家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題)   作:寺桜

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長め!


第37話 嵐戦

今晩の戦いは嵐のリング戦だ。ヴァリアー達は綱吉たちより先に到着して、時間になるのを待っている。ギャーギャー騒がしいのはすでにいつもの事だ。しかし今回はザンザスと雌獅子は不観戦の様だ。15分前には到着した綱吉はやはり姿の無い雌獅子の事が気になる。そんな余裕があったのも5分前になるまでだ。

 

獄寺が未だに到着しない。

 

焦る綱吉に挑発的な発言で煽るヴァリアー。刻一刻と時間は経過していき、いよいよ残り10秒。ベルは不戦勝だと喜んでいる。

 

10…9…8…

………

4…3…2…1…

 

ドガァア!!!

 

盛大な爆発音と共に獄寺は現れた。時間を守らなかったから失格だというヴァリアーに対し、獄寺は校舎の時計を指さした。獄寺に爆発で止められた時計は10時59分59秒で止まっていた。

 

「時計を見ろよ。オレは10時59分59秒にここに着いたんだから遅刻じゃねえ。

10代目、遅くなって申し訳ありませんでした。」

 

チェルベッロは獄寺が間にあったと判断し、それを宣言。嵐のリング戦を執り行う事になった。

嵐のリング戦は校舎の中で行われる。校舎のあちこちに設置された機械から突風が襲いかかり、一定時間ごとに爆発が起こる。爆死を免れるには相手のリングを奪うしかない。

 

「まあ、ヨロシクな。」

 

「気安く触んじゃねえ!」

 

ベルが挨拶しながら軽く肩を叩いたが、獄寺は不愉快そうに振り払った。

 

「ん?」

 

「それでは嵐のリング戦、開始。」

 

獄寺は振り払った手に、何か違和感を感じた様な気がするがまあいいと思考の外へ追い出す。眼の前の金髪ティアラ野郎には散々ボコられたのだ。今日この場でこの間の借りを返してやろう。

 

手始めに3倍ボムを放つが容易く避けられ、ベルの近くにあったものは前回同様に導火線を切られた。成長していないと嗤うベルに、そうやって油断していればいいと思う。どれだけ成長したのかを見せつけてやろう。

 

もう一度3倍ボムを放ったその時…。

 

ブウォー!

 

近くの教室から強風が打ちつけて来て、割れた窓ガラスから外へと流されてしまった。そうだ、他にも爆発に注意しなければならない。もし気付かずに爆破装置の近くに居たのならばお陀仏だ。

 

強風によってねらいが定まらないが、それは向こうも同じ事だ。この風をどうやって切り抜けようかと休息を取りながら考えていた。

 

「何、お前の攻撃もう終わりなわけ? じゃあ今度は王子がお手本を見せてやるよ!」

 

ベルが何かを仕掛けてくると身構えた。そんな獄寺にベルは「分かって無いなぁこいつ」と言いたげな表情で、自身の近くにある強風の流れにナイフを流した。彼がした事はそれだけだ。

 

何がしたいのか全く分からないが、そうやって心理戦でも仕掛けているつもりなのかもしれない。そうはいかないと睨みつけた。

 

「後方注意、シシシ。」

 

ザシュッ!

 

「ぐあぁっ!?」

 

突然背後からナイフが刺さった。いったい何が起こったのか分からない。だがベルが先ほど流したナイフで間違いなさそうだ。どんな方法かは理解できないが獄寺の背後を襲ったのだ。

 

刺さったナイフを抜き取り、教室の壁に背を預ける。

 

どうなってやがるんだと考えられたのはそこまでだった。刺さったナイフが始りでそこから無造作に、ベルが流すナイフが獄寺を追い詰める。こちらも負けじと攻撃を仕掛けるが、強風に邪魔をされてベルまで届かない。

 

 

 

モニターで嵐戦を観ている綱吉たちはあまりにも一方的な戦いに不安を隠せない。綱吉たちとは反対にヴァリアーは余裕の表情だ。

 

「何で、獄寺君の攻撃は届かないのに…。」

 

「ベルの奴は生意気だが、あいつの戦闘センスは天才だぁあ゛あ゛!」

 

「もともとベルはマフィアとは関わり合いなんて無い王族だったけど、全てが気に喰わ無い双子の兄を殺した時の感覚が忘れられなくてボンゴレに入ったくらいだしね。」

 

綱吉の呟きに反応したヴァリアーが答える。

 

 

スクアーロはベルが入隊した当初、直ぐに消えると思っていた。確かにセンスがあると思ったが、彼は好奇心旺盛で多少の危険はスリルとして味わう傾向があり、何より最後の詰めが甘かった。

 

詰めの甘さが原因で何度か死にかけた事がある。特にヤバかったのは、殺したと思っていたターゲットに息があり、完全な不意打ちで背後から心臓を刺されそうになった事があった。その時には教育担当の雌獅子がベルを庇って手を刺され、その後息の根を止めた。

 

あの時以来、詰めの甘さは無くなった。だが未だに戦闘中に遊ぶ癖は直らない。それが今回の命取りにならないと良いのだが…。

 

 

 

獄寺はベルによってボロボロにされ、いよいよ立っていることすらままなら無くなってきた。このままではただの的になってしまうと近くの教室の中に身を隠す。肩にできた傷は思っていた以上に深い様で、先ほどから血が止まらない。

 

一時だけでもと傷口に手を当てた時、何かに触った。

 

「何だ、これ?   …!!

そう言う事か、仕掛けは分かったぜ。こっちも利用させてもらおうじゃねえか。」

 

 

ベルは退屈になり、そろそろ終わらせようかと考え始めた頃だった。隠れていた教室から獄寺が出てきたのだ。

 

「へへへ、今度こそオレの攻撃当ててやるよ。」

 

「やれるもんならやってみろ。ほら、どうした?」

 

「いくぜ!」

 

獄寺から投げられるダイナマイトはベルにねらいを定めることなく、別々の方向へと投げ出された。その様子にヤケになったかと嘲笑うベル。だが、獄寺の眼は死んでいなかった!

 

「ここからだ…、ロケットボム!!」

 

宙にあったいくつものダイナマイトが突然方向を変えて、ベルへと向かう。しかしここでまた強風がふく。一瞬焦ったベルだったが、流されて終わりだと安心しきっていた。

 

「そういえばよ、これオレの肩に付いてたから利用させてもらったぞ。」

 

そう言って獄寺がベルに見せたのは、ベルが獄寺にしかけた糸。どういうことか理解したベルの表情は引きつっていた。

 

ドドドガーン!!!

 

ベルは血だらけで地に伏し、勝利を獄寺は確信した。

 

 

 

その様子を観ていた綱吉サイドは安堵の息をはいていた。

 

「これで獄寺の勝ちなのな。」

 

「序盤はヒヤヒヤしたな!」

 

「どうしたツナ、嬉しそうじゃ無いな。」

 

「違う、まだ終わってない。これからなんだ…。 油断しちゃダメだ、獄寺君。」

 

綱吉は少し震えながら、画面に映るベルを見る。嫌な予感がするのだ、これだけでは終わらないような気が。

 

 

 

「流しちゃったよ。  王族の血を~~~!!」

 

「!?」

 

 

 

綱吉の予感は的中した。ベルはあれだけの爆発の中で気絶する事無く、さらに自身の血を見た事で酔い狂う。

 

装置により次々爆発していく学校。それでもなお勝者は決まらず、両者は取っ組みあっていた。ベルは王家のプライドと本能で、獄寺は綱吉への忠誠を示すために。

 

 

「これで戻ったら、10代目の右腕の名がすたるんだよ!!

10代目、オレが勝てば流れが変わります!任せて下さい。」

 

ドガガガガッ!!

 

獄寺は今回の修業期間中に自分の命の重さを知ったはずだった。だがそれでも綱吉に勝利を捧げるため、死をも厭わ無い。そんな獄寺に綱吉がキレた。

 

「ふざけるな!!」

 

「!!」

 

「またみんなで雪合戦するんだ!! 花火みるんだ!! 

だから戦うんだ!! だから強くなるんだ!!

またみんなで笑いたいのに、君が死んだら意味が無いじゃないか!!!」

 

ドガガガガアーン!!

 

ひときわ大きな爆発が起きて、モニターには何も映らなくなる。生存が絶望かと思われたその時、獄寺が帰還した。獄寺は生き延びる事を選んだのだ。

 

獄寺が帰還した一方、ベルの安否が分からなかった。一通りの爆発が終わり、チェルベッロが確認に向かう。どこも爆発で酷いありさまの中、なかなかベルの姿が見当たらない。

 

どうしたものかとなり困り果てていると、姿を現した雌獅子が懐から何かを取り出す。注目を集める中、それを見たヴァリアーは納得し綱吉たちは理解不能に陥った。

 

ピピピピピピピピッ!

 

雌獅子が取りだした物、それ目覚まし時計だったのだ。いったい何がしたいのか全く分からない。だが、この音に反応した者は確かにいた。

 

 

バタン!

 

「雌獅子、悪いって思ってるから止めてくれ!」

 

音に反応したのはベルだった。なんと彼は、教室にあった掃除用具専用のロッカーに入っていたのだ。なんでそんな所に居るのかや、血を流しながら倒れていたのではないかといった疑問が湧く。

 

「ベル血から醒めてたの?」

 

「う゛お゛ぉぉい、テメエいつの間にそんな冷静な判断が下せるようになりやがった?」

 

「王子はいつだって進化していくんだぜ?血に酔うオレもカッコイイけど、酔いながらも理性保つ事くらい雌獅子との訓練でできるようになったし!」

 

「つまり君、テンションが高かったけどしっかりと思考する余裕はあったんだね。なら現状にも納得だよ。あいつからリング奪った後、爆発から身を守るためにそこに飛び込んだんだね。」

 

「あのアラームは、雌獅子の指導がヘルモードに移行した時の音だったはずだなぁあ゛。もうしばらくふざけるつもりの予定だったが、音を聞いて焦って出て来たって所かぁぁあ゛あ゛!!」

 

「そう言う事!  さあ、これでオレの勝ち。」

 

ヴァリアー達の会話でなんとなくの理解をしながらも、負けたことは悔しかった。ベルの持つリングが完成している事をチェルベッロが認め、勝者はヴァリアーとなった。

 

 

 

 

 

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