家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題) 作:寺桜
ドーン・・・
ドカーン・・・・・・
普段の並盛には似つかわしくない音が響き渡る。
力の差は大きく、ベルはバジルをいたぶり遊んでいた。バジルが日本に着いたのは昨日の夜遅くだが、現在では日は空高くで無遠慮にバジルを見下ろしていた。バジルはいたる所から出血しており、ジャケットは元の色が分からないほど血に染まっている。
そんなバジルとは対照的にベルはかすり傷一つなく、鼻歌を歌いながら戦う余裕さえある。本来ならば既にイタリアに帰るための飛行機に乗っていてもおかしくは無い。だが、近頃任務に退屈していたベルとしてはストレス発散を兼ねてバジルで遊んでいるのだ。
それももう少しで終わってしまいそうだ。バジルはもはや戦う余力すらないのか足を引きずって逃げるだけ。つまらなくなってしまった。
「っ!」
「あ…!」
2人はビルの屋上を飛び移りながら戦っていたのだが、バジルが足を滑らせて落ちていく。
バジルは落ちながらも空中でどうにか体勢を立て直す。そしてビルとビルの間の壁を蹴って勢いを殺していく。一般人に被害を出さない様に人気の無い場所や裏道を通っていたが、もはや周囲を庇っていては逃げられないと判断したバジルは落下速度を利用しながら表通りへと跳び出した。
ドンッ
「ぎゃああ!」
「す、すみませ…。 おぬし!!」
「痛ててて。 21世紀におぬし?」
「大丈夫ですか10代目―!!」
「大丈夫かツナ!!」
バジルが跳び出した先でぶつかったのは探し人であった綱吉だった。綱吉を心配して獄寺と山本が駆け付ける。京子も心配そうに自身の持っていたハンカチで綱吉の口元の血を拭った。
どんな偶然か目的地にたどり着く事が危うかったバジルにとっては奇跡だった。バジルは朦朧としはじめている意識の中で懐から小箱を取り出す。せめてこれだけはと綱吉の胸に押し付けた。そして息がまだ整わないままに話した。
「こ、れを…沢田殿に渡す様、申しつけられました。ハア、ハア。…どうか、それを持ってお逃げ下さい。」
「何でオレの名前知ってるのー! って言うかこの箱何!? 逃げるって何からだよ、それより君血まみれなんだけどー!!?」
ツッコミどころ満載の見知らぬ少年から綱吉は小箱を押し付けられた。混乱している綱吉を横目にリボーンとしてはどうしてバジルがここに居るのかが不思議だった。任務で日本に来ていて敵対マフィアに襲われたのならば手助けのしようがあるが、もしボンゴレ内部の問題だった場合リボーンだけの判断で動く事は許可されていない。
「この人意識無いんだけどー!!」
「落ち着けよツナ。何か分かんないけどこれだけ出血してるなら止血しないと拙いだろ。」
「ここで死んでもいいんじゃね?」
「獄寺君、誰か治療できる人に電話!!」
「分かりました10代目!
……、今シャマルに電話してるんですが繋がりません。普通の病院だと誤魔化すのが面倒ですが救急車呼びますか?」
「肝心な時にいないあの医者-!!」
しばらくそれを面白そうに見ていたベルは不用意に綱吉たちへと近づいて行った。ただの一般人の前で倒れたのなら親戚ぶって回収するつもりだったが、どうもトラブルに慣れてる感じが半端無い。
それにツンツン頭の少年の隣に居る銀髪には見覚えがあった。確かスモーキングボムとか言う通り名だった気がする。そいつが「10代目」と呼んでいる事から叫んでばかりの少年が沢田綱吉だと分かった。
「なあなあ、どうかしたの?」
自分でも白々しいと思いながら素知らぬ顔でバジルに近づく。バジルには止めを刺すつもりで、綱吉には挨拶代りに一刺ししてやるつもりだ。ベルが獄寺の前を通った時、獄寺が眉をしかめた。
「…この臭い。 !!山本、そいつを近付けるな、止めろ!!!」
「ん?どうした獄寺。」
獄寺のいきなりの声に訳も分からないまま、とりあえず一歩山本が前に踏み出した途端。
「裏の奴にはやっぱバレるか、シシシ。」
「え、何!?」
ナイフが数本綱吉とバジルに向かって投げられた。山本はまずいととっさに近くにあった物を振り抜いた。
キン キン キン!
山本が振り抜いた物は、リボーンがベルに気づかれない様に渡した山本バットだった。山本はそのまま刀を構え獄寺は綱吉の下に駆け寄る。
「おい、その方に手をあげてみろ。 ただじゃおかねぇぞ。」
「ま、そんなとこだ。 相手になるぜ。」
「獄寺君!! 山本!!」
獄寺がベルが危険人物だと気付いたのは血臭がしたからだ。バジルから血臭は当然する、大怪我をしているのだから。しかし近付いてきたベルは怪我ひとつないのに血臭がしたのだ。一般人ではバジルからの香りが強すぎて気がつかないレベルだが、もともと裏の住人である獄寺は気がつく事が出来た。
綱吉とついでにバジルを庇うように前に立つ獄寺と山本。
京子とハルそれにお子様組はリボーンに誘導されて避難し現在この場にはいない。リボーンは植木に変装して近くで様子を見ていた。
予想していた1つが当たりボンゴレ内部の問題であるようだ。ベルがヴァリアー幹部である事を知っているリボーンからすれば綱吉たちが勝てるはずがない事は分かり切っている。問題はどうやって殺させずに追い返すかだ。
「オレ、用事があるのそいつだけなんだよな。だからそいつをこっちに寄越しなよ。そうしたら見逃してやるぜ。」
ナイフで遊びながらベルは言った。綱吉は訳も分からず混乱したまま、無意識にバジルを庇うように位置を変える。獄寺は綱吉に攻撃してきた時点で許すつもりは無く、山本は相手が強そうだが獄寺もいるので何とかなるだろうと楽観視していた。
「えっと、何か分かんないけど怪我人なんだし病院にでも連れてきたいかなぁ…って。」
視線を泳がせつつ争いごとを嫌う綱吉としては、穏便にお取引いただきたいと首と手をブンブンと振った。
「何言ってるんですか10代目!こいつは何処の者かは分かりませんがここでやっちまいましょう。
2倍ボム!!」
「バーカ、そんなタイムラグのある攻撃効くわけ無いじゃん。こんなの余裕、だってオレ王子だもん。今度はこっちからやってやるよ、オラッ!」
獄寺が綱吉の思惑など全く読まずにダイナマイトで攻撃を仕掛けるも、ベルが投げたナイフにより導火線は全て切り落とされ手刀を一発入れられて倒れた。その場に倒れる獄寺を目にし焦った様子で山本が切りかかる。
「獄寺から離れろ!!」
「おっとっと、危ないぜ。当たったらこんな所でオレの貴重な血が流れるところだったじゃねえか。…にしても普段からスクアーロの剣術見てるから分かるけど、隙だらけ過ぎて素人丸出しだな。」
ザシュ ドガ!
「ぐあっ!?」
手の甲をベルに切りつけられ、刀を落としてしまう山本。山本の手から刀が落ちた瞬間にベルは蹴りを入れ、山本を吹っ飛ばした。
「握り方から学びなおしてこいよ、シシ。」
「獄寺君は気絶しちゃったし、山本もやられちゃった。どうすればいいんだよー!!?」
ポフ…
「手相を見せる時も、真夏のうだるような暑い日でも、その手袋はつけとけ。仲間のピンチにお前が動かなくてどうするんだツナ。お前が守れ!」
バンッ!
「復、活!!! 死ぬ気でナイフ野郎を倒す!」
…
……
………
綱吉が死ぬ気でベルに挑むものの、実力に差があり過ぎてあっさりと倒されてしまう。ベルは今度こそとバジルの心臓に向かってナイフを投げるが、それは弾かれてしまった。
「特殊部隊の人間が弱い者いじめなんてダサいマネしてるんじゃねえよ。」
「あっれー?なんで跳ね馬がいるんだよ。あんたとは個人的には戦ってもいいけど始末書書くのが嫌だし引いてあげなくもないぜ。」
そういいながら道中でバジルからスった煙玉を使い煙幕の中で綱吉の抜け殻から小箱を拾い上げ退避する。
「あれはこの人がオレに押し付けてきた箱!」
「待ちやがれ!」
「待てって言われて待つ奴がいるかよ。」
あっという間に綱吉達が見えなくなっていく。移動しながらも小箱を開ければそこには予想していた通りハーフボンゴレリングがあった。
「これ持って帰ればオレ、ボスにお褒めの言葉いただけるかもね。それをヒゲの前でやったら面白そうだな。
でもその前に、っと。 メールしとかないと怒られちまう。」
『雌獅子やっぱオレらの予想当たってたぜ。中身ハーフボンゴレリングだった。オレの任務はこれでいったんきりがついたんだよな?これ持って、帰るぜ。』
『帰ってきちゃダメ。まだ家光達の方を見張っていて欲しい。気になることがあるの。』
『え?帰っちゃダメなの、何で? このまま家光陣営見張れって事?大丈夫だって!軽く戦闘したけどカスばっかだったし。王子疲れたし帰る。じゃあな!』
業務連絡として優奈に軽く報告のためのメールをしたベル。優奈からはそのまま家光陣営を見張れと言われたが無視をする。昔はともかく今は同じ幹部だ、命令される筋合いは無い。その後何度も携帯が鳴るので電源を落とした。
優奈の気がかりは当たり、ディーノはベルが去った後に本物のボンゴレリングを綱吉に渡した。綱吉は受け取り拒否をしようとしたものの、次の日には首からかけていた。さらにベルが適当に観光をしてから帰国したため修行できる日が一日延びたのは綱吉たちにとっては幸運だったのだろう。
仕事は落ち着いてきたけど、自分の文章が気に入らなくて書きなおしに2日。
予定より2日も更新が遅れてしまいました。