にじさんじ×ワールドトリガー   作:Mr.ソロ

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第5話「エクス・アルビオ③」

 

『花畑隊長の旋空一閃…!吉里隊長ここでベイルアウトォ…ッ!花畑隊が1点を獲得し、早くも吉里隊は全滅です…!』

 

 

桜子の実況と共に会場から歓声が沸き上がる

 

吉里隊がB級下位部隊とはいえあっさりと全滅してしまい、にじさんじを知る者からすれば興奮せざるを得ない試合展開に観覧席の隊員達は目を見張っていた

 

 

『さあ、B級ランク戦1日目昼の部・下位グループの試合は早くも予想外の展開となりました!吉里隊が全滅して残るは先月入隊して結成から日も浅いにじさんじ支部の2部隊!交戦を開始したエクス隊長は左手にレイガストも起動し、花畑隊長の弧月二刀と鬩ぎ合う!しかしこの状況、イブラヒム隊員の援護があるエクス隊長が有利か!』

 

 

桜子が実況するなか、モニターに映る2人は交戦を開始…二刀の弧月で強気に攻めるチャイカをエクスは弧月とレイガストで捌いていく

 

その最中、エクスを攻めるチャイカの顔面を狙ってイブラヒムが狙撃

 

だが、それをチャイカは集中シールドで防ぎ切る

 

 

『イブラヒム隊員の狙撃!しかし、花畑隊長!集中シールドで見事に防御!』

 

『先程の北添隊員への狙撃でイブラヒム隊員の位置は割れていますからね。弾の出処が分かっていれば、トリオン体の反応速度次第で防御は可能です』

 

『とは言っても、他に意識を割かなきゃならない状況でやってのける奴もそういねぇ。花畑さんもなかなかの手練れっすね』

 

 

チャイカの戦闘能力の高さに迅と米屋が解説するなか、交戦しているエクス達以外も動きを見せる

 

 

『おっと…!ここで花畑隊の樋口隊員とベルモンド隊員がバッグワームを起動!位置が割れたイブラヒム隊員を獲りに行く動きか…!』

 

 

桜子の実況に、観客の隊員達は指摘された楓達の動きに注目する

 

 

 

 

「おらぁっ!」

 

「フンッ!」

 

 

市街地A西…住宅に囲まれた通りでエクスとチャイカは互角に凌ぎ合っていた

 

ドンッ!

 

その最中、イブラヒムのイーグレットによる狙撃がチャイカを襲うが、チャイカはその瞬間に急所を集中シールドで守りつつ、体を僅かに動かしたり捻ることで手脚等への被弾を回避する

 

 

『マジで全然当たんねぇんだけど、チャイカさん…!反射神経ヤバ過ぎだろ…!』

 

『しかも狙撃に合わせた俺の攻撃にも完璧に対応してくる…!この人を落とすなら狙撃は弾速と連射性のあるライトニングじゃないと通らないな…!』

 

 

ライバーとして活動していた頃はこのような機会はなかったため、初めて体感させられたチャイカの強さにエクスとイブラヒムはそれぞれの所感を内部通信で口にする

 

 

『エビオ先輩!レーダーから2人消えたよ!』

 

 

そんななか、内部通信に割り入ってきたメリッサからの報告にエクス達は耳を傾ける

 

 

『樋口さんとベルモンドさんか…!ヒム!そこから2人は見えるか!?』

 

『え〜っと…!ベルさんが真っ直ぐこっちに向かって来てるのは見えた!でろーんさんは…見当たらねぇ!』

 

『見当たらないか…。まあでも、樋口さんも間違いなくヒムを狙いには来てるだろうな』

 

『向こうからしたら俺が1番獲りやすい相手だろうからな。どうする?狙撃場所を移動するか?』

 

『…いや、俺の方に合流して来ていいよ。チャイカさんには初弾しか狙撃は通用しないだろうし、ここは連携した方が勝ち目があると思う』

 

『それもそうか。OK、そっちに向かうわ』

 

『フレンさんはベルさんを頼む!樋口さんが何処にいるか分からないから、奇襲にも警戒しろよ!』

 

 

"了解!"と、エクスの指示と警告フレンは返答する

 

 

 

 

(狙撃が止んだ…。移動したか…?)

 

 

市街地A中央…南東からイブラヒムがいるとされる建物に向かって走っていた花畑隊アタッカー:ベルモンド・バンデラスは同じく花畑隊のアタッカーである樋口楓と共にバッグワームを起動して以降狙撃が止んでいることから、イブラヒムがその位置から移動したのではないかと考える

 

だが、そう思わせるために沈黙して次の狙撃の機会を窺っている可能性も0ではない。

 

なにより、ベルモンドにはチャイカから任された役目がある

 

故にベルモンドは作戦を変えず、真っ直ぐイブラヒムがいるであろう建物へと走り続ける

 

 

「見つけた…っ!」

 

「おっと、フレンか…!まあ、そりゃ当然か…バッグワームを着ているとは言え、イブラヒムが索敵していないわけないもんな…!」

 

 

目標の建物との距離が残り300m程まで迫ったその時、家屋の屋根上から自身を見つけて声を上げると共に飛び降りて来たフレンが目の前に立ち塞がり、ベルモンドは弧月とレイガストをそれぞれ両手に起動させる

 

 

「へぇ、ベルさんもアルビオと同じで弧月+レイガストなんですね」

 

「お前さんやエクス相手に剣1本じゃ勝てないからな。まあ、これで互角になるとも思っちゃいないんだが…」

 

「勿論です!ベルさんには悪いですけど、勝たせてもらいます!」

 

「随分と余裕な上に、隠す気もなく堂々と言ってくれるな…!」

 

「それじゃあ、いきますよ!」

 

 

そう言い放つとフレンは弧月を抜刀し、ベルモンドへと突っ込んだ

 

 

 

 

『MAP中央でフレン隊員とベルモンド隊員が交戦を開始!その北では建物の屋上で陣取っていたイブラヒム隊員が西へと移動!エクス隊長との合流を目指す模様!』

 

『花畑隊長には今のところ狙撃が通用していませんからね。ガンナーとして連携した方が勝算があると考えたんでしょう』

 

『しかし、樋口隊員も狙って来ていることを考えるならすぐ近くのフレン隊員と合流して、ベルモンド隊員を落とす方が良いように思えますが…』

 

『そうしないってことは、ベルモンドさんよりもチャイカさんを重く見てるってことなんだろ。サシでエクスさんと張り合える相手だしな』

 

 

自身の意見に対する米屋の考えに桜子は"なるほど…!"と相槌を入れる

 

 

『しかし、ここでイブラヒム隊員が移動したということは…!』

 

『ああ…。どうやら、花畑隊の思惑通りになりそうだな』

 

 

 

 

ガキンッ!

 

 

市街地A西側…並び建つ住宅の屋根上に上がったエクスとチャイカは激しい攻防を繰り広げていた

 

ただし、先程と違ってチャイカが2刀の弧月を絶え間なく振るい、エクスがそれを弧月とレイガストでひたすら捌くという一方的なものであった

 

 

「さっきまでと違って守ってばかりとは随分と消極的だなぁ、エクス!俺をボコボコにするんじゃなかったのかぁ!?」

 

「勿論ボコボコにしてあげますよ!でも、1人でやるとは言ってません!」

 

 

楓とベルモンドがバッグワームを起動してレーダーから姿を消したと共に、イブラヒムの狙撃が止んだ辺りからエクスの攻めは鳴りを潜めていた

 

そのことをチャイカは挑発するように指摘し、エクスはそれに普段の調子で返答する

 

 

「だろうな!どうせ、お前はこの試合で本気を出すつもりはないんだろう!?」

 

「…!」

 

 

だが、チャイカから返された予測で図星を突かれたのか、エクスは少し驚いたように目を見開く

 

 

「1試合目から手の内も実力も全部曝け出したくない。だが、手を抜いたら俺には勝てない。だからイブラヒムの狙撃準備が整うまたは合流するまで時間を稼いでる…そうだろ?」

 

「…さあ、それはどうですかね?」

 

「しらばっくれても意味ねぇぞ。まあ、考えてることはこっちも同じなんだけどなぁっ!」

 

 

答えをはぐらかすエクスにチャイカはそう言い放つと急に後ろへと大きく飛び退く

 

 

ダンッ!

 

「…っ!?」

 

 

それとほぼ同時に、自身の左…南側の建物の屋根上から足音が聞こえたエクスは咄嗟にシールドを展開する

 

 

ドドドドドッ!

 

 

直後、足音が聞こえた建物の屋根上に姿を現した花畑隊の楓の突撃銃の銃口が火を噴き、アステロイドの銃撃がエクスに襲い掛かる

 

 

(樋口さん…っ!ベルさんと一緒にヒムを狙いに行ったにしては合流が早過ぎる…!ってことは樋口さんの狙いは最初から俺で、バッグワームで身を潜めたのはチャイカさんとの合流を気付かせないためか…!)

 

 

イブラヒムの狙撃位置が割れた直後にベルモンドと楓の2人共がバッグワームでレーダーから消えたことから彼を仕留めに来るとエクスは考えていた

 

だが、チャイカはエクスがそう考えることを予測し、イブラヒムを狙撃位置から移動させると踏んで、その間に数の有利を活かしてエクスを仕留めるべく楓を合流させたのだ

 

 

(イブラヒムが次の狙撃位置に移動していようとエクスとの合流を目指していようとも、このタイミングですぐに援護は出来ない…!この好機を失う前に仕留める…!)

 

 

思惑通り、イブラヒムを狙撃位置から移動させたことでエクスがすぐさま援護を貰えない状態を作り出せたチャイカは邪魔が入らない内に仕留めようと2刀の弧月で旋空を放つ構えを取る

 

 

「…っ!」

 

 

それを見たエクスは素早く楓のアステロイドに対する防御をシールドからレイガストへと変える

 

 

「スラスター・オン!」

 

「「…っ!?」」

 

 

その直後、即座にレイガストのオプショントリガーであるスラスターを起動させたエクスはその推進力を以って楓へと突進する

 

撃ち続けるアステロイドはレイガストの堅い防御を破ることは出来ず、楓らスラスターでの突撃を受けて吹き飛ばされ、道路を1つ挟んだ向かいの建物の屋根上に叩き付けられる

 

 

「ふんっ…!」

 

 

楓が吹き飛ばされた瞬間、チャイカは構えていた2刀の弧月による旋空をエクスへと振るう

 

即座にチャイカへと向き直ったエクスは右手の弧月で旋空の1つを受太刀して防ぎ切るが、もう1つを防ぐことは間に合わず、それによって左脚の膝から下を斬り飛ばされる

 

 

「…っ!」

 

『でろーんさん、大丈夫か…!』

 

『大丈夫…!ビックリしたけど、もう同じ手は食わんからな…!』

 

 

楓はチャイカからの内部通信を受け取るとすぐに起き上がり、再びエクスの動きを封じるために突撃銃を構える

 

 

ドンッ!

 

「…っ!?」

 

 

楓が突撃銃の引き金を引こうとしたその瞬間、東側から放たれた弾丸が彼女の右肩を撃ち抜くと共に右腕を吹き飛ばした

 

 

(狙撃…っ!ってことは…っ!)

 

 

意識外からの狙撃に驚いた楓が視線を移す東に約200m先の建物の屋根上…そこにはバッグワームを身に纏い、イーグレットを構えたイブラヒムの姿があった

 

そして、楓が負傷したことに合わせてエクスは弧月を構えて彼女の下へと飛び出す

 

 

「させるかよ…!」

 

ドンッ!ドンッ!ドンッ!

 

 

楓を仕留めようと動くエクスを阻止するべく、旋空の射程範囲内に捉えようとチャイカも後を追おうと飛び出す

 

だが、それを見越していたイブラヒムがイーグレットとバッグワームを解除して2丁の拳銃を構え、左手の拳銃で弧を描くようにハウンドを撃ち上げると共に右手の拳銃でアステロイドを射撃する

 

 

「…っ!」

 

 

同時に着弾してくるアステロイドとハウンドから身を守るため、エクスへの攻撃を阻止されたチャイカはそれぞれの弾丸を展開したシールドで防御する

 

 

「くっ…!」

 

 

チャイカの援護も叶わなくなった楓はエクスから振われる弧月を受太刀しようと左腰に弧月が収まった鞘を生成する

 

 

ズバンッ!

 

 

だが、弧月を引き抜くことは間に合わず、反射的に展開したシールドも割られた楓はエクスに両断される

 

 

『トリオン体活動限界、ベイルアウト』

 

 

機械音声から脱落を告げられた楓は光の柱となって仮想戦場を離脱し、その後すぐにエクスはイブラヒムの下へ駆け寄る

 

 

「危なかった〜…!ヒム、ナイス援護!」

 

「いや、お前こそ無傷じゃないにしてもよく持ち堪えたな。さてと…」

 

 

楓を落として一呼吸入れたエクスとイブラヒムは目の前に佇むチャイカを見据える

 

 

「予定通り、俺が射撃で援護する感じでいいんだよな?」

 

「それなんだけど…やっぱりヒムはフレンさんの援護に行ってもらっていい?」

 

「はあ…!?お前片脚やられてんだろ…!それでチャイカさんに勝てんのか…!?」

 

「正面からじゃまず勝てないな…。というか、片脚失くなったこの状態だと正直ヒムの援護があっても勝てる可能性低いぞ…」

 

 

片脚が無いということは即ち、機動力の低下に加えて踏ん張りが弱まるために力で押し負けたり、体勢を崩しやすくなる

 

そのため、これまで互角だったチャイカとの戦闘はエクスにとって不利に傾いていた

 

 

「…つまり、フレンと合流してベルさんを無傷で倒す方が勝算があるってことか」

 

「そういうこと。それに多分、ベルさんはフレンさんに勝つつもりがないだろうから時間稼ぎの守りに徹してるはず。チャイカさんが俺を倒すまでな」

 

「そういうことか…。分かった、なるべく粘ってくれよ!」

 

 

エクスの意図を理解したイブラヒムはそう言い残してフレンの下へと駆け出して行った

 

 

「粘る…ね。まあ、時間を稼ぐだけ稼いで負けるつもりは全く無いんだけどな」

 

 

 

 

『樋口隊員ベイルアウト!均衡を破ったのはアルビオ隊:エクス隊長!イブラヒム隊員の援護に助けられ、弧月で一刀両断!』

 

『イブラヒムさんの位置が割れた直後のバッグワームで上手く騙して、エクスさんに気付かれることなく挟撃出来たまでは良かったんだがなぁ…』

 

『エクス隊長がレイガストのオプショントリガーであるスラスターを上手く活かしましたね。追い込まれても冷静かつ素早く対応してみせたのも素晴らしかったです』

 

 

楓のベイルアウトを告げる桜子の実況に会場は盛り上がり、その決め手となったエクスの行動に迅が評価を述べる

 

 

『さあ、これで状況は逆転!今度は花畑隊長が追い込まれる展開となったか!』

 

『片脚をやられちまってるが、ガンナーの援護もあるならこの勝負は…ん?』

 

『イブラヒム隊員…!エクス隊長と離れてフレン隊員の下へ向かった…!?』

 

 

エクス側が数の有利を取り、ここからの試合展開がどうなるのかと見守るなか、合流したばかりのイブラヒムがその場から離脱し始めたのを見た桜子は驚いた様子で実況する

 

 

『これは…より可能性の高い選択を取りましたね。エクス隊長はガンナーの援護があるとは言え、片脚を失った状態では花畑隊長に勝てないと踏んだんでしょう』

 

『あ〜…たしかに花畑さん結構動けるし、対応力も凄ぇしなぁ』

 

『援護を受けても負ける可能性がある負傷した自身よりも、まだ負傷していないフレン隊員の援護にイブラヒム隊員を回し、無傷の状態でベルモンド隊員を落とす。その後に残った2人で花畑隊長と戦う方が勝算があると考えたんでしょう』

 

 

"なるほど…!"と、桜子は迅の解説に納得の声を漏らす

 

 

『とは言え、あくまでもこれはエクス隊長がただ負ければの話だ。どんな結果になるかはその時まで分からない。さあ、試合もいよいよ大詰めだ』

 

 

 

 

ガキンッ!

 

 

市街地A西側…イブラヒムがフレンの下へと向かった後、エクスとチャイカは再び交戦を再開した

 

しかし、今度は一方的な攻防ではない

 

守りに入り過ぎれば踏ん張りの利かない片脚では押し切られると考えたエクスは先程とは打って変わり積極的に攻勢に出ていた

 

 

(ちぃ…っ!片脚でよく粘るじゃねぇか…!自称"英雄"は伊達じゃないってかぁ…!?)

 

 

そのエクスに対し、チャイカは攻め切れないでいた

 

片脚を失っているにも関わらず、エクスの動きは万全だった時と遜色ないものだった

 

つまり、片脚を失ったことで先程まで実力を抑えていたエクスはこの試合に勝つため本気を出してきたのだ

 

とは言え、今の片脚を失った本気は万全でありながら手を抜いた状態…結局のところは互角なのである

 

だが、チャイカが攻め切れないでいる理由はエクスが本気を出してきたからではない

 

時間稼ぎに留まるつもりがない…つまりは自身の敗北を引き換えに大ダメージを与える

 

あわよくば、刺し違えることを覚悟で倒そうとしているからであった

 

交戦を再開してからというもの、エクスは何度かチャイカに大きなダメージを与えるために自身へのダメージを顧みない捨て身の攻撃やカウンターを狙ってきていた

 

エクスを落とした後、フレンとイブラヒムを相手にしなければならないチャイカにとってここで大きなダメージを受けるのは避けたかった

 

故に捨て身で仕掛けてくるエクスに対してチャイカは慎重に立ち回り、攻め切ることが出来ないでいたのだ

 

 

(なにより、あのレイガストの堅さは厄介だな…!出来ればまだ使いたくねぇけど、このままじゃ埒が明かねぇし、このチャンスを無駄に終わらすわけにもいかねぇからなぁ…!)

 

 

加えて、シールドと違って弧月やスコーピオン等のブレード型トリガーも防ぐ耐久力を誇るレイガストの守りも1つの要因だった

 

この膠着状態を続ければ先にベルモンドが落ち、最後にはアルビオ隊3人に自身も落とされる

 

突破する手段が無いわけではない。だが、それはこれから先に待ち受けるB級中位・上位部隊との試合まで隠し玉にしておきたかった

 

だが、それを差し引いても使わざるを得ない理由がチャイカには出来てしまった

 

隠し玉の1つをここで使うと決めたチャイカはエクスの弧月とレイガストと鍔迫り合う2刀の弧月をパッと手放すと共に横へ飛び退く

 

 

「…っ!」

 

 

チャイカが突然鍔迫り合いから抜けたことで相手を押していた力は行き場を失い、エクスは前のめりに転倒してしまう

 

そして、転倒した隙をチャイカが突いてくるとすぐさま予測したエクスは防御のために体を捻ってレイガストを相手へと向ける

 

 

「なっ…!?」

 

 

だが、チャイカの攻撃に備えてレイガストを向けたエクスの視線の先には予想外の光景があった

 

 

「認めてやるよ、エクス。互いに武器を縛ったさっきまでの状態じゃお前に負けることはなくても勝つも出来ん。そういう意味では諦めた俺の負けだ。だが、悪いな…!落ちちまったでろーんさんのためにも、お前を倒すことだけは譲れねぇわ…!」

 

 

そう言い放つチャイカが構えていたのは手放した2刀に代わる新たに生成した弧月ではなく、銃型トリガーの中でも脅威の威力と連射性を誇る機関砲だった

 

 

(マジか…っ!それはヤバ過ぎぃ…っ!)

 

ドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!

 

 

これには流石に焦りを覚えたエクスは体を起き上がらせて建物を遮蔽とするために路地へと向かって走り出し、同時にチャイカは機関砲の銃口に火を噴かせ、通常よりも高威力となった弾幕状のアステロイドを浴びせる

 

路地へと飛び込むまでの間、エクスはレイガストとシールドを盾に機関砲のアステロイドを防御するもあまりの弾幕と威力に耐え切れず、シールドは3秒と保たずに割れ、飛び込み切る直前でレイガストも割られ、それを握っていた左手も被弾して弾け飛んだ

 

 

(くそ…っ!間に合わなかった…!流石に片腕片脚じゃチャイカさん相手に保たねぇ…!ここは逃げて時間を…いや、それでもすぐ追い付かれる…!こうなったら、一か八か賭けるしかねぇ…!)

 

 

左脚に続いて左手も失って圧倒的に不利な状況に追い込まれたエクスは苦悶の表情を浮かべるも、思考の末に逆転の一手を考え付き、一先ず飛び込んだ路地から北側の道路へと出て西に向かって駆けて行く

 

 

「流石のお前も片腕片脚失くなっちゃあ敗走かぁ?でも、そうはさせねぇよぉっ!」

 

 

自身から逃げるように移動するエクスをレーダーで確認したチャイカは機関砲を消滅させ、両腰の鞘から引き抜いた2刀の弧月を手に後を追う

 

建物の屋根を超えて北側の道路へ飛び出したチャイカは片脚で懸命に西へ向かうエクスとの距離をどんどん縮めていく

 

追い掛けること十数秒…残り25mの距離まで迫ったチャイカは背を向けるエクスを仕留めるべく旋空を放つ構えを取る

 

 

「旋空…弧月っ!」

 

 

そして、射程範囲にエクスを捉えた瞬間にチャイカは旋空を起動して一閃する

 

 

「スラスター…オンッ!」

 

「…っ!?」

 

 

それと同時、エクスがレイガストをブレードモードに切り替えてスラスターを起動する

 

振るわれた旋空によってエクスは体を上下真っ二つに両断されるが、レイガストの刃に貫かれた上半身はスラスターの推進力によってチャイカへと一気に迫り、彼の心臓…トリオン供給器官を貫いた

 

 

「…やってくれたな、エクス」

 

「ベイルアウトまでに間に合うか賭けでしたけどね。まあ、今回は引き分けってことで」

 

「ふっ…そうだな。次にやる時は互いに全力の上で決着を付けるとしよう」

 

『トリオン体活動限界、ベイルアウト』

 

『トリオン供給機関破損、ベイルアウト』

 

 

互いに笑みを浮かべてそう伝え合ったエクスとチャイカは脱落を告げる機械音声と共にトリオン体が砕け、光の柱となって仮想戦場から離脱した

 

 

 

 

 

吉里隊:0pt

アルビオ隊:4pt

花畑隊:2pt

 





エクス・アルビオ

部隊:アルビオ隊
ポジション:アタッカー

トリオン8、攻撃9、防御援護8、機動8
技術10、射程3、指揮6、特殊戦術2
合計54

メイントリガー:弧月、旋空、シールド、???
サブトリガー:レイガスト、スラスター、シールド、バッグワーム
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