ハイスクールD×D ~闇皇の蝙蝠~   作: サドマヨ2世

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クライマックス前哨戦、曹操とのリターンマッチです!


リターンマッチ!赤龍帝&闇皇VS天輪聖王

新と一誠、両者の変化を確認した曹操は輪後光と7つの球体を出現させる

 

相変わらず静かで不気味な禁手化(バランス・ブレイク)

 

間合いを取り、三者三様に睨み合った後―――その場を駆け出していった

 

象宝(ハッティラタナ)

 

曹操は足下に球体を置くと宙に飛び出した

 

新と一誠も翼を広げて曹操を追う

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)‼』

 

高層ビルが建ち並ぶ空中で一誠はドラゴンショットを繰り出した

 

巨大な一撃を見舞うが、曹操は球体の1つを近付けさせる

 

球体の前方に渦が発生し、ドラゴンショットを吸い込む

 

攻撃を受け流す七宝―――そうなると、今度は何処かから攻撃が吐き出される

 

警戒していると―――2人の真下から渦が発生してドラゴンショットが返ってくる

 

新は取り出した剣に火竜のオーラを流し、迫り来るドラゴンショットを両断した

 

何とかやり過ごしたのも束の間、今度は聖槍から生み出された聖なる波動が飛んでくる

 

新と一誠はそれを避けて、もう一度魔力を放つ

 

新は火竜を、一誠は散弾式のドラゴンショットを撃ち出す

 

居士宝(ガハパティラタナ)!」

 

曹操が球体の1つを前方に移動させると、それが弾けて光り輝く人型の存在が複数出現する

 

自分の分身を多く生み出す七宝だ

 

それらは散弾式のドラゴンショットと火竜を受けて消滅していく

 

分身を盾代わりにしたようだ

 

今の攻防に紛れて曹操の姿が消えており、気配を探っていると横合いから聖槍が伸びてくる

 

新と一誠は何とか避けるが、多少掠めてしまう

 

「てめえ!木場と同じ能力使いやがって!しかもお前がバカにした木場の能力とお前の能力、あんま差が無いように思えるぜ?そっちのもまだお前の技術とか反映できてないじゃないか!よくそれであいつをバカに出来たもんだな!」

 

一誠の指摘に曹操は笑う

 

「ハハハハ、そうかもしれないな。でも言っただろう?まだ調整が必要な能力で未完成だと。だからこそ、あの時木場祐斗の能力に興味を抱いたのさ。まだ俺と同様の仕上がり具合だったから直ぐに興味が薄れたけどね!それに俺のは木場祐斗のと少し仕様が違う。まあ、それは今後次第かな」

 

「つまり、調整が進めば厄介になるって事か」

 

「ったくよ、アザゼル先生に勝ったお前の相手はキツいったらありゃしねぇ!」

 

「アザゼル総督か。確かにこの間の戦闘では制させてもらったが、次にやったら恐らく易々とは勝てないだろうね」

 

「?何でだ?」

 

「あの総督を舐めるなんて事は出来やしない。ああいう研究者気質(かたぎ)の戦士は次に戦う時に徹底的にこちらを研究してくる。俺のように強者の重い一撃を食らえばアウトなタイプはあの手の手合いとの戦いが1番怖い。だからこそ、1度めで総督の力量の知り、2度めで倒せた。―――3度めはこちらが危険だ」

 

確かに曹操の言う通り、アザゼルが黙ってやられ続けるわけがない

 

もし次に曹操と戦えば、接戦になりそうだ

 

曹操は槍をくるくると回した後に構える

 

「さて、戦闘再開だ」

 

再び曹操の姿が消えたり、現れたりする

 

町中での空中戦の為、下にまで気を回さなければならない

 

神出鬼没な出現の仕方に2人の神経が磨り減る

 

―――これは相手を任意の場所に転移させる七宝の能力を応用しているのだろう

 

相手だけじゃなく、自分にも使用できる

 

七宝の球体はどれも同じ形と大きさなので、仕掛けてくるまで能力の把握が極めて難しい

 

曹操の七宝の多様性は群を抜いている……

 

ただでさえ聖槍の攻撃を警戒しなければならないのに、七宝の能力も加わって対処が厳しくなっている

 

フェニックスの涙も持っている以上、長期戦は不利だろう……

 

『……けど、こいつに勝てる要素ならある。攻撃が当たれば勝てるってのもそうだが、あの次元の狭間で対応策を考えてきたんだ。それさえ決まれば……!』

 

『対応策?隙を作ってそいつが通れば勝てるのか。……だが、それこそ至難の技だ』

 

新の言う通り、曹操との空中戦は激戦の一途

 

2人がかりでどの様な攻撃を仕掛けても曹操は球体の能力で受け流す、または防ぐ

 

聖槍の攻撃も避けるだけで精一杯……

 

撃ち出した魔力の軌道をふいに変えても曹操の虚を突けない

 

更に曹操が球体で作り出した分身も転移の球体で瞬間移動させて間を詰めてくる

 

どれだけ離れていても体勢を立て直す暇が無い

 

高速で距離を詰めても転移で逃げられるか、球体で生み出した分身を盾にして回避までの時間稼ぎにされてしまう

 

何とか追い詰めて破壊力のある一撃を叩き込もうとしても槍で弾かれるか、球体による能力で避けられる

 

―――曹操は鎧装着型の弱点も熟知している

 

鎧装着型はパワーアップが過剰なせいで、攻撃する際にオーラが集まるので、何処から攻撃してくるか予測しやすい

 

頭で理解しても実際に動けるのは曹操が強い証拠……

 

そして曹操の右眼で光るメデューサの眼、あらゆるものを石化してしまう

 

2人ともいろんな箇所を石化され、その度に石化した部分を破壊して修復させる

 

一瞬でも動きを止めるのが主な使い方のようだ

 

周囲の建物は新と一誠、曹操の一戦で破壊の限り……人気(ひとけ)が無いのが(さいわ)いだった

 

少しずつ押され、2人の破損具合が徐々に増していく

 

新と一誠の攻撃スタイルを把握しつつある曹操

 

まさにテクニックタイプの(かがみ)と言えよう

 

パワー重視の新と一誠では相性が悪い……

 

ふいに何かを感じ取る2人

 

そちらの方に翼を羽ばたかせると……一筋の紅い閃光が新と一誠のもとに届いてオーラを回復させていく

 

遠目にビルの屋上から2人におっぱいビームを放つリアスの姿が確認できた

 

「噂の乳ビームか。なるほど、キミ達3人は怖いね」

 

曹操はそう言いながら苦笑していた

 

「笑ってんじゃねぇ、チクショウッ!」

 

「これでもくらいやがれッ!」

 

Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)Boost(ブースト)‼』

 

一誠は腹の中の種火に力を与えて一気に膨大な火炎を吐き出し、新も口から膨大な黒炎を吐き出した

 

広範囲に渡る炎が空一面を覆い尽くした

 

相手は人間、直撃しなくとも炎の熱によるダメージは(まぬが)れない

 

だが、聖槍が強大な聖なる光を放ち、2人の炎のブレスを一掃してしまう

 

そのまま聖槍を横薙ぎに振るってくる曹操

 

新と一誠は急上昇して避けるが、後方のビルが聖槍の波動一閃で真っ二つに崩落

 

波動は勢いを保ったまま、後方の建物を幾重にも破壊していく

 

曹操は笑みを浮かべながら楽しげに言う

 

「ハハハハ!凄い!これが真『女王(クイーン)』と竜の力か!俺の攻撃がクリーンヒットしないじゃないか!その割にキミ達の攻撃もこちらに当たらない!ヒヤヒヤものだな!キミ達の攻撃を受ければ、俺はそれで終わりだからね!」

 

「そう言うなら1発当たりやがれ!」

 

曹操が槍を回転させながら器用に振るってくる

 

下からの斬りかかりを避け、そのまま上からの一撃も後方に退いて回避するが―――聖槍の先端に球体が出現する

 

曹操がいっそう笑みを深めた

 

「ヴァーリと比べたら、まだまだだ。―――将軍宝(パリナーヤカラタナ)!」

 

球体が一誠の腹部目掛けて突き進んでくる

 

寸前で一誠は両手にオーラを集めて肉厚な腕を形成した

 

両腕を縦に合わせて受け止めようとするが……直撃の瞬間、ありえない程の衝撃が一誠の腕を通り越して全身を襲う!

 

それこそが破壊力重視の七宝だった

 

一誠は球体の直撃を受けて後方に吹っ飛ばされていく

 

ビルを次々と突き破っていき、遂にはその姿が見えなくなった

 

新は破壊力重視の七宝の威力に舌打ちした

 

「今の七宝もまだ未完成でね。実は能力も曖昧だ。今は破壊力重視にしているんだが、それだと武器破壊のと被ってしまってね。何か良い能力でも浮かべば良いんだが……あまり逸脱し過ぎた能力は付与できないからね」

 

「……へっ、それなら武器破壊を女の防具破壊に変えてくるんだな。そうすりゃ少しはお前を倒せる確率が上がる」

 

「ハハッ、俺はキミ達のような乳フェチじゃないんだけどね」

 

新は全身からオーラを(たぎ)らせ、背中に漆黒の巨腕を6本展開する

 

黒い波動を撒き散らしながら、6本の漆黒の巨腕を曹操目掛けて解き放つ

 

雨のように降り注いでくる波動と漆黒の巨腕

 

曹操は槍で防ぐ、または転移の球体で瞬間移動しながら避けていく

 

その隙に新は一誠が吹き飛ばされたところに飛んでいった

 

時間稼ぎの為の捨て弾

 

唯一全壊していないビルを見つけた新は割れた窓ガラスからビルの内部に入っていく

 

探し回ってみると、無数のオモチャが並ぶ玩具屋にて一誠を発見

 

鎧は先程の攻撃で破壊し尽くされており、血反吐も吐いていた

 

恐らく肋骨が折れたのだろう……

 

「おい、一誠!しっかりしろ!」

 

「がは……っ。あ、新か……っ」

 

「酷い傷だな……。俺も多少は食らっているが、あの野郎に当たる気がしねぇ」

 

「そ、それなんだけど、これ……」

 

一誠は震える手でとあるオモチャを持ち、新にも見せる

 

次に“一誠が考えた対応策”を新に耳打ちする

 

それを聞いた新は目を見開いた後、なるほどと頷く

 

「これでおしまいか?やはり、(くれない)と化した赤龍帝でもこれが限界か……」

 

割れた窓から現れる曹操

 

「なあ、訊かせてくれ。さっきのヴァーリと戦ったら、やっぱりお前が勝つのか?」

 

「……いや、あのプルートを(またた)く間に消滅させたヴァーリは既に超越者と言って過言ではないね。―――俺でも勝つのは無理だ。単純にパワー、出力が桁違い過ぎてね、ゴリ押しだけでこちらが()ぜる」

 

それを聞いて内心安堵する一誠はたまらず笑ってしまった

 

「何がおかしい?」

 

曹操は訝しげに訊いてくる

 

「あの時と一緒だ。なあ、曹操。弱点攻撃ってよ。俺もやったんだわ。部長を守る為、奪い返す為に、バカな頭を必死に振り絞ってよ」

 

「何を言っている?キミの言っている異図が分からない。気が変になったわけでもないと思うのだが……何かを企んでいるのか?」

 

「あの時、俺に残された力はたったちょっとのドラゴンの力だけ。今とそう状況が変わっちゃいなかった」

 

「ああ、そうだな」

 

新が先程手渡されたオモチャ―――スイッチ姫のオモチャを見せる

 

「こいつには仕掛けがある。おっぱいの部分が飛び出すんだ。試作品が家に届いてリアスが呆れてたぜ。―――サーゼクス様が考案したんだってな」

 

「だから、それがどうしたって言うんだ?」

 

次に一誠が(ふところ)から1発の銃弾を取り出す

 

「これは次元の狭間で漂っていたゴーレム―――もう動けなくなったゴグマゴグのボディに入っていた内蔵式の対魔物用機関銃の弾なんだってさ。大昔に作られた割に今の機関銃の弾と形状はそんなに変わらないんだな。……人間の創造力って、今じゃ神さまクラスなのかね」

 

一誠はそんな事を言いながら、その銃弾をスイッチ姫のおっぱい部分に装填

 

そしてオモチャに赤龍帝の力を譲渡する

 

Transfer(トランスファー)‼』

 

「……撃て、新。必殺―――スーパーおっぱいミサイルだ……っ」

 

「……あぁ」

 

譲渡し終えた一誠はスイッチ姫のオモチャを新に渡し、新はスイッチ姫の仕掛けを押した

 

すると、譲渡されたパワーで勢いが増し、おっぱいに仕込まれたゴグマゴグの銃弾が曹操に飛んでいく

 

「……血迷ったのかな?」

 

曹操は軽々と聖槍で銃弾を弾いた

 

―――刹那、弾かれた銃弾が四散して中から液体が現れ、それが曹操の顔面―――右眼にも飛び跳ねていった

 

不意打ちの液体をくらった曹操は右眼を擦る

 

「……何だ、この液体は……」

 

次の瞬間、ゴボッと曹操は口から血の塊を吐き出した

 

「ぐはっ!」

 

曹操は途端に苦しみだして膝をつき、その体は既に震えていた

 

床に四つん這いになってもう一度、血の塊を吐いたところで曹操はようやく気付く

 

「こ、これは……ッ!うぐわぁぁぁぁぁぁっ!」

 

曹操の体中を言い難い激痛が走り抜ける

 

一誠は力の戻った両腕と両足で立ち上がり、床でのたうち回る曹操に告げた

 

「―――サマエルの血だよ。シャルバが俺に使ったもんだ」

 

一誠の言葉を受けて曹操は目を全開に見開いていた

 

一誠は説明を続ける

 

「体を再生する時にサマエルの血を抜いてもらったんだけどさ。それを処理する時、ふいに思い付いた。―――確か、神さまがサマエルに与えた呪いはドラゴンと蛇に対する憎悪のものじゃなかったか?―――と」

 

「……眼かッ!俺のメデューサの眼……ッ!」

 

既に曹操の右眼はサマエルの毒による効果で潰れてしまい、大量の血を流していた

 

「ああ、メデューサって髪が蛇の魔物なんだろう?って事は、その眼を移植したお前にもサマエルの血が効果的なんじゃないか?―――ってさ、次元の狭間で思ったんだよ。で、次元の狭間で拾ったゴグマゴグの銃弾にこれをオーフィスに込めてもらった」

 

そう、一誠は次元の狭間で曹操の倒し方を思慮していた

 

実力で倒せるならそれに越した事はないが、近い内に再戦するとなれば対応策を講じなければ勝てない

 

そんな事を考えている内に次元の狭間で漂っていた停止状態のゴグマゴグに出会い、ライザーとの一戦を思い返した

 

そこから導き出されたのが―――サマエルの血を込めた銃弾だった

 

「……ぐふおっ!はぁはぁ……。……ふふふ、まさか、そうくるとはね……っ!」

 

「悪魔でドラゴンの俺でも瀕死になった。英雄の子孫で最強の聖槍を持っているとはいえ、お前は―――人間だ。その呪いに人間のお前が耐えられるか?」

 

「……無理だろうね……。……既に……体中の機能が停止しつつある……。……サマエルの呪いには……フェニックスの涙も効果を示さない……。俺の敗因は『人間』だから……か……っ!ふはははははっ……弱点を、相手の研究をしてきた俺が……この(ざま)……最高の皮肉だ……っ!」

 

苦痛に(さいな)まれながらも曹操は自分をおかしそうに嘲笑うだけだった

 

曹操唯一の弱点……それは―――自分が『人間』だった事……

 

サマエルの呪いを受けてしまった曹操はもう戦えないだろう

 

禁手(バランス・ブレイカー)が消え去り、槍の力強さも消失している

 

―――新と一誠の勝利

 

「……まさか、リアスの人形で勝っちまうとは。しかも何だよ、スーパーおっぱいミサイルって……」

 

『ずむずむいやーん』

 

新の手に握られるスイッチ姫の人形が仕掛け音声を発した

 

今までのシリアス空気を返してほしいと願う新は、もはや笑うしかなかった

 

「……ならば『覇輝(トゥルース・イデア)』だ」

 

「「―――っ⁉」」

 

曹操の言葉に驚愕する新と一誠

 

曹操は震える手で槍を構えると、呪文を唱え出した

 

「槍よ、神を射貫(いぬ)く真なる聖槍よ―――。我が内に眠る覇王の理想を吸い上げ、祝福と滅びの狭間を(えぐ)れ―――。(なんじ)よ、遺志を語りて、輝きと化せ―――」

 

曹操の口にした呪文と共に聖槍の先端が大きく開き、そこから莫大な光が輝く

 

アザゼルの話では、聖槍に込められたのは亡くなった聖書の神の遺志らしい

 

ヴァーリ(いわ)く『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』と近くて遠い能力

 

真相がまるで分からないが、『覇輝(トゥルース・イデア)』が発動したら都市部に大きな損害が出るかもしれない

 

防御を固めるか、この場を脱出しようか、選択を迫られた時だった……

 

槍の光が徐々に弱くなり、大きく開いた槍の先端も普通の状態に戻っていった

 

曹操はそれを見て目を見開き、絶句する

 

「……発動……しない?」

 

膨大な光量が放出されそうになった時とは裏腹に、今の聖槍から感じるプレッシャーは大したものではない

 

それどころかどんどん弱まっていく

 

曹操は何かを槍から感じ取り、悟った表情となった

 

「……なるほど、それがあなたの『遺志』か。―――俺の野望よりも赤龍帝と闇皇の夢を選んだと言うわけだ」

 

覇輝(トゥルース・イデア)』の不発、それを悟った新は構えを解いた

 

「……呪いを受けたのか、曹操」

 

その様な言葉を発しながら現れたのはヴァーリだった

 

ガラスの割れた窓から入ってきたヴァーリは床にのたうち回る曹操を見下ろす

 

「……やあ、ヴァーリ。……キミのライバルは最高だな」

 

「曹操にはやらないさ。―――何故『覇輝(トゥルース・イデア)』は失敗した?先程使ったのだろう?このビルに近付いた時に感じられたからな」

 

ヴァーリがそう訊き、曹操の一言にその場にいる全員が耳を傾けた

 

「……『覇輝(トゥルース・イデア)』は聖書の『遺志』が関係する。亡き神の『遺志』はこの槍を持つ者の野望を吸い上げ、相対する者の存在の大きさに応じて多様な効果、奇跡を生み出す……。それは相手を打ち倒す圧倒的な破壊であったり……相手を祝福して心を得られるものでもあった。―――だが、赤龍帝と闇皇に対する『覇輝(トゥルース・イデア)』の答えは静観だった。……つまり、この勝負は赤龍帝と闇皇の勝ちであり、槍は俺よりも兵藤一誠と竜崎新の夢を見たいと言う事だ……。……今後も俺の野望を見たいのなら、聖槍はここで俺を回復させるか、もしくは絶大な力を発動させただろうからね……」

 

聖槍が新と一誠の勝ちを認めたと言うよりは、曹操の夢よりも2人の夢を選んだと言った方が正しいだろう

 

ヴァーリがそれを聞いておかしそうに笑みを見せた

 

「ここに来てその聖槍は曹操ではなく、兵藤一誠と竜崎新を選んだのか。だから言っただろう?手に負えなくなる内に俺と兵藤一誠を倒すべきだった、と。結果この(ざま)だ。何とも言えない最後だな。やはり、真紅となった赤龍帝を倒せる権利を持つのは俺だけのようだ」

 

ヴァーリの皮肉な台詞を貰い、曹操は自嘲した

 

「……俺が倒したかったんだけどな」

 

「男同士がホモみたいな事を言って俺の取り合いとかしないでくれる⁉気持ち悪いったらありゃしない!」

 

「ホモホモしいのは一誠だけで充分だ」

 

「新てめぇ!俺に押し付けるな!俺は女の子にモテたいの!筋肉ばかりの男衆にモテても嬉しくないの!」

 

「ああ、そうだな。兵藤一誠は俺が倒すのだから」

 

「僕の友達は大人気だね」

 

更にサイラオーグと祐斗が参戦(笑)

 

ここに来て(オス)度が増し、一誠は心の底から“助けておくれ!”と叫んだ……

 

「……二天龍、闇皇、獅子王、聖魔剣(せいまけん)……さすがにこの状態では分が悪いか。と言うか、このままじゃ俺は死ぬな。……レオナルドを失った時点で俺は詰んでいたのかもしれないな。……いや、キミ達にちょっかいを出したのが運の尽きか……。やはり、サマエルの使用はオーフィスではなく……グレートレッドの方が良かったのかな……。……まさか、京都でのグレモリー眷属との出会いと、選択が……俺達の負けフラグだったなんて……」

 

自嘲しつつ息も切れ切れになる曹操

 

顔色も相当悪く、ヴァーリのように魔力でサマエルの呪いを抑える事も出来ない

 

状態は悪化の一途を辿っていた……

 

その時、新達を見覚えのある霧が覆い、霧の中から人影を視認する

 

曹操のもとに現れたのは―――ボロボロのゲオルクだった

 

片目と片腕を失っており、左足も黒く変色していた

 

「ゲオルクか……」

 

「……曹操、俺達は……多少の計算違いはあれど、大きくは間違えてはいなかった。―――ただ」

 

曹操の手を取り、転移の魔法陣を展開するゲオルク

 

ヴァーリ以外の皆が一斉に取り押さえようとしたが―――聖槍がまばゆい光を発して一瞬だけ目と体が動かなくなる

 

まだその程度の力は残っていたようだ

 

「……二天龍に関わると、滅びる。シャルバ達のように……」

 

「……そうだな、ゲオルク……」

 

聖なるオーラに身を焦がしながら突き出したサイラオーグの拳が空振りに終わる

 

曹操とゲオルクがその場から消えていた

 

聖槍の光量に目をやられたせいか、コンマ1秒の差で逃げられた……

 

 

――――――――――――――

 

 

肝心なところで曹操とゲオルクに逃げられてしまった

 

一誠は自分の詰めの甘さに閉口してしまうが、サイラオーグが一誠の頭を撫でる

 

「そう落ち込むな。お前達の勝ちだ。なに、あの様子では両者共に当面戦う事も出来ないだろう。いや、障害を遺して以前のように戦えないかもしれんな」

 

サマエルの毒が何処まで曹操に効果を及ぼすか分からないが、ドラゴンで悪魔の一誠ですら肉体は容易く滅びた

 

曹操にもまともな展開は待っていないだろう

 

ヴァーリが一誠の方に視線を向ける

 

「キミがグレートレッドと通じたと言うのなら、あの赤龍神帝(せきりゅうしんてい)に挑戦する前にキミと決着をつけないといけないようだ」

 

「ああ、来いよ。俺ももっと強くなって、お前をぶっ倒してやるさ」

 

「だが、気を付けろ。キミを恐れる者が増える一方で、狙う者も今後増えるだろう。―――真龍と龍神と通じたと言うのはそう言う事だ」

 

「何が来ても俺は俺の目標の為に突き進むだけだ。―――上級悪魔になって、俺はハーレム王になる!あと、レーティングゲームの王者にもなりたいしな!」

 

一誠の宣言を聞いて、ヴァーリは楽しそうに口の端を上げていた

 

―――と、また誰かがここに来る気配が感じられる

 

店の入り口から入店してきたのは紳士な出で立ちの男―――アーサーだった

 

「ヴァーリ、皆こちらに来ています。予定通り、一暴れしてきましたよ」

 

「そうか、すまんな」

 

ヴァーリが(きびす)を返して去っていき、アーサーは祐斗に視線を送る

 

「―――木場祐斗。私が探し求めていた聖王剣(せいおうけん)コールブランドの相手として、あなたが1番相応しい剣士のようです。ヴァーリが兵藤一誠と決着をつける時、私もあなたとの戦いを望みましょう。それまではお互い、無病息災を願いたいものですね」

 

そう言い残してアーサーはヴァーリと共に去っていった

 

祐斗もアーサーの挑戦を受けて、不敵な笑みを見せる

 

「ジークフリートを倒したのか?」

 

一誠が腰の魔剣を指差して祐斗に訊く

 

「え?ああ、これ?まあ、色々あってね。ジークフリートは皆で倒したんだ」

 

「さて、俺も眷属を待たせているのでな。そろそろ―――ッ」

 

サイラオーグが窓際の方に足を向けた刹那、彼の表情が険しくなる

 

新も不穏な気配を感じたのか、窓の方を向いて構えを取る

 

「どうやら、まだ客人がいるようだ」

 

「……?それって―――」

 

ビュンッ!バチィィンッ!

 

突如、割れた窓から何かが高速で飛来してきた!

 

その狙いは疲弊した一誠に定められていたが、サイラオーグが即座に拳で弾き落とす

 

サイラオーグの拳によって弾き落とされたのは―――雷の矢だった

 

床に突き刺さった雷の矢は直ぐに消失し、それを発射した犯人がビルの外に出現する

 

「キヒヒッ、おっひっさ~♪元気にしてましたか~?」

 

宙に浮かぶのは神々しくも禍々(まがまが)しい騎士の様な風体をした雷使い、幾度となく新や一誠達の前に現れてきたマッドサイエンティスト……

 

新と一誠が憎々しげに揃ってその名を呼ぶ

 

「「神風(かみかぜ)……ッッ!」」

 

「キヒヒッ、そぉでぇ~すっ。皆が嫌うビショップの神風だよぉ?」

 

相変わらずふざけた態度の神風

 

祐斗が聖魔剣を構え、サイラオーグが睨み付ける

 

「なるほど、貴様もこの騒動の黒幕とやらか。戻る前にもうひと仕事しなければならないようだな」

 

「キヒヒッ、キミが噂の獅子王ってヤツかい?悪いけど、ボクはこう見えて忙しいんだよねぇ。遊びたいならぁ―――こいつらと遊んでなッ!」

 

神風が刃物状の右腕を上げた刹那、ビルの周囲に転移用の魔法陣が無数に出現する

 

そこから現れたのは―――(おびただ)しい数の闇人(やみびと)の軍勢だった……っ!

 

100や200程度じゃない……目測5000人以上……

 

ビル周辺の空を、地上を闇人(やみびと)が埋め尽くしていた

 

圧倒的な闇人の軍勢に新と一誠、祐斗は言葉を失う

 

「キャハハハハハハハハッ!どう?どう⁉闇皇はともかく、今の赤龍帝にこいつらの遊び相手が出来るのかなぁ⁉こいつら全員が上級悪魔クラスの強さを持っている!秘かに増やしといた甲斐があったよ!獲物を仕留め終えて、安心しきった時が1番無防備だからね!そこを物量作戦で攻めりゃキミ達なんざ簡単に殺せるんだよォッ!たとえ力が残っていても、この数を相手に生き残れやしないさッ!キャハハハハハハハハッ!」

 

「この野郎……っ!きたねえ真似を……っ!」

 

「はぁ~?何すかぁ、赤龍帝ェ?汚い真似を……とか!ププーッ!古臭い台詞が好きだね~!けど、知りまっせん!卑怯汚いは負け犬の戯れ言!そ・れ・に、ボクはもっともっと卑怯です!今頃グレモリーのお姉さん達の所にはぁ、うちのバリーとガーラントが向かってます!ボクもソッコーで合流して、これからお姉さん達をブチ殺しますゥ!」

 

神風のゲス極まりない言葉に新も一誠も怒り心頭、全身から殺意のオーラを(ほとばし)らせた

 

それでも神風は哄笑を上げて嘲笑う

 

「キヒヒッ!怒った?怒ってる?激おこプンプン丸になっちゃったぁ?キャハハハハハハハハッ!でも、ボクは一切マチマセンッ!颯爽と逃げてお姉さん達をブチ殺しに行きま~す!キミ達はここでこいつらとたっぷり遊んでなッ!その間に仲間の惨殺死体をフルコースで揃えてあげるよ!赤龍帝と闇皇、聖魔剣がいない今のグレモリー眷属なんざ―――ボクの敵じゃないからねぇ!」

 

そう言い残して神風は高速でリアス達がいる場所を目指して飛んでいった

 

リアス達の危機に居てもたってもいられなくなった新と一誠

 

だが、周りには神風が呼び寄せた闇人の軍勢がいる……

 

そこへサイラオーグが告げてくる

 

「ここは俺が引き受けよう。お前達はリアスの所へ急げ」

 

「サイラオーグさん!この数を独りで⁉いくら何でも無茶だ!俺達も一緒に―――」

 

「四の五の言わずに行け!こいつらは所詮足止めに過ぎない!そんな奴らにお前達が構ってる暇などあるか!」

 

サイラオーグの叱咤を受けて、新と一誠は互いに顔を見合わせて頷いた

 

「……分かりました。お願いします!」

 

「僕も道を切り開こう。キミ達の邪魔はさせない」

 

「助かる、祐斗」

 

祐斗もサイラオーグと共に闇人の掃討に参戦

 

サイラオーグは闘気を纏わせた拳を突き出し、窓の外にいる闇人の軍勢を吹き飛ばす

 

一気に100近くの闇人がサイラオーグの拳によって滅ぼされ、爆風に紛れて新と一誠が外へ飛び出す

 

祐斗も外に出て地上の闇人の群れを次々と切り刻んでいく

 

サイラオーグと祐斗のアシストを受けた新と一誠は急いでリアス達のもとに向かおうとするが、闇人の群れが行く手を阻んでくる

 

疲弊した状態でも新と一誠は体力を振り絞り、群がる闇人を蹴散らしながら叫んだ

 

「「退()けェェェェエエエエエエエエエッ!」」

 

冥界を巻き込んだ魔獣騒動の発端、元凶でもある神風を追っていった……

 

 

―――――――――――――

 

 

「兄貴。この辺りの奴らはだいぶ片付いたんじゃね?そろそろ引き上げねぇか」

 

「……まだだ。まだ蹴り殺さなければならない気配がある」

 

「旧魔王派とか言うザコの他にもいるのかよ?」

 

「ああ。恐らく、この1件の元凶とも言える気配だ。俺達と同じく禍々(まがまが)しさに溢れている」

 

「……俺には今の兄貴ほど禍々しいものはねぇと思うぜ」

 

「行くぞ、相棒。アーシア・アルジェントにあんな表情(かお)をさせた奴らは誰1人生かして帰さん。肉の一片、骨の欠片たりとも残さず―――粉微塵に蹴り潰す」

 

「マジでおっかねぇ……。せめて迷わず成仏しろよ。兄貴をキレさせたのが運の尽きだ」




遂に終えた曹操戦!しかし、喜んでる暇はない……まだ神風が残っている

次回は地獄兄弟(兄)の怒りが爆発します!
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