にじさんじ×ワールドトリガー   作:Mr.ソロ

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大好きなにじさんじとワールドトリガーの妄想が抑え切れず、また誰も(この時)書いていないようだったので始めました。
ポケモンのクロスオーバーも書いてるので投降頻度はその時々になります。途中で諦めたらすみません!その時は誰か書いて!


第1話「にじさんじ」

 

三門市...人口28万人

 

ある日、この街に異世界へのゲートが開いた

 

 

"ネイバー"

 

後にそう呼ばれる異次元からの侵略者がゲート付近の地域を蹂躙。街は恐怖に包まれた

 

こちらの世界とは異なる技術を持つネイバーには地球上の兵器は効果が薄く、誰もが都市の壊滅は時間の問題と思いはじめた...その時

 

突如現れた謎の一団がネイバーを撃退しこう言った

 

 

「こいつらのことは任せてほしい。我々はこの日のためにずっと備えてきた」

 

 

近界民の技術を独自に研究し、"こちら側"の世界を守るために戦う組織

 

界境防衛機関"ボーダー"

 

彼等は僅かな期間で巨大な基地を作り上げ、近界民に対する防衛体制を整えた

 

 

 

それから約三年と半年...

 

 

とある企業に所属するある者達がボーダーに入隊する

 

 

 

 

 

 

4月の末頃…年に3回あるボーダーの正式入隊日の数日前

 

ボーダーの顔役とも言えるA級5位嵐山隊のメンバーは、その日の夕刻まで隊室で広報関連の仕事をこなしていた

 

 

「ところで、正式入隊日の資料にはもう目を通したか?」

 

 

その日の業務があと少しに差し掛かったところで、隊長の嵐山准が木虎藍、時枝充、佐鳥賢、綾辻遥にそう訊ねる

 

4人は頷き、そのまま今期の新入隊員についての話に移る

 

 

「いやぁ、前回の緑川に続いて今回も大型ルーキーがいますよね〜!」

 

「黒江双葉ちゃん…でしたね」

 

「そうそう!あんな小さくて可愛い女の子がね〜!」

 

「なに浮かれてるんですか、佐鳥先輩。たしかに黒江ちゃんは優秀そうですが、他の新入隊員はパッとしない人ばかり。数ばかり増えても意味はありません」

 

「たしかに、C級であるうちは装備も不十分で実際の戦闘には貢献出来ないだろうけど、同じ志を持つ人が増えることは良いことだ。それに、数の多さが活きる時だってあるはずさ」

 

「そう厳しく見ないで、長い目で見てあげてもいいんじゃないかな?」

 

「先輩達は甘いんです。ボーダーに入れただけで満足するような人はC級止まり。質は当然ですが、努力する精神力と意志がなければボーダーにとっては無価値です」

 

 

木虎はトリオン能力の低さを自身の素質と努力によって補い、それを嵐山に買われてA級隊員となった努力家である

 

彼女が新人や今現在所属しているC級隊員に厳しい評価と態度を取るのはそういう背景があるからであり、それをよく知る嵐山隊の全員は理解しているからこそ、その言い分を強く否定したりはしない

 

真面目な木虎の言い分に嵐山達が苦笑いで応えたところで、隊室の扉がノックされる

 

綾辻が扉を開けると、そこにはボーダー本部長の忍田真史が資料を手に立っていた

 

 

「忍田本部長!」

 

「すまないな、嵐山。こんな時間に」

 

「いえ、構いません。何か急用ですか?」

 

「数日後の正式入隊日に入隊する隊員が急遽追加された。これがその資料だ」

 

「新入隊員の追加…!それもこんなにですか…!?」

 

 

忍田から渡された資料の束を見て、嵐山はもちろん他のメンバーも驚く

 

新入隊員の選定は先月の中旬までに終えており、それ以降の追加はこれまで例になかった

 

その上、1人や2人の追加ではなく、資料の分厚さからしてざっと50人以上。急にしてはありえないくらいの人数であった

 

 

「どうしてこんな急に…!」

 

「あぁぁぁぁぁぁっ…!!?」

 

 

木虎が困惑の声を上げるなか、資料を見た佐鳥が驚いたような叫び声を上げる

 

 

「き、急に大声出さないでください!佐鳥先輩!」

 

「し、忍田本部長!これ…本人達ですか!?というか知ってるんですか!?」

 

 

木虎の文句が届いてないのか、佐鳥は木虎を無視して忍田へ質問を投げる

 

 

「彼等がどういう存在かはつい最近知った。その本人達で間違いはない」

 

「え?これ現実…?夢じゃないんすよね…?」

 

「丁度いいので、よければ1発引っ叩いてあげましょうか?」

 

「まあまあ、落ち着いて」

 

「賢、この新入隊員について何か知ってるのか?」

 

 

佐鳥は一度呼吸を整え、落ち着いてから口を開く

 

 

「嵐山さん達は知らないっすよね。この資料の人達は全員、動画配信サイトにおける超有名事務所…にじさんじのライバーなんですよ」

 

「ライバー…?」

 

「まあ、ネット界隈の芸能人みたいなものです。ただ、この人達は先月に港区で起きたネイバーの侵攻の被害にあって今は活動を休止してるんですよ」

 

 

"港区でのネイバーの侵攻"…それを聞いた嵐山達は更に驚愕する

 

3月の初頭、東京の港区でイレギュラーなゲートが発生。そこから現れたネイバーによって周辺地域は被害を負ったが、偶然近くに居合わせていた玉狛支部の隊員によって沈静化されたという4年前の三門市大規模侵攻以来の大事件があった

 

 

(その被害者達がボーダーに…。まだ事件から日も浅いのに…)

 

 

心身ともにその傷が癒切っていないであろうその者達の入隊に嵐山が心を痛めるなか、この異例な件について木虎が忍田に問い詰める

 

 

「ですが、腑に落ちません。この人数の急な入隊を追加するには相応の理由があると思いますが…忍田本部長、御説明していただけますか?」

 

 

たしかに、資料の者達が例の侵攻に関わっており、一企業のタレント的存在だということを加味してもまずありえない事態だった

 

 

「俺からもお願いします。忍田さん」

 

 

彼等の入隊式のオリエンテーションを担当する以上、こうなったことの理由を知る必要がある。そう思った嵐山も忍田への説明を要望する

 

 

「そうだな、説明しておこう。彼等は玉狛支部がスカウトしてきた隊員だ」

 

 

 

 

5月初旬…この日はボーダーの正式入隊日。入隊式が執り行われる会場には入隊の時を待つ新入隊員で溢れており、ざわついていた

 

だが、そのざわつきは気分が落ち着かなかったり、ボーダーに入隊することへの緊張や興奮等からではない

 

同じ会場内…その端に固まっているある集団の存在があったからだ

 

 

「おい!あれ本物か!?」

 

「うそ...!なんでここに...!?」

 

「なんだ?あそこの集団、有名人なのか?」

 

「お前知らないのか!?にじさんじだよ!にじさんじ!動画配信グループの!」

 

「3月に事務所がある東京の港区がネイバーに襲われて今は活動休止のはずだろ…!?なんでボーダーに...!?」

 

「うわぁ...!久しぶりに見るJK組...!しかも生で...!あれ以来音沙汰なかったからネイバーに攫われたかと思ってたけど...よかったぁ...!」

 

「ねぇ!あそこあそこ!クロノワの2人!あっ...!叶さんがこっち見た...!え...!!?手振ってる...!やばいやばいやばい!嬉しくて手震えて振れないんだけど...!っていうか嬉しすぎて死にそう...!」

 

 

その集団...知る人ぞ知るにじさんじのライバーに会場にいる全新入隊員の視線が集まる

 

 

「おい、叶...。なに浮かれてんだよ」

 

「浮かれてるわけじゃないよ。しばらく活動してなかったわけだし、僕達のことを心配してたリスナーにせめてものファンサをしてるだけだよ」

 

「...なんでもいいけどよ、目的は忘れんなよ」

 

「分かってる。でも葛葉はもう少しその怖い顔をなんとかした方がいいじゃない?」

 

「…そういう気分じゃねぇんだよ」

 

「いやぁ、それにしてもやっぱり目立ちますね。普段は画面越しだから緊張しません?僕はそうでもないですけど」

 

「まあ、人前に出ることなんてなかなかないからね。ライブに出たことある人はそうでもないだろうけど」

 

「そういう黛さんもあまり緊張しているようには見えませんね」

 

「まゆゆはメンタル強いからなぁ」

 

 

集まる視線に動じず談笑をしている者もいれば、自分達のことを知っているであろう同じ新入隊員もといリスナーに手を振るなどのファンサをする者もいる

 

 

「あれが例の...ネットの有名人だかなんだか知らないけど、調子に乗っていられるのも今の内だけよ」

 

 

そんな彼等を会場奥の壇上の端...幕の陰に待機して見ていた木虎はぼそりと呟く

 

別段、彼等が周囲から注目されていることに嫉妬しているとかではない。断じてない

 

ボーダーにおいて重要なのは隊員としての価値

 

これまで動画配信という娯楽産業の一つで人々を楽しませ、それ故の人気があるだけの人がやっていけるほどここは甘くはない

 

木虎が心中で彼等のことを批評していると、会場にボーダー本部長の忍田真史が姿を現す

 

忍田が現れた同時に、会場の新入隊員は中央へと集まり整列。整い次第、忍田が入隊式を執り行う

 

 

「ボーダー本部長:忍田真史だ。君達の入隊を歓迎する。君達は本日、C級隊員...つまり、訓練生として入隊するが、三門市...いや、先月に起きた東京港区の一件...ネイバーによる脅威はこの三門市以外でも起こっている。その脅威に脅かされている人類の未来は君達の双肩に掛かっている。日々研鑽し、正隊員を目指してほしい。君達と共に戦える日を待っている」

 

 

忍田の演説にパチパチと拍手が送られる

 

 

「私からは以上だ。この先の説明は嵐山隊に一任する」

 

 

拍手が収まり、最後にそう告げて忍田が会場から出た後、壇上の幕の奥から嵐山達が現れる

 

嵐山隊の登場に一部の隊員が騒めくが、今は正式入隊の最中

 

程なくして静まり、それを確認した嵐山が説明を始める

 

 

「さて、これからオリエンテーションを始めるが、まずはポジションごとに分かれてもらう」

 

 

そう切り出した嵐山はスナイパーを希望する隊員を佐鳥の案内のもと専用の訓練場へと移動させ、残ったアタッカー、ガンナーを希望する隊員に改めて説明を始める

 

 

「改めてアタッカー組とガンナー組を担当する嵐山隊の嵐山准だ。まずは入隊おめでとう。忍田本部長もさっき言っていたが、君達は訓練生だ。B級に昇格して正隊員にならなければ防衛任務には就けない。じゃあどうすれば正隊員になれるのか...最初にそれを説明する。各自、自分の左手の甲を見てくれ」

 

 

嵐山隊に促され、その場の全員が自身の左手の甲に注目する。そこには4桁の数字が示されていた

 

 

「君達が今起動させているトリガーホルダーには各自が選んだ戦闘用トリガーが1つだけ入っている。左手の数字は君達がそのトリガーをどれだけ使いこなしているかを表す数字だ。その数字を4000まで上げること...それがB級昇格の条件だ」

 

 

"だが..."と嵐山は続ける

 

 

「仮入隊の間に高い素質を認められた者はポイントが上乗せされてスタートする。当然、その分即戦力としての期待がかかっている。そのつもりで励んでくれ」

 

 

本人の強さを数値という目に見えるもので示す

 

ならば当然、より強いと判断され、相応の数値を与えられた者はどんな人なのかと人は新入隊員達は周囲を見渡す

 

 

「おい…!あの小さい女の子見ろよ…!3400ポイント…!」

 

 

それを見つけた1人の声に、新入隊員達はある少女に注目する

 

右手の甲に3400の数値が示された少女…黒江双葉は周囲からの視線などまるで興味無いかのように表情を変えず堂々と佇む

 

新入隊員達がざわつくなか、それを圧し殺すように木虎が大きく咳払いをする

 

 

「静かに。まだ説明の最中よ」

 

 

嵐山とは違い、厳しい姿勢を見せる木虎の注意に全員が一斉に口を閉じ、姿勢を正す

 

 

「じゃあ再開するぞ。そのポイントを上げる方法は2つある。その1つは週2回ある幾つかの合同訓練でいい結果を残すこと。これからその訓練を体験してもらうから、ついて来てくれ」

 

 

 

 

嵐山に案内され、一同は通路を移動して先程の会場よりも広々とした空間に到着する

 

 

「さあ、到着だ。ここでの訓練は対ネイバー戦闘訓練だ。仮想戦闘モードの部屋の中でボーダーの集積データから再現されたネイバーと戦ってもらう」

 

 

入隊初日の最初の訓練が本物ではないとはいえ、ネイバーとの戦闘訓練だと知った新入隊員の多くから戸惑いの声が上がる

 

嵐山がこの訓練の説明を軽くし終え、各自に行うよう促すも、急な戦闘に心の準備が出来てないからか多くの者が訓練室へと入るかどうか足踏みしていた

 

そんな彼等を見兼ねてか、それとも単に誰も始めないから遠慮しなくていいと思ったからか、先程そのポイントの高さから注目されていた黒江…そして、例の集団:にじさんじの中から金髪の青年と白髪の青年の2人が進み出て訓練室へと入る

 

 

(黒江ちゃんはともかく、あの2人…。緊張してる様子もないってことは余程自信があるってことかしら?それとも自惚れてるのか…見せてもらおうじゃない)

 

 

部屋の後方…全体を広く見渡せる場所で監督していた木虎は見下すように彼等を見定めようとするが、当の本人達はそんなことなどいざ知らず、室内に出現した訓練用ネイバーと向かい合う

 

そして訓練開始のアナウンスが流れた...直後

 

 

ザンッ!

ザシュッ!

 

 

一瞬の出来事...アナウンスと同時に金髪の青年と白髪の青年の2人がそれぞれ手にしたトリガーを振るい、訓練用ネイバーの急所となるコアを破壊した

 

『記録...0.1秒』

 

あまりの出来事に数秒の静寂が訪れた後...

 

 

「うおおおおおお!!すげぇぇぇぇぇ!!」

 

 

後方で立ち尽くしていた新入隊員から大きな歓声が上がる

 

 

「見たか今の...!?早すぎて何も見えなかったぞ!」

 

「0.1秒ってマジでヤバくないか!?」

 

「しかも2人同時...マジで何なんだあの人達...!」

 

 

2人が叩き出した記録に新入隊員は興奮や驚愕の色に染まる

 

 

「…っ!」

 

 

その中で、2人から遅れること約11秒…訓練を終えて出てきた黒江は悔しさと怒りが混ざった眼差しを向けていた

 

 

(黒江ちゃんの11秒も流石だけど…)

 

(あの2人…!なんて戦闘能力だ…!)

 

 

そして、この記録の凄さを理解している正隊員は皆同様にして驚愕していた

 

先程まで彼等を見下していた木虎でさえも

 

 

(なによあれ...!明らかに一般人の動きじゃない...!)

 

 

ボーダーに入隊後、嵐山隊に属してA級隊員になってからまだ半年少しの木虎でも、この場にいる新入隊員と違って2人の戦闘能力を真の意味で理解していた

 

現在、ボーダーにおける対ネイバー戦闘訓練の最高記録は草壁隊アタッカー:緑川駿の4秒

 

だが、これはあくまで初訓練時での記録

 

木虎は当初9秒だったが、今行えばもっと速い記録を出せるだろう

 

問題なのは、初めてで1秒...それよりも速い0.1秒という記録を出しているということはそれだけ戦闘能力が優れているということ

 

今しがた訓練をこなした2人は明らかに素人ではなく、戦い慣れた者の動きであり、文句なしの即戦力...A級のトップアタッカーにも勝る可能性すらあった

 

 

(ただの動画配信者がなんで...一体何者なの...!)

 

 

木虎は額から流れる冷や汗に気付かないほどに、謎が深い彼等の正体は何なのか...と思考を巡らせる

 

その後、彼等に続いてにじさんじの隊員が次々と訓練室へと入っていき、その半数以上が1分以内...中には最初の2人と同じく1秒を切る者も現れた

 

にじさんじの隊員が戦闘訓練を終え、残りのC級隊員が訓練を始めたところで、彼等の訓練を監督していた嵐山の隣に一人の青年が現れる

 

 

「よお、嵐山。どうだ?今期の新人は」

 

 

額にサングラスを掛けた青年...迅悠一は手すりにもたれかけ声を掛ける

 

 

「迅!珍しいな、お前がC級のオリエンテーションに顔を出すなんて...!」

 

 

最近では本部...それも上層部への用事くらいでしか訪れない彼の登場に驚く嵐山だったが、すぐに彼等をスカウトしたのが玉狛だということを思い出した

 

 

「…例の事件の時にあの人達をスカウトしたのか?」

 

「まあね」

 

 

嵐山の問いに迅はニヤリと笑いながら答える

 

"やっぱりか…"と、嵐山はそう呟き、話題の彼等に視線を移す

 

しばらく黙った後、1つの疑問が生まれた嵐山は再び迅に問いただす

 

 

「なあ、迅…。どうしてあの人達をスカウトしたんだ?」

 

「…というと?」

 

「あの人達はたしかに逸材だ…これから仲間になってくれると思うと心強い。だが、例の事件の被害者なんだろ?ということは、ネイバーへの恨みも相当なものなんじゃないか?」

 

 

ボーダーには、ネイバーへの恨みを持つ隊員が少なからず在籍している

 

その恐怖を味わった者…家を奪われた者…そして、大切な人を攫われた…又は永遠に奪われた者

 

恨みの程度は人それぞれだが、ボーダーで特にネイバーに強い憎しみを持つ者を嵐山は知っている

 

いや、彼についてそれ以上に知っているのは迅本人だろう

 

ネイバーへの強い憎しみに囚われた彼を見る度に、嵐山の心は苦しくなる

 

彼はいつまで、この憎しみに苦しめ続けられるのだろうと…

 

いつになれば、彼の心に平穏が取り戻されるのだろうと…

 

とはいえ、彼がボーダーに入ったのは彼自信の意思によるものだ…誰かに誘われたわけではない

 

そして、目の前の彼等…にじさんじと呼ばれている人達はつい最近にネイバーの脅威を味わい、にも関わらずボーダーに入隊したということは余程の理由…すなわちは大切な誰かを奪われた憎しみがあるからではないか?

 

だとすれば、彼等の中から第2、第3の彼が生まれるかもしれない

 

何も手を加えずとも、いずれはボーダーの存在を知り、入隊していた可能性もあっただろう。もちろん、そうでない可能性も

 

だが、玉狛は…迅は敢えて彼等の傷が癒え切ってない日の浅い内にスカウトしたのだ

 

そうまでして何故、今彼等をスカウトしたのか?

 

迅が冷酷非道な人間ではないことを知っているからこそ、嵐山はその理由を聞きたかった

 

 

「...まあ、嵐山には言ってもいいかな。その代わり、他言無用で頼むぞ」

 

 

しばらく黙考した後、周囲の誰にも聞かれないよう迅は内部通話に切り替えて嵐山に説明する

 

 

『ーーーーー』

 

『......!』

 

 

誰にもその内容は分からない。ましてや、存在自体には気付いていても、誰も嵐山と迅が内部通話をしているなんて思ってもいない

 

木虎と時枝でさえ、"珍しく迅さんがいる"程度にしか思わず、時枝は黙々と新入隊員の訓練の監督を、木虎はにじさんじの隊員に意識を割いていた

 

だから誰も...嵐山の驚いた顔に気付くことはなかった

 

 

『迅...今の話は本当なのか?』

 

『あぁ、本当だ。俺達玉狛は当然、城戸さんや忍田さん…そして彼等にも伝えてある』

 

『彼等は危険を承知した上で入隊したのか…!どうして…!』

 

 

嵐山からの再びの問いに、迅はにじさんじの面々を見据えながら口を開く

 

 

『俺達と彼等にとって…その未来がとても重要なものだからだ』

 

 

"重要な未来"...その言葉を聞いて、自身が予想している以上の何かがあり、それに彼等が重要な存在であると理解した嵐山は、思わず固唾を呑む

 

 

「まあ、とは言ってもまだ先の話だ。その時が近づいたらまた伝えるよ。あ、それと来月のB級ランク戦は面白くなるぞ、嵐山。楽しみにしてろよ」

 

 

先程までの真面目な雰囲気が嘘かのように明るい表情で内部通話を切った迅は、そう言い残して訓練場から去って行った

 

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