家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題) 作:寺桜
せっかく治りかけてたのに悪化させてバカだ!!
探して寺桜はまた風邪ひいた…。
今回は長い、深夜に半分寝ながら書いたから文が変かも。
間違ってたら教えてくれるといいなぁ。
綱吉はとうとう気絶から眼を覚まさぬまま、いつの間にか体育館に着いていた。おそらく山本か獄寺が運んでくれたのだろう。
今まで知らなかったこちら側の守護者であるクローム髑髏が登場した時には、獄寺が難色を示しクロームを排除しようとした。だが綱吉が普段の頼りなさが嘘の様にクロームに任せると明言した事で事態は収拾する。
綱吉には何故か確信があったのだ、クロームは骸ではなく自分の意思でここに立っているのだと。
霧のリング戦はマーモンが圧倒的に有利だった。幻覚を操りながらも罠を仕掛け、陥れていく。足を幻覚の氷で固定して、その隙に実体を持つ針が降り注ぐ。
綱吉側の守護者であるクロームは、幻覚に集中すれば罠に掛かり、罠に注意すれば幻覚が疎かになってしまうという正に絶体絶命の状態だ。それでも幾度にも幻覚を創り、火柱を、蓮の蔦をマーモンへと襲いかからせる。
戦場である体育館は天地などもはやとっくの昔に区別などできない状態になっていた。自分たちの頭が上を向いているから、おそらくそちらが天井だというくらいの認識だ。頭が幻覚を処理しきれずに、悲鳴をあげて立ってなどいられない。
綱吉たちが膝をついて倒れていく中で、ヴァリアーの陣営は眉間にしわをつくり不愉快そうな顔はしているが全員立っている。
「きゃっ!?」
「掛かったね!これで君はもう身動きは取れない。」
数えきれないほどに幻覚がぶつかりあい、クロームはとうとう集中が切れて罠のトラバサミに足を捕らわれてしまった。ブーツの上からでもトラバサミの刃はクロームの足に喰らいついている。
痛みに耐えながらどうにかトラバサミを外そうと苦心するが、トラバサミはびくともしない。そしてマーモンは隙だらけのクロームを見逃すほどお人好しではない。
「じゃあね、最近では一番面白かったよ。」
マーモンは口元に笑みを浮かべながら、クロームへ別れの言葉を告げる。マーモンによって創りだされた闇の手がクロームを押しつぶし、槍を砕く。
パキーン…
「ゴホッ…。 骸様、優…奈様、ごめ…んなさい…。」
闇が消えた後には血を吐いて倒れるクロームと、粉々に砕け散った槍。
彼女の呟きは、唇の動きを読んだリボーンと直感してしまった綱吉にしか知られなかった。
倒れたクロームの腹は不自然にへこんでいく。所々へこんでいない部分もあるが、圧倒的にへこんでいる部分の方が多い。
クロームを中心に霧が立ち込めていく。それを見ていた綱吉は突然頭を手で抱え込み苦渋の表情を浮かべる。綱吉の異変に初めに気がついたのはリボーンだった。
「どうした?ツナ。」
「あいつが来る…!! 六道骸が来る!! 骸が来る!!!」
綱吉が確信を持って言い放ったと同時に、霧の中から一人の男が現れる。
少女が眼帯で閉じていた眼には六の数字が浮かび上がり、クフフと嗤いながらブーツの音をたてて。
手には砕け散っていたはずの槍を持ち、地面を叩く。
マーモンの幻覚に軽く反撃をして現れたのは、六道骸。
少し前に並盛を襲撃し、沢田綱吉を自らの傀儡にしようとした男だった!
「クフフフ、随分いきがっているじゃないですか。 マフィア風情が。」
骸の姿を確認した綱吉は複雑だった。眉には余計な力が入っていた。けれど口元には安堵の笑みが零れてしまう。それは骸が無事だった事へのものなのか、もしくはこの試合の勝利を確信してのものだったのかは分からない。
「ムム、お前は確かに六道骸。けれどここに居るのはおかしい。お前は復讐者たちによって再び投獄され、今は光どころか感覚すら分からない場所に収容されているはずだ!」
「えぇ、その通りです。…肉体は。僕は肉体が封じ込まれていようと、関係ありません。現に僕はあんな不自由な場所では無く、今ここに在るのですから。」
「媒体はあの女だったのかい?チッ、もっと大掛かりな罠で、女事態が使い物にならない様にしておくべきだった!」
「どうほざいてももう手遅れです。 さて、過去の僕を知っている物がこの場にはいますね。クハハ、記憶よりも成長した姿をお見せしましょう。」
骸は視線をそらしたりなどしない。ただ前方のマーモンを見ている。
そのため、骸の発言を聞いた綱吉たちや、ヴァリアーのほとんどの人間は綱吉に向けて言った言葉だと考えた。
もちろん綱吉自身もだ。
「別にあれ以上の成長なんていらないだろー!? 骸既に充分強いじゃん!オレに見せなくたっていいよー!!」
勘違いしている人間が多い中で観戦をしている犬と千種、そして優奈には正確に誰に向けた言葉なのか伝わっていた。
六道骸はあまりにも強かった、マーモンのままでは勝てないほどに…。
マーモンはこの力を使うつもりはなかった。そんな事をしなくても勝てるつもりでいたし、それだけの準備も整えてきた。この場に居るリボーンとコロネロがいるからだ。
けれど、そんな事をほざいている余裕などない。一つだけため息を吐いた、心底嫌そうに。
「どうやらお前は今のままじゃ勝てない程に強いらしい。」
「まるで、まだ力を隠しているかのような口ぶりですね?」
「見せてやるよ、本当の僕の力を!」
マーモンの服の下から、鎖に巻かれたおしゃぶりが出てくる。おしゃぶりはやがて光を発し、鎖から解き放たれる。彼のペットだったカエルのファンタズマは体が変化して、やがて自分の尾を咬み、ウルボロスの姿となった。マーモン、いや彼の正体は最強の赤ん坊の一角、バイパーである。
マーモンのおしゃぶりが光り出したと同時にリボーンとコロネロのおしゃぶりも共鳴して光り出した。
「やっぱりお前だったのか、バイパー。」
「どうやっておしゃぶりの力を抑えてたんだ、コラ!」
「お前らと違って僕はずっと、呪いを解く研究をしてきたんだ。簡単に教える訳ないだろ脳筋どもめ。」
「同窓会はその辺りにしてもらいましょうか。 いえ、していてもかまいませんよ。
死んで良いのなら。」
骸の声にハッとマーモンは我に帰る。リボーンとコロネロのせいでそちらに気を取られていたが、いつの間にか辺り一面がヘビだらけになっている。しかも、ここに存在する全てのヘビが幻覚などでは無い。
「クソッ。」
慌ててヘビたちに幻覚を見せて同志討ちをさせる。
その間も骸との幻覚合戦は続き、ここが体育館だという事が分からなくなっていく。クロームとの時では比較するなどおこがましい程だ。上下左右など存在せず、グルグルとめまぐるしく変化する視界はもはや別空間だ。
ある場所では火柱が現れマグマが流れてくる、ある場所では氷柱が降り注ぎ氷河の氷がぶつかり合い、ある場所では蓮の蔦と触手がお互いを取り込もうと絡まり合っていく。
蝶が舞えば蝙蝠が捕食しようと飛び立ち、ドラゴンがブレスをすればリヴァイアサンが津波を起こす、闇が飲みこもうとすれば光が消滅させる。
綱吉たちは立ち上がることすらできずにただこのリング戦が終わることを祈り、ヴァリアーはベルがギブアップしてしゃがみこんだ。
全てが狂っているこの空間で、確かな感覚を求めていた。綱吉は幻覚処理に追いつけない脳が、今にでも破裂するんじゃないかと思った。そんな中で、綱吉に何かが流れてきた。
何処か分からない荒野で犬と千種が傍らに居る。脱走するも直ぐに復讐者に気がつかれ、再び捕らわれ次は難しいと思ったその時だった。何処からともなく現れたもう1人、正確には2人の復讐者。1人がリボーンの様に小さくて初めは気付かなかった。
「六道骸以外ノ支払イガ終ワッタ。ソコノ2人ハ自由ダ。」
「どういう事だびょん!!?」
「骸様以外って何。」
「取引ガサレタ。オ前タチノ身柄ヲ解放スル。」
「クフフ、説明をしてはくれないのですか?」
「オ前タチノ解放ヲ願ウ者ガイタ。取引ヲシテソノ2人分ダケガ支払イ終ワッタ。六道骸、貴様ノ分ハマダ終ワッテイナイ。」
「僕たちの解放を願う者ですか…、まさか!! クハハハハ!あなたは、家族は大事だと言っていましたね。」
「骸さん、それってまさか!」
「本当でしょうか。」
「どんなに堕ちても離れていても、護ってくれるなんて彼女しかいません。 良いでしょう復讐者、僕は大人しく着いて行きましょう。」
「骸さん!?」
「骸様!?」
「犬、千種。心配する必要などありません。 今はここで別れましょう、いずれ再会の時は来ます。」
再び鎖に繋がれても骸は楽しげに歩いて行く。犬と千種は茫然としていた。
場面は変わる。
穏やかな風が吹き抜けるそこで、凪だったクロームは膝を抱えて人を待っていた。骸が凪を見つけて、会話し、驚き、納得し、力を別け与えた。
クロームは死ぬはずだった。だが何故か未だ実験段階の人工臓器が搬送された病院にあり、違法に移植されてギリギリで生命を繋げる事が出来たのだ。生きているだけとも言えるが。
この人工臓器を移植した医者が言っていた。夢で人に合うだろう、と。医者自身にも意味は分かっていない。ただ必要不可欠な薬剤を運んできた人間からの伝言だったそうだ。
場面は変わる。
廃れた建物の中の様だ。姿はクロームだがクローム、ではなく骸が家光と話をしている。今回のリング戦に伴う守護者としての勧誘だ。骸はあっさりと了承した。欲しいものがあるが、それにはボンゴレの力を手に入れなければならないからと。
家光は拍子抜けした。本来なら犬と千種をボンゴレで保護する事によって、骸を頷かせるつもりだったが既にその2名は復讐者によって解放されていた。骸たちがボンゴレの力を使って何かを欲しているのは分かっているが、何かなのかまではつかめていなかったのだ。
無茶な事を言われると思っていたが、良かったと言って家光は去って行った。
場面は変わる。
骸が捕らわれていた、それだけだ。光も、音も、感覚すらも分からない様に鎖で幾重にも縛られ、水槽の様な物に閉じ込められて。
「骸、お前そんな所に、そんな風にいるなんて…。」
マーモンと骸の幻覚は拮抗していた。だが体力的にマーモンは限界が来ていたのだ。そこで一か八かの賭けに出る。
「これで終わりさ!」
マーモンから生み出された闇のベールが、骸に巻き付き見えなくなっていく。さらに追い打ちとしてファンタズマが縛り殺す。
「そ、そんなバカな!?」
蓮の花が全てを打ち破り、溢れる。
「なかなかに楽しめましたよ、強欲のアルコバレーノ。クフフ、けれど今回は僕の勝ちの様です。
堕ちろ、そして巡れ。」