やっとの思いで地球に帰還したらウマ耳美少女がレースしてる件 作:ウマ娘を宇宙に!
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決裁委員会は全員元地球人です。
沖野トレーナーは天井を見ながら今日までの事を振り返る。
発端はあの日からだ、グラウンドでリギルとスピカで合同練習をやっていた時、いきなり上空に現れた宇宙船の艦隊。そこに理事長が現れ、宇宙人と交信していたゴールドシップに頼み、トレセン学園の上空から移動するように懇願した。
それからと言うものの、宇宙人ら───トリリオンユニオンと言うらしい─は地球の国家と国交を持った、もちろん日本も例外じゃない、トリリオンユニオンの決定権を持った決裁委員会役員と総理大臣の会談は記憶に新しい。あの時の役員の見た目は丸々タコ型火星人でワクワクしたものだ。
正式に国交が持たれると、トリリオンユニオンはすぐに艦隊を派遣してきた、トレセン学園上空に現れた艦隊で全てだと思っていた地球人はビックリ仰天、あの艦隊の二倍の勢力の艦隊を国交を持った各国のカーマンライン近くに派遣してきている。トリリオンユニオンの役員によるとあれですら全体の1%に満たないらしい、宇宙人恐るべし。あれからと言うものの地球は浮き足立っている、ワープ航行や宇宙船、SFの産物だと思われていたのが現実に現れたら誰だってこうなる。
そして今日の問題は────
「宇宙人のトレセン学園視察かぁ…」
トリリオンユニオンにはどうやらウマ娘が居らず、興味を持っているらしい。そこで、今回の視察が計画されたということだ、それは今日のトレーナー会議で発表された。
『発表!!近々、トリリオンユニオンの方々がこのトレセン学園を視察する!模擬レースも開催する予定だ、模擬レースとはいえ宇宙人の方々にお見せする大事なレースだ!皆にはぜひ練習に励んでほしい!』
「こりゃあ一大事だぞ」
「向こうにはウマ娘が居ないみたいらしいし、興味でるのも仕方ないでしょう」
「ウマ娘のいない世界か…想像もつかないな」
人類は今までウマ娘と共に歩んできた。まぁ歴史上いざこざは多少あったがそれでも今は平和を謳歌してる。ウマ娘は本能のままに走り、そして人間はウマ娘のためにトレーナーをやったり手助けをしている、この世はそうやって回ってきた。故にウマ娘がいない世界は想像も付かないのだ。
「そういえばいつ来るんだ?」
「もう向かってきてるらしいわよ、さっき理事長とたづなさんが正門に急いでるのを見たわ」
東条ハナは天井を見ている沖野をみながらそう答える。
「俺たちトレーナーは緊張でガチガチだぞ、レースの時以上かもしれん、ウマ娘の子達はこの事しっているのか?」
「ええ、知らせてないわ。絶対に混乱を招くもの」
でも、見た目ですぐに宇宙人が来たってバレるでしょうね。とハナは漏らす、というもののトリリオンユニオンに居る宇宙人は様々な見た目の知的生命体が居ると日本政府との会談で話していた。よく宇宙物の創作で出てくるグレイのような種族や、地球人がよくイメージしているタコ型火星人のような種族もいれば、腕が四本あり平均身長が2m越えだという種族、機械に自我がやどっている機械生命体、そして一見地球人のように見えるが肌は青く耳がエルフのように尖ってる種族など千差万別だ。中には液体知的生命体というのもいるようだ。
「とりあえずいつも通りトレーニングやるか」
「そうね、宇宙人の人たちとの応対は理事長にまかせましょう」
その頃、トレセン学園の正門では学園の理事長で秋川やよいとその秘書である駿川たづなが緊張した面持ちで立っていた。
「緊張!!数ある学園からここのトレセン学園を初回に選んでもらったのは光栄ッ!だがッ、彼らの目にかなうだろうか!!」
「分かりません…私も緊張で手が震えそうです、でも彼らに認められればウマ娘ちゃん達はもしかしたら宇宙に進出できるかもしれない…」
「激熱!!宇宙を駆けるウマ娘!是非この目に収めたい!」
やよい達が正門で宇宙で駆けるウマ娘について思いを馳せていると、見慣れない黒い車が何台も正門前に止まる。その車は防弾仕様であることが素人目でも分かり、あまり現代日本では見掛けない車だ。
その車から人が降りてくるのが見えた、天井の低い車から窮屈そうに出てくる4つの腕をもつ筋骨隆々一人と触手を使って器用に車から降りるまさにタコ火星人の一人の計二人で来たようだ。
「か、歓迎ッ!私はこの中央トレーニングセンター学園の理事長を務める秋川やよいだッ!そしてこちらは…」
「理事長の秘書を務めています、駿川たづなです」
「おお、わざわざありがとうございます。私、テセラ族の決裁委員会役員No.56のアリオと申します」
「私はテンタ族で決裁委員会役員No.75のモルトと言います、本日はよろしくお願いします」
四腕で屈強な方がアリオ、火星人のような方がモルト………と思った時、まるで純粋な日本人のように話す彼らを見て二人は違和感を覚えた、彼らの使う日本語は変な訛りもなく流暢に日本人のように話している、そう考えていた時二人はテレビで言ったいた事を思い出した、彼らは耳と喉にナノマシンを埋め込まれていて、自動翻訳されるらしい。さすが宇宙由来の技術、魔法と見間違えてしまうようだ。
「ではッ!早速案内する!」
「まずは校舎の中をご覧ください」
「「よろしくお願いします」」
やよいとたづなはアリオとモルトを連れて校舎内に入った。
「ここが」
「随分綺麗ですね…よく掃除されてる」
「ここではウマ娘の皆が勉強する学舎です」
「む?ウマ娘の子達も勉強をするのですか?トレーニングばかりだと…」
「うむ!ウマ娘達がレースから引退しても生きていけるように勉強もやらなくてはならない!そしてここは中高一貫校なので生徒数もかなり多い!約2000人も居るぞ!」
「なんと!かなり多いですな!」
「はいモルトさん、トレセン学園には夢を持った沢山のウマ娘達が入学してきます、その分食費もそれなりになりますが…」
たづなが学園の説明をしていると、チャイムの音がなる。どうやら授業が終わったようだ、教室の中から沢山のウマ娘達が出てくる。
「ははは、皆元気そうです」
「うむ!校舎についての説明は終わったので次は食堂へ案内するッ!」
次に向かったのは食堂、ウマ娘の皆が使うためかなり広く、お昼時であるためにかなり賑やかであった。そこに入って来るのはやよいとたづな、そしてアリオとモルトである。
「ここが食堂であるッ!ウマ娘の皆はその身体能力故に非常に良く食べる!それにトレセン学園は世界中からうまいが集まる、その為ここでは世界中の料理が食べられる」
「食事の量、確かに多いですね…テセラ族と似てる…」
アリオはウマ娘達の食事風景を見ながらそう言った、テセラ族はその巨体故に食事の量も増えるのだ。
「テセラ族は大概大食漢だからな」
「あら、そうなんですね?」
「そうなんですよ、あまりに良く食うからテセラ族専用のサイズがあったりします」
「驚愕!ウマ娘達と似ているのだな!」
「ええ、宇宙は広いですから……もしかしたら宇宙のどこかにウマ娘と同じ種族が居るかもしれませんね」
「是非とも会ってみたいものだ!」
「あ、そうだここって厨房見れますか?どうやって作っているのか興味あります」
「いいですよ、こちらです」
四人は厨房へ歩いてゆく、その姿を食堂に居るウマ娘達は遠巻きに眺めていた。普段見慣れない人物が学園に居る上にそれが宇宙人だから仕方ない。アリオとモルトは「宇宙人だ…」「テレビで見た…」とコソコソ話をしているウマ娘達を横目で見ながら微笑んでいた。可愛い、宇宙の隅々を探してもあそこまで庇護欲が掻き立てられる種族は存在しないだろう。
そして宇宙人共は食堂の厨房を見て驚愕する、なんとウマ娘に提供する料理はおばちゃん達の手作りであったのだ!
「すごいですな…この量を手作りとは…」
「はい、皆良く食べるため、食材も厳選しています。トレセン学園と専属契約している農家などから調達しています」
宇宙人二人は感心する、ブルーマザーでも特定の種族を除き食事は必要であるが何せ兆を軽く超える人数が居るため、ほとんどは料理ロボットがやっているのだ。一応手で作る店もあるがそれはかなり少ない。
元地球人ではあるが長年の宇宙生活に慣れてしまっていた二人は厨房にいるおばちゃん達がものすごい速度で料理している所を見て懐かしむ、もう顔も思い出せない母親が自分のために料理を作ってくれていた景色を。
「そうさ!ウマ娘達は沢山食べるからねぇ、あんた達も食べてくかい!?宇宙人に地球の味は合うか分かんないけどね、アッハッハ!!」
「頂いて良いのですか?」
「もうお昼時ですし、食堂で四人で食べましょう」
「肯定ッ!トレセン学園が誇る料理を是非と堪能してほしい!!」
その言葉にアリオは思わず涎が出そうになる。それを見て、モルトはそれを呆れた目で見る、一応今はちゃんとした査察なのだ。
だがモルトも同じ気持ちであった、何世紀ぶりの地球の飯だろうか、早く食べたくて仕方ない。
「じゃあこのハンバーグ定食って奴を…一番多いのはウマ盛りかな?それでお願いします」
「さすがテセラ族、大食いだな。俺はこのパスタと言う物を小盛で」
二人はメニュー表から料理を選ぶ。
そして受け取り口で料理を受け取った後はやよいとたづなと一緒に4人かけのテーブルに座る。
「「「「いただきます」」」」
宇宙人二人は料理を口に運ぶ。
「「う、うまい!!」」
二人は必死に昼食を掻き込む、その目からは涙が出そうになっていた。
普通に地球で平和に過ごしていたら訳も分からず宇宙人に転生となり、死に物狂いで生きてきた。同じ境遇の者を集めて組織を作ったは良いが、安定するまでは地獄だった。やっと建設した戦艦をすぐに撃沈されたりもした。精神転移技術が確立する前は志半ばで死んでいった元地球人もいた。
それが、地球の料理を食べただけでこんなにも救われる。
「うっ…うう…」
「生きてて良かった…」
この時、食堂に居たウマ娘達はとんでもない物を見た、と後に語る。
普段食堂にあまり来ない理事長とたづなが宇宙人を泣かしていた、と。
「いやあお見苦しい所を…」
「あまりにも美味しすぎて…」
いきなり泣き出した二人に慌てるやよいとたづなだったが、二人がすぐに『宇宙ではゲテモノ料理が多い』とカバーストーリーを立てて誤魔化した。流石の決裁委員会である、まだ地球の人々に我らが元地球人だった事を知られては行けないのだ。
「安堵ッ!昼食が合わなかったとヒヤヒヤしたッ!」
「お口にあって良かったです」
やよいが言った通りに二人はアリオ達が泣き出した時、冷や汗が出た。なにせ相手は地球の技術力をはるかに越え、惑星間どころか銀河間航行ができる者達なのだ。それに比例し、軍事力も強大であり地球の軍隊では歯が立たないなどニュースで流れていた。そんな彼らにもしもの事があれば日本だけでなく世界中が破壊されるかもしれない。それが杞憂だったことにやよいとたづなは安堵する。
尚、地球に派遣されている艦隊の中にはSPM(ship-to-planet missile)が搭載されている艦が居ることは彼女らは知るよしもない。
「さて、昼食も済んだ事ですし、お二方に見てもらいもものがあります」
「「見てもらいたいもの?」」
「うむ!それはウマ娘達のレースだ!ウマ娘と言えばレース、レースと言えばウマ娘!ウマ娘とレースは切っても切れない関係だッ!」
そういって向かったのは学園に併設されているグラウンド、数名のウマ娘達が準備体操をしていた。
「今からここで中距離の模擬レースをする、お二人には是非と見てほしい!!」
ウマ娘達は横に並び一斉にスタートした。
「おおっ、やはり早い!!」
「天然で強化兵並みだ…調査員の言うことは間違いではなかったか」
アリオはウマ娘の速さに歓喜し、モルトはウマ娘を軍事転用した場合の事を考える。がウマ娘をそのまま軍事転用するより普通の種族の強化兵の方がコスパが良いのでその案は決裁委員会の会議でボツになるのだが。
「カーブもすげぇぞ!!」
「あれはかなり脚に負担が掛かるんじゃないか?理事長、ウマ娘は怪我したりするんですか?」
「うむ…ウマ娘の脚は繊細でな…一度怪我してしまうと中々治らず、治っても前までのように走れなくなったりするのだ」
「(俺達の医療技術なら、余裕で完治できるだろう…今後の交渉材料が一つ増えたな)」
そして最後の直線、宇宙人二人は白熱していた。
「頑張れー!!」
「抜かせーーー!!!」
そして彼女らがゴールすると
「「キャーーーー!!!」」
まるで街中でイケメン俳優を見つけた女子高生のように黄色い悲鳴を出す、宇宙人二人。だが今が今後の地球とトリリオンユニオンの関係を左右する大事な査察であることを忘れているのか?
「すごいぞウマ娘!!」
「これはブルーマザーでも流行るぞ…」
そして興奮が冷めぬ様子で正門へ行く一同、そこには迎えに来ている警護車があった。
「今日は本当にありがとうございました」
「ウマ娘の事やトレセン学園の事を知ることができて良かったです」
「うむ、こちらこそ実りある視察だった!」
「またいらしてくださいね」
アリオらはやよい達と握手した後、警護車に乗り込み去って行った。それを見送ったやよいとたづなはガッツポーズをとる。
視察大成功ッ!
とても平和な接触。視察ってこれでええんかね。
テセラ族
4つの腕を持ち、身体はデフォでムキムキな肉体派種族。足の速さは負けるがその他の身体能力はウマ娘と並ぶほどである、強化手術を行えばそれ以上。それ故に白兵戦では負け知らず。
テセラ人は平均身長2m越えである。
テンタ族
タコ型火星人に良く似ている種族。
テセラ族やヒト、ウマ娘よりはかなり貧弱な種族であり、その代わりに手?先がとてつもなく器用、訓練すれば下手な機械よりも正確である。
トリリオンユニオンにはテンタ族の狙撃手が居る。
身長は他種族と比べるとやや低めである。
宇宙船妄想
トリリオンユニオン創立当初開発の軍艦は実弾防御、エネルギー防御どちらかに片寄ってる設定。
前話で紹介したポルックスは実弾防御系、地球はエネルギー兵器を持ってないだろうと推測されたため選出された。
弩級戦艦リギル、弩級戦艦スピカ、弩級戦艦カノープスとか妄想してる