家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題) 作:寺桜
閑話みたいな物。
嵐戦じゃなくてゴメン!
綱吉は最近頻繁に夢を見る。起きた時には何も覚えておらず、うなされるとリボーンに起こされる。起こされるまでは決しておきはしない、起きてはいけないと自分から眼を覚まさないのだ。綱吉が夢を見始めたのはヴァリアーと初めて戦ってからだ。
今夜も綱吉は夢を見る。
『うわぁぁあ…あ…あ!!』
誰かが泣いている
何処から聞こえるのかは分からない
『お父…ん、気…いて…!…母さ…、忘……い…!』
ところどころ言葉が聞こえない
『つ……し、呼………わた…の……を』
分かってあげたいのに…!
待ってて、必ず見つけるよ
「…だから、泣かないで。」
「泣いてるのはお前だ、ツナ。」
綱吉が眼を覚ますとそこにはリボーンの顔があった。どうやら起こされる直前だった様だ。リボーンに言われて綱吉は自分の頬に手を当てると、そこは確かに濡れていた。クシャリと顔を歪め、濡れた手を見て悔しさがこみ上げる。そして、どうしようもない程の無力感に襲われる。
修行は順調で、死ぬ気の炎も出力調整ができるようになった。バジルと戦って黒星をつけれるようにだってなってきた。奥義のほうはまだ完成していないが、それでも充分に強くなったはずなのだ。
なのに、何でこんなにも悔しくてたまらないのだろう。
「また夢を見ていたのか。」
「うん。」
「夢の内容はいつもみたいに忘れちまったか。」
「ううん。」
「 ! …オレに話すか。」
「話したくない。話したらせっかく掴めた何かが、消えちゃう気がするんだ。」
リボーンはそれ以上綱吉に、無理に夢の内容は聞いてこなかった。
学校に行くにはまだ時間が早すぎるが、太陽は昇り始めていた。そこで綱吉はパーカーを着て、散歩に行く事にした。リボーンには遠慮してもらった。玄関の扉を開けると、朝霧が濃くたち込めている。大きく深呼吸すれば、まだ冷たい空気が胸いっぱいに入ってきた。
とぼとぼ人気のない並盛を散歩する。普段活気にあふれた所しか見た事が無いので、新鮮な感じだ。前方に誰かの人影が見えるが、霧でぼんやりしてはっきりしない。この散歩に目的地など無いので、綱吉は前方の人影についていく事にした。
人影が向かった先は、並盛保育園で次に並盛小学校。卒業生なのかなとぼんやり考える。次は並盛中学校だった。うちの生徒なのかとも思ったけれど、何か違う気がする。グラウンドを校門前からじっと見ていた後、また歩き始める。
人影がはじめて中に入った場所は、並盛公園だった。砂場には子供が忘れていった玩具が残っている。人影はその玩具を使って何かを作った。作り終えて満足したのかまた動きだして、遊具の一つ一つをゆっくりと回り、腰をおろしたのはベンチではなくブランコだった。ブランコには砂もついているのに何故、ベンチでは無くブランコに座ったんだろう。
子供みたいな人だと、失礼ながら思った。
「プッ。」
そして噴出してしまった。マズいと思ってうつむき口を手で覆う。
それからそっと前を見上げてみると、人影は消えていた。綱吉は見ていたものは幻だったのかと、慌てて周囲を見回す。しかし何処にも見当たらない。
しょんぼりとしていると、ふと砂場が眼に入った。そういえばあそこで何か作っていたと言う事を思い出し、走って砂場の人影がいた場所を探す。
「あった! …何だこれ?カップで作った大量のイチゴがあるし、小枝もたくさん刺さってるし、皿?にしては分厚いな。じゃあ何だろう、イチゴを収穫したボウル??
あ、分かった。これはケーキだ!」
ケーキを作ったのならば納得できる。分厚い皿の様なものはケーキの土台で、小枝はたぶんローソクの代わりだろう。イチゴは多すぎる気がしない事も無いが、やけにきれいにできている。
人影は実在し、砂場でケーキを作っていた事に何に対する納得かは分からないが納得した。
気がつけば、家を出る頃の重たくて悔しい気持ちは薄らいでいた。
綱吉は家へと戻り、いつもと同じように学校へと向かう。今日は嵐のリング戦だ。
どうしても書きたかったんだ。
ちなみにカミングアウトはまだまだ先DA!