家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題)   作:寺桜

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第20話 影武者

「おーい、フゥ太。戻ってこいよ。」

 

フゥ太を追いかけて行った山本は容易く追いついた。だがフゥ太は止まらず走り続ける。怯えた表情のフゥ太に山本は強要する事はしず、気の済むまで一緒に走る事にした。

 

「もう僕の事は放っておいてよっ!」

 

「そんな事するはずないぜ。なぁ、どうしたんだよ。」

 

しばらく走っていると林から抜けて建物の前にたどり着いた。フゥ太は体力の限界なのか息を切らしている。

そこへ誰かが歩いてやってきた。山本は素早くフゥ太を守る様に立つ。

 

「あれ、山本それにフゥ太じゃないか!心配したんだぞ、怪我してないか?」

 

現れたのは捕らわれた綱吉と引きつれているランチアだった。綱吉はフゥ太に駆け寄ろうとするがそれをランチアが止めた。

 

「ツナ!」

 

「ツナ兄!」

 

山本は直ぐに綱吉を助けたかった。しかしフゥ太を守りながら綱吉を助けるのは荷がかちすぎている。山本バットを構えながら油断なくランチアを睨みつけた。ランチアはと言えば特に何をするわけでもなく、鉄球を片手で持っているだけ。

 

「フゥ太、無事でよかった。オ、オレの事は良いから山本、フゥ太を安全な所に連れて行ってよ。」

 

綱吉としては山本に助けて欲しかったが、自分よりもフゥ太を優先した。ランチアは特に動く様子は見られないので、フゥ太と山本だけなら見逃してもらえると思ったのだ。

 

「ダメだよツナ兄。僕、もうみんなの所には戻れないんだ。」

 

何かに怯えきっているフゥ太。そんなフゥ太を見た綱吉の超直感は、フゥ太が最も求めていた言葉を口にした。

 

「なに訳わかんない事言ってるんだよフゥ太。骸に何されたか分かんないけど、お前は何も悪くない。悪く無いんだそフゥ太、戻ってこい!」

 

「…っツナ兄。」

 

「わっ、大丈夫か!」

 

綱吉の言葉を聞いてフゥ太は倒れた。耳や鼻から血を流している。山本がフゥ太を助け起こすがフゥ太に意識は無い。その様子をただ見ていたランチアは口を開いた。

 

「ある意味、解放されたのか。

その子供を連れて帰れ。用があるのはボンゴレだけだ。」

 

「ツナも同じめに合わされないとも限らねぇのに、このまま帰れるかよ!!」

 

被っていた帽子を目深に被りなおし、ランチアは襲いかかってくる山本を蛇鋼球で応戦する。蛇鋼球を避けられなかった山本だが、バットを盾にする事でどうにか凌いだ。次に放たれる攻撃に吸い寄せられる正体を見破ろうと砂をバットでかける。すると舞い上がった砂が蛇鋼球に吸い寄せられた。

 

「追い着いたぞ。」

 

山本の次に綱吉の下に駆け付けたのはリボーンだった。リボーンは先ほどの攻撃を解説しながらフゥ太の様子を見る。命に別状がないと告げられると綱吉は安堵した。しかし、耳や鼻から血を流している事が心配な綱吉は病院に連れていきたいと言うが目の前のランチアを倒さねばそれさえできない。

 

山本はその間も偶然が重なり、何度か避ける事は出来たが偶然とはいつまでも続くものではない。そしてとうとう、ランチアの攻撃をもろに受けてしまった。フゥ太が倒れた事でも感情が高ぶっていた綱吉だが、山本がやられた姿に憤りを覚えランチアを叱りつけた。

 

「コラァ!!!もう止めるんだ!」

 

叱りつけてから気がつく。綱吉はまるでランボの悪戯を発見した時のように怒った。オレ何やってんのー!?と内心自分自身にツッコミを入れるが、どうしてあんな言い方をしたのか明確には分からない。

 

「10代目ご無事ですか!?」

 

「フゥ太、どうして倒れているのっ。」

 

遅れて合流するビアンキと獄寺。だが獄寺はビアンキに支えられながら歩いてきた。ビアンキいわく、シャマルの治療により無理にでも動けるようになった副作用が出たらしい。ビアンキは獄寺に休むように言ったが、獄寺は綱吉の身を案じて無理に無理を重ねてここまで来たのだと言う。

 

「もう、隼人は戦える体では無いの。」

 

「そんなことねー!大丈夫です10代目。オレが必ず助けますから、もう少しの辛抱です。」

 

支えていたビアンキを突き飛ばし、今にも倒れそうになりながら歩く。

 

「うぐっ、ぐぁ。」

 

しかし獄寺は5歩も歩かないうちにその場に倒れてしまう。

 

「中途半端に動けては諦められないだろう、暴蛇烈派覇。」

 

「隼人っ。」

 

倒れている獄寺に覆いかぶさり、庇おうとするビアンキ。

 

「止めるんだ! これ以上傷つけちゃダメだ!!」

 

「ならツナ、お前が死ぬ気で止めて見せろ。最後の一発だぞ。」

 

放たれる死ぬ気弾。額に受けた綱吉は死ぬ気モードになる。握っていたワイヤーの端を引っ張り拘束を解くと、綱吉はビアンキの前に立ち蛇鋼球に吸い寄せられる勢いを利用し頭突きを行った。そして服が破れとぶ。

 

「復!!活!!! 死ぬ気で六道骸を倒す!」

 

暴蛇烈覇をとめた綱吉に驚きつつ、これからは本気だと宣言して蛇鋼球を上空へ投げ捨てる。そして始る肉弾戦、手加減をしていたと言うのは本当らしくほぼ一方的な攻撃になる。攻撃は止む事無く綱吉を傷つけ続ける。

 

「フィニッシュだ。」

 

綱吉を投げ捨てるランチア。捨てられた綱吉は地面に転がりそこへ蛇鋼球が落ちてくる。そのまま綱吉は潰された…と思われた。

 

ズドンッ。

 

蛇鋼球がどかされ、地面に置かれる。

 

「こんな事するような人じゃない。」

 

土煙の中から出て来た綱吉は片膝を地面につけながら蛇鋼球を受け止める事で、蛇鋼球のダメージを地面に逃がしたようだ。

 

「化物か…!?」

 

自身で傷つけた綱吉にどれほどダメージを与えたのかランチアは良く分かっていた。本来ならば他の倒れ伏している2人の少年の様に綱吉がなっていて当然なのだ。何故倒れないのか分からない。

 

「オレはお前を止める!!」

 

綱吉の言葉が変わった。

 

「止めるだと?何をふざけた事を言っている。

オレは人を傷つける事をなんとも思っていない!」

 

「嘘だ!」

 

再びはじまる肉弾戦。だが先ほどとは違い一方的な物にはならない。綱吉は先ほどとは違い受け止め、避け、反撃する。綱吉の別人のような動きに驚愕するランチア。

 

「こいつは今伸び盛りなんだぞ。戦うほどに成長する。」

 

綱吉の動きに満足げに笑うリボーン。ビアンキは獄寺・山本・フゥ太を被害が及ばない場所に移動させ、応急処置をして見守っていた。

 

「いい加減にやめろ、あんたは悪人じゃない!」

 

「オレは残虐非道の悪人だ!」

 

「違う!」

 

綱吉の拳がランチアを捕えた。

 

「ゴフッ!」

 

ランチアが腹を抱えて倒れていく。それと並行して綱吉の額から炎が消えていった。

 

「あなたは、こんな事をする人なんかじゃない。はじめて見た時からあんまり怖いと思わ無かったんだ。だからずっと違和感を感じてた。

 

ビアンキからオレを引き渡されて連れていく時、オレ何度も転んだのに、拘束されてたオレを普通に助け起こしてくれた。フゥ太がこっちにきたら悲しそうな顔をして、血を流して倒れたら病院に連れて行けって言って山本とフゥ太を逃がそうとする。鉄球で手加減をしていたのも本当みたいだし、誰も死んでない。

 

あなたは家にいる子供みたいに、あったかくて優しい人だ。」

 

初見で自分の事を見破られていたと知ったランチアは、悲しそうなけれどすっきりした顔をして綱吉に自分の正体を明かした。

 

「完敗だな。…、六道骸が警戒するのも分かる。オレは六道骸の影武者だ。」

 

それからランチアは自分の過去を語る。自分が元はイタリアのあるマフィアだった事、ボスの連れて来た子供により全てが狂った事、知らないうちにできる死体の山と血の海の事、そして自分が六道骸により操られていた事。

 

「いいか、ボンゴレ。良く聞け、六道骸の本当の目的はある人物と再会することだ。その人物とは…!どけッ!!」

 

ランチアと綱吉が居た場所に突如毒針が襲う。ランチアは綱吉を突き飛ばし庇って毒針を受けた。綱吉は自分を庇ったランチアに名前を問う。名前を教えたランチアは綱吉が名前を呼ぶのを聞いて目を閉じた。慌てる綱吉にリボーンは一時間以内に解毒すれば大丈夫だと告げる。

 

 

 

獄寺は副作用からなんとか回復したが、山本・フゥ太はもう動ける状態では無い。それに加えランチアもこのままにしておくわけにもいかなかった。そこでビアンキはここに残り、リタイヤ組をみている事になる。綱吉はビアンキが持っていた新しい服に着替えた。

 

「許せない、六道骸。」

 

「人のする事じゃないっすね。」

 

「言っておくがツナ、切り札は使っちまったぞ。」

 

「わかってる、リボーン。それでも許せないんだ。行こう、獄寺君。六道骸だけは何とかしないと!!」

 

 

綱吉の想いで強くなる。例え自分が弱くとも六道骸に立ち向かう。

 

 

 

 

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