家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題) 作:寺桜
部屋に帰って来た優奈は子供達一人一人を抱きしめながらお帰り、と言って頭をを撫でながら人数確認をしていた。今日は帰ってきている子供の数が随分と少ない。ジョンの姿も見えない。まだ帰ってきていないだけなら良いが、なんだか胸騒ぎがした。
結局、いなくなったほとんどの子供達は帰ってこなかった。夜通し行われる実験は何度かあったが、今回はリーフェ以外でそんな話聞いていない。つまりはそういう事なのだろう。優奈が落ち込む様子を見て犬と千種が慰めた。
「優奈姉さん、元気だすびょん。」
「優奈様、まだ僕達がいます。だから泣かないで。」
「そうだよね、ごめんね。犬、千種新しく来た子が多いみたいだしその子達とも早く家族にならないと…。」
そんな事を話していると部屋のドアが開く。もしやジョンが帰って来たのかと思ったが、部屋から現れたのは研究者に連れられて来た新しい子だった。
「じゃあな、ガキ。ここの説明はそこの雌獅子にでもしてもらえ。」
「わかりました。
僕の名前は六道 骸。以後よろしくお願いします。」
初対面での感想は今も未来も変わらず「パイナップルみたいな変な髪形の子」である。
そんな失礼な事を思っていると、骸はずんずん優奈に近づいて来て頬を思いっきり掴んだ。
「あなた、今僕に対して良くない事考えてたでしょ。」
「べふに、たでぃあパイナッフルににへるなっへ(別に、ただパイナップルに似てるなって)」
「それが失礼だと言っているんです!」
「いひゃい、いひゃい。っごめんね!」
骸に謝りようやく掴んでいた頬を離してもらえた。近くで茫然と様子を見ていた犬と千種は我にかえると優奈の少し赤くなってしまった頬を見て、骸を睨みつけた。
「優奈様ご無事ですか?」
「何するだびょん、このナッポー!」
「だから僕はナッポーなんかじゃありません!」
「キャウン!」
ナッポーと言われて怒った骸が犬にチョップする。案外痛かったらしく、床でのた打ち回る犬。どうでも良くなったように既に視線を外した千種。
「あは、あはっはっはっは!!まるで喜劇みたい、ふふふっ。」
まるで昔からそうであったかの様な当たり前の様な光景に、思わず声をだして優奈は笑ってしまった。
「優奈姉さん…。」
「優奈様が笑ってる。」
「今のを見て笑うなんて本当に失礼な人ですね。」
「ごめんね、骸。本当に久々に笑っちゃった。でも、骸のおかげで笑うって事の意味を思い出したよ、ありがとう。
さて、自己紹介をしないとね。私は沢田優奈って名前で施設の奴らには雌獅子って呼ばれているわ。主に私の血に関する研究をされてる。あそこでのた打ち回っているのが犬、ここの無口が千種だよ。これからよろしくね、私の新しい弟。」
この日から優奈の家族に骸が加わった。それまでは優奈が夜通しの実験がある時は暗く沈んでいた空気だが、今では骸、犬、千種3人のコントしているような温かな空気に包まれていた。骸はときどき痛みを我慢していつも通りに振舞っている事があったが、それはことごとく優奈に見抜かれた。無理をしているとその日は強制的に優奈に抱きしめられて眠る事になるので、骸は優奈にだけは辛い時は辛いと言うようになった。
優奈と骸の実験は最終段階を迎えたようだ。優奈は手と指に何か埋め込まれたが何かは知らされてない。
二人は予てより計画していた脱出を実行しようと考えていた。優奈の守るべき家族はもう、8人しかいない。骸を最後にそれ以降子供が補給されることが無くなった。補給される子供がいなくなったからと言って、減る子供がいなくなったわけではない。子供はそれからも減り続けとうとう8人にまでなってしまった。
優奈の最近の戦闘訓練はいかに人殺しを上手く行うかや、自分の容姿を利用した潜入方法その他暗殺術をしこまれ、そして必ず暗示をかけられる。それはボンゴレを憎むように仕向けられていた。
暗示にかかったふりをして、今までは与えられなかった情報を引き出していた。そして分かったのは伝統、格式、規模、どれをとっても他のマフィアとは別格ボンゴレ・ファミリーの血を継いでいるという事だ。どうやって沢田家がそのボンゴレと繋がりがあるのか知った経緯は教えてもらえなかったが、それでもボンゴレを乗っ取るための駒として今まで育てられた事は分かった。
初めて知った時にはショックだった。こんな酷い事ばかりするマフィアのしかも巨大マフィアのボスの血を引いているのだなんて。部屋へ帰ると、家族だけは騙したくないとその日知った情報をすべて話した。みんなもショックを受けているようだったが、一人だけ不気味に笑う奴がいた。
「クフフ、それは好都合じゃありませんか。むしろ利用してやりなさい。僕としては僕自身で破滅させる方が楽しそうですが、マフィアなんてどうせ何処からでも湧いてくるのです。ボンゴレの事はまかせましたよ。」
そういいながらもニヤッと笑う骸は絶対にろくでもない事を考えているに違いなかった。それでも骸がそんなことを言ってくれたおかげで心が楽になったは認めた。
そんなこんなで今日まで優奈は情報を引き出すことに専念していた。暗示にかかったと信じ切っている研究者たちはいっそ哀れに見える。優奈がその気になれば10秒足らずでここに居る全員を殺すことすら可能だ。
決行は明日。それまでの我慢だと自分に言い聞かせた。
「今日は何をするの?また飽きもせずに戦闘訓練、それとも憎い憎いボンゴレのことでも教えてもらえるのかしら?」
「落ち着け雌獅子。今日はお前にプレゼントがある。お前は言わばほぼ完成品だ。だが完成品には印をつけておかないと盗まれる可能性がある。だからオレとヨッバは相談してお前に印をつけることにしたんだよ。我がファミリーの紋章をな。
ほら腕を出せ。」
ビージが従うのが当たり前と言わんばかりの態度で優奈に言った。その隣にはヨッバが興奮した様子で焼鏝を持っている。ここで二人を殺すことも一瞬考えたが、今暴れれば暗示が掛かっていない事がバレてしまう。
だから腕を差し出した。どんなに屈辱的であろうと全ては家族のために。
焼鏝は熱かった、痛かった、苦しかった。それでも耐えた。
無事に痕がつくと手厚く治療してもらえた。これで今日は終わりだろうと気を抜いていると、頭に何かの装置を着けられた。
「なぁに、最後の実験だよ。ちょいとばかり頭に電気を流して本当に暗示が掛かっているか脳が発する僅かな電波で判断しようと思ってな。
お前には必要ないとヨッバはいったがオレはそんな事信じられん。慎重な性格なんだよ、何なんの問題も無かったらすぐにおわるさ。」
バレると分かったらもう振りをする必要は無く、まず近くに居たヨッバをへし折った装置の部品で刺して殺した。そしてビージを殺そうと奴へ迫る。
「やはり暗示にはかかっていなかったか雌獅子め!
少しもったいないがお前には死んでもらう。」
ビージがレバーを下げるのと同時に優奈はビージの心臓を刺した。
「あああああああぁぁあああぁ!!!!」
頭に大量に流れてくる電流と訳も分からない映像。
それは、もう少し成長した骸と対峙する男の子、氷の中に閉じ込められた男の人、スーツを着た赤ん坊に銃で撃たれる男の子、マシュマロを食べながら機械の映像をみる白い男の人、いろいろな映像が流れてくる。
「これは…、何?
あの男の子は綱…よ…し?」
そして優奈の意識は途切れた。
7/21 一部付けたし。