家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題) 作:寺桜
ハハハ、どうすりゃいいんだろ(白目)
綱吉と雌獅子の戦いは互角だった。
お互いに体術を使っての打撃攻撃、それぞれに勝たなければならない理由が存在する。綱吉は仲間を守るため、雌獅子はザンザスを勝利させるために。
しかし、幾度となく拳を交える中で綱吉の攻撃から鋭さが失われていく。眉間のしわも深まり何かを必死に堪えている様だ。綱吉の攻撃が鈍ろうと、雌獅子は変わらずに、確実に追い詰める。
綱吉は自分の奥底から湧く悲しみに翻弄されていた。この人と戦いたくなんて無い、笑っていて欲しい、穏やかに過ごして欲しい。どうしてオレは雌獅子さんと戦わなくちゃならないんだ。
…雌獅子さんとこれ以上戦っちゃいけない、壊れてしまう。既にギリギリなんだ!
「こんな時に考え事だなんて余裕だね。その余裕が命取りなんだけどさっ。」
「ガッ!?」
感情の波の中で溺れかかっていた綱吉に、雌獅子の重い一撃が当たる。守りが間に合わなかった綱吉は吹き飛び、土煙をあげて転がった。綱吉はすぐに起き上がろうとするが力が入らない。
雌獅子は綱吉が起き上がってこない事を確認すると、ゆったりとした足取りで綱吉に近付いて行った。
「くそッ!10代目すぐに助けますから!」
「沢田、待っていろ。脱臼など気合でどうにでもなる!」
「雌獅子さん強すぎなのな。それでもツナはヤらせないぜ。」
満身創痍でも綱吉の助けに入ろうとする守護者たち。だが、彼らの想いとは裏腹に体が動く事は無い。
観覧席で黒曜の2人は白けた顔で当然といった様子で、逆に綱吉の応援に来ていたメンバーたちはピンチに息を飲む。
「う゛ぉお゛お゛い雌獅子ぃい!さっさとボスをどうにかしやがれぇえ゛!!」
「話には聞いていたが、雌獅子の実力がこれほどとは…。」
今にも決着がついてしまいそうな中、リボーンだけが疑問を抱えていた。
雌獅子もツナも実力を出し切ってねーぞ。どういうことだ?ツナは普段はダメツナだが、仲間を守る時に手加減する様な奴じゃない。それは骸の時に分かってる。
雌獅子は今回の件では疑問だらけだ。第一に雌獅子自身がクーデターに参加するような人間じゃねーし、次にリング戦当初は口を閉ざしていたのに今は話す。鎖もリング戦の前には見かけなかった。
最後にツナとの戦闘だ。雌獅子はオレの最高の生徒だぞ。いくらツナがここ1カ月の間に強くなったとは言っても、正直雌獅子とは勝負にならない。実力が違うのはもちろんだが、経験の差がデカ過ぎる。なのにツナと互角だった。
雌獅子、いったい何を抱えてやがる。お前が話さなかったって事はよっぽどの事だってのは分かる。そして1つだけ予想ができちまった。オレの予想が当たってるなら、雌獅子を救えるのはお前しかいないぞツナ。
リボーンは真実にたどり着いた。だが何もすることができない。初めから知っている犬と千種が、雌獅子から視線を外さないことが確信に変えたのだ。リボーンの手からは紅い滴が零れた。
動く事の出来ない綱吉からリングを奪う。雌獅子はとうとう全てのリングを手に入れた。
「ごめんね綱吉。」
「ど…うして、そんな眼をしてるの?」
雌獅子は何も答えない。
「さーて、お待たせザンザス。 起きて、契約を果たすよ。」
雌獅子の持っているリングから炎が迸り、氷を溶かす。
氷から解放されたザンザスはふらりふらりと、覚束ない足取りで雌獅子の元へリングの元へたどり着いた。
膝をつき、ザンザスへと大空のリングを差し出す雌獅子。
「やっとだ。これでオレがボンゴレ10代目だ!!」
「っダメだ!!ザンザス、お前が…はめちゃいけないんだっ!!!」
「夢が終わりを告げるわ。 受け継がれしボンゴレの至宝よ、願わくば彼の者を受け入れたまえ。」
ザンザスの指にリングがはまり、リングが光を放つ。
「オレが、オレこそがボンゴレ10代目……がはっ!!!」
全身から血を噴き出しザンザスが崩れ落ちる、雌獅子は彼を抱きとめた。
チェルベッロや周囲は理解ができずに困惑する。いつの間にかこちらへ来ていたベルやマーモン、ルッスーリアも事態を飲み込めていない。
「どういうことだい?沢田綱吉、雌獅子、君たちはいったい何を知っている。」
「リングが…ザンザスの血を……拒んだんだっ。」
「そう、ザンザスと9代目に血のつながりは無いの。」
「ザンザス様、あなたにリングが適正か協議する必要があります。リングをこちらへ渡して下さい。」
「黙りやがれ!」
ガガン!!
チェルベッロはザンザスによって撃ち殺された。眼の前で明確な殺人が起こり、綱吉たちは顔をしかめずにはいられない。さらに、審判が居なくなった事により収拾がつかなくなる。
「諦めろザンザス、あいつらの勝ちだ。それにお前はリングに拒否された。どうやってボンゴレを継ぐつもりだ。」
「シャマル殿の言う通りだザンザス!大人しく沢田殿にリングを渡せ。」
チェルベッロを撃ち殺し眼の前でリングに拒絶されたザンザスに、もはや言い逃れはできないとシャマルやバジルは言う。観客席の外にいるランチアは行動を決めかねている様だ。
咳こみながらザンザスは、ニヤリと嗤った。
「誰が、これっぽちの策だと言った。」
「何なに、ボスってば他にもまだ何かあるわけ?」
「ボス、僕は何も聞いていないよ。」
ザンザスの元へヴァリアーが集い、ザンザスの守りが厚くなる。
綱吉たちもお互いを支え合って立ち上がる。雲雀とクロームもこちらに向かってきている。綱吉は雌獅子に向かって声をかけた。
「雌獅子さん、もう終わらせて下さい。あなたはこうなることが解っていたはずだ!そして決着はついたんだ。」
「ガハハハハハッ!! ごほっごほっ…。
沢田綱吉!確かにオレでは不可能になった!
オレでは継げない!だがお前みたいなカスにも継がせねー!!!今、この場にお前以上にボンゴレに相応しい人間が存在してるんだ!
実績も!力も!!血も!!!全て揃っている人間がなぁあ!!
さあ雌獅子!マスクを脱いで名を名乗れぇえ!!!」
雌獅子は抱きとめていたザンザスを、丁寧に地面に寝かせた。
私の事を知っている人間はごく僅か。それじゃあ、ここにいる皆に思い出してもらおうか。もはや死んでいるとさえ思われていた、一般人だった女の子の事を。
雌獅子はマスクを一気に脱いだ。
周囲が彼女を見て、呼吸すら忘れる。
「私の名前は、沢田優奈。 現在は雌獅子と名乗り、ヴァリアー幹部!」
やっぱり後2話で未来変は無理。
もう少しだけ伸びます。