ある日世界中の人々が異種族の姿になったのに俺だけなんの変化もないんだが?   作:ぼんじりA

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二話

 

 

「じゃあ、私C組だから、ここで」

 

僕が所属している2年A組の前につくと、おもむろに天羽さんが口を開いた。 

 

「うん、じゃあね」

 

登校中、緊張しすぎて天羽(あもう)さんに聞きたいことが何一つ聞けなかったことを後悔しつつ、笑顔で手を振った。

 

「あ、そうだ。返事…なんだけど、今日中にしようと思ってるから、放課後この前と同じ場所で」

 

僕の人生で今最も重要なことを今更思い出し天羽さんに告げる。

 

「…うん!また放課後、まってるね」

 

そう言って少し微笑み天羽さんは自分の教室へ向かっていった。

僕は去っていく天羽さんを何の気なしに見ていた。その横顔に若干影が差していたような気がしたが、気のせいだろう。

 

 

ーーーーーー

 

 

「おはよう、裕太(ゆうた)。今日は熱々だったな」

 

自分の席につくと、後ろの席で胡座をかいて座っている男が、悪魔のような笑みを浮かべながら話しかけてきた。

 

「ただ一緒に登校しただけだよ」

 

「本当かよ?盟友の俺様に隠し事が通じると思うなよ、どこまでいった?服従の儀は済ませたか?」

 

彼は阿久津孝介(あくつこうすけ)、小学校からの僕の友人で、ある日を境に悪魔のような姿になってしまった男だ。見た目は劇的に変化したが、内面的には時々中二病的な発言をする以外には特に変りはない。

 

「そんな悪魔的儀式誰がやるかよ。どこまでも行ってないよ、本当にただ一緒に登校しただけ」

 

「んだよつまんねーの。早く付き合っちまえばいいのによ、ようやく来た春だろ?童貞坊やの裕太くんは下半身だけじゃなく頭までも固まっちまってんのか?」

 

お前だって童貞だろうが!とツッコミたくなる所だったが、僕は素直に自分の気持ちを言葉にした。

 

「自分でもどうしたらいいか分かんないんだよ」

 

放課後に返事を出す…と天羽さんには言ったものの、まだ自分の中で結論を出せないでいた。正直言うとあんな美少女と付き合えるものなら付き合いたいが……。

 

僕はまだ天羽さんの事をよく知らない。

よく知らないのに付き合うのは、外見だけで判断してるようでなんとなく抵抗がある。

 

知ってからでも告白の返事は遅くないかもしれないけど、これ以上天羽さんを待たせるのは勇気を持って告白してくれたであろう彼女に対して失礼な気がしていた。

 

これ以上待たせられないからこそ、今朝彼女には聞かなきゃいけないことが沢山あったのだが…。ガチガチに緊張して上手く喋れなかった自分を今更ながら恥ずかしく思う。

 

「おはよ〜裕太に阿久津くん」

 

「あ、おはよう、鈴木」

 

そんな思案に耽っていると、隣の席の鈴木千春(すずきちはる)が今登校し席についた。

彼女は中学からの僕の同級生であり、黒髪ロングのポニーテール姿の美少女だ。

胸もなかなかにデカい…。いやいや!友達である彼女にたいしてそんな邪なことを考えるなんて!と頭を軽く振り余計な考えを飛ばす。

 

彼女もまたある日を境に外見が変化しており、翡翠色の両の瞳は今はパッチリ二重の一つ目に統一されてしまった。

一つ目小僧の美少女バージョンと言ったら想像がつきやすいだろうか。

 

ちなみに僕は中学時代、鈴木に告白してフラれた過去がある。それでも以前と変わらず友達として接してくれている彼女には感謝しかない。

 

「なんの話してたの?」

 

「こいつがよ、噂の猫耳の美少女と一緒に登校してきたんだよ。今それをからかってたとこだ」

 

鈴木に対し未練が全くないとは言い切れない僕は、彼女にその話を聞かれるのが少し抵抗があった。

 

「オイ孝介」

 

「あ…そうなんだ……」

 

一瞬鈴木の大きな瞳からハイライトがなくなったような気がした。

 

「…良かったじゃん!ようやく裕太にも春がきたんだね!」

 

気のせいか、鈴木はそうやってすぐに僕を激励してきた。

鈴木からの良かったじゃん!という何気ない一言にちょっぴりショックを受けながら

「ありがとう…」と僕は力無く返した。

 

 

「…………」

 

「私の方が……」

 

 

「?…何か言った?」

 

鈴木が何かボソリと呟いた気がしたので素直に聞き返してみる。

 

「う、ううん!なんでも、それよりさ昨日のニュース見た?」

 

本当になんでもなかったように、鈴木は別の話題を持ち出したので僕もそれ以上は聞かないことにした。何か言おうとして言葉が詰まるのはよくあることだ。

 

退屈な授業が始まるまで、いつも通りの時間、3人で談笑して過ごす。

放課後に控える一大イベントに対しての不安な気持ちが少しだけ紛れた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「私の方が…先に…」

 

先に…好きになったのに………

 

 

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