家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題) 作:寺桜
リボーンはディーノから受け取った資料の中にあった写真を綱吉たちに見せ、油断しないように忠告する。
「六道骸をあなどらねーほうが良いぞ。
何つったって奴は幾度となく、マフィアや警察によって絶体絶命の危機に陥ってるんだ。だが、そのたびに人を殺してそれをくぐりぬけて来たんだ。脱獄も死刑執行前日だったしな。」
「この人何してきたのー!? 六道骸やっぱ怖えー!」
綱吉は知らない。写真に写っている六道骸は骸本人ではなく、身代わりにされた哀れな男である事を。
一方、その頃、千種は眼を覚ました所だった。ムクっと起き上がり、骸に綱吉と接触した事を伝える。それを聞いた骸は既に綱吉達がここまで来ており、つい先ほど犬がやられたばかりだと言った。犬とは違い家族が倒された事に慌てる千種。しかしそれを骸が止めた。
「そう慌てないでください。 我々の援軍も到着しましたから。」
「……」
「相変わらず無愛想な奴ねー。久々に脱獄仲間に会ったっていうのに。」
声の先には、前髪をヘアピンで止めたロングブーツの少女M.M、坊主頭で何処を見ているのか分からない双子ヂヂとジジ、絶対に中学生ではない年齢の肩に小鳥がいる初老バーズ、最後に、無言で佇む男ランチアがいた。みんな黒曜中の制服を着ている。それは骸が面白半分でした命令だ。
ドサッ
フゥ太が手を滑らせて、ランキング本を落としてしまった。それを見た骸は何が面白いのかクフフと嗤う。
「じゃあ骸ちゃん、私そろそろ行ってくるわ。皆殺しにしたら報酬の件ヨロシク!」
「沢田綱吉だけは生かして捕えて下さい。」
「分かってるって。」
綱吉たちはお昼ご飯を食べる事にした。山本が持って来てくれた寿司とお茶だ。山本が準備し始めたとたん、ビアンキが横から出てきてポイズン・クッキングの毒虫茶を綱吉に無理やり渡そうとしていた。
ブクブクブク… グツグツグツ… ボン!!
唐突にビアンキが持っていたお茶が爆発する。いやビアンキのお茶だけではない。山本が持ってきた弁当も次々と爆発していったのだ。
「なんなのこれー!!?」
「敵の攻撃を受けているわ。」
ビアンキの声を受けて獄寺が敵が居るであろう場所に攻撃をした。その攻撃を受け建物の壁が崩れる。そこには少女、M.Mが居た。
「ダッサイ武器。こんな連中に柿ピーと犬は何手こずっていたのかしら。」
M.Mは語る。男の価値は金なのだと。金の無い男に価値は無く、綱吉達はみすぼらしい一緒に歩きたくない。つきあうのならば金を持った男、骸がいいのだと。しかしシスコンはマイナスだ。今回の依頼も骸が金を弾むので黒曜中の制服も来ているが、本来はM.Mの趣味では無いらしい。
「まー、せーぜーうろたえなさい。私はあんた達をあの世に送って、バックと洋服を買い漁るだけ!」
自分の価値観を語り終わるとM.Mはクラリネットを吹く。すると綱吉達の近くにあった者がどんどん爆発していく。正体が分からない敵の攻撃にとりあえず身を隠す事しかできない。どうしようかと悩んでいると、ビアンキが立ちあがった。
「ここは私が行くわ。あんた、間違ってるもの。 大事なのはお金ではなく、愛よ。」
「はあ?なんなのこの女ムカツク。」
ビアンキは物が次々と爆発するM.Mの攻撃の正体を見破っていた。それはクラリネットから出している特殊な音波で電子レンジと同じ効果を生み出し、沸騰させると言うものだ。攻撃の正体を見破られてもM.Mは余裕の態度を崩さない。それだけこの攻撃に自信があるのだろう。ビアンキとM.Mが価値観の不一致から一騎打ちになった。
M.Mがビアンキ目掛けてクラリネットを吹く中、ビアンキはポイズン・クッキング大型料理、食べ放題を盾にして突っ込んでいく。食べ放題が何度も爆発を起こすが、ビアンキはひるまない。そのことに若干焦りを覚えるM.M。とうとうビアンキは自分の射程距離内に入り、料理を投げつけようとする。
「キャアアア! …、なんて言うと思った?」
一瞬悲鳴をあげたように見えたM.Mは素早くクラリネットの両端を持って引っ張る。するとクラリネットの真ん中から鎖が出てきてヌンチャクに変形した。そしてそのまま近付いてきたビアンキを殴る。
「あぐっ!」
頭を思いっきり殴られたビアンキを心配し、前へ出ようとした綱吉と山本のを止めたのは顔を青ざめた獄寺だった。
「待て山本…、もう…触れたんだ。」
クラリネットを構えたM.Mが吹こうと口にしたその時。
「ひぎゃアアア!」
女性としてはどうかと思う悲鳴をM.Mは上げた。クラリネットだったはずの物はポイズン・クッキングへと姿を変え、M.Mは思いっきり口の中に入れてしまったのだ。それはビアンキがリボーンとの結婚式で習得した千紫毒万紅。触れたもの全てをポイズン・クッキングに変える獄寺にとっては正に悪夢の技だった。
勝負はビアンキの勝利に終わった。その結果に安堵していると、息つく暇なく新たな敵が現れる。新たな敵、それはバーズだった。
「まあまあ落ち着いて…、これを見て下さい。 お友達が狙われてますよ。」
そう言ってバーズは持っていたパソコン画面を見せる。京子とハルだった。映像はバーズの鳥に埋め込まれた小型カメラからリアルタイムで送られてきている。彼女たちの後ろにはそれぞれにヂヂとジジがついている。獄寺がバーズの胸元をつかむと双子が京子とハルを殺さんとしていた。悔しそうにバーズを開放する獄寺。
「さて、あなた達は今の状況が分かりましたね。本来だったらここで私は趣味でいたぶりたい所なんですけどね、六道さんから沢田綱吉の身柄を拘束して連れてくるよう言われているんですよ。
見ての通り私は非力なのでね、私が用意したこの特殊なワイヤーで貴方がた自身の手で沢田綱吉を拘束してもらいましょう。このワイヤーは動けば動くほどに身に喰いこんでいくんですよ。本来は凶暴な動物の捕獲などに使われるんですが、これくらいしないと安心できないので。」
そう言ってバーズはワイヤーでできた綱を投げて来た。寄越されたワイヤーをみて戸惑う綱吉達。一瞬綱吉は自分の顔がばれていないのならと淡い希望を抱くがバーズが催促する時に綱吉を指でさして早くしろと言う。綱吉の顔はしっかり敵にバレていた。
こんな大変な時にもリボーンは木の枝でお昼寝の真っ最中である。こっそり良い案は無いかと聞こうとしたが、それも叶わない。いつまでも動こうとしない綱吉達にしびれを切らしたバーズはカメラの位置を変えて双子が持っている物を写す。奴らが持っていた物は硫酸だった。
「あと10数える間に縛ってこちらに来なければ、どちらかを見せしめとして硫酸を書けます。」
「そ、そんなっ!」
「10…9…」
「くそ、10代目を縛るなんてできねぇっ。」
「他に方法は無いのか。」
「8…7…」
「男がグダグダ五月蝿いのよ!ツナあなたは黙って縛られなさい。あなたが縛られるだけで京子達は助かるのよ。」
ビアンキは問答無用で綱を縛ってく。山本と獄寺が邪魔をしようとしたが力いっぱい蹴られて蹲る。
「6…5…4…」
「オレ、どうなっちゃうのー!?」
「ツナ聞きなさい。特殊な縛り方をしているわ。あなたがこのワイヤーの端を引っ張ればワイヤーが解けるように縛ったの。いったん奴に渡すけど、隙を見て逃げなさい。」
一瞬でもビアンキに裏切られたと思った綱吉は自分を恥じた。今黒曜中に居る綱吉達には京子達を助ける術はない。黙って何もしなければ京子かハルのどちらかは硫酸を浴びる事になっただろう。それならば今は大人しく敵の手に渡り、ビアンキの言うとおり隙を見て逃げ出すのが最良だ。
「ありがとう、ビアンキ。オ、オレ怖いけど京子ちゃんやハルを守るために行って来るね。」
「3…2…」
「ほら、縛ったわよ!こんな奴いらないから連れて行きなさい!」
ドン!
投げ飛ばされるような形で綱吉はバーズに差し出された。時間はギリギリだが間に合い、どちらも硫酸はかけられていない。
「確かに、沢田綱吉は受け取りました。 これで私は役目を果たしましたよ、六道さん。」
「沢田綱吉、ついて来てもらおうか。着いてこなかったら少女たちがどうなるか、分かるな。」
いつの間に居たのか、そこには写真に写っていた六道骸、つまりランチアが居た。ランチアに連れられ綱吉は奥へと消えてゆく。綱吉は怯えながらも京子とハルを助けるためだと自分に言い聞かせた。