ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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今回は少し短めです


脱出作戦開始!

ホテル内、ルフェイの結界に覆われた階層―――その廊下の一角に新と一誠が立っていた

 

横には猫耳モードの小猫が瞑目状態で正座している

 

その近くの部屋にはルフェイとイリナ、ゼノヴィアの姿があり、脱出用魔法陣の準備中だった

 

扉も開けっ放しの状態

 

その部屋の窓際には他の作戦メンバーが待機していた

 

未だ体力の戻らない黒歌と呪いが解呪出来ていないヴァーリもいる

 

窓から駐車場の様子が1番広く見下ろせる部屋に集まったのは良いが、階層を囲む結界も長くは保たない

 

既に非常階段の所では死神が結界を壊しており、各部屋の窓辺にも死神が集結している

 

どちらにしろ、打って出なければどうしようもない

 

新と一誠は素早く鎧を展開し、後はルフェイの魔法陣が完成次第―――作戦開始となる

 

瞑目状態で“とある物”を探っていた小猫が立ち上がり、天井の一角と床の一点を指し示した

 

「……先輩、そことそこです」

 

「了解」

 

頷く新

 

それを確認すると小猫は部屋に入っていこうとするが、新は小猫の手を引いた

 

先程は黒歌の部屋から飛び出していったが、追い掛けていったレイヴェルと口喧嘩したのか、その後多少スッキリした様子で帰ってきたのだ

 

「小猫、確かに黒歌は悪い奴だ。仙術に魅入られて力を求めているのも分かる。テロリストに身を置いているあいつが善良なわけがない。―――だが」

 

新は黒歌の方に視線を向ける

 

「あいつはやっぱり……小猫の姉なんだよ。野良猫でイタズラ好きで悪い女だが……小猫の肉親である事に変わりはない」

 

「……姉さまのせいで私はツラい目に遭いました」

 

どんな理由であれ、主を殺して「はぐれ悪魔」と化した者に対して悪魔の世界は厳しい

 

それはその家族にも及ぶ

 

小猫は「はぐれ」となった姉の罪を一身に浴びて心を壊しそうになった……

 

ツラくないわけがない……

 

「……姉さまを恨んでいます。……嫌いです。―――でも、私をさっき助けてくれました」

 

小猫が強い眼差しで新に言う

 

「今だけは信じようと思います。少なくともここを抜け出るまでは」

 

予想だにしていなかった小猫の一言に新は「そうか」と軽く笑んだ

 

新が励ますまでもなく、小猫は強くなっていた

 

自分で答えを出す程に……

 

「それで充分だ。もし、これからも黒歌に何か変な事されそうになったら俺に言えよ。1発懲らしめてやるから」

 

そう言って小猫の頭を撫でると、小猫が新に抱きつく

 

「……先輩のお陰で強くなれたんです。先輩のお陰でギャーくんも強くなれた。だから、私も強くなろうと思って……」

 

「なれるに決まってんだろ。俺や一誠でも強くなれたんだ。お前なら直ぐだ」

 

「……大好きです、先輩……。部長が先にいても、朱乃さんが先にいても、必ず追いかけていきます……。だから―――」

 

小猫は真っ直ぐに新を見上げて言った

 

「おっきくなったら、お嫁さんにしてください」

 

「「「「「「えっ⁉そこで逆プロポーズしちゃうの⁉」」」」」」

 

小猫のプロポーズにリアス、アーシア、朱乃、ゼノヴィア、イリナ、レイヴェルが仰天していた

 

新は心中で『あいつら聞き耳立ててたんかい!』とツッコミ、隣では一誠が「羨ましいぞコンチクショウ!」と地団駄を踏んでいた

 

勿論、新は小猫の好意は知っているので迷う事も困惑する事もなかった

 

「ああ、黒歌に負けないぐらいの良い女になれ」

 

さすがは女たらしでスケコマシの新(笑)

 

ストレートに自分の意思を伝えた結果、小猫も強く頷いてくれた

 

「……はい。待っててくださいね、先輩。先輩のお嫁さんになる為、牛乳たくさん飲みます。姉さまに負けないお乳になってみせます」

 

「……そこから始めるのか。うん、頑張れ」

 

「―――術式、組み終わりました」

 

逆プロポーズ劇が終わった直後にルフェイが転移魔法陣の完成を告げる

 

ルフェイ、イリナ、ゼノヴィアの足下に円形の光が走り、魔法陣が展開していく

 

小猫も窓際に移動し、遂に作戦が開始される

 

リアスに視線を向けると―――彼女も頷く

 

作戦開始の合図だ

 

新は魔焔版(まえんばん)の『女王(クイーン)』に昇格し、一誠もトリアイナ版の『僧侶(ビショップ)』に昇格

 

新は左手の盾に炎の球体を生み出し、一誠は両肩に形成したキャノンの砲口を下に向ける

 

小猫が仙術で屋上と2階ホールにいる死神の気配を察して、位置を把握―――指を示した場所にそれぞれ構える

 

「一誠、準備は良いか?」

 

「そっちこそ!」

 

「よし、行くぞ!」

 

新達の作戦―――それは新と一誠による同時砲撃

 

結界装置があるのは屋上と2階ホール会場、そして駐車場の計3ヶ所

 

それぞれ屋上とホールにチームを分けて装置を破壊➡駐車場に合流すると言う作戦は時間がかかる上、相手にも手の内が読まれるだろう

 

そこで編み出したのは―――それらを作戦開始と同時に破壊すると言う電光石火の戦法だった

 

死神が大量にいる位置目掛けて砲撃を遠し、死神ごと装置を破壊してしまおうと言う作戦だ

 

「当てるべくは結界装置と周囲にいる死神。一気にぶっ壊していくぞッ!」

 

「おうっ!」

 

新は天井、一誠は床に砲撃準備を整える

 

範囲は広げず、貫通力を高めた一点突破の砲撃を―――

 

「ブレイジング・シュートォォォォォオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 

「ドラゴンブラスタァァァァァァッ!」

 

ズオオオォォォォォォォオオオオッ!

 

膨大な炎とオーラが天井と床にへ一直線に発射され、両者の砲撃がホテルを大きく揺らした

 

天井と床に大きな穴が生まれ、瞑目していたルフェイが告げる

 

「屋上とホールに設置されていた結界装置が破壊されました!周囲にいた死神の方々ごとです!これで残るは駐車場の1つだけ!―――転移の準備も完全に整いました!」

 

その刹那、転移魔法陣も輝きを増してルフェイ達を光が包み込む

 

「ゼノヴィア!イリナ!頼むぞ!」

 

「新、死ぬなよ!」

 

「必ずこの事を天界と魔王さまに伝えてくるから!」

 

ルフェイ達が疑似空間から消え、脱出の方は成功した

 

「よし!これで後はあいつらをぶっ倒して装置も破壊すれば(しま)いだ!行くぞ、お前らっ!」

 

アザゼルが光の槍を横薙ぎして部屋の窓を破壊し、前衛のアザゼル、リアス、祐斗、朱乃が翼を広げて割れた窓から外に飛び出していく

 

その先には死神が群がる駐車場

 

鎌を持った死神の群れが空へ飛び出し、アザゼル達と空中戦を開始した

 

ルフェイ達が転移した事は既にこの空間を作った主―――ゲオルクも認識したのだろう、結界が強固なものへとなった

 

しかし、それも駐車場の結界装置を破壊すれば終わる

 

窓際に残ったのは後衛の黒歌、ヴァーリ、オーフィス、アーシア、ダイアン、『初代クイーン』マヤ、そして黒歌をサポートする為の小猫とレイヴェル

 

黒歌は魔力で堅牢な防御壁を生み出し、それで部屋ごと後衛メンバーを守る

 

ルフェイの様に階層ごと結界で覆うのは今の黒歌には無理だが、一室ぐらいなら守れるようだ

 

部屋の周りには死神が近付いているが、部屋を覆う結界の破壊に時間が掛かると判断したのか、ホテルを飛び出してアザゼル達の方に向かっていった

 

「皆さんのお怪我は私が治します!」

 

アーシアはこの部屋でダメージを受けた仲間に向けて回復のオーラを飛ばす係だ

 

彼女も成長しており、オーラで弓矢の形を作り出し、回復のオーラを矢として放てる程になっていた

 

命中精度も高く、仮に敵に回復のオーラが当たりそうになっても―――仲間以外に命中しそうになると自動で霧散するように作り出したそうだ

 

アーシアの回復能力は敵味方問わず効力を発揮するので、その補足イメージは重要であり、彼女はその手の才能に(ひい)でていた

 

未だ本調子ではない黒歌の体を支える小猫とレイヴェル

 

2人で黒歌の体を支えていた

 

「あら、白音。……助けてくれるの?」

 

「……私を助けてくれた借りを返すだけです。防御の魔法陣に集中してください。仙術でフォローしますから」

 

「そっちのお嬢ちゃんはどうしてにゃん?」

 

黒歌に訊かれるレイヴェルは途端に顔を赤らめてツンツンする

 

「な、何となくですわ!ありがたいと思いなさいな!」

 

黒歌はそれを聞いてにんまりと笑っていた

 

「そ。じゃあ、お言葉に甘えちゃう。……白音、今度仙術だけじゃなくて猫又流の妖術とかを教えてあげちゃおうか?……嫌なら良いけどねん」

 

黒歌が冗談半分にそう言うが、小猫は真剣な面持ちで頷いていた

 

「……いえ、教えてください。私も仲間を支える為に強くなりたいです。姉さまに頼ってでも前に進まないと―――」

 

小猫も前に進み出している

 

黒歌との和解とまではいかなくても、小猫の成長に繋がっていく

 

一方、同じく後衛であるヴァーリの方は―――

 

禁手(バランス・ブレイカー)でなくとも―――」

 

ドゥッ!

 

手から巨大な魔力の弾を撃ち出し、宙を飛んでいた死神を数体(ほふ)

 

呪いを受けていてもヴァーリは魔力での攻撃を繰り返し、死神達を四散させていく

 

「『牙流転生(がりゅうてんせい)』ッ!」

 

ヴァーリと同じく後衛のダイアンも居合いの構えから魔力で形成された刀身を幾重にも飛ばし、死神を貫く

 

「我も」

 

オーフィスも後衛からのサポートに入る

 

この中でも最強の攻撃力を持つオーフィスがいれば脱出作戦もスムーズになる筈―――

 

オーフィスが手元を光らせた瞬間、けたたましい爆音と破壊が駐車場で巻き起こり、死神の群れだけじゃなくリアス達まで巻き込まれた

 

煙の中から何とかリアス、祐斗、朱乃が現れて無事を確認

 

バカげた威力に一誠が文句を言おうと思ったが、オーフィスは首を傾げて自分の手を見ていた

 

「……おかしい。加減、難しい」

 

なんと今の一撃は未調整で放ったらしい……

 

巻き添え必至の攻撃をされては安心出来ず、前衛にしても力が不安定過ぎて何が起こるか分からない

 

今のオーフィスは不安要素の塊だった……

 

アザゼルが翼を羽ばたかせて窓際に飛んできた

 

「おい、オーフィス!お前は戦わなくて良い!その様子じゃサマエルの影響で一時的に力が上手くコントロール出来なくなっているんだろうさ!見学してろ!お前がここで不安定に力を振るえば敵味方問わず全滅だ!俺達で活路を切り開く!」

 

アザゼルはそれだけ告げると再び戦場に戻っていき、オーフィスも頷いてその場に座り込む

 

力が不安定である以上、仕方無いだろう

 

窓際に立つ新と一誠が再び砲撃の準備を始めようとした時、2人の背中をチョンチョンとつつく者が……

 

2人が振り向くと、そこには『初代クイーン』マヤが立っていた

 

「ではではっ、私も見てるだけじゃつまらないのでお手伝いします」

 

突然のサポート発言に一抹の不安を抱える新と一誠だが……相手の死神の数が多い為、彼女の申し出を受ける事にした

 

『初代クイーン』マヤは窓際に立つと両手を広げ、足下から闇のオーラを展開

 

『初代キング』のドス黒い闇と違って彼女の出した闇は―――夜空に輝く星々の様な(きら)めきが混ざっていた

 

その美しさに思わず見惚れていると、『初代クイーン』マヤに変化が訪れる

 

彼女の着ている衣服が粒子状に霧散し、一糸纏わぬ姿となる

 

そして粒子が『初代クイーン』の体に再びまとわりつき、先程とは別の衣服を形成した

 

無数の羽がまとわりついた様な露出の多い衣服

 

変化を終えた『初代クイーン』はクルリと振り返った

 

「ふっふ~ん♪どうですか、これが私の戦闘態勢ですっ。今から死神さん達を闇に代わってお仕置きしちゃいますよっ♪」

 

何処かで見た事ある様な決めポーズをする『初代クイーン』に対し、新と一誠が目を合わせて話し合う

 

『何かこの人、ノリがセラフォルーさまと似てるよな……』

 

『ああ、すっげぇドヤ顔してる』

 

『…………それにしても、良い物を見れたなぁ!「初代クイーン」の小振りおっぱい!小さいのに自信満々にしてる素振りもたまらん!こんな極限状態の中に一握りの癒し!まさに砂漠の中のオアシスだっ!』

 

一誠が卑猥な話をしていると新の背後に小猫が忍び寄り―――チョークスリーパーを極められた

 

「ぐっ、がぎがががが……ッ!なんで俺……っ⁉オチル……!死神を落とす前にオレガオチル……ッ!」

 

「……先輩、その人のお乳を見ましたね?……まだ私の方が勝ってます」

 

「今その問題を追及してる場合じゃないだろ……っ⁉イッセイ、アトデブチコロス……ッ!」

 

新が怨嗟にまみれた目を向けると一誠は急いで安全圏に避難

 

『初代クイーン』マヤはクスクスと微笑み、死神の群れに手を向けた

 

すると……彼女の手の周りに無数の球体が出現し、ゆっくりと空へ飛んでいく

 

散開した球体は徐々に肥大化し、それに(ともな)って闇のオーラの濃度が増していく

 

「いきますよ~っ、えいっ♪」

 

『初代クイーン』がビシッと指を死神の群れに向けた刹那、球体から帯状のオーラが幾重にも放射され、死神達を一気に撃ち抜いていった

 

“綺麗な薔薇にはトゲがある”

 

まさにそんな言葉を脳裏に(よぎ)らせる光景だった……

 

死神を大規模に(ほふ)った『初代クイーン』は新達の方を向いて―――笑顔でVサイン

 

「どうですか、これが私の実力ですっ。えっへんっ」

 

『……人って見掛けによらないんだな……』

 

『まあ、闇人(やみびと)の「初代クイーン」だもんな……。とりあえず俺達も戦線復帰するぞ』

 

新と一誠は再び砲撃の準備を開始

 

今度は威力を抑えず、駐車場ごと結界装置を破壊する質量で放つ

 

「ブレイジング・シュートォォォォォオオオオオオオオオオオオオオッ!」

 

「ドラゴンブラスタァァァァァァッ!」

 

両者の赤い砲撃が駐車場を大きく包み込んでいった―――

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