家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題) 作:寺桜
並盛町 夜9時
ドスッ
「うっ、ぐはっ。」
「よえーよえー。 風紀委員恐るるに足らーず!」
その日、並盛中の生徒がまた一人襲われた。
翌朝、綱吉に奈々が心配して声をかける。
「ツナ、あなた並中生でしょ。大丈夫なの?最近並盛中の生徒ばかり襲われるって聞いたわ。帰りは必ずお友達と帰りなさい。それから防犯ブザー、カバンの中に入れといたから。ツナも何か護身術を身につけた方が良いんじゃないかしら。」
「でたよ、母さんの過保護。大丈夫だよ。どうせ不良同士の喧嘩だからオレが襲われる事なんて無いよ。」
「大丈夫だママン。ツナには頼もしい部下達がいる。それにオレがねっちょり鍛えなおしてやるから返り打ちだぞ。」
「ねっちょりって何かヤダー!」
「フゥ太が居れば、ツナに向いた格闘技ランキング作ってもらえんのにな。」
登校しながら綱吉は今回の事件についてリボーンから詳しく聞いていた。襲われた人間はみんな何故か歯を抜かれているらしい。風紀委員も通学路のいたる所に立っており、ピリピリとした空気が漂っていた。
何だか怖いので綱吉は自分に関わりの無い所で終わって欲しいと願いながら歩いていると、前方で雲雀が電話をしていた。苦手意識の強い雲雀から逃げるようにそっと立ち去ろうとしたが雲雀がこちらに気づいてしまった。
「待ちなよ。君の知り合いじゃなかったっけ。」
「え?」
「笹川了平…、やられたよ。」
学校、いや町中が襲われる並盛の生徒の話題で包まれていた。綱吉は了平の見舞いに行ったが、思っていたほど重体ではなく、むしろ襲ってきた人物をぜひボクシング部へ入れたいと言っていたので心配するほどでもなかったのだろう。了平も他の襲われた生徒同様に歯を抜けられていたが、さし歯だったので問題ないようだ。了平の証言から犯人は黒曜中だと判明した。
ブチッ
「ひっ、なんだこりゃー!」
レオンの尻尾がちぎれ、不吉を知らせた。
雲雀は単身で黒曜中に攻め込んでいた。いくら数がいようと、強く無ければ居ないのと同じである。3人がかりで攻めようが、休む暇なく敵が現れようが、不意打ちしようが弱ければ意味など無さない。
そして一番奥の部屋へとたどり着いた。部屋にはソファーに男が座っていた。パイナップルみたいな頭の男は、自分が新しい秩序になると言う。そんな事は許さない。並盛の秩序は雲雀なのだから。会話をしただけで不愉快な気持ちになる。秩序うんぬんよりもまず、自分とこの男は気が合わないようだ。ならば屍にして物言わぬようにすればいい。
「座ったまま死んでいきなよ。」
トンファーで男に殴りかかろうとした。
クラッ。
だが雲雀の体は傾き、男の相手をしてなどいられなくなる。
「本当にダメな様ですね、桜。わざわざ海外から取り寄せたかいがありました。」
雲雀はまともに戦うことすらできず、惨敗するのだった。男、六道骸は笑う。所詮平和な国で育ったただの中学生だと。
並盛病院には新たな患者が運ばれてきた。新たな患者は雲雀の補佐を務めている草壁だった。リボーンが草壁の歯をチェックするとやはり歯は抜かれており、これがフゥ太の喧嘩ランキングに基づいている事を確信する。
綱吉にそのことを告げ、綱吉がランキングを急いでチェックすると3位は獄寺だった。いくら強いと知っていてもやはり心配で慌てて獄寺と合流する事にする。
一方の獄寺はと言うと、学校に遅刻しながらも登校してはいた。しかし綱吉が登校しておらずついでに携帯の電池が切れたため、早退する。すると獄寺の行く手を阻む人間がいた。
ニット帽に眼鏡、頬にはバーコードぱっと見は少し変わった何処にでもいる中学生。柿本千種は獄寺に襲いかかった。千種の武器はヨーヨーに似ていた。だが普通のヨーヨーとは違い数えきれないほどの針が発射される。
「黒曜中だと、ふざけんな。テメェどこのファミリーの者だ。」
「やっと当たりが出た。」
獄寺は苦戦しながらも遠近法を使った攻撃で見事撃退することに成功した。そこへ駆けつけてくる綱吉。
「いたいた、獄寺君。君は狙われてって何かボロボロなんだけどー!」
「あ、10代目。今そいつ倒したばっかりです。こんな姿で恥ずかしい限りです。」
獄寺君やっぱ怖―!と思いながらも友人が無事で安心した綱吉。その時、獄寺の後ろでのそりと立ちあがる人の姿が見えた。
「沢田綱吉、似ているのは顔だけか。」
不快そうに千種は呟き、武器を振るう。腰が抜けて立てない綱吉を庇い、獄寺は千種の攻撃を受けた。なおも追撃しようとした時、下校途中だった山本が現れた。いつものマフィアごっこのつもりで現れた山本だったが、倒れている獄寺を見て怒りを露わにする。
「こいつは穏やかじゃねぇな。」
普段温厚な山本が怒った事に驚きながらも、綱吉は何もできずに見ていた。また戦いが起こるのかと思いきや、千種はめんどいと言って去って行った。
獄寺は学校でぐうたらしていたシャマルの手によって助けられる。山本が寿司を持って見舞いに来たのだが、同じく食糧…と言うよりは毒物を持参したビアンキに敵視され若干気まずい。ビアンキを見た獄寺が腹の調子が悪そうだったため、リボーンは何処から取り出したのか分からないゴーグルをビアンキに着用させた。
「獄寺君の命が助かって本当に良かったよ。オレを庇って倒れた時には心臓止まるかと思った。」
「申し訳ありません、10代目。オレが力不足だったばかりに…。」
「そんなこと無いよ。むしろオレが謝りたいくらいなんだ。」
「まぁ、獄寺はもう大丈夫みたいだし、あんま気にすんなよなツナ。」
「野球バカ、今それをオレが言おうといてたんだよ!」
「隼人にこんな怪我をさせるなんて許せない。ツナ、殴りこみに行く時には必ず言うのよ。私も隼人の礼をさせてもらうわ。」
「ビアンキちゃん、そんな野郎は放っておいてオレとデートしようぜ。」
「死ね!ポイズン・クッキングⅡ!!」
シャマルの空気を読まない発言にビアンキは怒り、ポイズン・クッキングを喰らわせようとした。しかしそれを避けられ、逃げるシャマルに両手にポイズン・クッキングを持ち殺そうと追いかけるビアンキ。2人は病室を出て行った。
そんな2人を呆気にとられながら見ていた綱吉はそう言えばと千種の気になる発言を思い出した。
「獄寺君を襲ったあの人、オレの事を見て顔がどうのこうのって言ってなかったっけ?」
「そうなんですか、生憎オレは意識が無かったために分かりませんが。」
「そう言えば言ってたな。確か似てるのは顔だけ、だったよな。」
その発言を聞いたリボーンは、仲間のうちに綱吉と似たような顔の人間がいるのかと考えるが、残念なことにディーノに頼んだ調査の報告書はまだ届いていないので判断できない。レオンは相変わらず形が定まらず、様々な形をとり続けている。雲雀が帰ってこない事と併せ、事態は自分が思っているよりも大きな事なのかもしれない。
考え込むリボーンを横目で見ながら、綱吉の心は不安でいっぱいだった。