集まった姿だったが、この禍々しい雰囲気は忘れようがない。病院を捜索しても見つからなかったのは、すでに移動した後だったからだろう。

 

 この怪異はおそらく、藤見市を出てぐるりと他の市町村を周り、また戻って来たのだ。あかりが忌まわしい記憶に渋面を作っていると、それを耳ざとく聞きつけた凛が、口を開いた。

 

「廃病院で会ったということは、この怪異なんですね」

 

 あかりは、はっとして凛の顔を見た。そう、彼女にとってはこの七人ミサキこそが姉の仇なのだ。

 

 凛はそれ以上はなにも言わず、ただ仇の姿を凝視していた。冷ややかな眼の奥にどす黒い恨みの感情がゆらめいている。にもかかわらず、その口元にはぞっとするような笑みが浮かんでいた。

 

「……凛、無理はしないでね」

 

「わかっています。姉が負けたくらいですからね。なおさら用心しないと」

 

 凛の言葉はどこか嘘っぽい。あかりがなお心配そうな目を向けていると、凛は困ったように笑った。

 

「大丈夫ですよあかりさん。終わったら一緒にご飯食べにいきましょう」

 

「それ、死亡フラグって言うん……だよ」

 

 あかりの声は、フェードアウトした。あの日に舞と話していたことを思い出し、あかりはポケットに入れていた手袋をぎゅっと握りしめた。

 

(大丈夫……だよね?)

 

 自分に言い聞かせるように、心の中で繰り返した。

 

(今日は課の人が皆いるし、いざとなったら神標さんの『雲外鏡』で緊急脱出できる。大丈夫。きっと……大丈夫)

『この娘も気の毒よのう。厄介なやつに目をつけられたものよ』

 しかし、その猛烈に悪い予感はぬぐえず、あかりの心に小さなわだかまりを作った。

 

 

 

 

 

 

 大チャンスだなと思った。

 

 あの病院で「舞」を殺した怪異―七人ミサキは、隣町の怪異課を全滅させるほど強かったらしい。それなら、私―凛が戦いの中で死んでも、別段不自然なことではない。

 

 ちょうど昨日新しい戸籍を用意したし、遺書も作成しておいた。このうえなくタイミングがよろしい。

 

 ミサキを探すためにあかりとともに町はずれを歩きながら、私はほくそ笑んだ。隣にいたあかりはそれを見て、不思議そうに聞いてきた。

 

「何か面白いことでも思い出したの?」

 

「……今日、私の誕生日で15歳になるんです」

 

 15歳の何がいいかというと、遺言が法的に効力をもつようになるのだ。14歳以下でも書置きはいくらでもできるが、私が昨日書いた「あかりに財産を全て譲渡する」というような内容は無効になってしまう。

 

「おめでとう。ちなみに私……凛にプレゼント持ってきてるんだ」

 

 あかりは小さい紙袋をポケットから出し、私に手渡した。

 

「え、覚えててくれたんですか。ありがとうございます。開けてもいいでしょうか」

 

「いいよ」

 

 中身は、銀色のネックレスだった。細かく鎖が編みこまれており、派手さはないがシンプルなデザインである。私はネックレスを身に着け、神標に渡された手鏡で自分の姿を覗き込んだ。

 

「これ、可愛いですね。死ぬまで付けます」

 

「冗談でもそういうこと言わないでよ」

 

「すみません。嬉しくってつい」

 

 ただそれだけに、今日手放すことになるかもしれないのは残念でならない。私はその感触を名残惜しみながらネックレスを撫でた。

 

『♪』

 

 そのとき、スマホにメッセージが届いた。目を通すと、課長が1体、ミサキを捉えたとのことだった。

 

「ということは、後は殺していくだけですね」

 

「そうね」

 

 ミサキがどの個体のもとで復活するとしても、発見と対処を繰り返していけばよい。昨日から今日にかけてミサキたちが目撃されたエリアは大きく分けて7か所に散らばっており、他の場所へ行った様子はない。戦うこと自体はかなり楽にできそうだが——

 

「……罠っぽいなあ」

 

 なぜ散らばったミサキたちはそのエリアから動かないのか。資料で確認したが、「移動型怪異」はイナゴのように常に移動し続けるはずなのだ。このように一点に留まるという動きは、こちらに都合がよすぎる。

 

 この不自然な動きが私たちをおびき寄せる罠だと考えると、つじつまが合うのだ。

 

「あかりさん。一応いつでも神標さんにメッセージを送れるようにした方がいいかもしれません」

 

「そうね。戦ってたらメッセージ打ってる暇ないだろうし」

 

 そんなことを言いながら歩いていると、いつの間にか見覚えのある道にいた。切れかかった街灯がずらっと並び、その向こうにあるのは――あの廃病院。どす黒い瘴気が角の向こうから立ち上っているのが見えた。

 

 あかりもそれに気づいたらしく、少し顔をこわばらせた。

 

 この先にミサキがいる。私を再び殺してくれそうな、ありがたい怪異の顔を思い出して私は笑う。

 

 するとそれを見たあかりはぽつりとつぶやいた。

 

「凛はすごいよね。あの瘴気を見て笑えるって」

 

「何の話ですか?」

 

「私、あれを見てちょっと怖くなった。危なかったら、すぐに逃げ出せるかなって思って」

 

「それは普通のことですよ。それに私が無茶な攻撃ができるのは、あかりさんがいてくれるから、ちゃんと逃げを計算できる人だからというのもあります」

 

「……違うの。凛を置いて逃げちゃうんじゃないかって。それが怖い」

 

 どうも「舞」の死がトラウマになっているらしい。私はあかりの苦しそうな顔に癒されながら、しかし顔は真面目な表情を崩さずに答える。

 

「姉のときは致命傷だったのでしょう。姉もあかりさんまで死ぬのは本意ではなかったはず。あかりさんは間違ったことをしてませんし、今回、私が致命傷を負っても同じようにしてほしいです」

 

 あかりは目を伏せ沈黙していたが、少ししてうなずいた。

 

「分かった。凛も、私がダメそうなら逃げてね」

 

「それは嫌です。あかりさんは絶対見捨てません」

 

「は?」

 

「私は別にいいですけど、あかりさんはダメです」

 

「……それはずるすぎるでしょ」

 

 私とあかりは、目を合わせて吹き出した。私はいいのだ。いくら死んでも次がある。だが、あかりにはない。命の重みが違うのだ。あかりは知るよしもないだろうが。

 

「行きましょうか」

 

 あかりの緊張をほぐしたところで、戦いを始めることにした。

 

 私たちは角を曲がり、立ち上る瘴気の根本を見すえる。病人服を着たミサキが一体、自動販売機にもたれかかっていた。その顔は乾いた木乃伊(ミイラ)のようで、しおれた手には手術用具―ハサミが握られていた。

 

 私が短刀に手をかけると、あかりが手で制し前に出た。

 

「課長が言ってたでしょ。あいつの手に触れるのはやばいって。まず私が戦ってみる」

 

 あかりの前に立ちはだかるミサキはぐるぐると何かを探すように目玉を回していたが、やがてその照準は私たちにぴたりと定まった。

 

「かり、うど」

 

 ひどくしわがれた声を発した。狩人、と言ったのだろうか。

 

「かり……うど、にひキ……そう。そチら……いち。にい。あわせて、ごお」

 

 情報を仲間と共有している。猛烈に嫌な予感がした。

 

「あかりさん。左です!」

 

 突如、傍にあった電柱から瘴気が立ち上った。私の声に驚いたあかりは、反射的に左手の「塗壁」を発動させ―それが間に合った。

 

 くわぁん、と硬い金属同士がぶつかったような音がした。2体目のミサキが、電柱の陰からメスで奇襲してきたのである。

 

「お、鬼火!」

 

「塗壁」に弾かれ、たたらを踏んだ2体目のミサキはあかりの炎に焼き尽くされ、チリとなった。

 

「ありがとう。助かった」

 

「……いえ、まだです」

 

 私は、ミサキのいる方を指さした。2体に増えている。

 

「奇襲してきた方が死んですぐ、そこで復活しました。同時に殺さなければ、延々とここで復活されます」

 

「……じゃあ、二人でかからないと意味ないってことね」

 

「ええ。しかし今のあかりさんの一撃でわかりましたが――」

 

 七人ミサキは、復活するという点を除けばそれほど強くない。

 

 私は『塗壁』の透明な盾を構えるあかりの後ろに隠れ、二人で突撃した。ミサキたちの突き出したハサミとメスはたやすく弾かれ、二体は大きく体勢を崩す。

 

「鬼火」

 

「犬神」

 

 あかりが片方を焼き尽くしたのと同時に、私が後ろから飛び出してもう片方の首を斬り落とした。チリになっていくミサキを見て、私は拍子抜けした。隣の課を全滅させたにしては弱すぎないだろうか。

 

 手に触れられないようにする必要はあるが、攻撃はあかりの「塗壁」で容易に防げるし、何なら回避も簡単だ。復活するという点を除けばあまり脅威になるとは思えない。

 

(流石にこの程度の敵にやられることはないな)

 

 殺される期待が裏切られて欲求不満なので、私は少しあかりのトラウマをいじり、その感情を味わうことにした。

 

「こんなものですか。こんなやつに。こんなやつに……お姉ちゃんは殺されたの?」

 

 私が独り言のように言うと、勝利に安堵していたあかりの表情が翳った。

 

 遠回しにあかりがいたから「姉」が死んだと傷をえぐり、かつ私が悪意で言っているのではないとわかる言い方。あと「姉」ではなく「お姉ちゃん」呼びにしたのがワンポイントである。これは効くだろう。

 

「ごめん」

 

「あ……すみません。責めるつもりはなくて。つい。気持ちが昂っちゃって」

 

 私は、自分の言葉の意味することがやっとわかったというような顔をして、謝罪する。あかりに無用のストレスをかけている点は本当に申し訳ないが、それはそれとしてとても楽しい。

 

「復讐もラクなことに越したことはないですから。むしろありがたいです」

 

 つらそうなあかりに、適当なフォローを入れながら短刀を鞘に納めようとしたとき、私の携帯に着信が入った。発信者は「神標」と表示されている。

 

(なんだろう、作戦変更かな?)

 

 だから私は、特に不審にも思わず電話に出た。

 

「もしもし。御剣です」

 

『はぁい。私メリーさん』

 

 出発前に会った神標とは全く違う少女の声。

 

『今、あなたの後ろにいるの』

 

 私は振り向こうとした。しかしその瞬間、身体が硬い縄でいましめられたかのように動かなくなる。

 

「なっ……」

 

 狼狽していると、声の主は私の前に姿を現した。

 

「はじめまして。あなたたちがこの市の狩人さんたちかしら?」

 

 ゴシック風のドレスに身を包んだブロンドの少女―メリーさんはくすりと笑った。

 

 

 

 

 

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