そのTSロリ娘は如何にして天馬司にメス落ちするのか 作:村岡
「???」
「人の話を理解しないモンスターに出会い、異世界に飛ばされ、怪力の着ぐるみに脅迫された!」
「聴き取れなかった訳じゃねーよ」
意味不明すぎんだろ。1から10までツッコミどころしかないぞ。……え?俺今バイト初日の感想を聞いただけだよね?なんでモンスターに出会って異世界に飛ばされて脅迫されてんの?
「話が全く理解出来ねぇ……。要約せずに、詳しく教えてくれないか?」
俺がそう頼むと、司はふむ……、と顎に手を添えた。
「要約せずに……となると、ボロステージの屋根からピンク色の化け物が飛び降りてきたことからか……」
「……全部聴き終わるまでツッコまねーからな」
元から飛んでいた頭のネジが追加でもう何本か逝ってしまったのだろうか。もう訳の分からないことを言っている司。語り出しから幸先不安過ぎるが取り敢えず聴くとしよう。
◆
「―――そして、今は足りないショーキャストのメンバーを集めるべく奔走中、というわけだ」
司がそう話を締め括る。……なるほどなぁ。
彼の口から詳細を聞いて、一つだけ分かったことがある。
「余計にややこしくなったわ……」
「だろうな」
そりゃそうだ……とため息をつく司。こうなるって分かってたんなら先に言ってくれよ〜。
取り敢えず、一旦聞いた話を整理してみようか。
「バ先のオンボロステージを人の話を聞かない異世界が着ぐるみで脅迫……?」
「いや、混ざり過ぎだろッ」
無理だったわ。濃すぎるんだよ司の一日。
「あー、もう細かいところは気にしねぇからさ、一個だけ聞いていい?」
「む、なんだ?俺に答えられる範囲ならば何でも答えるぞ」
「じゃあ聞くけどさぁ……異世界に飛ばされったってなんだよ。そこだけずば抜けてぶっ飛んでねぇか?」
「……正直、その件はオレも信じ切れていない。未だにあのセカイは夢だったんじゃないかとも思っている」
頭スターの司にすら、夢の光景だったのではと言わしめる程の出来事。
司曰く、いつの間にかプレイリストに入っていた見覚えのない不審な曲を再生してしまい、気付いたら異世界に飛ばされたとのこと。本当に夢みたいな話だ。しかし、もしそれが本当にあった、現実の話だと言うのならば……
「……untitled?だっけか。その異世界にトリップした原因の曲はまだプレイリストに入ってんだろ?」
「ああ、今朝確認したぞ」
「じゃあそれ再生して本当に異世界に行けるか試してみればええんでねぇの? やってみようぜ」
「断る!」
「なんでだよ」
妙案……ってほどでもないが話の流れで思いついたことを司に提案してみるが、バッサリ断られた。なんでだよ。
「あんな地獄のような場所に進んでいくバカがいるか!」
「えー!いいじゃん別に、俺も異世界行きたい!司だけズルい!」
異世界ファンタジーは男の夢だろ!抜け駆けは許さねぇぞ!!
司の服の裾掴んでグワングワンと揺らす。本当なら襟を掴んでやりたいが生憎のチビ……誰がチビだ!ぶっ殺すぞ!!
「ちょ、やめろ!おいッ!揺らすな!」
「俺も異世界!頼むよ司ぁ……司ー!」
「あぁもう!分かった分かった!お前の好きにすればいい!異世界でもなんでも行けばいい!だから落ち着けぇ!!」
「司ーッ!!!」
やっぱりお前は最高の友人だ!愛してるぜ!
◆
「こ、これを再生すればいいんだな……?」
震える手で司のスマホを握っている俺。半ば興奮状態で司にそう訪ねた。
「ああ」
「いいんだな……?」
「ああ」
「い、行くぞ……?」
「ああ」
「本当にいいんだな……?」
「早くしてくれないか?」
「よ、よし……それでは……ポチッとな。……うわ眩―――」
『untitled』の再生ボタンを押した瞬間、スマホから発せられた光に目を眩ませる。アーッ!ドライアイに効くぅ!
雛子:異世界!!!
司:もはやこっちが振り回されることになるかもしれない
次は文字数もうちょい増やしたいな
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