家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題) 作:寺桜
骸が居ると思われる建物に入った綱吉達。建物の中はいたる所に瓦礫があり、階段のほとんども壊れていた。リボーンが言うには壊れているものもあるが、壊されているものがほとんどらしい。これには侵入ルートを絞る目的があり、骸たちからすれば退路を断っていると言えるがそれほどに自信があるのだろう。
使える階段を探す途中で携帯を発見する。綱吉はそれが雲雀の物ではないかと言い、ついでに着信音が校歌だった事を獄寺に話す。その話を聞いた獄寺はダッセー!!と思いっきり口にするが、内心誰とも着信音がかぶらないので一発で自身の携帯が鳴っているのだと気づけるなとどうでも良い事を思った。
「あ、そうだ10代目。オレ、シャマルから雲雀の野郎の処方箋貰って来たんですよ。あいつ今何処に居るか分かりませんし半分10代目に渡しときます。半分ありゃ充分でしょ。」
「処方箋って、素人の判断で半分にして良いものだっけー!?」
「戦力が足りない今、どんな状態かは分かりませんが雲雀が使えりゃ大丈夫でしょう。」
「獄寺の言う事ももっともだ。どちらかが敵と戦って動けなくなる可能性があるからな、もらっとけツナ。」
「分かったリボーン。」
獄寺から処方箋を半分受け取った綱吉。半分で本当に大丈夫なのか、雲雀を見つけたとしてもきちんと渡せるのかとグルグル考えていると、獄寺が使えるハシゴを見つけた。それを上って上の階にたどり着くと、犬と千種が待ち構えていた。
その事に驚く綱吉たち。犬いわくロープなどコングチャンネルで引きちぎり、ランチアと戦っている綱吉たちを横目に追い抜いてきたというのだ。
「2対2だな、だが10代目の手を煩わせるほどでもねー。オレが2人とも倒してやるぜ!」
「カッチーン!その言い方ムカつくびょん。」
「…、沢田綱吉。お前だけなら先に進む事を許されている。」
「え?それってどういう事。」
突然自分だけ通る事を許可され、綱吉は戸惑う。獄寺とリボーンは罠の可能性を疑う。
「骸さんはお前に会ってみたがってる。だが、他の奴を通すほど心が広いわけじゃないびょん。不意打ちの可能性疑ってるみたいだけど、そんなことしないぜ。」
「……先に、行って下さい10代目。ここはオレにお任せを!」
「いくら獄寺君でも2対1なんて。」
「行って下さい!!」
「~~~っ、分かった。後から必ず来てね!」
犬と千種の間を通り先へ進む綱吉。敵の二人に動きがあればいつでも攻撃できる体制にはいる獄寺。綱吉が通過する間、犬と千種は言った通り手を出してはこなかった。リボーンも綱吉を追い、通ろうとするが犬が殴りかかる。
しかしリボーンはそれを軽々と避けると、そのまま綱吉と共に奥に進んでいった。
「さてと、さっさと殺ろうぜアニマルヤローにメガネ!数が多いからって余裕ぶってると死ぬぜ。」
ダイナマイトを構え、犬と千種を睨む獄寺。先ほどまで綱吉がいたので意地を張ってみせたが、口で言うほどの余裕などない。それでも表面上は余裕の態度を崩さない。何としてでもこの2人を綱吉の所へ向かわせるわけにはいかないのだ。
もし獄寺がここで倒れてしまえば3対1になってしまう。いくら綱吉を盲目的に敬愛している獄寺でも想像に難く無かった。
「テメェこそ1人のくせにその余裕の態度でいつまで居れるでしょう?」
「犬、早く骸様の下に行こう。」
「柿ピーってばそんなに急がなくったって大丈夫だびょん。骸さんがあんな軟い奴にやられるわけナイナイ。でもこれでようやく迎えに行けるびょん。」
骸に向けられる絶対の信頼と、勝つことが決まっているかのような発言。その事に加え綱吉を貶されたことに獄寺がキレた。
「10代目に対しての暴言、死んで詫びろ!! 2倍ボム!!!」
自分が通ってきた道の背後で爆発音を聞きながら、綱吉は走っていた。できれば道中に雲雀を発見できないかと思っていたが、そんな都合のいい話があるわけ無い。
一番奥の部屋にたどり着いた。たどり着いたがこの部屋に六道骸がいるのかは分からない。もし間違っていて別の部屋に居るのに、勢いよくこの部屋の扉を開けてしまってはカッコワルイ。頭を抱えて悩む。
「何扉の前で頭抱えてんだ。さっさとしろ!」
ドゴッ
「痛ってー!!」
綱吉がいつまでたっても扉を開けない事に苛立ったリボーンが綱吉の足を蹴る。足をさすって痛みが緩和するのを待つ。その後やっぱり自信が無かった綱吉はとりあえず声をかける事にした。
トン・トン!
「あのー、誰か入ってますか?」
「ここはトイレかバカツナ!」
綱吉のあんまりな態度にリボーンが綱吉を殴り、悶絶する綱吉。その声は部屋の中まで聞こえていたのだろう、部屋から笑い声がした。
「クハハハハッ。えぇ、居ますとも。鍵などかけていません、どうぞ入ってきなさい。」
その声を受けて綱吉はおっかなびっくり扉を開ける。部屋の奥にはソファーがあり、そこにはオッドアイで独特な髪形の青年が座っていた。青年は片足に何かを踏みつけている事に気がついた綱吉は、見えているものが信じられずに思わず凝視する。
「まずいな。」
「ひ、雲雀さん!?」
踏みつけられていたのは探していた雲雀恭也その人だった。リボーンは思っていた以上にこちらが不利な状況に顔が無表情になり、綱吉は雲雀の血だらけの姿に茫然となる。そんな2人の反応を楽しんでいるのか、笑みを深める骸。
「はじめましてボンゴレ10代目候補、沢田綱吉。僕の名前は六道骸と言います。もう分かっているとは思いますが、あなたに喧嘩を売り、あなたの仲間に酷い事をしてきた元凶はこの僕です。仲よくしていただく必要は全くありません。
君の体を貰いうけるその瞬間までせいぜい足掻くと良いですよ。」
「な、なんで、どうしてこんな酷い事が出来るんだ。雲雀さんに何をしてるんだよっ!」
「何、と言われましてもただの暇つぶしですよ。君が来るのがあまりにも遅いので暇でしてね。何もしずに待っているのも嫌だったので、いったん仕舞っていた壊れかけのオモチャを出してきて遊んでいただけです。
まぁ、もともと壊れかけていたのですっかり動かなくなってしまいましたけど。」
そう言いながら足元の雲雀を踏みにじる骸。雲雀は意識はあるようだが体が動いておらず、眼だけで人を殺せるなら確実に骸を殺している。
「ぐっ!」
「雲雀さんを帰せ!!」
「良いですよ、もう壊れていますが。あなたが来た事で暇潰しする必要は無くなった。」
骸は足を雲雀から退ける。思っていたよりもあっさりと解放される雲雀に安堵していると、骸は信じられない行動に出た。
「ほら、受け取りなさい。」
ガッ!!!
「っ!」
なんと骸は既に動けぬ雲雀をこちらに蹴り飛ばして寄越したのだ。雲雀の体は一瞬宙に浮き、落下するとそのまま転がった。
「雲雀さん!!」
転がってきた雲雀に駆け寄る綱吉。雲雀はどこもかしこも血だらけで、片腕は骨折し腫れて変色しているし、血を流し過ぎたのか顔が青ざめている。だが見開いている瞳は屈辱と憎悪に塗れギラギラと光っていた。
「雲雀さん強いはずなのに何でこんな事に…。」
「上を見ろ、ツナ。」
リボーンに言われて上を見上げると、天井一面に桜が設置されていた。雲雀がサクラクラ病だった事を思い出した綱吉は、そんな卑怯な手を使って雲雀をいたぶった骸にさらなる怒りが増す。
ひとまずリボーンが持っていた救急箱で応急処置を行い、半分だけの処方箋を飲ませる。桜が設置されているこの部屋で、まともに動けないままでは殺されてしまう。半分だけなのでどれほど効果があるかは分からないが、飲まないよりはマシだろう。
「クフフ、沢田綱吉。あなたが雲雀恭也の応急処置をしている間手を出さない代わりに、僕の話を聞いていなさい。あなたがきちんと聞いている間は僕も何もしないで見ていましょう。」
綱吉としてはお前の話なんて聞きたくない!と言ってしまいたかった。しかし雲雀の手当てをしなくてはいけないこの状況で攻撃をされても、綱吉では何もできず倒されてお終いだ。しぶしぶ骸の提案を了承する。
「わかった、お前の話を聞くよ。」
「ひとつ聞きてーんだが、それはツナに似ている奴の話か?」
「おや、誰かおしゃべりな人が居たみたいですね。そうです、その人が関わる話です。
しかし勘違いをしないでください。沢田綱吉に似ているのではなく、沢田綱吉が似ているのですよ。」
次回、ただの昔話とカミングアウト。
読まなくても平気です。