家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題)   作:寺桜

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ヴァリアー偏
第27話


イタリア ボンゴレ本部 ザンザス私室

 

「……これで契約は成立、だね。」

 

「ああ。」

 

優奈は今しがた成立したばかりの契約書を大切に仕舞う。その契約書には優奈の本名でのサインとザンザスのサインがされており、双方に同じ内容のものがある。契約は2人の間だけで交わされ、他の者は誰も知らず契約の内容は2人だけしか知らない。

 

「手を出せ。」

 

「…。」

 

ガシャン

 

優奈の両手には左右に繋がる鎖付きの手錠が付けられた。手錠といっても囚人が付けるような代物ではなく、金色に輝き手首があたる部分には布が付いているので痛める事は無い。鎖はとても長く、1,5mはあるだろう。鎖が長いおかげで運動する事に不自由はないだろうが、足元で引きずるため足首に絡まないように注意しなければならない。

 

優奈は鎖の具合を確認すると、ザンザスに一礼して無言で部屋を出た。ザンザスは優奈が無言で部屋を出た事を咎めない。何故ならば言葉を発しない事も契約が成立した時からの内容の一部なのだから。

 

 

 

優奈は自室で報告を受けていた。通常の任務についてや極秘任務、影武者の生活について等など。その全ての報告に無言で対応し、新たな指示はいつの間にか居ていたのか新しい書類を渡す事で済ませた。

 

一通りの報告が終わり、優奈は新たな書類を製作しようとした所にいきなり優奈の腹心であるフィリップがノックもせずに入室してきた。驚いて顔をあげるとフィリップの方が優奈より何倍も驚いた顔をしていた。

 

「あ…その…雌獅子様、部下から雌獅子様が手錠をつけているとの報告を受けてこちらに来たのですが。その手錠は何なのでしょうか?それに報告書の受け渡しなどを行っている際に一切言葉を発しなかったとのことですが本当なのでしょうか?」

 

フィリップは愕然とした顔で優奈に問いかけた。しかし優奈は何も答えず、フィリップに新しい書類を渡すだけ。フィリップはもしや書類に何らかの答えがあるのではないかと隅々まで読むが、通常の任務指示書と変わらずフィリップの知りたがっている答えは何処にも書いてなどいない。

 

フィリップの慌て具合に契約内容を伝える事は無くとも、言葉を話せない事になることは仄めかしておくべきだったかと思った。契約内容は伝えることができず、契約事態を他者に教えてはならない。もし教える場合にはザンザスと優奈それぞれの合意が必要である。

 

フィリップは優奈がどうしようか考えている間にどうにか立ち直ったようだ。少し険しい顔をしながら優奈への質問を変えてきた。

 

「雌獅子様は今現在話す事が出来ないのですね。」

 

コクリと頷く。

どうやら首の動きだけで答えられるような質問形式にするようだ。

 

「それは病か怪我のためですか?」

 

どちらでもないので首を振る。

 

「そうですか、ひとまずは安心いたしました。では何故、とお聞きしてもよろしいですか?」

 

それは契約に関わるため答えることはできない。また首を振る。

 

「聞いてはいけない事ならば聞きません。それは手錠も同様ですね。」

 

その通りなので頷いた。

余計な質問をしてこないので優奈にとってはありがたい。きっとフィリップの心の中は疑問だらけなのだろう。それでも聞かないのは優奈を信じているからだ。

 

「分かりました、これ以上はもうお聞きしません。他の部下達にはわたくしの方から申しつけておきます。

 

それとリボーンさんから連絡が来ておりましたが、以前支持を出された通りに返信などはせず雌獅子様に対する質問などは無言で押し通しています。

 

それにもう一点、ザンザス様から例の件を進めるとだけ申し使っております。」

 

例の件、つまりセカンド・クーデターの事だ。これをクーデターと呼んで良いのかは分からないが、9代目をモスカの中へと閉じ込め乗っ取るのだから間違いでもないのだろう。お父さんはザンザスの事を良く思っていない上、誰にも話していないようだが血のつながりがない事も気が付いている。

 

優奈が雌獅子である事を知っているのは今もザンザスのみ。家光がザンザスを認めないとなれば新たな旗頭が必要となるが、公表されていた3人の候補が全員死んでいるので綱吉になることは分かり切っている。

 

フィリップは優奈の考え事を邪魔しないように静かに退室していった。

 

例え綱吉と敵対する事になっても、優奈の決意は変わらない。それが優奈を形成する信念のために覚悟していた1つでもあるからだ。今はまだ一息ついていられるが直ぐに忙しくなる。優奈はザンザスと契約をしていたが、他にも家族を守るためにした契約がある。

 

誰にも理解されなくて良い、必ず全てを成功させる。

その想いだけを胸に、次の日から優奈は変わってしまった。

 

 

 

マフィア界で有名なボンゴレの雌獅子。彼女は敵対者には絶望を、弱者には光を、味方には慈悲を、そんな存在だった。

 

彼女は突然変わってしまった。毎月寄付していた孤児院には顔を出さなくなり、敵のマフィア脅されて協力させられていた一般人をも殺し、明るい性格は消えて無機質な動く殺人人形のようになってしまったのだ。

 

これではモスカと何の違いがあるのかと彼女の部下たちは嘆いた。フィリップはそれでも耐えて今まで仕事をこなしていたが、昨日とうとう普段の雌獅子ならば絶対に行わない事を行ったのだ。

 

それは部下殺し。

 

他のヴァリアー幹部の者たちならば不当な理由をつけて良く行う事ではある。だが雌獅子は違った。正当な理由なくして部下は傷つけず、初めは口頭による注意をするのが彼女である。

 

それなのに昨日、ザンザスが不機嫌で誰かを殺せと雌獅子に命じたのだ。雌獅子は直ぐ近くに居た自身の部下ジャリクにナイフで切りかかった。その場に崩れ落ちたジャリクをぞんざいに部屋の外に放り投げ、そのまま何事も無かった様に仕事を続けた。

 

フィリップにとっては信じがたい光景だった。あれほどに部下を大切に扱ってくれていた雌獅子がザンザスが命じたというだけで部下を切り捨てたのだ。ジャリクはその後病院へ運ばれ意識不明の重体。生きてはいたがその事を報告する気にはなれず、死んだと偽の報告書を提出した。その報告書すら一瞥して終わりだったが。

 

これは異常事態だ。手錠がはめられた次の日から雌獅子は変わってしまったのだ。罰せられても真相を突き止めるべきだったのだ。今ボンゴレ内部では門外顧問と9代目の影武者が後継者について言い争い連日会議続きになっている。

 

フィリップは9代目が影武者だとは知っているが、何故影武者が必要だったのかはしらない。そんな事よりも今は雌獅子についてだ。誰かに相談しなければならない。9代目の守護者たちは未だに影武者だと気づいていないので論外、門外顧問は気付いているようだが後継者争いに掛かりっきりで手が離せない。それならばいったい誰に…。

 

そこでふと、フィリップの頭に浮かんだのは雌獅子の友人であるリボーン。もしかしたらとフィリップは希望を見つけた気分になった。そして早々に自分の机でリボーン宛に手紙を書く。

 

極秘情報によれば門外顧問は近々バジルという少年に何かを持たせて日本に送るらしい。フィリップも一度だけ手合わせをした事があるので実力は知っている。彼に手紙を託そうと決めた。

 

 

 

周囲の誰もが優奈の変化に戸惑い、混乱していた。しかし優奈は説明などしないし、するつもりもない。全てはザンザスのために成すのだ。例え子供たちに泣きつかれようと、部下の血にこの身が濡れようと構わない。それがザンザスが望むのならそれに従うまでだ。

 

 

 

心は氷に覆われた

冷たくて分厚い氷の壁

早くしなければ、奥底に眠る心も死ぬだろう

 

 

 

モスカのメンテナンスをおこない、中の生命維持装置に栄養剤を継ぎ足すのが日課になっている。閉じ込められた9代目を極秘に救いだそうとなんて思わない。それこそ自業自得だと思っているからだ。

 

最近フィリップの行動に不審な点が増えてきたので、尻尾をつかんだら始末しなくてはならない。ザンザスの不利になる行動をとられてはならない。もうすぐ門外顧問が動き出しそうなのでそちらも気をつけなくては。

 

 

 

氷の中で眠るお姫様

どうして氷の中で眠るのだろう

手錠は何を捕まえているの?何を縛っているの?

 

 

 

スクアーロはきちんと仕事をこなすかなと思いながら鎖の手入れを行う。この鎖が今は優奈の武器だから。弾丸を弾くのも相手を絞め殺すのももう慣れた物だ。

 

そんなことより、ザンザスの守護者の席を誰から奪おうかと優奈は考える。誰から奪うのがザンザスに不利益を被らせずに利益にすることができるのか。誰が良いだろう、できれば消えても問題ない、ザンザスが嫌っている者が好ましい。そう、嫌われている…

 

「……!」

 

奪う人物はあっさり決まった。居ようが居まいが大して変わらずむしろ優奈の方が全てを上手くこなす自信がある。そうと決まればさっそくザンザスに許可を求めなくてはならない。あんなのでもザンザスの部下なのだから。

 

 

 

ジャラジャラと鎖がなる

けれど本当に引きずっているのは鎖?

 

 

 

ザンザスの許可をもらった優奈は守護者の席を奪うべくその人物の所へ向かった。

 

 

 

 




リアルが忙しいのでしばらく更新速度おとします。
落ち着いたら元に戻します。
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