家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題)   作:寺桜

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第31話 マーモンと雌獅子

イタリア ヴァリアー本部

 

優奈はロシアから帰ってきた。本来はもう半日遅い飛行機に乗って帰ってくる予定だったのだが、優奈の超直感がこのままではザンザスに良くない事が起きると訴えている。何が起ころうとしているのか分からない。こういう時に超直感に苛立ちを感じる。

 

きっと連絡がとれないベルが関わっているはずだ。ベルが帰ってくれば事態は動き出すはず。だが肝心のベルは未だ帰国していない。綱吉達と接触したと言う事はメールで報告を受けたが、それ以降全く報告も連絡もしてこない。綱吉達がベルが警戒するべきレベルよりはるかに劣っていたために何かしらの自由行動をしているに違いない。

 

 

 

実際にベルは優奈の予想通りに日本の観光を楽しみ、ヤクザを面白半分で3つほど壊滅させ現在ようやく飛行機に乗り込むところだった。そして超直感が訴えている通りベルの遊び時間がそのまま綱吉達の修行時間を延ばす事になり、確実に成長させている。

 

 

 

このまま何もしていないのも拙いと、何かをしなければいけないと感じた優奈は鍛錬所へと赴いた。鍛錬所に着くまでに一般隊員たちは優奈を畏怖の眼で見ながら避け、優奈の部下達は変わってしまった優奈に悲しみを秘めた眼で挨拶をする。

 

その事に胸の奥で何かが疼いているような気がしたが、ほんの一瞬の事だ。自分が大切なのはザンザスとボンゴレであって他は便利な駒なのだ。心が動くはずがないと胸の疼きを無かった事にした。

 

鍛錬所に着けば先に利用していたマーモンが話しかけてきた。

 

「雌獅子、任務から帰ってきてたんだね。ちょうど良かったよ、君から出されてた課題を僕なりに答えを出したんだ。これで合ってるのか試してみてよ。」

 

 

 

マーモンはベルよりヴァリアー隊員に雌獅子個人が評価をつけている事、相応しくない者はそれなりの対応を取られている事を聞いた。

 

術師であるマーモンとしては、はじめの頃は自分の戦闘スタイルに文句を言われたことに対しムカついていた。どんな相手であろうともマーモンの幻覚からは逃れられず、対象者自身の想像力によって殺されるのだからマーモンが手を下す必要は無い。仮に反撃してきたとしても自らの姿を幻覚で隠してしまえば良かった。

 

ところが、そんなマーモンの戦闘スタイルへの自信を踏みにじった存在がいた。それが雌獅子である。雌獅子が幹部になって数カ月ほどした時、練習試合を申し込まれたのだ。

 

雌獅子の実力はある程度知っているつもりだったマーモンは、体術が得意な相手と正面から戦う気など無いと断った。すると今度は100万ほど金を用意してきた上で練習試合を申し込まれた。マーモンは金に釣られて快諾し、その後フルボッコにされたのである。

 

そして何処が悪いのか、こういった感じに改良できないのかなどをマーモンが動けない事を利用して提案してきた。確かに雌獅子の言う通りである所も多く、その中には単独任務で幻覚が効きにくい体質の、体術を得意とする者がいた場合の例なども頷かずにはいられなかった……が、幹部になって数カ月の子供の言うに素直にはいと言えるほど柔軟な思考など無かった。

 

 

雌獅子に初めて負けて以来、意地になったマーモンはなかなか自分のスタイルを変えようとはしなかった。それはこれまで生きてきた中で積み重ねてきた物であるし、特に問題も無かったのだ。

 

だいたい体術など風という気に喰わない、あいつの野蛮な技にしか感じられない。そういう類ができそうな奴は、部下や他の幹部達に押し付けてきた。ルッスーリアやスクアーロ等は喜んで自分から相手になっていたのでなおさらだろう。

 

雌獅子は幻覚に掛かって現実と幻覚の区別などついていないはずなのに、己を見失わず確実にマーモンを見つけ出した。それがさらにマーモンを変に意地にさせた。

 

 

そんなマーモンが、自分の戦闘スタイルを変えようと思ったのはつい最近の事である。雌獅子が突然なにも話さないようになり、鎖をつけだしてからだ。仲が良いとは言えないまでもずっと絆の様なもので繋がっているような気がしていた。それなのに突然変わって置いて行かれてしまった様に感じたのだ。

 

このまま振り返りもしないで、何処かへ行くなんて許さない。

振りかえらせて見せる!

 

変な意地など殴り捨てた。この自分の何かを変えたのだ、このまま何処かになんていかせない。

 

そしてマーモンは新たな戦闘スタイルを作り始めた。赤ん坊であり、術師でもあるマーモンには筋力など無い。他の戦闘バカのアルコバレーノ達は赤ん坊になっても筋力はアホみたいにあったがそれはマーモンには到底マネできないものだ。

 

考えて、試して、失敗して、もう一度考え直す。何度も何度も繰り返し先日ベルとの練習試合でようやく完成させた。これなら雌獅子に敵わないまでも認めるはずだ。そして僕の存在を思い出すと良い。宙ばかりを見て後ろに誰がいるのかを!

 

 

 

雌獅子とマーモンが練習試合をするという事で、たくさんの隊員達が見たがった。しかしそれはまだ完成したばかりの、マーモンの新たな手のうちを明かさせる事になるため追い出した。

 

「君は合格点をくれるかな?」

 

雌獅子は「どうかな?」もしくは「やってみれば良い」と言うように、両手を広げてマーモンを誘った。

 

「行くよ!」

 

鍛錬所の床から大量の触手が湧きでてきて、雌獅子を捕えようと襲いかかる。雌獅子はそれを軽々と避けながらマーモンとの距離を詰めていく。

 

「そう簡単にはいかないね。でも、まだまだこれからだ。」

 

すると今度は触手以上にたくさんのマーモンがあちこちに現れる。それぞれ違う動きをしながらも、別の角度から氷柱や火の玉、岩やドラゴンの幻覚をだして襲いかからせた。

 

これならば早々に本体のマーモンを見破られるはずがない。その上さらに向上させた幻覚で襲わせているのだ、どれか一つ当たるだけでも体に重大なダメージを与えるだろう。デメリットはもちろん存在し、これほどの幻覚を維持するのは30分が限界だ。だが、これで終わりではない。もうひとつ手はある。

 

雌獅子は幻覚全ての攻撃をまるで舞うように避けてしまう。それでもマーモン本体を特定できずに近場の分身を攻撃している。

 

「「「どうだい雌獅子、僕は強くなっただろ!」」」

 

マーモンは少し得意げに幻覚達を使って一斉に雌獅子に話しかけた。

しかし、それがいけなかった。

 

ジャラジャラッ!

 

マーモンが話しかけた直後、雌獅子はマーモン本体に向かって走り出す。さすがと言うべきか、あっという間にマーモンの眼の前には雌獅子がたどり着き、鎖の輪を投げてマーモンを捕えた。

 

捕えたマーモンに「チェックメイト」と言うように心臓のある場所にナイフを寸止めした。そんな雌獅子にマーモンは笑う。

 

「これで終わったらいつもと大差ないだろ。君が僕の場所を突き止める事くらいお見通しさ。つまりワザとここに誘導したのさ!」

 

ドッカーン!!  ドカン!ドカン!ドカン!

 

そう言ったとたん捕えていたマーモンは射的場の的になり、足元が次々と爆発していく。爆発は幻覚などでは無いと直感し、的は捨てて雌獅子は慌ててその場を離れる。爆発を避けるために移動していると、誘導されている事に気付いた。多少の火傷を覚悟してでも移動するべきだと前にでた。

 

それだけで景色はいきなり元に戻った。

 

「はい、僕の勝ち。」

 

どういう事かと自分の周囲を確認すれば納得した。たった一歩ではあるが舞台の外に出てしまっていた。これは練習試合で、場外になれば失格負けと決まっている。

 

つまり雌獅子の負けだ。

 

「これが僕の新しいスタイル。幻術と罠の二重奏!僕には筋力なんてないし、今さら武器を変えることもできない。だから考えたのさ、力なんかなくったってできる事を。幻術と罠を組み合わせれば殺傷能力は格段に上がるし、確実になる。

どうだい?ちょっとは度肝を抜いただろ。」

 

フフンと得意げにマーモンは説明する。雌獅子は降参と示すように両手を挙げた。雌獅子の行動を見たマーモンは満足そうに頷く。そして何かを期待するような雰囲気で待っている。

 

そんな物言われなければ分からない、いやそんな事無い。超直感がマーモンの望む事を教えてくれている。けれどそれはできない。全てはザンザスと…違う。ザンザスのためだ。

 

 

 

雌獅子は負けは認めても、僕を認めてはくれなかった。ははは、バカだな。いったい僕は何を期待してたんだろう。頑張って行動すれば褒めて認めてもらえるのはガキだけだ。こんななりでも僕はガキなんかじゃ無い。そう、ガキなんかじゃないからこいつが何もいわなくたって平気さ。平気なん…だ…?

 

ナデナデ

 

雌獅子は何も言わないくせに、何でも分かってるように行動する。それも気に喰わなかったはずなのに、なんでこんなに嬉しいんだ。

 

 

雌獅子は何も語れない、全てはザンザスのために。それでも情が無いわけではない。だからせめて行動で表わす。「すごいよ」と「ごめんね」を込めて。今は頭をなでる事だけで勘弁してもらおう。

 

 

 

 

日本 並盛 沢田家

 

バジルは包帯だらけの体で綱吉の家に訪れていた。本来ならば絶対安静だが、この緊急時にそんなことは言っていられない。預かり物の一つであるボンゴレリングは盗られてしまったが、囮だったため問題はなかった。自信が囮だった事に対してはどうとも思ってはいない。それどころか偽物すら守れなかった自分に憤りを覚えた。

 

1つは偽物だったが、これはたった一つしかない本物。自分もお世話になった雌獅子殿に関わる大切なものだ。

 

「リボーン殿、これをフィリップ殿から預かってきました。拙者は内容は全く分かりませんが、雌獅子殿に関する重大な事が書きしるされているそうです。」

 

「サンキュー。手紙、確かに受け取ったぞ。」

 

手紙は無事に届けることができ、バジルは安心した。本当はこの場で内容を確認して教えてもらいたかったが、それは彼らと浅い付き合いである自分には不相応だと分かっている。

 

「雌獅子殿には1度命を救われました。無理にとは申しませんが、話していただけるのでしたら後ほどお願いします。」

 

立ち去るバジルを引きとめることはしない。手紙の内容が全く予想がつかないため、変に希望を持たせる方が酷だ。レオンをペーパーナイフに変身させて封を切った。そして書かれていた事に驚き、怒り、疑念が湧く。家光にも明かすか考えるが、確証のない事を教えるべきではない。もう少し情報を集めようとリボーンは決めた。

 

「オレの予想通りならこのリング戦、大波乱になるな。」

 

リボーンの呟きを聞いた者は誰もいない。

 

 

 

 




何度書き直しても文章に納得できない。
頭を少しでも使いながら書くのは苦手です…。
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