アインクラッドにて。   作:うぃー、める

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深夜テンションは偉大ですね。細部が酷いことになる以外は。



2話 森の秘厄

赤ローブ(茅場)の宣言から程なくしてはじまりの街を発った私と友人のRuka(ルカ)は日が落ち切る前に目的地であるホルンカに到着した。

ホルンカに来た理由だが、ルカ曰く剣士には必須級のクエストをある民家で受けられるから、だそうだ。

「あの民家でいいの〜?」

「そう、ここであってるはず」

「どんな感じで話せばいいの?」

「おかみさんの頭上にクエスチョンマークが出たら何かお困りですか〜?って感じのことを言えばいいのよ。まぁ何事もやってみることね!」

言われるがままに私はギィィと音を立てて民家の扉を開けて民家に入る

「こんにちは〜」

「こんにちは、旅の剣士さん。お疲れでしょうから、何か食事を差し上げたいのだけど今は何もないの。出せるのは一杯のお水くらいのもの」

「ありがとうございます」

私は感謝の意を伝えると水を飲み干した。すると奥の部屋の扉の向こうからゴホゴホという子供が咳き込む声が聞こえてきた。

そうするとおかみさんの頭上にクエスチョンマークが出てきた、すかさず私は「何かお困りですか?」と声をかけた

 

「旅の剣士さん、実はうちの娘がですね…」

 

 

おかみさんの話をまとめるとおかみさんの娘さんが重い病気にかかってしまい、もう市販の薬は効かずリトルネペントの胚珠というアイテムで作る薬を飲ませるしかないためそのアイテムが必要とのこと。

もし持ってきたらくれたら先祖から伝わるという剣を渡す、といった内容だ。

おかみさんの話が終わったので私は「任せてください」と言うと民家の外へ出た。

「しっかり受けれた?」

「ばっちりだよ!」

「なら良かった。もう夜だけど、どうする?明日でもいいよ?」

「ルカさえ良ければこのまま狩りに行こうよ」

「OK、じゃあ行こうか」

 

私たちは近くの森でウツボカズラの怪物(リトルネペント)を狩り始めた。夜である事とまだ茅場の話から時間があまり経っていない事もあり周りに人はいないように見える。

目当ての品であるリトルネペントの胚珠を手に入れるには通常の個体の頭上に花がついているやつを倒さなければいけないらしい。

 

借り始めてから15分か20分ぐらいたった時不意にファンファーレが鳴った、私のレベルが上がったようだ。

ルカが「レベルアップおめでとう」とパチパチ手を叩いているが拍手が二重に聞こえてきた。

「ゴメン。驚かせちゃったかな。今のレベルアップでしょ?随分早いね。あ、僕はコペルっていうんだ、よろしくね」

「私はレシーナです、よろしくお願いします。サービス開始すぐから狩っていたのでそれほどでもないと思います」

「君たちも森の秘薬クエをやっているのかい?」

「そうですよ。今、狩り始めたところです」

「なるほどね。そうだ!このクエ、良ければ協力してやらないかい?二人よりも三人の方が狩る効率が上がるし、安全だと思うんだ」

「....このクエ一人用よ?私はこの子の手伝いだから胚珠はいらないけど、貴方は必要でしょ?」

「そうだけど、花付きは普通のを倒せば倒すほど出やすくなるだろ?ってことは3人で乱獲した方が早いと思うんだ」

「まぁ、確かにそうね。私はルカ、よろしく。パーティは必要ないわね?」

「そうだね。君たちが先にここにいたんだから、君たちが先にアイテムを取ればいい。代わりに確率にブーストがかかったまま2体目が出るまで手伝ってくれないか?」

「分かりました、いいですよ」

こうして私たちは彼と協力する事となった。

 

狩りを再開してから約一時間半が経過した時、私のレベルが4に上がった直後にそれは現れた。それは今回のクエスト森の秘薬のキーアイテムがドロップする、私たちが探していた花付きのリトルネペント。しかし運の悪い事に花付きの近くに実付きのリトルネペントを発見した。この実付き個体の実は少しでも傷をつければ即座に破裂して、臭い煙を出し、猛り狂った仲間を呼び寄せるから気をつけて倒せと言われている。

「ルカ、コペルくん、あそこに実付きがいます」

「ああ、ホントだ。じゃあ、僕が実付きのタゲを取る。その間に君たちは花つきを速攻で倒してくれ」

そう言い終わるよりも早くコペルくんは実付きの方へ走り出した。

 

私とルカが花付きのリトルネペントを倒し、実付きのリトルネペントの方を見た。その時、コペルくんは明らかに狙って頭上の実を攻撃した。

「ちょっと、コペル!なにしてるのよ?!」

当然実は破裂し臭いがここまで漂ってくる。すると、四方八方からリトルネペントの大群がこちらに向かってくる。

そして実を破裂させた張本人のコペルは近くの草むらにしゃがみ込み.......プレイヤーカーソルが消えた。恐らく隠蔽(ハイディング)スキルを使ったのだろう。私は持っていないが、ルカが必須級のスキルだと言っていた。それと同時にリトルネペント等の視力以外の感覚器が優れている敵には効果が薄いとも聞かされていた。その言葉通りコペルが隠れた草むらにもリトルネペントが寄っていった。その直後悲鳴が聞こえ、程なくしてポリゴン片が見えたような気がするがあちらに気をかける余裕など正直ない。その証拠に

「蓮華!ネペントの層が薄い所を攻撃して逃げるよ!」

「OK、遥歌!」

 

層が薄いと言ってもかなりの量がいたが、それもあともう少し。しかし、人間というものは油断してしまう。その気がなくてもつい、気を緩めてしまう。

「もう少しで突破できる!」

そのルカの声が聞こえた時、私は安堵した。安堵してしまった。

その安堵は油断を呼び、その油断は致命的なミスを作り出す。

「危ない!」という声と共にドンッという衝撃が体に走る。背後を見ると私を突き飛ばし、腐食液をまともに受けるルカの姿。そして倒れるルカに大量の触手が襲いかかりルカのHPバーが凄まじいスピードで左へと動いていき、動かなくなった。

そして砕け散った友人は最後に私に微笑みかけていた。

私が覚えているのはそこまでだった。

 

「.......っ、ここは?」知らない天井だ。

「やっと気づいたか」ルカの声では無い。そうか、私は生きてしまったのか。友人を身代わりにして。

「ここはホルンカの宿だ」

「...私は、何故?」生きているのだろう。

「お、レシーナ、目が覚めたのか。間一髪だったな、キリトが居なきゃ死んでたんだぞ?」死なせて欲しかった。

「ネペントの大群の中でめちゃくちゃに武器を振り回してる君を見つけたんだ。でも、君の仲間は.......」ルカを身代わりにしてまで生きたくない。

「.............ありがとう。でも私は、『それ以上は言っちゃいけねぇ』.......」

「気持ちは分からない事はねぇ、ただな間違っても私が死んだ方が良かった、なんて言っちゃいけねぇ。俺たちはこのゲームで死んだ人達の想いも背負ってるんだからな。.......悪ぃな柄にもなくこんなこと言っちまって」

「.............」ルカの想い...

「キリト、1人にしてやろうぜ。今はその方がいいだろ」

そういうとクラインさん達は出ていった。

 

1人にしてもらってからずっと考えていた、遥歌の想いとはなんなのか。

私には分からない。そもそも人の想いなんて考えたことがなかった。なんとなくで感じとる表層以外、私は人の想いを知らないのかもしれない。

クラインさんはああ言っていたけど、死にたかった。遥歌を身代わりにするくらいなら。私のせいで遥歌が死んだ。私のせいで。ミスをしたのは私なのに、死んだのはミスをした私ではなく遥歌。

SAOは感情を隠すことが出来ないと聞いた。でも何故だろう。

 

涙が出ない。




キリトがレシーナ達より遅かったのはクライン達とホルンカに行くべく引き返したからです。
精神的支柱と言ったらクラインかエギルになるのでしょうが、エギルをここに登場させるのはしんどかったのでクラインに出てきてもらいました。
ゲーム開始数日でこんな事を言えるかは分かりませんが。

気分と勢い8割なので続きを上手く表現できるか怪しいです。
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