家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題)   作:寺桜

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※家光視点




第10話 優奈からの手紙

イタリア、門外顧問ボンゴレ・ファミリー ダミー会社

 

トントンッ

家光の執務室のドアがノックされる。

 

「はいよ、開いてるから勝手に入ってきてくれ。今手が離せないんだ。」

 

家光はボンゴレが表向きに経営している、一つの会社の社長室で書類と戦っていた。家光は本来、こんな書類仕事など得意ではない。インドアではなくアウトドア、頭で知るより体で感じろ、そんな人間だ。

だが悲しきかな、そんな人間でも地位が高ければ責任があり、下から上がる問題もあり、書類が嫌いだといって投げ出す事など小学生が宿題嫌いだと言って投げ捨てることなどできないのと同じである。小学生の場合は親と先生に怒られるだけだが、上の人間が書類を投げ出すとしたは大混乱になるのだ。

 

そんな些細な事は置いておき、家光の部屋へ部下の一人が書類やら手紙やらをもって入ってきた。いつもだったら書類だけを置いて割り振られた仕事に戻るのだが、今はその気配が無い。いぶかしげに思い、書類仕事を一時中断して顔をあげた。

 

書類を持ってきた部下は、困った顔をしていた。報告するべきかどうかを迷っているようだった。家光の部下は優秀である程度の事は自己判断に任せている。小さい問題なら解決した後に報告してくるし、どうにもならないと判断したら迷わず家光に指示を仰ぐ。そんな部下であるにも関わらず、困った顔で家光を見ていた。

 

「どうした?」

 

「じつは、差出人不明の手紙が届いたのですが…、」

 

「なんだぁ、不幸の手紙でも届いたのか?それともライバル会社からの脅迫状か?もしくはイタズラで変な暗号だらけの手紙か?」

 

「不幸の手紙ではありませんし、脅迫状でもありません。イタズラが一番近いかもしれませんが、これがイタズラだと私では判断できないため処分するかどうかも含め、指示を下さい。」

 

そういって一通の手紙を渡された。中を検めてあるので当然封は開いている。中の手紙を見る前に封筒自体もしっかりと確認するが、何処にでも見かける、白の無地の封筒だった。宛名も差出人も何も書かれていない。

 

そして家光は手紙を取り出した。手紙は2枚あるようで、とりあえず一枚目から読むことにした。ぱっと見、イチゴのシールが貼ってあるのと全部平仮名で読みにくかったが、文章を理解すると何も考えられなくなる。

 

『  おとうさんえ いきてます。

   さがさないでください さがしてくれてありがとう。  』

 

2枚目には下手くそな絵が描かれていた。まるで小さい子供が描いたような絵だった。

描かれていたのは家族の絵だった。父親らしき男の人、母親らしき女の人、その真ん中に赤ん坊、最後に紙の端の方に女の子が描かれていた。だが、女の子だけ大きなバツが付けられていた。一度だけではなく、何度も何度も描いたようで、線は折り重なり太い大きなバツとなって女の子を覆い隠してしまいそうなほどだ。

 

手紙を持つ手が震える。眼頭が熱くなり、視界がぼやけてしまう。差出人なんて書いていなくても分かってしまう。むしろこれで分からなくてあの子の親であるはずが無い。

娘の行方が分からなくなってもう3年、いやもうすぐ4年が経つ。誘拐されてから家光は昼夜問わず優奈の行方を探し続けた。探し始めた時には事件発生から1週間が経っており、調査し始めるには遅すぎた。

 

それでも探した、大切な娘だ。愛する妻との間に授かった第一子。明るくて優しい子だった。イチゴが好きで、家に帰る時には必ずお土産に買って行った。綱吉を授かった時にも赤ん坊帰りすることなく、むしろ毎日毎日まだ生まれないのか、いつ生まれてくるのかと弟の誕生を楽しみにしてくれていた。親子イベントなど参加できたことは無かったし、頑張って家に帰っても3日くらいで直ぐイタリアにもどってしまうのに、寂しそうな顔をしてもダダをこねない子だった。

 

時が経つにつれて警察が調査を諦め、風紀委員が他の事件に追われ忘れていき、仲間にも諦めろと言われた。けれど、どうしても諦めきれなかった。何の進展も無く月日が流れようと、有力情報が入ればデマでも関係なく自分の足で調査し、落ち込んではまた探した。

ある日帰ると優奈の物が片づけられてしまっていた。驚いて奈々に詰め寄り、その日は珍しくケンカをした。なんとか仲直りはしたが、それでも家に今までより帰りづらくなった。

 

色んな事があったこの約4年。

こんなにもあっさりと娘から手紙が届いた。でも手紙は生存を告げてはくれても、居所を知らせるものではなかった。絵を見て悲しくなる。まるで自分の存在を否定するかのようにバツが上から描かれていたからだ。

 

あの子に伝えなくてはならない。居場所ならちゃんとあるのだと。いつでも帰ってきていいのだと。奈々は優奈の物を片づけてしまったが、代わりに優奈のための新しい物を買い続けている。3歳の時の服はもう小さいからと衣装ケースの中にいれられたが、ワンサイズ大きい優奈に似合いそうな服を帽子から靴まで買っている。保育園の先生に頼んで卒園証書だって書いてもらったし、もうすぐ小学生だからと真っ赤なランドセルを買っていた。

 

あれだけ大好きだった綱吉に忘れられたら悲しいはずだと、家には優奈の写真がたくさん置いてあるし、優奈の誕生日の度にケーキを買い、綱吉に優奈の話をする。綱吉だって言っていた、お姉ちゃんに会ってみたいと。

 

なぁ、優奈。

お前は帰ってきていいんだ。

オレたちは家族なんだぞ。

どんなお前でも受け入れてみせる。

だから帰ってきてくれ。

 

 

 

 

 

しばらくの間、無言で泣き続けてしまった。部下には情けない姿を見せてしまったな。ハンカチを差し出され、受け取り涙をふく。

 

「親方様、それは本物だったのですか?」

 

「間違いない、間違うわけ無い。これは優奈からの手紙だ。

この手紙を直ぐに鑑識にまわしてくれ、優奈の周辺人物が割り出せるかもしれない。それからこの手紙が発見されたことについて詳しく調べてくれ。

 

ちきしょう、せっかく書いた書類が水浸しだ。こりゃ一から作り直しだな、残業決定だ!」

 

「残業決定の割には嬉しそうですよ。

それからこの手紙、優先的に調査してもらってきます。何が何でも1つ位めぼしい情報をゲットしてくるので期待してて下さいね。」

 

 

拭いても拭いても溢れてくる涙。書類なんかもう手につかない。

こんな大事な手紙、自分だけで知っておくわけにはいかない。奈々にも見せてやらねば。何も言わなくとも、自分と同じように差出人がわかるはずだ。なんと言って知らせを送ろうか。手紙に喜んでくれるだろうか、それとも悲しくなるだろうか。きっと両方だ。

 

待っていてくれ奈々、必ず知らせるから。

ただ、この涙が止まるまでは知らせるのが遅れても怒らないでくれ。

 

今夜は久しぶりに良い酒が飲めそうだ…!

 

 

 

 

 




活動報告にも書きましたが、USJに行ってきます。明日、明後日はお休みします。
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