家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題)   作:寺桜

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友人に未来編は、ほのぼのとシリアスの落差を今以上につけろと言われた。
…マジか!今でも寺桜は結構(文才的な意味で)ギリギリなのにこれ以上だと!?
友人のせいでSAN値がヤヴァイな、精神分析をしてくれ。


すこし文章の印象が変わるよう努力してみます。
自分じゃ気が付かないので、下手になったと思ったら教えてください。





第60話

優奈を助けてくれた青年の名前は白蘭というらしい。白い髪と左目の下にある爪のタトゥーが印象的だ。彼はにっこりと優奈に笑いかけて自己紹介をしてくれた。助けてくれた彼に、礼を言った優奈は確認を兼ねて問う。

 

「ねぇ、白蘭。」

 

「何だい優奈ちゃん。」

 

「あなた私を殺そうとしたね?」

 

「あれ?気づいてたんだ。」

 

白蘭は優奈の発言に目を見開いて、笑顔で肯定した。優奈はなぜタイミング良く起きたのか、それは簡単だ。起きたのではなく、白蘭の殺意に反応して起こされたというのが正確である。だが殺意や害意を自分に向けられたくらいで、優奈は騒ぎ立てたりなどしない。それらは彼女にとって身近なものでしかないのだから。

 

やれやれと少し困った顔をしながら、おそらく意味がない注意を白蘭にする。

 

「女性の寝顔をまじまじと見るものじゃありません。女性の私物も勝手に漁るなんて頬が赤く腫れあがっても文句を言えないよ。」

 

「え、優奈ちゃんあのさ…僕に対して言う事ズレてない。」

 

「ズレてなんてないよ。 あぁ、一つ忘れてた。私の仮面を返して。」

 

優奈は開いた口が塞がらない白蘭から仮面を勝手に取返し、損傷がないかを確認して被った。もはや顔の一部と変わらないので被っていないとどうにも落ち着かないのだ。

 

 

優奈は実は起きた時、殺意よりも仮面をしていない事のほうが驚きだった。シャマルの話では雌獅子は意識が無い時でさえ執着し、素顔を見られることを恐れている。それなのに先程まで仮面は白蘭が手にしていた。雌獅子と争った痕跡もないので、普通に脱がされたのだろう。

 

そんな相手はこれまでたった一人だけだった。

いつも顔に不機嫌だと書いてある、ぶっきらぼうなあの人。

 

今頃スクアーロに八つ当たりをしているに違いない。その様子をありありと想像できてクスクスと笑ってしまう。そこでまた白蘭に視線を戻す。ひとりで笑っていて可笑しな奴だと思われてないといいのだが。

 

白蘭は未だに目線を優奈に固定したまま口を開けていた。雌獅子としてはいい加減に現実に帰ってきてほしい。先程から声をかけているが反応もない。現状を頭の中でいろいろ考えているのだが、一人では何の確証もない予想に過ぎない。

 

 

 

ひとまずどうにも警戒ができない目の前の男に、骸が絶賛するデコピンをすることにした。

 

「いつまで1人会話させるつもりなの。」

 

ドゴッ!

 

「痛っいー!」

 

額を両手で押さえて転げまわる姿にデジャヴを感じる。骸たちもイタズラや自虐を口にした時には、よくこうしてお仕置きをしたものだ。

 

白蘭が地面との遊びに飽きるのを待ち、ようやく話を聞けるころには少々恨みがましくこちらを見てきた。まだ片手で額を抑えて涙目なのは見えていないふり。

 

「それで何が聞きたいの、優奈ちゃん。」

 

「う~んと、まずは私と白蘭の関係かな。」

 

「いきなり直球だね。

 

殺した僕と殺された優奈ちゃん。

君を殺すつもりは無かったんだけど、結果的には殺しちゃった。」

 

無邪気な顔で、ゲームデータ消しちゃったと言うのと同じくらいの軽さで、重要事項を告げる白蘭。

 

さぁ優奈ちゃん、君はどんな反応をする。

 

 

「そうなんだ。じゃあ次の質問だけど…」

 

「ちょっと待って!!」

 

 

白蘭の予想に反してけろりとした様子で、あっさりと自分の死を流した優奈に逆に白蘭が慌てる。ゲームデータこっそり消したはずなのに、数日後の夕飯の席であれお前だよなと前振りもなく言われた気分だ。

 

「他に言うことあるだろう!? どうしてとか何でとかもっとさぁ。こう…驚くとか怒るとか悲しむとか。」

 

力説するも雌獅子は首を傾げて理解していない。

 

「あぁ~、どうしよう。調子が狂うな。」

 

「ふふっ。」

 

「笑うなんて酷いよ。」

 

「でも、嬉しくて楽しいでしょ。  だって白蘭、さっきからずっと笑っている。」

 

そう優奈に言われて初めて気が付いた。確かに白蘭は笑っているのだ。いつもの張り付いた笑みではなく、内面からの感情によって。

 

怖がらせたり、怒らせたりして敵対するつもりだった。

そうすれば他の次元と同じように、スリルに満ちた面白い時間が過ごせるはずなのだから。けれど敵対する前に、雌獅子ではない優奈と会話してみようと考えたのは思いつき。他のどの次元も争うことはしてきたが、まともに話したことさえなかった。

 

この次元の雌獅子は見つけた瞬間に死んでしまったから、別の次元の自分が羨ましくて仕方がなかった。だけど今度は自分こそが他の次元の自分が羨むような事をしてやろう。会話に飽きたらまたゲームをしよう……と思っていたのに。

 

優奈との会話は自分の予想の斜め上にしかいかない。殺意は空気と同じ扱いをされ、殺害した事実は受け流された。ただ流すのではくしっかりと受け止めたうえで流されてしまった。思っていた会話と何かが違うと呆然としているとデコピンをされ、一般論を言うと何故か理解してもらえない。

 

掌の上で踊ってもらうつもりが、手首をつかまれ振り回されている。

 

それがこんなにも楽しい!

 

次に何をしてくるのか予想がつかない、ズレているようでズレていない会話。自分を殺した相手に、憎悪も恐れも遠慮もない。あるのは今、目の前にいる僕に対してだけの感情。

 

彼女をすぐにでも僕のところへ連れて帰りたかった。けれどそれはまだダメだ。優奈ちゃんの心はスペア君に向いている。今、無理やりにでも連れて行ったって僕を見てはくれない。だから今は我慢しよう。きっとすぐに機会は訪れるはずだ、そんな予感がする。楽しみは後にとって置くものだ。

 

 

 

 

白蘭は雌獅子にからかわれながら、具体的には弟の様な扱いをされながら他愛もない会話を喜んだ。そして雌獅子も過去から来たことを白蘭に話す。5分で戻れるはずだったのだが、何らかの原因で過去へ戻れないのだと。

 

現在地を白蘭に尋ねると、並盛岬だと教えられた。できればイタリアであれば良かった。そうすればボンゴレに直接向かい、原因の究明を段取りよく行えた。しかしそんな事を嘆くつもりは無い。幸か不幸か並盛はよく知っている。この岬も、教えられた後に眺めれば10年前の面影がある。

 

さらに白蘭はたくさんの事を教えてくれた。リングを使った戦い方が確立された事、炎をエネルギーとした兵器が開発された事。現在ボンゴレは敵対マフィアと大規模な戦闘中だという事。

 

そして、綱吉が精神を病んでいるらしいという噂がある事。

 

綱吉がそうなってしまった理由は、白蘭は分からないらしい。そんなことを聞いて雌獅子が思ったのは、やはり綱吉にマフィアのボスは向いていなかったのだということ。

 

優しい、優しい子だ。他者が傷つくより自分が傷つくことを選び、自衛のためですら暴力を厭う。誰かの喜びに自分も喜び、誰かの悲しみに共感しすぎてしまう。抗争の中で仲間の無事を喜び、仲間の血と硝煙の匂いに他人の死を想う。そんな心を持ったまま、この仄暗く赤黒い世界で生きていくことは容易くない。

 

私が生きていたのならば、代われたのに。

 

綱吉の周りには彼がボスである事を求める者しかいない。友人であろうと、師であろうと、…父であろうと、綱吉をボンゴレ10世にしてしまう。

この世界の綱吉に選択権はあったのだろうか、拒否権はあったのであろうか。綱吉は裏の住人には眩しい…光り輝く存在だ。だから手に入れようとする。自分を照らしてもらいたいから。

 

綱吉がボンゴレを継いだことに文句は言わない。過去でもあれほど嫌がっているのに、それでも継いだのならばそれだけの覚悟があったのだ。10世になったことをバカにするのは綱吉の覚悟に泥を塗る行為だ。

 

それでも、私がいなくとも、最後の逃げ道くらい用意してあげたかった。

 

雌獅子は新たな決意をした。決意は覚悟になる。これもきっと誰に言うこともなく、雌獅子の中だけで終わっていくだろう。

 

「白蘭、ありがとう。 さようなら。」

 

雌獅子は白蘭が味方ではないことを忘れていない。だからここで別れる。下手にボンゴレ関係者に見つかれば、危険だと解かるからだ。まずは並盛中へ行こう。雲雀ならば並盛のどこかに基地の一つや二つ造っているはず。

 

白蘭にくるりと背を向けて歩き出す雌獅子。

そんな彼女に白蘭も言った。

 

「またね、優奈ちゃん。」

 

不敵な笑みを浮かべながら、ミルフィオーレの日本支部に指示を出す。正一は今頃何の連絡もしないで消えた白蘭に、頭と胃を抱えているに違いない。彼はいい友人だが、所詮はどんなに頑張っても駒でしかない。

 

白蘭と同じプレーヤーではないのだ。

 

遊び相手は、自分と同じ立場に居なければ遊び相手ですらない。優奈はプレーヤーだ。だから今度はずっと僕と遊ぼう優奈ちゃん、スペアなんかいらない。

 

 

 

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