家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題)   作:寺桜

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※グロ注意 
 昔話とカミングアウトなので読まなくても次話は理解できます。


第22話 昔話

それから骸は語り始める。それを綱吉は適当に相槌を打っていればいいのに、何故か真剣に聞いていた。リボーンは綱吉に手当の支持をだしながら、自身も酷い傷を中心に手当をしていく。

 

 

「昔々、ある所に極悪非道の血も涙も無い、マフィアがありました。

そのマフィアは全てのものたちから嫌われておりました。

どのくらい嫌われていたかと言うと、一般人からはもちろん、同じマフィアからも嫌われており、そこの構成員と分かれば問答無用で銃殺されるくらいです。

 

そのマフィアは日々こどもを買い、攫い集めては自分たちの基地に連れていきました。

そのマフィアはマフィア界のトップに立とうと新たなる力を求めていました。

しかし力を手に入れるには代償が必要で、その代償を集めて来たこどもに払わせていたのです。」

 

 

綱吉の手が止まり、骸の方を見る。そこには何処から出したのかたくさんの人形があり、人形は勝手に動いていた。代償の事が語られた所では子供の人形を、大人の怖そうな人形がナイフで切り裂き中のワタを引きづり出している。

 

引きづり出されたワタの欠片が『ふわり』と舞う。

 

直接骸が語ったわけではない。もし直接言っていたのならば、綱吉は酷いと思いながらも遠くの事として流しただろう。だが骸は『代償』と言っただけだ。それでも子供人形が引き裂かれ、ワタを引きづり出したことから分かってしまった。

 

分かってしまえば、先ほどまでただの人形のワタだと思っていた物が、ハラワタに見える。白いフワフワのワタは、赤くぬるりとしたハラワタ。舞い散ったのはチ。

綱吉は喉の奥から酸っぱいものが込み上げててきて、両手で口を押さえる。怖くて、気持ち悪くて、本当はもう聞きたくない見たくない。

 

それなのに、眼をそらす事が出来ない。耳をふさぐ事も出来ない。

 

 

「こども達は、抵抗すれば殺され、失敗すれば食事を与えられませんでした。

心は閉ざされ、表情は無くし、いつ死んでもおかしくない日常。

動かされる事を待つマリオネットの様になっていくこども達。」

 

 

子供人形たちは無表情の仮面をつけて、ふっくらとしていたのが嘘のように細くなってしまった。それとは反対に大人の人形は語り出した時のまま大きく、しっかりとした体で笑っている。普通に笑っているだけの人形のはずなのに、なぜこんなにも、大人の人形が醜く見えるのだろう。

 

 

「そんな地獄のようなある日、1人の女の子が連れてこられました。

女の子はその身に流れる血が特別視されて攫われてきました。

彼女は言葉が違う国から来たようで、誰も彼女の相手をしません。

 

そこへ1人こどもが戻ってきました。

そのこどもはポロポロと我慢して泣くのです。

女の子はそのこどもの元へいくと抱きしめて、大丈夫だと何度も繰り返しました。」

 

 

新たに登場したのは可愛らしい白いワンピースの女の子の人形、どことなく綱吉と顔立ちが似ている気がする。きっとその女の子こそが骸達の言う綱吉と似た人なのだろう。女の子に抱きしめられたこどもの人形の仮面が外れる。そして悲しそうな顔で泣き始めた。

 

 

「女の子は地獄という闇の中での希望という名の光になりました。

誰一人として家族などいなかったこども達は、女の子を中心に家族になります。

父親も母親も居ない家族。

全てのこども達は兄弟で、年齢など関係無く女の子が長女になりました。」

 

 

女の子の人形の近くから子供人形たちの仮面が外れていく。消えては戻ってくる子供人形達。子供人形のほとんどは手や足、眼や新たにワタを失って戻ってきた。戻ってきたばかりの時は泣いていたが、女の子と接するとすぐに笑顔になる。子供人形達は相変わらず細いままだが、先ほどと同じ人形達とは思えないほど和やかだった。

 

だが、空気は一変する。足の無い片目の人形が消えてから、戻ってくる子供人形が突然少なくなったのだ。そして新しい子供人形がでてくる。その人形たちも消えては戻り、消えては戻り、消えて戻ってこなくなる。

 

 

「こども達が消えていく事に悲しみ、そして怒った女の子は大人に挑みかかりました。

しかしそれは新たに消える子供を生みだしてしまっただけでした。」

 

 

怒った女の子が大人の人形に挑むが大人の人形に挑むが、簡単に取り押さえられた。そして女の子の前で子供人形が引き裂かれた。引き裂かれた所から飛び散るワタ。そのワタの一部が女の子の人形にもかかる。

 

 

「マフィア達は女の子に言いました。

お前のせいでこれは死んだのだと。

 

ショックを受ける女の子にマフィアは取引を持ちかけました。

女の子がマフィアに協力するのならば、消えるこどもの数をへらせると。」

 

 

女の子の人形は大人の人形についていく。そこからしばらく骸は無言になり、人形達だけが動く。

女の子が連れていかれた先には1人の強そうな人形がいた。女の子は強そうな人形にむかっていくが、弄られて終わる。それを何度も何度も繰り返す。女の子が目標を達成すると別の場所の子供人形に良い変化があり、目標を達成できないと悪い変化が起こった。

 

リボーンと雲雀はその行為が何なのか分かった。綱吉は初め何をしているのか分からなかったが、それがリボーンが自分に行う暇つぶしの特訓に似ている事に気がつき戦闘訓練をさせられているのだと分かった。だが綱吉とは違い女の子には人質が居て、何より訓練事態が女の子を殺そうとしているのではないかと思うほどに酷かった。

 

切り刻まれ、ワタはあちこちからとび出し、所々ちぎれ落ちそうな箇所もある。戦闘訓練が終われば女の子はすぐに直された。切り刻まれた箇所は縫われ、損傷した場所には違う布で補強されている。

 

戦闘訓練に女の子が慣れてくると次は理科室を思わせる紙のセットがたくさん置いてある部屋に連れていかれる。ベットに寝かされた女の子を大人の人形達は切り刻み、白色のワタを取り出したかと思えば、緑色のワタを詰めなおし緑色のワタを取り出したかと思えば青色のワタを詰めなおす。そんな事を何度も何度も繰り返す。

 

大人の人形は笑顔で詰めるワタ詰めていたワタを見てはうんうんと頷き合った。そしてまた違う色のワタを詰めなおすのだ。女の子は抵抗などしない。大人の人形に従うだけ。可愛い女の子の人形はいつの間にか縫い目だらけの人形になっていた。どこもかしこも縫い目だらけで唯一顔の部分だけが縫い目が少ない。

 

リボーンに殴られたわけでもないのに視界が廻る。口の中は変わらず酸っぱいままで、吐いてしまえばどれだけ楽になるだろう。それほどに気分が最悪でも目を逸らせない。逸らさない。骸の語る昔話を聞かなくてはならないと思った。

 

女の子が実験に協力的になってから確かに消える子供人形の数は減った。細くなりすぎていた子供人形が少し太くなり、傷だらけのままだった人形の傷がふさがっている。戻ってくる子供人形の数は増えた。だが消える人形の数は減っただけで、無くなったわけではない。

 

古くからいた人形や新しく来た人形達がたくさん消えていく中で、ずっと戻り続ける人形も数体いた。その中には眼帯の人形、顔に動物が描いてある人形、メガネをかけた人形があった。おそらく骸、犬、千種だ。

 

 

 

「ある日、女の子は言いました。

自分には3歳下の弟が居るのだと。

自分は弟を守るため身代わりに攫われた、弟が心配だと。

 

女の子の出身地は日本、並盛。」

 

 

 

まさか、まさか!!

 

驚愕するリボーンと綱吉。手当が終わった雲雀も、動けないながらに並盛で起こった未解決凶悪事件の真相を聞き、眼を見開いている。並盛で誘拐され行方不明になった女の子は過去たった一人。

 

「そ、それてっさ、守ら…れた、弟ってオレ? 身代わりに、なったって…、姉ちゃん?」

 

 

 

 

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