家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題) 作:寺桜
今日が10月31日と言う事で、
Trick or Treat ならぬ Impressions or Treat!
簡単に言えば感想くれなきゃイタズラする(更新さらに遅れる)ZE☆
単語を間違えてたらごめん、英語の成績5段階評価で2なんだ…。
マーモンにもはやこの状況を覆すだけの力は残っていなかった。地に伏し、息も荒く顔色も良くない。
フードで隠れた顔は苦渋に満ちていた。術師としてのプライド、今この瞬間にも仲間から攻撃を受けるかもしれない不安、動かない体への焦り、そして声が消えた彼女への心配。
もう直ぐ死ぬかもしれない、そうマーモンは思った。このリング戦は負けてはいけない戦いだった。ボスは10代目になる事に恐ろしい程執着をしている。そんなボスが10代目になるための戦いに負けてしまった。雌獅子の勘で“今は”守護者が何人も死ぬのは良く無らしいから、もう少し生きていられる。
けれどリング戦全てが終わった時に、待っているのはどれ程の制裁だろう。もしかしたら死んだ方がマシな物かもしれない。
リング戦に臨むにあたって、数年前とは比べられないほどに力をつけた。それでも負けた。術者として体術ができるなんて外道だと今でも思うが、負けた僕が言えばただの負け犬の遠吠えだ。今回の相手を甘く見積もり過ぎた、遊びもするべきでは無かったな、と自嘲する。
視線だけをあげれば、皮肉げな笑みを浮かべた骸が眼に映った。
悔しい、何もできない自分が。
憎い、本来の力も出しきっていないのに勝った骸が。
金と呪いくらいしか興味がなかったマーモンは、自分は性格が悪いと自覚している。そんなマーモンの価値観を根底から覆した雌獅子。口うるさく感じた事は何度もあったが、全てがマーモンのためになることだった。お金は今も好きだけど、戦い方も、呪いで縛られた心も、雌獅子が壁を壊してくれた。
壊してくれた事に気がつかないくらい、優しく綺麗に消してしまったのだ。
彼女の事が自分で思っていたよりも大切だったと分かったのは、声が聞けないようになり、態度が変わってしまってからだった。『金払いのいい同僚』それは知らないうちに『近くにいたい友人』になっていた。
友人だなんて自分が一方的に思っているだけかもしれない。なぜならマーモンは知らないのだ。雌獅子が一番得意な武器も、正確な年齢も、本当の声も、顔も、好きな食べ物も、趣味も、何も知らない。
骸は動かなくなったマーモンに近づく。幻覚でできた蓮のツタで縛り上げ、適度な高さに吊るし上げる。
マーモンの首から下がるリングは、骸のリングと対の物だ。これをひとつにすれば、優奈にまた一歩近付ける。優奈は目の前でこの戦いを見ていたが、同僚がピンチなのに何もアクションをとらない。それはマーモンがそこまでなのかそれとも…。
「そのリングは渡してもらいますよ。」
「ここまでの様だね。」
「おや、無様にもがくかとも思ったのですが以外にも潔い。」
「今は諦めるさ。きっと別のチャンスが巡ってくるはずだから。」
「予言ですか?」
「勘だよ。といっても彼女の。」
会話はそこで途切れ、骸は動けないマーモンからリングを奪った。カチリと音がし、骸の手にリングが握られている。それをチェルベッロは確認すると、勝者を告げた。
「勝者、六道骸。」
「さて、いくら僕とはいえ少々疲れました。再び夢の世界に戻るとしましょう。」
「ま、待って骸!」
霧になり、消えていく骸に綱吉が止まってくれと訴える。そんな綱吉の事など知った事ではないと、骸は消える事を止めない。骸が消えるのを止めないと分かると綱吉は慌てて言葉を紡いだ。
「骸に、ずっと聞きたい事があったんだ。お前が言っていた姉ちゃ…、オレが忘れてた事について。」
姉ちゃんと言いかけた綱吉は、この場でこの単語を言ってはいけないと別の言葉に言い換えた。優奈の事についてだと察した骸は、聞くだけなら聞いてやると答える。骸の偉そうな態度に、綱吉に失礼だと獄寺が騒ぐがそれをリボーンが制す。
「オレ、リボーンに頼んで沢山調べてもらったんだ。でも、詳しい事は結局分からないままで…。
だから、だから知りたいんだ。怖くても、苦しくても、知りたいんだ!」
「クフフ、何をほざくかと思えば。教えてなどやりません、これは僕が口にして良い事ではない。僕がそんな事をすればあの人の誇りに傷をつける事になります。
せいぜい思い悩むと言いでしょう。君がどんなに苦しんでも、その苦しみは百分の一にも満たないのですから。」
骸は自分が言いたい事だけを告げて霧になった。霧がはれた後にはクロームが意識の無い状態で取り残される。
チェルベッロは明日は雲のリング戦だと告げた後、ヴァリアーも立ち去り綱吉たちだけが取り残された。犬と千種はクロームをそのまま放置して帰ってしまい、クロームはいったん綱吉の家で預かる事となった。
獄寺や山本は骸に言った綱吉の発言はもちろん気になっていた。だが綱吉の思いつめたような顔に、無理に聞き出すことはできなかった。
日本、並盛 ヴァリアー滞在ホテル
「雌獅子、部屋に来い。」
雌獅子はマーモンを猟犬に任せて、ザンザスの部屋に向かった。マーモンが何か言っていたけれど、敗者に耳をかしてはいけない。ザンザスからの要件かはなんとなく予想がつく。もう直ぐ綱吉たちに仕掛ける罠のひとつを発動する時が来るのだ。それの詳しい打ち合わせだろう。
手首から下がる鎖がジャラジャラと音を立てる。
今日は何故かいつもよりも重く感じるのだ。
クラリと雌獅子の体が傾いた。
それでも直ぐに態勢は立て直した。最近まともに眠れてなどいない。綱吉と顔を合わせたせいだ。大きな感情が体を支配して眠ってなどいられない。綱吉を見るだけで苦しくて、悲しくてどうしようもなくなる、この感情はきっと憎しみなのだ。
ノックをしてザンザスの部屋へと入る。ザンザスはテーブルに足を乗せて椅子に座っていた。眼を閉じて、寝ているようにも見える。机やテーブルに足を乗せるクセはどうにかならないのかと思うが、そんな態度も様になるのはザンザスだからだろう。
レモン水をザンザスに差し出すと、水差しごと持っていかれた。幻術の乱戦はザンザスといえど応えたようだ。レモン水を一気飲みしたザンザスは雌獅子に視線を向ける。
「雌獅子、明日だ。分かってるな。」
分かってるよ、ザンザス。
「明日に一つ目の契約を果たせ。でなけりゃお前の願いは叶わない。
他のカスどもにも契約事態は悟られるんじゃねえぞ。」
もちろんだ、私の願いのためにも………?
雌獅子は自分の願いを思い出せない。とても大切な願いだったにもかかわらず。思い出そうとすれば胸が心臓を掴まれたように痛い。今は思い出さない方が良いと結論づけて、胸の苦しみごと無かった事にした。
眠り姫、王子はいったいいつ来るの?
氷の壁は棺になった
あなたを縛る鎖は茨になった
氷の棺、外も中も茨だらけ
茨が傷つけるのは敵だけなのか
眠り姫の体は白く冷たい、棺と同じ氷のよう
早く起きて
その体が本当に氷になる前に…