家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題)   作:寺桜

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第2話

奈々は醤油を買って帰ってきてた。優奈は良い子で待っていてくれるわよね、ツナはもうお昼寝から眼がさめちゃったかな?そんな事を考えながら帰宅すると、聞こえてくるのは綱吉の泣き声。

あ、もう起きちゃってたか、泣いてるという事はオムツかな?それともご飯かな?と少し慌てながらドアの鍵を開けようとしてふと、視界に違和感を覚えた。庭が踏み荒らされているし、プランターもいくつか倒れていたのだ。

そして土の着いた大人の靴後が窓から家の中へ続いていた。

 

「え?」

 

何が遭ったのかなど想像もつかない。

ただ分かる事は、自分の出かけているうちに何か良くない事が起こった、それだけだ。急いで家の鍵を開け、中に入ろうとするとチェーンがかかっていた。

 

「もう!」

 

チェーンのせいで家に入れないと分かると、足跡と同じように窓から家に入った。そこで見た物は、床で泣き続ける綱吉、荒らされた室内。

そして、姿の見えない愛娘。

 

奈々は床で泣いていた綱吉を抱きあげ、何処にも怪我が無い事に安堵しながら優奈の姿を探す。

 

「優奈、お母さん帰って来たわよ。何処に居るの、それとも隠れてるの?

もう大丈夫だから、出ておいで。ねぇ、優奈ほら大丈夫よ、何処?」

 

奈々は期待していた。優奈が何処かからひょっこり頭を出して、自分の前に姿を見せてくれる事を。だが、何時まで声をかけても優奈が奈々の前に姿を現す事は無かった。次第に奈々の声は震え始め、やがて擦れていき、最後には叫び声と泣き声がごちゃ混ぜになって溢れた。

平和だったはずの沢田家には、奈々と綱吉の泣き声がしばらく聞こえていた。

 

 

 

警察へと連絡がいったのは、事件発生から1時間後だった。連絡は奈々が行ったのではなく、奈々の叫び声の様な泣き声を聞いた近隣住民が様子を見に来て発覚したのだ。奈々を慰めながら警察へ通報し、茫然自失状態の奈々に代わり綱吉の面倒をみた。

 

事情徴収が行われた。警察は沢田優奈が何処からも発見されない事から誘拐と断定。誘拐犯からの連絡を待ち続けたが、家の電話は何日経っても鳴る事は無かった。

 

奈々の手元にはたった一枚の絵。

『つなよしまもろゆな』とタイトルがつけられた絵だ。その絵を見ていると枯れ果てたと思っていたはずの涙は、留まる事を知らず流れ出てくるのだった。

 

 

家光に連絡が行ったのは事件発生から1週間後の事だった。連絡が来た時彼は冗談だと思った。連絡してきた腹心の部下に悪い冗談は止めろと言ったほどだ。

だが、部下から逆に現実を見ろと怒られ、そして家光のアドレスに事件の報告書や警察から入手した資料が大量に送られてきた。実感など無いままにそれらを読み始め、やがて理解すると手を付けていた仕事はすべて部下に任せた。

その後家光は飛行機のチケットの手配をしながら9代目のもとへ急ぎ、最低限の報告をすませると日本への帰国を願った。9代目はそれを許し、むしろ何故今自分のもとに居る、報告なぞ部下にさせれば良い。そういって快く送り出したのだ。それでもその日のイタリアの空は荒れていて、出発予定時間から8時間以上経過していた。

 

 

家に帰ってみると本当にここが自分の家だったかと思うほどに変わっていた。雑草がところどころに生えた庭、窓に張り付けられたダンボール、何より家の空気が変わっていた。少し前までは自分が帰宅すれば、優奈が真っ先に玄関から飛び出してきて、奈々がツナを抱きかかえながら出迎えてくれる温かな家庭だった。ところが今はまるで灯が消えたように、いや実際に優奈という灯が消えて暗く静かになっていた。

 

「奈々、今帰った。

知り合いが事件の事を教えてくれて、急いで帰って来たんだ。すまない、大変な時に一緒に居てやれなかった。」

 

奈々はリビングのソファーに座りながら眠っている綱吉を抱きかかえていた。

 

「…、奈々?」

 

返事どころか顔をあげない奈々をいぶかしげに思いながら、肩を揺さぶる。

 

「うぅん、あれ、あなたお帰りなさい。

今ね、私すごく悪い夢を見ていたの。私が出掛けてる間に優奈が居なくなっちゃうっていう…」

 

眠っていたのだろう。

そう言いながら顔をあげた奈々は酷い顔をしていた。眼は充血し腫れている、眼の下にはろくに眠っていなかったのだろう、濃いクマができていた。さらに少しやつれている。

家光は改めて後悔した。何故もっと早くに帰ってこなかったのか、それよりも緊急連絡先の一つくらい教えておけばよかった。そもそも何で俺は護衛か監視を付けておかなかったんだ!そんな想いで胸が一杯になったのだ。

 

「優奈は何処…か、しら…。」

 

奈々は話している間にダンボールを貼りつけた窓を見て、夢が現実であった事を思い出した。それから真剣な顔で家光を見た。

 

「あなた、ごめんなさい。謝って済む事じゃないって分かってるわ。でも、ごめんなさい。あなたが不在のこの家を守るのは私なのに、私できなかったわ。それどころか、優奈が、優…奈が、誘拐され、てしまって。

離婚されても、しかたがないと思っています。…、親権も私では不安だというなら譲るわ。でも、でもたまにで良いからツナの顔を見させて。それから…」

 

「奈々、奈々!

自分だけを責めるな、離婚なんてしないしお前に対して不満なんか持ってない。むしろオレが悪かったんだ。すまない、奈々。オレが家に居てやれないから、連絡先の一つも教えなかったから。だから自分ひとりで今回の事を背負い込まないでくれ、むしろお前はオレをなじる資格があるんだ!」

 

 

 

それから家光はマフィア関係の方面からも調べはじめた。誘拐にも関わらず、身代金目的ではなかった。それに加え、優奈はどうかは分からないが少なくとも綱吉は無傷だ。家の一階は荒らされていたとは言っても、金目の物を物色した痕跡すらない。可能性としては限りなく低いが、この沢田家にボンゴレの血が流れている事を知ったマフィア関係者がさらったとも考えられなくもない。

 

 

表では警察と風紀委員が、裏では門外顧問の組織が血眼になって沢田優奈の行方を探し続けた。

 

 

 

 




きりが悪いのでいったんここで切ります。
次話、主人公視点に戻ります。
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