男は回り始めた運命を自覚する
もう使われていない商店街
そこには二つの影があった
「敵か、確かに俺は
「いや、俺は勝たなきゃなんねぇんだよ。あいつらを守るためにもガキ共が怯えないようにするためにも、こんな所で負けてられねぇんだ!」
「熱いね〜カッコいいねぇ〜もしかしてヒーローに憧れてるのかな?」
「そんな大層なもん、俺には無理さ。せめてあいつらを守るのが精一杯だな」
「なんだそれ。ウザいな、お前」
人狼から笑顔が消えた
カミナは呼吸を整える
『熱くなるのはいい。だが、焦るな。ケンカに勝つには熱いハートとクールな頭脳だ!』
(だよな、アニキ)
「じゃあ守ってみろよ。ヒーロー君!」
人狼が右手の爪を振りかぶってくる
「フッ!」
カミナは両脚にエネルギーを集中させバックステップする
そして蹴りを顎に叩き込む
「シャアッ!」
「グゥ、クソガキがぁ!」
人狼が覆いかぶさるように飛びかかって来る
カミナは人狼の股下をスライディングして人狼の右脛を蹴る
「グァッ!」
間髪入れずしゃがみかけた人狼の後頭部に後ろ回し蹴りを叩き込む
「ゴラァ!」
「グギャア‼︎」
人狼は何回転かしてカミナの方を見ることができた
(クソッなんだこのガキ!戦闘センスが高すぎるぞ!
それに最初より全然動けてやがる。スロースターターか?)
そう、カミナは最初の人間体の攻撃を避けた時より回避スピードが上がっていた。それはカミナが戦闘モードに入ったこともあるが、
1番はカミナが戦闘中に成長していることの方が大きかった
(部分のエネルギー集中はできた。けど瞬間的な移動はまだ出来ないか、練習不足だな)
元々の運動神経と喧嘩殺法で戦ってはいるが決定力がない
そう考えていると人狼が靴を脱ぎ捨てた
人狼が不敵に笑う
「強いなガキ。もう手加減しないぜ」
「負けワン公の遠吠えか?」
「後悔すんなよガキィ‼︎」
人狼が四足歩行になる
そして狼の狩りのように不規則な動きをし始める
「ハハハッこれでスピードは互角だぜ!」
カミナは人狼の動きを目で追う
(確かに速くなったがこのスピードならまだ反応できる!)
しかし、カミナの誤算はここが商店街という閉鎖空間だったことだ
「ヒャッハァ!」
「ッ!・・・クソ」
人狼の壁を使った三次元攻撃がカミナの左手を掠った
「あれ?当たったね!」
「まぐれ当たりが嬉しいか?(・・・掠っただけだな、問題ない)」
「いやぁ、もう俺の勝ちだな」
「?ほざくなよ」
人狼がまた真っ直ぐ突っ込んでくる
「ハハァ!」
(馬鹿の一つ覚えか?また、蹴りを叩き込む!)
カミナは人狼の斜め後ろに回り込み、飛び上がる。
フェイントをかけた上段の飛び蹴りだ
だが
バシッ!「ハハッ捕まえた」
「なっ!・・グッ!」
足を掴まれ地面に投げつけられる
カミナは転がり勢いを殺して、受け身を取る
(なんでバレた⁉︎)
「どうした、ビビったのか?諦めたのか?」
「いいや、まだまだこれからさ」
カミナは内心焦っていた
(ヤバいな、次攻撃しても多分また反応される)
カミナは策を練る。幸いなことにカミナには地の利があった
(よし、これならいける!)
『よし、お前に預ける』
そんな声が聞こえた気がする
カミナは気合を入れ直す
(?)
ほんの少しだがエネルギーの残量が増えた気がした
カミナは後方に向かって駆ける
「こっちだワン公!」
「何を企んでいるか知らんがさせねぇよ!」
カミナは人狼の攻撃をギリギリで避け続ける
「クソ、ちょこまかと!」
(やっぱりだ。攻撃のキレはそのままだ)
(アレを見つけれれば勝てる!)
そしてカミナは確信する
「考える余裕あるのかよ!」
「ッ!グゥッ!」
人狼の前蹴りがカミナに直撃する。咄嗟にガードはしたが、子供の体重ではボールのように飛ばされてしまう。
だが、運はカミナに味方した
着地したカミナはゴミ捨て場に駆け出す
(見つけた!)
「逃すか!」
人狼も突っ込む
しかし蹴り飛ばされた影響か、ゴミ捨て場に先に着いたのは人狼だった
「これで無駄に終わったなぁ!」
人狼の蹴りでゴミがほとんど舞う
カミナの求めていた物以外が
カミナは重くて吹き飛ばなかったソレを、蹴りをして隙だらけの人狼の顔面に全力で蹴り飛ばす
「こんな攻撃今更だ・・・く、臭え!」
「前までこの辺りには弁当屋があってな。相当昔の油だぜ」
カミナが蹴り飛ばしたのは古い油缶だ。商店街でゴミが放置されたままとカミナは覚えていたのだ。
そして
「これで鼻は死んだな!」
「ッ!しまっ・・・グフゥ!」
カミナの拳が意識外から顎に叩き込まれる
そう、人狼はカミナの血の匂いで不意打ちを防いでいたのだ
だからカミナは油の匂いで血の匂いを感知できないようにしたのだ
「ク、ガキがぁ・・・」
顎にもろに攻撃を受けてしまい、ふらつく人狼
(これで、トドメだ!)
カミナは人狼に突っ込む
作戦が上手く決まったからだろう。カミナは慢心してしまったのだ
人狼が吠えた
「アォオオオオオオオン‼︎」
「ぐぅあ!」
それを至近距離で浴びたカミナは意識が朦朧としてしまう
そんな隙を見逃す人狼じゃない
「そらよ!」
「ゴハァ!」
カミナは腹に拳をもろに食う
そのまま30メートルほど吹き飛び、壁に叩きつけられた衝撃で呼吸ができなくなる
「ガハッ・・・ゴホッ」
「強くてもやっぱガキだな。軽いし脆すぎる」
カミナは呼吸を整えながら考える
(どうする、考えろ!このままじゃ死ぬ!どうする、アニキならどうする!)
人狼がゆっくり近づいてくる
(・・・なんで無意識にアニキに頼ってんだよ)
(お前は誰だよ)
(俺は誰だよッ!)
(・・・俺は)
(・・・俺は・・・俺を)
カミナは立ち上がる
「俺を誰だと思ってやがる‼︎俺は神名だ!カミナのアニキじゃねぇ‼︎」
「俺は俺だ‼︎」
「知ったことか!」
人狼の拳が迫る
「うぉおおおおお!」
負けじとカミナも拳を突き出す
しかしカミナの拳は弾かれ、人狼にガラ空きのボディをさらす
だがその攻撃はカミナの全身から溢れ出たエネルギーによって防がれる
人狼は焦る
「な、なんだこりゃ‼︎」
ーーーーーーー
カミナはエネルギーの中でナニかを感じていた
歯車がはまるような、写真が鮮明になるような、霧が晴れるような感覚だった
(・・そっか、俺は、神野神名はカミナのアニキだったのか)
声が聞こえてくる
『よく頑張ったな兄弟!』
(アンタはアニキか?)
『おう、お前の気合い見せて貰った!』
(じゃあ、後は頼みます)
『は?てめぇ何を言ってやがる』
(アニキが出て来たってことはもう俺は要らないでしょう?だから・・・)
『馬っ鹿野郎が‼︎』
(⁉︎)
「お前は俺で、俺はお前だろうが!」
(いや、そうだけど記憶とか人格とかどうするんだよ)
『ハッ、おい神名。"あれ"をやるぞ』
(あれって?)
『決まってるだろ?合体だぁ‼︎』
(はぁ⁉︎何言ってんだよ、ガンメンでもないのに無理に決まってるだろ⁉︎無茶苦茶だ!)
『バカヤロウ!無理をとおして、道理を蹴っ飛ばすんだよ、それがオレたち、グレン団のやり方だろうが!』
当たり前だそんなことしたら人格が崩壊してもおかしくないのだ
だが、いやだからかカミナにはもう迷いはなかった
(あ〜もう、こうなりゃヤケだ!やってやる!)
『よっしゃあ、いくぜぇ‼︎』
ーーーーーーーーー
瞬間、カミナから溢れていたエネルギーが、"螺旋力"がカミナを包むように渦を巻く
そして中から出てきたカミナは見慣れないサングラスを着けていた
「な、んだよ、何なんだよお前は⁉︎」
「あん? 俺が誰かだと?なら教えてやるからそのデカい耳の穴かっぽじってよぉ〜く聞きやがれ!」
月光がカミナを照らす
カミナは天に指を刺す
「無茶で無謀と笑われようと 意地が支えのケンカ道 壁があったら殴って壊す 道がなければ この手で作る!兄弟合体、『神野カミナ』‼︎俺を!俺たちを誰だと思っていやがる!」
読了感謝を
はい、グレンラガンならぬ 神名カミナ(わざと)の完成です。このシーンが書きたかった
もうすぐ序章が終わります。お楽しみに
あ、感想意見を貰えると天元突破します