家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題) 作:寺桜
綱吉が連れていかれるのを、黙って見ている事しかできなかった山本と獄寺。いざという時には逃げれるようにはしたもののビアンキとて心配していた。
「さあ、ツナは渡したわよ。京子とハルを解放しなさい。」
「おやおや、私がいつ沢田綱吉を渡せば彼女たちを解放すると言いましたか。私はただ、あなた達の立場を理解させ、要求しただけですよ。楽しみはこれからじゃないですかジュルリ。」
バーズは興奮して唾液の分泌がすごいのか、口から涎がでている。
「なんだとテメェ、10代目はあいつらを助けるために捕らわれたんだぞ!ふざけるなっ。」
「これ以上、何しようってんだ。」
京子とハルを守るために綱吉を渡したにも拘らず、彼女たちは解放される事無く次の要求を突き付けるための人質のまま。事態はは綱吉が向こうに捕らわれている事からマイナスになった。バーズの外道振りに苛立ちを隠せずにいる3人。
「そうですね、そうだ良い事を思いつきました!ここに二つのナイフがあります。これで少年たちには殺し合いをしてもらいましょうか。」
獄寺と山本それぞれの足元に向かって用意されたナイフが投げられた。興奮が高まっているのかバーズの息が荒い。山本も獄寺も足元に来たナイフを手に取る事はしたが、どちらも襲いかかる事が出来ずに手元を見るばかり。
「早く始めなさい。でないと彼女達に硫酸かけさせますよ!」
しばらくナイフを見ていた獄寺だが、突然笑いだす。
「へ、へへ。野球バカ、オレは常々テメェが嫌いだった。10代目の右腕はこのオレなのに10代目に馴れ馴れしくしやがって。今ここで亡きものにしてやるぜ、オラァ!」
「何するんだ獄寺!」
「くっ。」
殺し合いが始ってしまう。獄寺は山本に襲いかかり、戸惑いながらも山本は応戦する。ビアンキは何もできないで見ているしかない。何度も何度もナイフがぶつかり合う。2人とも運動神経は良く、相手のナイフを防いで互いに無傷だ。積極的に攻めるのは獄寺だが、刃物の扱いに慣れているのは山本。
攻防を繰り返しているうちに、山本は違和感を覚えた。獄寺と知り合って1年と少々だが、獄寺ならばもっとフェイント等もいれて攻撃を行ってくるはずなのである。
それなのに今攻撃をしてくる獄寺は、ただナイフを振り回しているだけで次の行動が読みやすい。これは喧嘩という名のじゃれあいをしている山本だから気がついたのだ。
「…山本、このままで反応を返さずに聞け。」
獄寺は山本が自分が手加減していると言う事に気がついたタイミングで話しかけて来た。声は小さく聞こえ辛いが、この程度の大きさならばナイフのぶつかり合う音でバーズには聞こえないだろう。山本は獄寺に従い、そのまま無言で攻防を続ける。
「このまま殺し合いをしながらあのオッサンに近付くぞ。あいつの胸元掴んだ時に気がついたんだが、襟元にある小型マイクで指示を出してるみただ。」
「そんで、オレはどうすればいい?」
「あいつの近くにまである程度行ったら、お前を蹴り飛ばす。それに合わせてお前はあいつの所に飛ばされたふりして接近し、起き上がるようにして意識を刈り取ってこい。マイクで話しかける暇を与えるな。全部一瞬で決まる。」
獄寺からの指示に自分でできるかどうか考え、山本は決意する。
「…分かった。」
バーズは2人の激しい攻防に興奮していたが、いつまで経っても血が流れない。その事に少し疑問を持ち始めていた。だが獄寺のナイフは当たらないまでも蹴りや拳が当たり始めた事でどうでも良くなる。だんだんと2人はバーズに近付いて来るが、バーズは移動すること無く近くで眺めていた。
「死ね!山本っ。」
「ぐあっ。」
獄寺の力強い蹴りが山本にもろに入り、バーズの近くに転がってきた。
「クソッ。」
山本は口の中を切った様で、血が口の端から垂れる。それでもフラリとした様子で立ち上がろうとする。山本は立ち上がる様に見せかけてバーズを殴ろうとしたが、バーズが山本の血を見て興奮し、山本から眼が離れない。これでは攻撃しようにも気付かれてしまう。どうするべきかと立ち上がれない様に動きながらも考えていた。
ガン!!
ものすごい音がしたかと思えば、山本の眼の前でバーズが倒れる。山本は慌てて起き上がり、バーズが倒れるのを阻止する。バーズの陰から人影がでてきた。
「ははは、ビアンキ姉さんが美味しいとこ取りですね。」
「オレの立場がねーぜ。」
バーズの陰から出て来たのは獄寺とビアンキだった。どうやら追撃をする形で近付いてきた獄寺の陰にビアンキが隠れており、獄寺しか眼に入っていなかったバーズは油断したようだ。山本しか見ていない隙を狙ってビアンキが跳び出し、ポイズン・クッキング食べ放題の皿でバーズを殴ったのが真相のようだ。
「にしても獄寺、保険かけといたのなら教えて欲しかったぜ。オレ、こいつにガン見されてどうしようかって焦ったもんな。」
「オレだってこんな予定無かった!けどアネキがオレの後ろに隠れて着いてきやがるからどうしようも無かったんだよ。クッソ、あとで10代目にオレの素晴らしい活躍を報告する予定だったのに…。」
「けど困ったわね。どうやって双子を止めればいいのかしら。」
「その心配ならねーぞ。」
いつの間にやらリボーンは起きて、バーズのパソコンをいじっていた。リボーンは壁をスクリーンにして映像を拡大すると、殺人衝動が我慢できなくなったヂヂとジジが京子とハルに襲いかかろうとしている所だった。焦る獄寺たちをリボーンは余裕そうな顔で押さえつけ、まぁ見ていろと言った。
『ハーイ、京子ちゃん。助けに来ちゃったよ。おじさん、カワイコちゃんのためなら次の日の筋肉痛もいとわないぜ。』
「シャマル!」
「やるな、保健のおっさん。」
「おせーんだよ、ヘンタイヤブ医者が!!!」
「京子の方はもう大丈夫そうね、でもハルは…!」
『許せないな。女性を狙うなんて。』
『ハルさん、ここはオレ達にお任せて下さい。』
「あれは、イーピンと…ロメオ!?殺し損ねていたなんてっ!」
「違げーよ。10年後のイーピンとランボだアネキ。」
シャマル、イーピンとランボの活躍により、京子とハルは事なきを得た。京子とハルはどちらも、自分たちが殺されかけていたなんて全く気がついていないようだ。だがそんな事は一般人である2人は知らないままの方が幸せなのだろう。
「オレはツナを追いかけて先に行くぞ。お前らも早く追いかけてこい。」
そう言ってリボーンは身軽な動きで綱吉が連れていかれた方向へ消えて行った。
「さすがに、もう敵はいないのな。」
「いるわ。 隠れてないででてきたら?そこに居るのは分かってるのよ。来ないのならこちらから行くわよ」
「ま、まって。 僕だよ。」
木の陰からこちらを覗いていたのは、人質となったフゥ太だった。何故こんな場所に居るのかは分からないが、それでもフゥ太の無事を確認できて喜ぶ一行。
「何でこんな所に。」
「逃げて来たんじゃねーの?」
「フゥ太、一人じゃ危ないわ。一緒に行動しましょう。ツナが連れていかれてしまったから、できれば案内して欲しいのだけど。」
「僕もう…みんなの所には戻れない。僕…骸さんについていく…。」
フゥ太はそれだけを言うと、走り去っていく。
「獄寺、オレがフゥ太を追いかける。ツナの事は頼んだ!」
山本は自分がフゥ太を追いかけると宣言し、急いでフゥ太の後を追った。
「おい、野球バカっ。」
獄寺が何を言うよりも早く山本の姿は見えなくなってしまった。
「仕方が無いわね。隼人、私たちは山本武が言ったようにツナを追うわよ。」
ビアンキと獄寺は綱吉を探し、山本はフゥ太を追いかけた。リボーンは戦う事を禁じられ参戦できず、綱吉はランチアに引きつられて骸の下に向かっている。この戦力の分散が、どのように影響してくるのかはまだ分からない。