痛いのは嫌だけどこの素晴らしい世界に転生したいと思います。   作:タイラー二等兵

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このファンで防振りコラボが始まったので、書きかけだった作品の1話目を記念に投稿してみました。2話目は書きかけなので、そこまでは書き上げて投稿するつもりです。3話目以降は例によって、作者の気分次第という事で。

※このすば!という物語の性質上、楓と理沙は死亡している設定です。そういうのがイヤな方はブラウザーバックを推奨します。


1話 防御特化と出会いに祝福を!

── カズマ ──

 

「あの、サトウさん。少しお願いがあるのですが」

 

セナにジャイアントトードの討伐をさせられた翌日。ウィズのお店で用事を済ませた俺達は、帰りがけにギルドに立ち寄ったわけたが。

 

「今日冒険者になったばかりの方がいまして。先程ジャイアントトードの討伐に出られたのですが、出来たら様子を……」

 

「お断りします!」

 

俺は受付のお姉さんのお願いを、全力で辞退をした。冗談じゃない。昨日あんな散々な目にあって、なんでまたアイツらの所に行かなきゃならん。

確かに今の俺達には莫大な借金がある。だからといって、仕事を選ぶ権利はあるはずだ。

……まあぶっちゃけ、俺達はジャイアントトードと相性が悪い。しかも現在、壁役のダクネスが不在だ。そんな俺達にとって、様子を見に行くだけでも荷が勝ちすぎている。昨日のセナのような事だってありうるし、ここはお断りするのが吉だろう。というか、まだジャイアントトード残ってたのね。

 

「そうですか。サトウさんと同じ年頃の女の子二人組だったので、少し心配だったんですが……」

 

「お姉さん、詳しい話を!」

 

「チョロいわね」

 

「チョロいですね」

 

うるさい。サブヒロインは黙ってろ!

 

「何かしら。今、とても不愉快な思考を感じたのだけど」

 

「奇偶ですね。私もです」

 

お前ら、勘、良すぎだろ。

 

 

このすば!

 

 

お姉さんの話によると、一人は胸部甲冑以外の防具を身に着けない軽装で、二振りの短剣を装備したアサシンクラスの女の子。もう一人は黒い鎧に黒い大盾を装備した、シールダークラスの女の子。

因みに受付のお姉さんも、シールダーという職業は初めて見たらしい。

これらの情報を得て俺達は、昨日ジャイアントトードと死闘を繰り広げた場所へとやって来た。そこで目にしたのは、有り得ない闘いを繰り広げる二人の少女の姿だった。

二人は三匹のカエルに取り囲まれている。そしてすぐ傍には、二匹のカエルがすでに地に伏していた。

カエルは舌を伸ばし軽装の少女を絡め取ろうとするが、少女はそれをかいくぐったかと思うと、素早くカエルに近づき、向かって左の足を切りつける。

カエルは体を支えられなくなり、左前方へ倒れ込んできた、そのタイミングで、少女はカエルの喉を切り裂き左へと身を躱す。倒れたカエルは数度痙攣をしたあと、息絶えたのか動かなくなった。

だけど少女はそれを確認するまでもなく、次の標的へと駆け出していた。少女に気づいたカエルが舌を伸ばすと、今度は軽くジャンプをして躱し、一旦舌を蹴りつけ本体に向かって跳躍、頭を跳び越えたところで振り向きながら剣を一閃し、カエルの後ろ首筋を切り裂いた。

と、そこで残りの一匹が少女に向かって舌を伸ばす。マズい。空中じゃ身動きが!

そう思った次の瞬間。

 

「『カバームーブ』!」

 

盾を持ったもう一人の少女がそう言った次の瞬間、軽装の少女前に移動して盾で攻撃を受け止めていた。

 

「『悪食』っ!」

 

ってなんだ!? カエルの舌先が、抉られたように消滅した!?

二人は地面に着地……いや、盾の子は背中から落ちた。

 

「メイプル、大丈夫?」

 

「うん、平気平気。サリーも無事で良かったよ」

 

メイプルと呼ばれた盾の子は、軽装の、サリーと呼ばれた子が差し出した手を握り立ち上がる。そして二人は、舌を抉られてもがくカエルを見て。

 

「……最後の一匹は、メイプルに任せる」

 

「え、でも……」

 

メイプルはなんだか躊躇ってるみたいだが……。

 

「メイプルも倒さなきゃ、レベリングの意味がないよ?」

 

「うっ、そうだよね」

 

どうやらカエルを倒すのを躊躇してるみたいだな。まあ、生き物を倒す、命を奪うんだ。最初の内は尻込みしても仕方がない。初心者あるあるってやつだ。

……俺の場合は無我夢中で、それどころじゃなかったけど。

 

「それじゃあいくよ。

『超加速』!」

 

「『カバームーブ』!」

 

サリーが目にも止まらぬ速さでカエルの後ろに回り込むと、それに追随する形で、メイプルがサリーとカエルの間に割り込むように現れる。

 

「『悪食』っ!!」

 

メイプルが盾をぶつけ(シールドアタックし)ながら叫ぶと、今度はカエルそのものが消失した。

けど、これって……。

 

「な、なんですか、彼女達は。とても駆け出し冒険者の闘い方ではありませんよ?」

 

「それにあんなスキル、見たことも聞いたこともないわよ?」

 

あんなスキルって、あの「悪食」ってやつだよな?

 

「……ねえ、あなた達。さっきからなんなの?」

 

「うおっ!?」

 

驚いた!? 少し目を離した隙に、サリーが俺の目の前に立っていた。

 

「カズマってば『うおっ!?』ですって。プークスクス、ちょーウケるんですけど」

 

こいつ、グ-で殴ってやろうか!?

 

「ちょっと……!」

 

「ああ、すまん! 俺達はギルドのお姉さんに頼まれて、あんたらの様子を見に来たんだ」

 

「え、私達の?」

 

遅ればせながらやって来たメイプルが、俺の言葉を聞き返す。

 

「ああ。お姉さんが心配して、俺に頼んできたんだ。俺も冒険者の端くれだからね、快く引き受けさせてもらったよ」

 

「よく言いますね。最初はきっぱりと断っておきながら、女の子二人組と聞いて掌を返していたのはどk……」

 

「あーっ、めぐみん! 余計なこと言うんじゃねえっ!!」

 

遅まきながら、めぐみんの発言を遮り二人を見ると、サリーは冷ややかに、メイプルは苦笑いを浮かべてこっちを見ている。チックショウ!

 

「だ、だけど心配したのは本当で……」

 

「下心が無ければねー?」

 

「すみませんでしたッ!」

 

俺は想わずDOGEZAした。

 

 

このすば!

 

 

「じゃ、じゃあ改めて自己紹介だ」

 

まだ若干跋が悪いが、このままじゃ話も進まないし、仕方がない。

 

「俺は冒険者の佐藤和真だ。一応このパーティーのリーダーをしてる」

 

「サトウ…カズマ……」

 

サリーが何か呟きながら、考え込み始めた。けど、それを気にするよりも前に。

 

「ハーッハッハッハァ! 我が名はめぐみん! 紅魔族随一のアークウィザードにして、爆裂魔法を操りし者っ!!」

 

めぐみんの名乗りにはさすがに驚いたのか、サリーは思考を停止させてぽかんとしている。

 

「えーと、めぐみんって愛しょ……」

 

「メイプルとか呼ばれてましたね。なんですか。親がつけてくれた名前に、文句があるのですか?」

 

「ごめん、なんでもない」

 

メイプルは素直に謝った。しかし気にすることないぞ? それが普通の反応だからな。

 

「さあ、次は私の番ね。ふふふ、聞いて驚きなさい。私の名はアクア。アクシズ教の御神体にして水の女神その人よ!」

 

「……と思い込んでる残念なアークプリーストです」

 

「ちょっとめぐみん! どうしていつも信じてくれないのよぉ!!」

 

それは、信じてもらえるようなことを、しないからである。

 

 

このすば!(信じてよぉ!)

 

 

「あー、騒がしくてすまなかったな。本当はもう一人、ダクネスって言うクルセイダーがいるんだが、今はちょっと不在なんだ。

それで君達は、メイプルとサリーで、いいのか?」

 

俺は最後だけ真剣な口調で、確認するように聞く。本当にその名前が本名なのか、というニュアンスを込めたつもりだ。

この二人はおそらく、日本からの転生者だろう。あの盾は転生特典だと俺は睨んでいる。

二人は目配せをしてから、メイプルが先に口を開く。

 

「あー、えーと、メイプルはアバター名……じゃなくてニックネームなんだ。

私は本条楓。楓でメイプルね。で、この子が……『覚醒』!」

 

そう言って指に嵌めた指輪を翳すと、20センチくらいの亀型モンスターが現れた。

 

「私のパートナーのシロップ。二人合わせてメイプルシロップだよ」

 

「……ポ○モンか?」

 

思わずそう言ってしまった俺は、悪くないと思う。

俺の言葉に、違うと思うけどなー、と言いながら左手を頭の後ろに当てて苦笑いを浮かべるメイプル。それに対してサリーは、僅かに表情を険しくさせた。

しかしすぐに表情を軟化させて自己紹介を始める。

 

「私は白峯(しろみね)理沙。理沙を引っくり返してサリーね。そして私も……『覚醒』」

 

サリーもメイプルと同じ様に、キツネ型モンスターを呼び出し。

 

「この子が私のパートナー、(おぼろ)

 

「ポ○モン、じゃないんだよな。……そうか! デ○モン……!」

 

「うーん。それも違うかなー」

 

うん、わかってる。

 

「でも、近いと言えば近いかも」

 

呟くサリー。ってか近いのかよ!

……待てよ? アバター。特殊装備。特殊スキル。デ○モンに近いテイムモンスター。何より初心者とは思えない闘い方……。まさか。

 

「VRMMOか?」

 

VRMMO。仮想現実大規模多人数同時参加型オンラインゲーム……だったか。転生前、あっちの世界で普及し始めた新しい体系のゲームシステムだが、要はフルダイブ型のバーチャルリアリティ内にアクセスした人達とわちゃわちゃやるオンラインゲームだ。SA○が現実になったって、一時期話題にもなってたな。

俺はもう少しハードが安くなってから手に入れようと思ってたんだが、その前にこの世界に転生することになってしまった。べ、べつに悔しくなんかないんだからねっ!

 

「あんたってやっぱり日本人……」

 

サリーも俺が転生者だと気づいたようだ。いや、確証が持てたって方が正しいか。

 

「まあ、その辺の所はギルドの酒場か俺んちで」

 

「あんたの家ねえ……」

 

うわっ、サリーのものすごい冷めた視線。

 

「ああ、安心してください。この男はすぐにイヤラシイ視線を向けてきますが、手を出すほどの度胸は無いチキンですから」

 

「おいコラ、ちょっと待てめぐみん! てめえ何、ある事無い事言ってやがる! て言うか、それはどちらかと言えばダクネスのセリフだろっ!?」

 

「ええ。ダクネスが不在なので、代わりに言ってみました」

 

「要らない気遣いしてんじゃねえ!!」

 

 

このすば!




一応、こっちのカズマがいた日本では、VRMMOが普及し始めた世界線と考えてもらえると有難いです。
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