「オラァッ!セェッ!」
いきなり一誠に襲い掛かってきた2人組の
連続で繰り出される蹴りの嵐、重く芯まで響く拳打をくらい続ける一誠
緑の
「ゲホッ、ゲホッ!」
「イッセー!」
「イッセーくん!」
リアスは滅びの魔力を飛ばし、祐斗は神速で駆け出す
それに気付いた褐色の
「邪魔だァッ!」
緑の
蹴り足から半月状の斬撃が放たれ、紙一重で
「木場ッ!イリナ、私達も加勢するぞ!」
「了解よ、ゼノヴィア!」
「おっと、てめぇらもぶっ飛びなッ!」
褐色の
ゼノヴィアとイリナは咄嗟に得物を横に構えて防ごうとするが、物量の多さと威力の強さに押し負けてしまう
リアス、朱乃、ロスヴァイセも防御障壁を展開したものの……連続波動に破壊され吹っ飛ばされた挙げ句、木々に叩き付けられた
「ぶ、部長……!皆ぁ……!」
次々と仲間がやられるのを見てしまった一誠は悔しさで拳を打ち付け、気力で立ち上がろうとする
だが……褐色の
裏拳や肘も使って一誠をタコ殴り、更にはロシアンフック
脳を揺さぶられ、ふらついた所に緑の
左右の蹴りで一誠を痛め付け、首を掴んでの膝蹴り
そして一旦突き放してからダッシュの飛び蹴りで木に叩き付けた
2人の猛攻に一誠はダウン寸前
しかし、
「「死ね、兵藤ォ」」
バチバチと
その瞳からは涙が頬を伝い、流れ落ちる
「ア、アーシア……!よせ……逃げろ……ッ!」
「お願いです……っ。もう、やめてください……!これ以上、イッセーさんと皆さんに……酷い事をしないでください……っ」
両手を広げ、必死に懇願するアーシア
2人の
その直後、緑の
「兵藤、お前は良いよなぁ。お前なんかの為に泣く奴がいて。……俺達は涙もとっくに
そう言って直ぐに鎧が解除され、元の姿に戻る黒髪の男
続くように褐色の
「兄貴。この女、相当なお人好しみたいだぜ。俺達の人生を狂わせたクズ野郎を庇ってやがる」
「おめでたい女だ……。哀れで情けない」
2人は一誠を庇うアーシアを侮蔑の視線で罵る
興を削がれたのか、彼らは
「待ちなさい!あなた達はいったい何者?どうしてそこまでイッセーに敵意を向けているの?」
傷だらけで起きたリアスが訊くと、2人はゆっくりと振り返り――――自分達の名を明かす
「俺達は地獄から来た兄弟……
「同じく
黒髪の男は幽神正義、茶髪の男は幽神悪堵と名前が判明し――――正義は最後にこう言い残した
「俺達兄弟はその男――――兵藤一誠を含めた3人のクズに人生を狂わされ、地獄を見てきた。その復讐の為に地獄から舞い戻ってきたんだよ……」
「兵藤、必ずお前らを地獄に叩き落としてやる。俺達が見てきた地獄以上の地獄にな……」
幽神兄弟は憎しみの言葉を残して神社を立ち去る
圧倒的な実力と一誠に対する異常な敵意を見せつけた地獄の兄弟……
「幽神……兄弟……?何処かで聞いたよう……な……」
何故自分にあれ程の敵意と殺意を向けているのか?
奴らの人生を狂わせたとはどういう事なのか?
いろいろ模索するが全身の痛みで思考が追い付かず、途中で意識を失う一誠だった……
――――――――――――
「………………何なんだ、ここは……?」
一方、こちらは謎の転移魔方陣に呑み込まれてしまった新
転移された先は今までに見た事の無い場所だった……
青々とした空、多い繁った木々の隙間から見える果てしなく広大な平地
遥か遠くに
おとぎ話にありそうな神秘的な光景に開いた口が塞がらない
「こんな景色の良い国がまだあったのか……。つーか、何処の国だ?」
側にあったバイクに
『こんな国があるなら、もっと早く見つけておけば良かったな』と緩く歯噛みしたその時――――遠くの方から爆発らしき轟音が聞こえてくる
音を聞いた新は直ぐに目を細め、フルスピードで現場に向かった
走らせること十数分、音の現場付近に到着した新は異様な光景を目にする
見覚えのある黒い異形の集団が民兵らしき者達を次々と倒し、その先にある城や砦に侵攻しようとしていた
黒い異形の正体は――――新が見た
これだけでも異様な光景だが、不可解な現象がその戦場で起こっていた……
民兵全員に獣らしき耳や尻尾が生えていたり、吹き飛ばされた者が煙に包まれた直後――――丸っこい動物の姿に変わって目を回したりしている
『……何処のファンタジーだよ……』と新は処理が追い付かず、怪しさ満載の光景を見つめ続けていると――――奮闘を続ける人影を見つけた
「くそっ!こいつらいったい何匹いるんだ!?やたらと強い上にどんどん数が増え続けている!」
「魔物――――にしては雰囲気が
「お喋りは後だ、勇者!一刻も早くこいつらを蹴散らして姫様の城に向かうぞ!」
勝ち気な口調で怒鳴るのは若草色の髪に垂れた耳、双剣を武器に立ち回る少女
背中合わせにいるのは金髪に青いハチマキとマント、棒を構えた少年
「
「
金髪の少年は手から特大の炎を、垂れ耳の少女は双剣から十字型の斬撃を飛ばす
両者の攻撃は
これで少しは状況を打開出来ただろうと思っていた2人だが……
中にはケラケラと嘲笑う個体もいる
少し出血した程度の傷具合で致命傷に至らず、金髪の少年と垂れ耳の少女は愕然とする……
「……まともにくらった筈なのに1匹も倒せていないだと……っ」
「さ、さすがにちょっとショック……。――――あ!でも見てよ、エクレ!1匹は倒せたみたい!」
金髪の少年が指を差した方向には、全身に亀裂が生じてブルブルと震えている
エクレと呼ばれた双剣の少女は溜め息をつく
「このアホ勇者、1匹だけ倒しても仕方無いだろう……」
溜め息混じりにそう言っていると――――2人が魔物と勘違いしている
全身に隈無く亀裂が走った直後、外殻がボロボロと崩れ落ち――――青と赤が入り交じった蜘蛛の様な姿へと変貌を遂げた
その変貌ぶりに2人は目玉が飛び出しそうなくらい驚愕する
「な……何か姿が変わっちゃったんだけど……!?ナニコレ!?」
「私が知るか!この魔物どもの性質が理解出来ん!」
激しく狼狽する中、蜘蛛
ただでさえピンチの状況が更に悪化の一途を辿る
そんな時、遠くの方角から砲撃音が響き――――
爆発と爆煙に包まれる
少年と少女が砲撃の飛んできた方角を見てみると――――そこにはたくさんの砲台と民兵が並び、ダチョウに似た大型の鳥類に乗る獣耳少女がそれらを指揮していた
遠目で見た新は『あれは○ョコボか!?』とツッコミを入れる
「勇者さま~!エクレ~!リコッタ・エルマール、ただ今救援に駆けつけたであります~!」
「ありがとう、リコ!」
「救援か!助かる!」
2人の喜びの声にピコピコと獣耳を動かす小柄な少女――――リコッタ・エルマール(通称リコ)は持っている銃を構え、民兵達も砲台を
再び砲撃が放たれ、
糸は捕まえた
捨て石に利用された2匹の
爆煙が晴れ、中から変わり身を使った蜘蛛の
「あの魔物、なんて奴だ……っ。自分の仲間を盾に……!」
若草色の髪を持つ少女――――エクレが
そんな事知るかとばかりに蜘蛛
次の瞬間、手首の穴から無数の塊が弾丸の如く放出され――――砲撃手達はその塊をくらってしまう
直撃を受けた民兵達は全員丸っこい動物と化し、リコと呼ばれる少女も被弾した○ョコボもどきから振り落とされた
派手に尻から地面に叩き付けられ、リコは涙目で自分の尻を
「はうぅ……痛いでありますぅ……」
リコが痛がるのも束の間……先程と同じ糸が空を泳ぎ、リコの華奢な体を捕らえる
空気を切るような音と共にリコは引っ張られていき、糸を発した蜘蛛
「グシュルルルルルル……ッ」
不気味な唸り声を発した後、蜘蛛
ここまで来ればこの
そう………蜘蛛
「リコ!リコォッ!」
「えぇい!邪魔だ貴様ら!
勇者と呼ばれる金髪少年とエクレは助けに向かおうとするが、
何度打ちのめそうが直ぐに起き上がり、2人の邪魔を続ける
その間にも蜘蛛
「はひぃぃぃぃぃっ!じ、自分は美味しくないでありますぅぅぅぅぅっ!」
補食の恐怖に泣き叫ぶリコ
不意打ちに反応出来なかった蜘蛛
その正体は言うまでもなく――――バイクに乗った新だった
「よっ、もう大丈夫だ。目を開けろ」
「………………ほぇ……?」
「あれ?何だろう、あの人……」
「何なんだ、次から次へと……!しかも、あの妙なセルクルは何だ!?」
状況を全く理解出来ていない3人を他所に、新は一旦リコを下ろしてからバイクを降りる
彼の視線の先には――――補食を阻害され激昂する蜘蛛
「ここが何処だろうが、どうなってんのか分からねぇが……女を泣かすテメェらを放っておく訳にはいかねぇよな」
怒気を帯びた言葉を発する新は全身のオーラを高め、『
新の変貌ぶりに3人は仰天する
蜘蛛
新は籠手から
それに気付いた新は刀身に赤いオーラを注ぎ込み、自分に向かってくる砲台を1つ残らず両断した
最後の1つを2つの塊に分断した刹那、蜘蛛
砲台を投げつけたのはフェイク、その隙に至近距離でトドメを刺すつもりなのだろう
「甘いな」
直ぐに目論見を察知した新は振り下ろした剣を逆手に持ち替え、カウンターの要領で蜘蛛
傷口から鮮血が噴き出し、蜘蛛
新は再び剣の刀身に赤い魔力を
腹から頭部を裂かれた蜘蛛
「そろそろ終わりにするか。そこの3人、伏せてろ!」
仕上げを宣告した新は赤い刀身からオーラを解き放ち、巨大な刀身を作り上げる
新は金髪の少年、エクレ、リコに避難警告を出して剣を振り抜いた
言葉の意図を悟ったエクレは「2人とも伏せろっ!」と身を屈め、残った2人も頭を低くして地に伏せる
一方、新が振り抜いた剣は周りにいた
巨大な刀身が元に戻り、新が爪で刀身を
「す、凄い……。あれだけたくさんいた魔物を一瞬で……」
顔を上げて驚嘆の言葉を漏らす金髪少年
エクレは訝しげに目を細め、リコはポカ~ンと口を開けていた
一仕事を終え、コキコキと首を鳴らす新は兜のみを解除して深呼吸する
「すぅ~……はぁ~。終わった終わった。で、大丈夫かお前ら?」
とりあえず目の前の危機を脱した3人はコクリと頷き、新は残党がいないか確認する様に辺りを見渡す
そこへエクレが歩み寄っていく
「貴様、いったい何者だ?何処から来た?この妙なセルクルは何だ?」
「初対面の奴にいきなり質問攻めかよ。つーか、聞きたい事があるのはこっちも同じだし……名前聞きたきゃ、まず自分から名乗るのが礼儀ってもんじゃねぇのか?」
男勝りな口調で問い詰めてくるエクレに反撃する新
エクレはグヌヌと顔をしかめるが、そうしなければ話を進められないと思い、自己紹介を始めた
「私はビスコッティ騎士団親衛隊隊長エクレール・マルティノッジだ」
「僕はシンク・イズミ。地球からやって来ました。あと、勇者してます」
「ビスコッティ国立研究学院主席兼砲術士、リコッタ・エルマールであります」
他の2人――――シンクとリコも自己紹介を終えるが、聞いた事の無い単語のオンパレードに新は首を
『ビ、ビスコッティ騎士団?聞いた事ねぇな……。それに地球からやって来た?何言ってんだ
「こちらは名乗ってやったぞ。だから、貴様も名乗れ」
「
新は至って率直な疑問をぶつけてみたが、エクレは“何を言ってるんだ、こいつは?”と言う感じでシンクやリコと顔を見合わせる
エクレはとりあえずその質問に答える事にした
「ここはフロニャルド大陸南部に位置するビスコッティ共和国のフィリアンノ領だが」
「ふ、ふろにゃるど……?フィリアンノ……?」
また聞いた事の無い地名に疑問符が出現し続ける
すると、ここで金髪の勇者――――シンクが話し掛けてきた
「あの~、もしかしてアラタさんって――――僕と同じ様に地球からやって来たんですか?」
「は?意味分かんねぇ、ここ自体地球上のどっかの国じゃねぇの?」
「いえ、ここ……異世界なんです」
「異世界……?いせかい……イセカイ……異・世・界……?」
壊れたラジオの如く“異世界”と言う単語を繰り返し、ようやく1つの結論に至れた
「おい、まさかとは思うが……俺、地球とは全く別の世界に来ちまったのか……?」
「はい……そうなります……」
「そうなるだろう」
「そうであります」
シンク、エクレ、リコが揃って出した返答に新は額に手を当ててふらつき……蒼天の下で力の限り叫んだ
「嘘だろぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」
次回は再び地獄兄弟との話です