にじさんじ×ワールドトリガー   作:Mr.ソロ

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第8話「鈴原るる」

 

『ローレン隊長ベイルアウトォッ!!ここで試合終了ぉっ!!B級ランク戦ROUND1下位:夜の部は最終スコア7対4対2対0…葛葉隊の勝利です!!』

 

 

葛葉隊:5+2(生存点)=7pt

イロアス隊:4pt

長尾隊:2pt

間宮隊:0pt

 

 

"うおおおおおおおっ!!!"と、桜子の葛葉隊勝利宣言と共に会場は大きな歓声に包まれた

 

 

『接近戦でもつれ込むことを見越しての死角からのハウンドか〜!』

 

『建造物が密集して射線が読めなかったこと、叶隊員の抵抗も含めてローレン隊長の意識を他に向ける余裕を与えなかったことが大きかったな。加えて、この短期間でグラスホッパーだけじゃなく、サブトリガーもしっかりと物にしているとは驚きました』

 

『ローレン隊長も惜しかったですが、最後は葛葉隊が一枚上手だった!昼の部に続き、B級下位とは思えない実力を魅せた にじさんじの各部隊が目立った試合!振り返ってみていかがでしたでしょうか?』

 

 

と、桜子は嵐山と佐鳥に試合の総評を伺う

 

 

『間宮隊は残念でしたね。昼の部の吉里隊と同じく、自分達は相手の情報をほとんど得られず、逆に自分達の情報は記録から一方的に得られてしまう不利を抱えていました』

 

『やはり、情報アドバンテージの差がこの結果に繋がってしまったんですね』

 

『間宮隊を象徴する戦術ハウンドストームは強力だからね〜。何かしら対策はされると思ってたけど、まさか葛葉さんが単身で突破するとは思わなかったよ』

 

『あれには私もビックリしました!では、にじさんじの各部隊についてどうでしたか?』

 

『まずは長尾隊。特筆すべき点は2人の連携の練度。1ヶ月…いや、部隊編成からを考えるともっと短い期間の中でこの仕上がりは素晴らしいです』

 

『たしかに、剣持隊員を討ち取った際の連携は見事でした!』

 

『長尾隊は2人編成の部隊なんで、1人落ちるだけで苦しくなるのが弱点だけど、にじさんじ支部にはB級予備軍となる隊員が大勢いるから、増員は検討してるんじゃないかな〜、と思いますね』

 

 

 

 

「それは正解」

 

「ウチは3人目として、まひが控えてるからな」

 

 

ボーダー本部のにじさんじ専用区画にある長尾隊作戦室で、佐鳥の解説を聞いていた甲斐田と長尾はそう口にする

 

 

「まひまひも着実にポイントを上げてるし、次はどうか分からないけど、3試合目までには合流出来るだろうからね」

 

「次の試合は組み合わせ次第にもなるけど、今回の反省も踏まえてしっかりと作戦を立てないとな」

 

「そうだね」

 

「僕もオペレーターとして、もっと長尾と甲斐田を助けられるよう勉強しないと」

 

 

 

 

『イロアス隊は最初の戦闘でアクシア隊員が落ちちゃったのが大きかっただろうな〜。ギムレットの拳銃にグラスホッパー…ローレン隊長と似たトリガー構成だったから、機動力を活かした2人の連携で相手を圧倒するのがメインの戦術だと思うんだよね』

 

『たしかに、試合開始直後のローレン隊長とアクシア隊員は部隊の合流ではなく、2人での合流を優先していましたからね!』

 

『あの狙撃でアクシア隊員がベイルアウトではなく、四肢の一部損傷程度に済んでいれば、イロアス隊が勝っていた可能性は高かったと思います』

 

 

 

 

「そうなんだよなぁ…!マジでごめん!ローレン!パタさん!あの時、思わず狙撃への警戒を怠ったから…!」

 

 

イロアス隊作戦室で解説を聞いていたアクシアは試合に敗北した責任を感じ、ローレン達に手を合わせて謝る

 

 

「いや、あれはくっさんも上手かったわ。それにまんまと嵌められたのは俺も一緒だしな」

 

「しかし、葛葉君も卑怯な手を使うねぇ〜。人の心はないんですかぁ〜?」

 

「葛葉先輩の手は間違いじゃないよ、ヴィンさん。実際の戦場だと、卑怯だなんだってのは通用しないからね」

 

「まあ、そういうこと。くっさんが予想以上に本気で、俺達の認識が甘かった結果だ」

 

「うん、反省しないと。次の試合ではしっかりと挽回するよ!」

 

「まあ、B級ランク戦もまだ始まったばかりだし、気を落とさずに頑張ろうよ!」

 

「呑気なものだねぇ。まあ、我々もまだ全力を出していた訳じゃないですし?次の試合でがっぽり点を稼いで中位グループ入りしてやろうじゃないの!」

 

 

 

 

『それでは、最後に葛葉隊はいかがだったでしょうか?』

 

『葛葉隊長の強さと叶隊員のサポートが印象的でしたね』

 

『葛葉さんが積極的に攻勢に出て、叶さんが要所要所で的確に狙撃で援護!クロノワールの絆を感じましたよ〜!』

 

『今回、惜しくもあまり活躍出来ずに落ちてしまった勇気、剣持両隊員ですが、葛葉隊長や叶隊員に比べてそれほど多く情報を残していないため、次の試合における2名の情報アドバンテージはまだあると言えます』

 

『なるほど!さて、本日の試合が全て終了!暫定順位が更新されます!』

 

 

嵐山と佐鳥の総評を終え、桜子はモニターに更新されたROUND1終了時点の暫定順位を表示する

 

 

上位

1位:二宮(20

2位影浦(18

3位:生駒(18

4位:弓場(14

5位:王子(14

6位:東(12

7位:諏訪(12

8位:香取(11

 

 

中位

9位:漆間(10

10位:荒船(10

11位:那須(8

12位:鈴鳴(7

13位:アルビオ(7

14位:葛葉(7

15位:柿崎(5

 

 

下位

16位:イロアス(4

17位:早川(3

18位:松代(3

19位:花畑(3

20位:長尾(2

21位:吉里(0

22位:間宮(0

 

 

『この試合で7点を獲得した葛葉隊と同じく昼の部のアルビオ隊が早くもB級中位グループに食い込んだ!更に次回の組み合わせも出ました!注目のアルビオ隊、葛葉隊が水曜日に当たる第2戦の相手は…!』

 

 

観覧席の隊員達がエクス、葛葉の2部隊の第1戦目を経て中位グループ入りしたことに驚くなか、桜子は早くも決められた第2戦の組み合わせも表示する

 

 

中位グループ:昼の部

11位:鈴鳴第一

12位:アルビオ隊

14位:柿崎隊

 

 

中位グループ:夜の部

8位:漆間隊

9位:荒船隊

10位:那須隊

13位:葛葉隊

 

 

『アルビオ隊は暫定11位:鈴鳴第一と暫定14位:柿崎隊!葛葉隊は暫定8位:漆間隊と暫定9位:荒船隊、暫定10位:那須隊です!』

 

 

"おお…っ!!"と、表示された第2戦の組み合わせに観覧席の隊員達から期待と興奮を帯びた歓声が上がる

 

 

『おお〜!これは面白い組み合わせですね!』

 

『はい!個人的には、アルビオ隊と鈴鳴第一の試合に注目です!』

 

『たしかに、アルビオ隊のエクス隊長は今実力を大きく伸ばしてきている鈴鳴第一のエースアタッカー:村上隊員とメインのトリガー構成が同じですからね。葛葉隊の試合も含めて、彼等がB級中位部隊にどう挑むのか楽しみです』

 

 

最後に嵐山が述べたその言葉で、会場の隊員達はアルビオ、葛葉両部隊の次の試合に大きな期待を寄せる

 

 

『では、以上をもってB級ランク戦ROUND1夜の部を終了します!皆さん、お疲れ様でした!嵐山さん、佐鳥先輩、解説ありがとうございました!』

 

『『ありがとうございました』』

 

 

 

 

「もう次の相手がB級中位部隊か…」

 

「どの隊も下位部隊と比べて隊員の実力は上だし、次に当たる3部隊の隊長は全員曲者だよ」

 

「ああ、油断はしねぇ。ちーさん、もちさん…次の試合はお前等の働き次第だ。気ぃ抜くなよ?」

 

 

ボーダー本部葛葉隊作戦室…次の試合相手を確認するなか、葛葉は今試合でほとんど活躍出来なかった ちひろと剣持にやや圧をかけて忠告する

 

 

「任せろよ、くずぅ!」

 

「そう怖い目で訴えなくても分かってるよ。奥の手はまだ見せるつもりないけど、隠し玉はしっかり次の試合で使うよ」

 

「…ならいい。試合は終わった。さっさと帰るぞ」

 

 

次の試合に向けて意気込む ちひろと剣持に葛葉は一言だけ返答し、足早に支部への帰路につく

 

 

 

 

「やるなぁ、葛葉のやつ。宣言しただけのことはある」

 

「ああ。まさか、ローレンと長尾達と一緒の試合で7点なんてな」

 

 

アルビオ隊作戦室…そこで葛葉達の試合を観戦していたイブラヒムとエクスは所感を告げ合う

 

 

「なに?アルビオ、もしかして葛葉先輩が予想以上に強くてビビってる?」

 

「んなわけないだろ。思いの外やるなぁ、って関心した程度よ」

 

「お〜。エビオ先輩、余裕だね〜」

 

「でも油断はすんなよ。葛葉はお前と違ってトリガーに触れてまだ日が浅ぇ。これからもっと強くなるぞ」

 

「分かってる。だとしても負けるつもりはないし、負ける気もしないね」

 

 

葛葉の更なる成長を予期しつつも、エクスの表情には一切の焦燥はなく、自信に満ち溢れていた

 

 

「さて、試合も終わったことだし、俺達も帰るとするか」

 

「そうだな。次の対戦相手の情報収集は明日から取り掛かるか。フレンはアルスさん達の付き添いでいいぞ」

 

「え?私も情報収集しなくていいの?」

 

「お前に情報収集なんて無理だろ」

 

「言ったなぁ!?だったら私もアルスさん達の付き添いしながら情報収集してくるから!作戦会議の時に私の優秀さを改めて教えてやる!」

 

「はいはい、期待はしねぇよ」

 

「頑張れ〜!」

 

 

と、じゃれ合いながら、エクス達も支部への帰路に着いた

 

 

 

 

そして、新たな幕を開けたB級ランク戦新シーズンROUND1を終えたその翌日…

 

 

「……」

 

「あ…!カゲ…!」

 

 

ボーダー本部影浦隊作戦室…その扉を開けて中へ足を踏み入れた影浦隊の隊長:影浦雅人は先に部屋にいた同じく影浦隊のガンナー:北添尋に声を掛けられ、"おう…"と素っ気ない返事をする

 

 

「…ユズルと光はどうした?」

 

「光ちゃんなら、夜勤の防衛任務が終わってからずっとそこの炬燵で寝てるよ。ユズルは…今日はまだ見てないね」

 

 

北添からの返答に影浦は"そうか…"と、呟くとソファに寝転がる

 

先月の半ば…ボーダーでは立て続けに2つの事件が起きていた

 

1つは鳩原未来という女性の隊員が重要規律違反を犯したことから懲戒解雇及び彼女が所属していたA級の二宮隊が降格処分となったこと

 

そして、その約1週間後に影浦がボーダーの広報を担う根付室長に暴行を加えたことで影浦隊も降格処分が下されていた

 

B級へ降格した影浦隊は共に降格した二宮隊と同じく今期のB級ランク戦に臨んでいるが、ボーダーを辞めさせられた鳩原を慕っていた隊員の1人:絵馬ユズルに元気が無く、昨日のランク戦では何処か上の空な様子で力も出せず早々に脱落し、今は自宅に引き篭もっている状態だった

 

ユズルの心配に加え、ボーダー上層部に対する不満も重なり、影浦もまた気分の晴れない日々を過ごしていた

 

そして、そんな影浦を心配し、少しでも元気付けられないかと考えた北添は昨日のランク戦のことを思い出す

 

 

「そうだ…!カゲ知ってる?昨日のB級ランク戦なんだけど、先月入隊したばかりの人達の試合が凄かったんだって!」

 

「あぁ?先月入隊ってことはルーキーだろ?」

 

「まあまあ、疑いたくなるのも無理ないけど、この録画を見てみてよ!」

 

 

と、ゾエはB級ランク戦下位グループの昼と夜の部それぞれの第1試合の録画を影浦に見せる

 

 

「…悪くねぇな」

 

 

そう呟きながら、影浦は試合の録画を興味深そうに見る

 

特にエクス、チャイカ、葛葉、長尾…この4人のアタッカーと勝負してみたいと闘争心が駆り立てられた

 

 

(どうせ暇だしな…。気晴らしには丁度いいか)

 

 

影浦は試合の録画を見終わるとソファから起き上がり、扉へと真っ直ぐ向かって行く

 

 

「あれ…!?来たばっかりなのにもう何処かに行くの…!?」

 

「ああ、ちっとばかり今見た録画の奴等と遊んでくる」

 

「あっ…!ちょっと待って、カゲ…!この人達は本部にほとんど来な…!って、行っちゃった…」

 

 

北添は無駄足にある可能性が高いことを伝えようとするも聞き逃され、影浦は個人ランク戦ロビーへと向かって行った

 

 

 

 

「「「「「おおおおお…っ!!」」」」」

 

「なんだ…?」

 

 

個人ランク戦のロビーに着いた矢先、注目度の高い試合を映し出す大型モニターの前に出来た歓声を上げる大勢の人集りが目に止まり、影浦は首を傾げる

 

 

「あれは太刀川と…誰だ…?あの女…?」

 

 

影浦がモニターに視線を移すと、そこにはA級1位部隊の隊長にしてボーダー攻撃手ランク及び個人総合ランク1位の男:太刀川慶

 

そして、ピンクを基調とした服とベレー帽を装い、嬉々とした表情で両手にスコーピオンを構え、太刀川に攻め込んでいく見覚えのない少女の姿があった

 

 

(見たことねぇ奴だな…。最近Bに上がったばかりのルーキーか…って…!おいおい、どうなってやがる…!?)

 

 

試合に目を向けながら謎の少女について思考を巡らせるなか、あることに気付いた影浦は驚きのあまり目を見開く

 

その理由は、太刀川の弧月と幾度なく刃を交わす少女のスコーピオン…それが少しも刃こぼれしていないことだった

 

 

(あの女のスコーピオン…!あれだけ弧月と打ち合って全くの無傷だと…!?スコーピオンの耐久じゃあ、弧月と打ち合い続けるのは不可能のはずだろうが…!)

 

 

通常、耐久力が圧倒的に低いスコーピオンは弧月と打ち合えばたちまちにボロボロとなって破壊される

 

故に、弧月と打ち合う際は適度に新たなスコーピオンを生成するか、耐久力のある同じ弧月かレイガストを用いるしかない

 

しかし、モニター越しの少女はその常識を破っていた

 

スコーピオン自体に特殊な改造がされていない限り、この状況が成立すると考えられる理由は1つしかない

 

 

(あれだけ打ち合って傷一つねぇってことは…!あの女のトリオン量が桁違いに高ぇってことか…!)

 

 

それはトリオンの差…トリオンはトリガーの動力源である生命エネルギーであり、トリオン器官と呼ばれる人間なら誰しもが心臓の横に持つ見えない内臓から生み出される

 

そして、トリオン器官は筋力や運動神経と同様に個人差があるため、トリオン器官の性能も人によって優劣がある

 

トリオン器官の性能はトリガーの出力に直結するため、基本性能で弧月よりも耐久力が低いスコーピオンもトリオン能力が高い人間が使えば、並の人間が使うスコーピオン以上の耐久を得て、弧月とも打ち合える性能を誇れる

 

 

(っつーか、あの女…!太刀川と互角に打ち合ってるじゃねぇか…!何者だ…!?)

 

 

少女の桁違いなトリオンの高さを理解した矢先、影浦は少女が太刀川と互角の勝負をしていることにも気付き、更に驚愕する

 

 

「お…!そこにいるのはカゲじゃんか!」

 

「本当だ。珍しいな」

 

 

少女の正体とその実力に興味が増すなか、自身に向けられた感情と声に意識を戻された影浦が振り向くと、そこにはA級三輪隊の米屋と鈴鳴第一の村上がいた

 

 

「米屋に鋼…お前等もこれの見物か?」

 

「まあ、そんなとこだな」

 

「それにしてもカゲ、どうしてお前がここに?」

 

「ゾエの奴に最近面白そうなルーキーが入ったって教えてもらってな。気晴らしにそいつ等と遊ぼうと思ったんだよ」

 

「最近入った面白そうなルーキー…。もしかして、にじさんじの隊員のことか?」

 

「にじさんじ…?」

 

「まあ、カゲは知らねぇよな。簡単に説明するとだな…」

 

 

と、米屋は簡潔に にじさんじについて影浦に説明する

 

 

「…なるほどな。ってことは、もうBに上がった奴等は来ねぇのか?」

 

「少なくとも、まだしばらくは来ないだろうな。本部の個人戦だとデータが残っちまうから」

 

「本当に徹底してる。おかげで、次の試合アルビオ隊と当たる俺達はデータが少なくて困ってるよ」

 

「チッ、つまらねぇ…。じゃあ、ここに来たのは無駄足じゃねぇか」

 

「いや、そうでもねぇよ。B級に上がってるにじさんじ隊員でお前のお眼鏡にかなうかもしれない相手が1人来てる」

 

 

米屋は影浦にそう告げると村上と共にモニターへ視線を向ける

 

 

「おい、まさかあの女が…?」

 

「ああ。あの人は鈴原るるさん。お前が興味を持った1人、アルビオ隊のエクスさんと同じで入隊初日でB級に上がった にじさんじ支部の隊員だよ」

 

 

記録で見たエクスやチャイカにも引けを取らない鈴原がお目当ての にじさんじ支部の隊員だと知って、ますます影浦の興味が湧くなか、鈴原と太刀川の試合が大きく動く

 

弧月とスコーピオンの激しい打ち合いでは決定打を見出せなかったか、それに根を上げた太刀川が後ろへ大きく飛び退く

 

そして、太刀川を逃しはしないと鈴原は迷いなく、再び距離を詰めようと地を蹴る

 

その鈴原に対し、距離を取った太刀川は二刀の弧月を後ろへと引く

 

 

「ここで旋空弧月か…!」

 

(あれだけ打ち合った後だ。あの鈴原って奴のスコーピオンの耐久もそろそろ限界だろ。

 

 

旋空はブレードが瞬間的に伸縮させ、その攻撃範囲を拡張するだけでなく、振り回されるブレードは先端に行くほどその速度と威力が増す

 

如何にトリオンに大きな差があるとは言え、新たに持ち替えてもいないスコーピオンで受太刀は出来ないだろう

 

そう影浦が予想するなか、太刀川が二刀の弧月による旋空を振るう

 

だが…

 

ガキン…ッ!

 

 

「なんだと…!?」

 

 

鈴原は2本のスコーピオンを素早く振るい、接触させた旋空の軌道を強引に逸らして直撃を回避した

 

そのあまりの力技に耐え切れなかった2本のスコーピオンは粉々に砕け散るが、鈴原はすぐさま新たなスコーピオンを生成し、太刀川へと肉薄する

 

ズババッ!!

 

太刀川は旋空で振り切った両腕を防御に回そうとするが間に合わず、鈴原の2本のスコーピオンによって上半身を十字に斬りつけられる

 

 

『トリオン体活動限界、ベイルアウト』

 

 

そして、それが決め手となった太刀川はトリオン体が崩壊し、ベイルアウトした

 

 

「「「うおおおおおおおおおっっ!!!」」」

 

 

ボーダー隊員なら誰もが知るA級トップアタッカーの太刀川を下した鈴原の勝利に、集まっていたギャラリーから大歓声が上がる

 

 

「うおっ…!?マジかよ、鈴原さん…!とうとう太刀川さんに勝っちまったぞ…!」

 

「とうとう…?前からあの女は太刀川と勝負してたのか?」

 

「ああ。たしか、入隊1週間後くらいからほぼ毎日だったと思う」

 

「毎日だと…?今日までずっと負け続けてんのによく続けたな」

 

「鈴原さん曰く、"強い人との戦いは楽しいから飽きない"ってな」

 

「なるほど。太刀川の野郎と同類ってわけか」

 

「お前も似たようなものだぞ、カゲ」

 

「それにしても、機会がある度にその日の内に100戦挑み続けてたとは言え、入隊1ヶ月で太刀川さんから1本取るなんてな〜」

 

「は…?100戦目…?」

 

「カゲ、モニターをよく見ろよ」

 

 

村上に言われて影浦がモニターをよく見ると、そこには鈴原と太刀川の1試合目から100試合目までの勝敗…鈴原視点で99敗1勝が示されていた

 







部隊:葛葉隊
ポジション:スナイパー

トリオン7、攻撃8、防御援護8、機動5
技術10、射程9、指揮6、特殊戦術2
合計55

メイントリガー:イーグレット、シールド、突撃アステロイド、FREE(アイビスorライトニング)
サブトリガー:シールド、バッグワーム、???
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