『エクス隊長と花畑隊長がベイルアウト…っ!?花畑隊長の機関砲による追い込みから旋空で決まったかに思われましたが、エクス隊長のスラスターで供給機関を貫かれて相打ちとなった…っ!』
まさかの結果に驚く桜子の実況と共に会場に歓声とどよめきが沸き上がる
誰もがエクスの敗北を予想していたなか、勝てこそしなかったものの相打ちに持ち込んだ思いもよらぬ方法を目の当たりにして何も思わない者はいなかった
『まさか、花畑隊長が銃型トリガーでも使用者の少ない機関砲を装備しているとは驚きましたね…!』
『見た通り、機関砲は銃型トリガーの中でも脅威の威力と連射性を誇る火力特化のトリガーですが、その重量と形状から取り回しが難しい上にトリオンの消耗も激しいという難点があります』
『遮蔽物もあまりない開けた場所とか活かせる場面も少ないっすからね』
『とは言え、有効な場面においては非常に強力なトリガーとなります。花畑隊長はしっかりとその使い所を見極めていましたね』
と、迅と米屋は使い手も限られる銃型トリガー:機関砲について軽く解説を述べる
『にしても凄ぇことやるな、エクスさん…。スラスターを起動した時、花畑さんの方見てねぇんだろ?よく急所を狙えたな…』
『花畑隊長の位置は背を向けててもレーダーで確認出来ますが、急所はある程度の予測からでしょう。とは言え、旋空で斬られた後、ベイルアウトまでトリオン体が保っていられるかも含めてかなり分の悪い賭けだった』
"ですが…"と、迅は言葉を続ける
『勝ち目が薄くとも、それを諦めなかった。諦めていれば、この結果は最初から無かった。あくまでも賭けではありましたが、エクス隊長の意志の強さがこの結果に繋がったと俺は思います』
時と場合にもよるが、どんな窮地に立たされても諦めずに勝機を見出すこと
エクスの戦いを通して迅はその大切さを述べ、それを聞いた会場の隊員達は各々の反応を示し、同じ実況席にいる米屋と桜子は笑みを浮かべた
『さぁ!エクス隊長の奮戦により、これで残すはアルビオ隊のフレン隊員とイブラヒム隊員、そして花畑隊のベルモンド隊員の3名となった!これは勝負ありか!』
*
(ベイルアウトが2つ…!?チャイカがやられた…!)
市街地A中央…チャイカがエクスを仕留めるため、その間にフレンを押さえるべく交戦していたベルモンドは西側から天へと昇る2つのベイルアウトの光を見て目を見開いた
『ベル先輩!チャイカ先輩がエクス君と相打ちになっちゃいました!ハムちゃんももうすぐそこに来ます!』
(くっ…!どうする…!フレンに勝つにはアレを使うしか…!だが、ここで使えばこの先の試合は厳しくなる…!)
その直後、花畑隊オペレーター:夜見れなからの通信を受け取ったベルモンドはこの局面に対してどう出るか思考を巡らせる
フレンを突破する手段があるにはあったが、それは先に待つB級中位以上の部隊との試合までの隠し玉にしておきたかったトリガーだった
そのために、すぐさま答えを導き出せずにいたベルモンドは更なる窮地に追い込まれることとなった
ドンッ!ドンッ!ドンッ!
「…っ!」
ベルモンドがフレンの攻撃に耐える最中、そこへ到着したイブラヒムが50m程離れた建物の屋根上に姿を現し、両手に構えた2丁の拳銃によるアステロイドとハウンドで射撃してくる
ベルモンドはフレンからの攻撃を凌ぐためにレイガストを残し、代わりに弧月をオフ状態にしてイブラヒムからの射撃を防ぐためにシールドを展開する
「イブちゃん…!」
「フレン!このまま挟撃してベルさんを削り切るぞ!」
イブラヒムの提案にフレンは"分かった!"と返答し、射線の邪魔にならないようベルモンドから少し距離を取り、そこから絶え間なく旋空を振るってレイガストに叩き込む
(ぐっ…!このままじゃ、いずれシールドを割られてお終いだ…!だが、攻勢に出るならどちらかの攻撃は避けられない…!)
フレンとイブラヒム…2人に挟撃され、防戦一方となったベルモンドはここから勝つ方法を模索するが、1人ではどうあっても試合に勝つことは出来ないとすぐに悟ってしまった
(どのみち、負けは変わらないか…!なら、足掻くだけ足掻かせてもらおう…!)
試合の敗北を覚悟…しかし、タダで負けるわけにはいかないと思い立ったベルモンドはスラスターを起動させ、シールドモードのレイガストによる突進をフレンに繰り出す
「…っ!?」
「フレン…っ!」
スラスターの突進を受けたフレンは十数m程離れた場所まで吹き飛ばされるも素早く体勢を立て直す
だが、ベルモンドにとってそれは十分なチャンスを生み出した
フレンを吹き飛ばしたベルモンドはその直後にレイガストを消滅させ、新たに展開したシールドを盾にイブラヒムへと迫る
「うわっ…!そう来んのか…!」
今のベルモンドはフレンを見向きもせず、この後に仕掛けられる攻撃に対して何も備えていない…否、備えようとしていない様子だった
それはつまり、自身との道連れを狙っていることに他ならなかった
そのベルモンドの狙いに気付いたイブラヒムは焦りを抱くと共にそう呟き、攻撃が届く前にシールドを割ってやろうとアステロイドとハウンドを撃ち続ける
「旋空弧月…っ!」
ズバンッ!
だが、シールドを割るには至れなかったイブラヒムは射程範囲に捉えられた瞬間に放たれたベルモンドの旋空によって両断される
『トリオン体活動限界、ベイルアウト』
脱落を告げる機械音声が流れ、トリオン体が完全に崩壊したイブラヒムは光の柱となって仮想戦場から退場する
そして…
ズバンッ!
イブラヒムがベイルアウトした直後、ベルモンドがレイガストを構えるよりも先にフレンが振るった旋空が彼を両断した
「…まあ、そうなるわな」
『トリオン体活動限界、ベイルアウト』
なるべくしてなった結果に苦笑をこぼしながらベルモンドのトリオン体は崩壊し、ベイルアウトした
*
『イブラヒム隊員に続いてベルモンド隊員ベイルアウト!!ここで決着!最終スコア7対3対0!アルビオ隊の勝利です!』
アルビオ隊:7
花畑隊:3
吉里隊:0
桜子の盛大なアルビオ隊勝利の宣言と共に会場は試合を通して1番の大きな歓声に包まれた
『いやぁ〜!なかなか面白ぇ試合だったな〜!』
『はい!B級下位の試合とは思えない白熱した試合でした!それでは、振り返ってみてこの試合はいかがだったでしょうか?迅さん』
歓声が少し収まってきた頃を見計らい、試合の総評に移った桜子は迅に話を振る
『まずは無得点で敗れてしまった吉里隊…これは仕方がないですね。アルビオ隊と花畑隊それぞれのエースに目を付けられてた上に、情報量も相手に分があった』
『なるほど!ルーキーであるアルビオ隊と花畑隊の各隊員はB級昇格後の試合データが皆無。対する吉里隊はこれまでのランク戦等、膨大な記録がありますからね』
『相手の手の内、行動パターン、実力…そういった情報アドバンテージの差がこの結果に繋がったと思います』
『吉里隊も決して侮っていたわけじゃねぇだろうけど、エクスさんがその予想を遥かに上回ってきたからなぁ』
情報が少なく、相手を強く警戒していた吉里隊に対して、情報のあるエクスには余裕があり、更には弧月の投擲という誰も予想出来なかった攻撃手段を持ち合わせていた
そもそもの実力差もあるが、試合が始まる前から吉里隊は他2部隊に対して不利な状況にあったため、この結果は仕方がなかったと言えた
『その後のアルビオ隊と花畑隊。勝敗を分けたのはやはり、エクス隊長の活躍ですね』
『花畑隊長と樋口隊員に挟撃された時と最後のスラスターですね!』
『はい。レイガストの使い手であるA級の一条隊員やB級の村上隊員にも引けを取らないレベルで使いこなしていたと思います』
同じブレード型トリガーである弧月と比べて扱いにくく、正隊員の使用者も指で数える程しかいないレイガスト
それをオプショントリガー:スラスターと合わせてエクスは巧みに使いこなしていたと、迅は改めて評価する
『ベルモンドさんも最後、スラスターを上手く使ってイブラヒムさんを落とすことに繋げてたな』
『たしかに!あまり使用者の少ないレイガストの強みが大いに披露された試合でしたが、これは評価が見直されるかもしれませんね!』
そう言って、桜子は試合の総評を締め括った
『それでは、これにてB級ランク戦ROUND1昼の部を終了致します!皆さん、お疲れ様でした!解説の迅さんと米屋先輩、ありがとうございました!』
『『ありがとうございました〜』』
桜子から閉幕を告げられ、B級ランク戦ROUND1は終わりを迎えた
*
「ごめんな、チャイちゃん。私が落ちてなかったら勝てたかもしれんかったのに…」
ボーダー本部:花畑隊作戦室…そこで総評を聞き終えた楓は申し訳なさそうに反省の言葉を呟く
「いや、今回の負けはエクスのことを侮った俺のミスなんで。ベルモンドも悪かったな」
試合を反省する楓にチャイカはそう返答し、自身のせいで厳しい状況を強いられたベルモンドに謝罪する
「まあ、しょうがねぇよ。隠し玉の1つを晒してまで負けたんじゃ、エクス達の方が一枚上手だったってことだろ?」
あの状況は誰もがエクスに打つ手はないと思っていた
だからこそ、チャイカが油断してしまったことは責めることではなく、むしろ予想を超えてきたエクスに完敗したと受け入れる他なかった
「…そうだな。次に当たる時は手加減は無しだ」
「それまでにもっと強くならんとな!」
「今回はあまり役に立てなかったけど、次は私もしっかりチャイカ先輩達をサポートしますよ〜!」
敗北こそしたが、ランク戦はまだ始まったばかり
これを通して更に強くなることをチャイカ達は決意し合った
*
「おっけ〜〜いっ!7点獲得は出だしいいんじゃないの〜?」
「まあ、結果としては上出来だな」
ボーダー本部:アルビオ隊作戦室では、試合を終えたエクス達は勝利を喜んでいた
「でも、アルビオはチャイカさんに負けそうだったんでしょ?そんなんでこの先の試合大丈夫なの?」
「まあまあ、まだ慌てる時間じゃないんじゃない?今回はトリガーの一部を縛ってて、最初から本気も出してなかったわけだから」
「あ…!他のグループの試合結果も出たみたいだよ!」
フレンの指摘にエクスが返答するなか、オペレーターのデスクに座っていたメリッサが全員に声を掛ける
「諏訪隊が5点、那須隊が3点、柿崎隊が2点だって!」
「たしか、柿崎隊は持ち点4スタートだったから合計は6点。夜の部の結果次第で次の試合からは中位グループになりそうだな」
「夜の部って何時から?」
「19時から会場入り。20時から試合開始だな」
「じゃあ、あと5時間くらいか。それまで寝てようかな?」
「んじゃ、俺も」
「暇ならブースにでも行けばいいのに…」
「ここから外に出たらあの槍の人に出くわす可能性が高いから嫌だね。フル装備になった今、あの人と個人ランク戦をするとなったら流石に本気を出さないといけないからな。その記録はまだ残したくない」
「俺達もA級目指してるわけだし、この先の試合に勝ち続けるためにも情報アドバンテージの維持は出来るのに越したことはないからな」
「へぇ〜、そうなんだ。なら、メリー。私達はC級ランク戦やってるアルスさん達の様子を見に行くついでに初試合勝利のご褒美にデザートでも食べに行かない?」
「行く〜!」
「いてら〜」
こうして、夜の部が始まるまでの時間をエクス達はそれぞれに過ごした
*
『B級ランク戦、新シーズン!初日、夜の部がまもなく始まります!下位グループの実況は昼の部に続いてスケジュールが上手いこと空いた私、武富桜子!解説席には嵐山隊の嵐山隊長と佐鳥先輩ににお越し頂きました!』
『どうぞよろしく』
『どーもどーも』
時は経過し、時刻は夜の19時過ぎ…ボーダー本部内B級ランク戦下位グループの観戦会場は既に満席となっており、中央の実況席には桜子と嵐山、佐鳥の3人が座っていた
『昼の部でもお伝えしましたが、今シーズンのB級ランク戦にはあの有名配信者であるにじさんじの方々がデビュー!昼の部では、エクス・アルビオさん率いるアルビオ隊と花畑チャイカさん率いる花畑隊が期待を大きく上回る活躍っぷりを見せてくれました!』
『いや〜、俺も嵐山さん達と見てたけど本当に凄い試合だったね〜』
『入隊初日からその実力の高さを示してきた彼等がどのような試合を行うのか、楽しみです』
『さあ、A級隊員のお二人も注目する試合!その組み合わせを改めて確認したいと思います!夜の部下位グループの組み合わせは間宮隊、イロアス隊、葛葉隊、長尾隊の4部隊!MAPは工業地区が選択されています。スタートまであと僅か!間も無く転送が開始されます!』
*
「工業地区…。建物に囲まれた入り組んだ地形を利用して、叶の狙撃やローレン達の射撃戦を有効に機能させないのが狙いか?」
ボーダー本部:葛葉隊作戦室…そこで、葛葉隊のオペレーターを務める社築は長尾隊の選択したMAPを確認してそう考察を述べる
「じゃあ、かなかなはちひろ達と動く?」
社の考察を聞いた葛葉隊ガンナー:勇気ちひろは葛葉隊スナイパー:叶に行動の方針を尋ねる
「いや、僕はスナイパーとして行動するよ。ローレン達や甲斐田君に建物の上を取らせたくないし、射線は通りにくいだけで何処にも通らないわけじゃない。勇気さん達が上手く誘い込んでくれればやれないことはないよ。それでいいかな?葛葉」
「…全体の指揮は基本お前に任せる。ただ、場合によっては俺は好きなように動く」
「好きなようにって…。葛葉、お前A級目指してるんだよな?だったら単独で勝手な行動するよりもチームで動くのが…!」
葛葉の意向に葛葉隊アタッカー:剣持刀也が物申すが、叶がそれを制止する
「いいんだ、剣持さん。分かったよ、葛葉。でも必要な時は遠慮なく声を掛けてくれよ?」
「ああ…」
叶の呼び掛けに葛葉が短く返答したところで試合開始の準備が整い、仮想戦場への転送が行われる
『B級ランク戦、転送開始』
*
『さあ、転送完了!各隊員は一定以上の距離を置いてランダムな位置からのスタートになります!』
試合の開始と共に、桜子はハキハキとした声で実況を始める
『バッグワームを起動したのは葛葉隊の叶隊員、イロアス隊のローレン隊長とアクシア隊員、長尾隊の2人の5人!まずは全部隊合流を選択か!?』
『イロアス隊以外は部隊全員の位置がそれほど離れていませんからね。ですが…』
『おっと…!?葛葉隊長…!真っ直ぐ間宮隊の合流地点へと向かって行った…!』
モニターに移る全体MAP場でほとんどの隊員が味方との合流を目指すなか、西側で合流しそうな間宮隊に向かって葛葉が単独で迫っていた
『まさか、昼の部のエクスさんと同じで間宮隊を1人で落とすつもりなんじゃ…!?』
『しかし、それに気付いている間宮隊は開けた場所で葛葉隊長を迎え撃つ構え!間宮隊には多方位から襲い掛かる3人同時フルアタックの"ハウンドストーム"があります!待ち構えられている状態ではあまりに無謀と思えますが…!』
『それでも仕掛けるということは、何か策があるということでしょう』
嵐山の言葉を受け、観戦席の隊員達は葛葉の動向に注目する
*
「来るぞ…!構えろ…!」
工業地区西側中央寄り…縦に長く開けた場所で東側から自分達へと迫る相手を待つ間宮達
彼等の目線の先…日の差さない薄暗い通路の奥には獲物を食らい殺さんとするような鋭い眼をギラつかせて駆ける葛葉の姿があった
「1人で来るなんて俺達も舐められたもんだ…!」
「ネットの有名人だか何だか知らないが、返り討ちにしてやる!」
昼の部の試合であっさりと全滅した吉里隊同様、自分達も大した相手ではないと考えているからこそ葛葉が1人で突っ込んで来ていると感じた間宮達3人は"痛い目を見せてやる"と苛立ち交じりに意気込む
そして、葛葉が通路から自分達が待つ開けた場所へと飛び出した瞬間に間宮達は動いた
「「「ハウンド!」」」
3人同時フルアタックのハウンドストームが葛葉へと向かって射出される
1人分の多方位からの射撃であれば1方向に対する威力も小さいため、シールドを全周囲に向けたフルガードで容易に防御することが出来る
だが、3人がそれぞれ異なる方位に向けたフルアタックの射撃はシールドの厚みが薄くなる全周囲に向けたフルガードでは相当なトリオン差でもない限り防御するのは不可能
葛葉のトリオン量は平均よりも高い程度…フルガードをしても間宮隊のハウンドストームを防ぐことは出来ない
だが…
キィィン…!
ドッ…!
「なっ…!?」
ハウンドストームが当たる直前、葛葉は自身の正面から来るハウンドに対するシールドを展開すると同時に空中機動を可能にするジャンプ台トリガー:グラスホッパーを起動
それを踏んだ葛葉は一気に加速し、正面以外の方位から迫ったハウンドは追尾を振り切られて命中せず、正面に放たれたハウンドは十分に狭めたシールドによって全て防ぎ切られた
「グラs…!」
"グラスホッパーだと…!?"と、最前線にいた間宮が慌てた様子で声を上げようとするが、言葉を言い切る前に1番近くにいた鯉沼と共にグラスホッパーによって迫った葛葉の目にも止まらぬ早さのスコーピオンによって首を斬り飛ばされる
『『トリオン体活動限界、ベイルアウト』』
動揺してから数秒にも満たない一瞬の間にやられた間宮と鯉沼は理解も感情も追いつかないまま、敗北を告げる機械音声を耳にしてベイルアウトした
「ひ、ひぃ…っ!?」
そして、1人残された秦はあまりに一瞬の出来事と改めてこちらを鋭く睨む葛葉に腰を抜かし、尻餅を突いて顔を引き攣らせる
「おい、何ビビってんだよ。お前それでもボーダー隊員か?」
そんな秦に葛葉は近寄り、声を掛ける
その言葉は煽りというより、失望に近かった
「まあ、お前のことなんてどうでもいいんだけどな。俺がA級に上がるための糧になってくれりゃ、それで十分だ」
戦意を喪失した秦にそう告げ、葛葉はスコーピオンを振り下ろす
ドンッ!ドンッ!ドンッ!
「…っ!」
だが、その時に拳銃の銃声が背後から轟き、葛葉は反射的に急所である頭と心臓を守るようにフルガードでシールドを展開する
バリンッ!
「…っ!?」
だが、飛来した弾丸の1発目でシールドにヒビが入り、2発目でシールドが割れ、3発目は咄嗟に飛び退いたことで急所は免れたが左腕に直撃してしまった
そして、目の前にいた秦は別方向からの射撃によって急所を撃ち抜かれてベイルアウトした
「チッ…!」
左腕を失い、獲物を横取りされた葛葉は舌打ちをするとグラスホッパーを起動し、貯水タンク等の遮蔽物がある建物の上へと退避する
そして、隠れた遮蔽物の陰から葛葉は自身を襲った新たな相手を視認する
「ローレン…!それにアクシア…!」
秦を落とし、葛葉の左腕を削ったその相手はイロアス隊の隊長:ローレン・イロアスとガンナー:アクシア・クローネの2人だった
イブラヒム
部隊:アルビオ隊
ポジション:ガンナー
トリオン7、攻撃6、防御援護6、機動5
技術7、射程8、指揮5、特殊戦術2
合計46
メイントリガー:アステロイド(拳銃)、イーグレット、シールド
サブトリガー:ハウンド(拳銃)、???、シールド、バッグワーム