家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題)   作:寺桜

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友人が肺炎になった
友人が入院した → 友人は薬をベットに隠した → 友人は病院から脱走した
→ 友人と寺桜(解せぬ)は医者に怒られた → 友人の肺炎の治りが遅い → 寺桜は友人にキレた

あいつはバカだと思う。子供じゃないんだからさっさと治せ…


第39話

綱吉は憂鬱な気分で下校していた。昨夜は山本の対戦相手であるスクアーロが、死んでしまったのだ。

実際に息が止まる所を見たわけではないが、彼は試合が終わった後も水から出てはこなかった。それになにより脳裏に紅く濁った水面が焼き付いて離れない。

 

綱吉は何処にでもいる普通の中学生だった。これまでの騒動の中で血を見る事だって何度かあったが、人の死を意識させるほどの大量の血を見たのはあれが初めてだ。

 

その事だけでも充分に心に陰がさすが、それだけではない。今日は霧のリング戦だと言うのに、未だにこちら側の守護者が誰なのか分からないのだ。リボーンに聞いても誤魔化されるばかりで、結局分からないままだ。

 

 

昨日の試合から自分達が行っているのが本当に、命がけの試合なのだと意識せずにはいられなかった。これまでの試合だって大切な友達が大怪我をして血を流している。

それでも誰も死ぬ事無く笑ってくれているから、ケンカの延長線上だという感覚がしていたのだ。

 

 

だから、だろうか。

 

 

スクアーロが水面に沈んだまま浮いてこなかった時、紅く濁った水を見た時、思ってしまったのだ。

 

あれが山本じゃなくて良かった、他のオレの大切な仲間じゃなくて良かった。

 

その気持ちを自覚した途端に自分が気持ち悪い醜い生き物の様に思えた。自分は今、何を思ったのだろう。仲間じゃなくて良かった?確かに仲間じゃなくてホッとしたのは事実だ。

 

けれど眼の前で敵だといっても人が死んだかもしれないのに、こんなこと思っていいはずがない!自分で自分が嫌になる。昨夜から綱吉は激しい自己嫌悪に捕らわれていた。

 

 

昨日のリング戦が終わってから、自分のために命をかけて戦ってくれる人の事を少しでも知りたかった。了平だとて、京子の兄で多少の付き合いがあるという程度だ。その程度だったのに、自分のせいで命をかけて戦ってもらった。ならば霧の人も親しくも無いかもしれないのに戦ってもらう事になるのだ。

 

不安、焦り、そう言ったものが綱吉の中でグチャグチャに混ざり自分でもよく分からない。そんな内面を吐き出すように、イライラしてリボーンへ質問を投げつけた。

 

「リボーン、いい加減に教えてくれよ!オレの守護者って誰だよ!?」

 

「もう何度も言ってるだろう。今夜になれば分かる。」

 

そんなやり取りを何度か繰り返していると、前方の駄菓子屋で黒曜中の制服を着た2人が菓子を見ていた。1人は綱吉にも負けない癖っ毛をピンで留めている。もう1人はニット帽をかぶり、少し猫背ぎみだ。

 

「どこかで見た事のある後ろ姿だ…な…っ!!?」

 

「犬、沢田綱吉が来た。」

 

「あ゛ぁ゛?」

 

バタン…

 

「よう、久しぶりだな。」

 

驚く綱吉に反応したのは千種と犬だった。その2人に普通に挨拶をするリボーン。綱吉は驚き過ぎて白目をむいて倒れてしまった。

 

「ここで話には目立つな。移動すっぞ。」

 

「こいつどうするの?」

 

「お前らが運べ。」

 

「何だよこいつ。柿ピー、こいつめっちゃ偉そうだびょん。」

 

「……めんどい。」

 

「おい、柿ピー。何手ぶらで移動してんだよ!待てよ!まさか沢田綱吉を運ぶのオレかよ!?」

 

 

 

気絶している綱吉は犬が運んだ。運んだといっても片足を持って引きずった、といった方が正しいだろう。きっと綱吉は起きた時に身に覚えのない鈍痛が頭にあるはずだ。

 

4人は人気のない空き地で座り込んだ、綱吉は未だ気絶しているが。

 

「それにしてもオレも驚いたぞ。家光が骸に交渉する前に釈放されてるなんてな。」

 

「オレ達の繋がりを舐めるなよ。」

 

「あの方はどんな時でも守って下さる。」

 

「骸の奴は脱走する時には既に手をうっていたという事か。」

 

犬達の言う人物とリボーンの言う人物は一致していない。だがしかし、それを正すつもりは犬達には無い。

 

「骸は参加するんだろうな?」

 

「骸様が出てくるかどうかは相手次第だ。」

 

「お前らの守護者として参加させるのは妹候補だびょん。」

 

「妹候補?」

 

「骸様がそう仰った。」

 

「今回、骸さんがでるまで生き残れたら妹らしい。けどオレはあんな生意気な女妹なんて認めない。」

 

骸達はマフィアの研究施設に居た頃、同じ仲間を家族として扱っていた。優奈が姉で骸たちは弟。研究施設の子供たちは骸達を除いて全滅。

骸達の言う『家族』はもう増える事など無いはずだが、彼らには彼らの基準があるのかもしれない。その基準にまだ達していないために彼女は候補となっているのだろう。

 

「お前たちの言う妹候補がどんな奴かは知らねえが、最終的に骸が出てくるのならどうでもいい。

 

……そんな事より、お前らに聞きたい事があるんだ。沢田優奈、生きてるだろ。」

 

リボーンは聞くと言いながらも断定している口調で言ってきた。優奈の名前が出た途端に犬と千種に緊張が走ったが、表情は動かない。

 

それどころか両方とも完全な無表情になった。操られている時のぼんやりとした無表情などでは無い。犬はいつもの感情的な顔が消え、けれど瞳には確固とした意思を宿している。もともと感情が現れにくい千種にいたってはもはや人形の様だ。

 

「優奈姉さんについては何も言わねえ。」

 

「あの方はボンゴレの犠牲者だ。どんな姿でも必ず迎えに行く。」

 

犬は口を閉ざし、千種は生死どちらにもとれる発言をする。

 

黒曜ランドで相対した時の方が感情的で心が読みやすかったが、今はもう無理なようだ。自分たちの動作一つにすら感情で動かさない様にしている。何があったのかは知らないが、激情を内に留める術を覚えたようだ。

 

リボーンは犬達から優奈の情報を引き出す事を諦めた。彼らは拷問されたとしても絶対に何も言わないだろう。けれど彼らのあの行動で確信した。

 

沢田優奈は生きている。

 

彼女の行方はリボーンがどんなに情報を集めても分からない。だが、優奈はボンゴレの力が及ぶ場所に居るはずだ。骸が綱吉の体をねらい、釈放されて自由なはずの犬と千種は今でも綱吉との関わりを完全には絶たないのが証拠だ。

 

「沢田綱吉に言っておけびょん。お前が優奈姉さんの存在を忘れた時、オレ達は何が何でも殺しに行くと。」

 

「分かった。」

 

犬と千種は去っていく。

その後ろ姿も誰かへの想いで気迫を纏っていた。

 

 

 

 

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