家庭教師ヒットマンREBORN!~守護する者~(仮題)   作:寺桜

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春ってなんで忙しいのかな?
好きな季節なんだぜ。 
花粉症と仕事に苦しまなきゃ…


第61話

白蘭と別れた雌獅子は、ボンゴレ日本並盛支部へ向かうことにした。棺桶からは未来の雌獅子が使っていたであろうボックス、自身の暗号で書いた手記それから手作りらしきお守りだけを借り受ける。

 

ボックスは生き残るため、手記は情報を得るため、お守りは……何となく。

 

いずれ過去に帰る時には棺桶の中に返すつもりだ。例え今雌獅子が必要としていても、これらには未来の雌獅子と、彼女の周囲の想いが込められている。勝手にもらって良いものでは無い。

 

 

 

雌獅子はこの世界のボンゴレとどうやってコンタクトを取ろうか考えたが、並盛中学で不審者になるのが手っ取り早いという結論に至った。

 

ヴァリアーや綱吉たちが日本に居るかどうかわからないが、絶対に日本…というより並盛を離れたがらない人間が居る。

 

並盛でマスクをしているだけで不審者にはなれないかもしれないが、並盛中に不法侵入する正体不明の人物になれば自然と彼、雲雀恭弥に情報が走る。そうすれば彼にお願いしてボンゴレへ戻れるだろう。

 

少々ごねるようであれば、鍛錬に付き合うと言えばどうにかならないだろうか。

私一人でダメそうだったら、骸を巻き込もうそうしよう。この世界の私と骸がどういう関係か分からないけど、骸の事だから絶対に他人に弱音とか愚痴を言わない。腹の中に溜め込んでしまっているに違いない。雲雀と骸は喧嘩友達だからそれでお互いのストレスを発散しあえばいい。

 

優奈は勝手に雲雀への手土産に骸を加え、意気揚々と並盛中へ歩いて行った。

 

 

 

結果は見事雌獅子の計画通りに運び、現在ザ・日本!といった感じの畳部屋に居る。彼女は正座はできるが、一時間以内にして欲しいと思った。男と違い胡坐をかくわけにはいかないため、雌獅子は必死に痺れを分散しようと無駄な足掻きをしていた。

 

右脚に重心を傾けたり、左脚に重心を傾けたり、つま先を動かしたり、そっと足を揉んでみたり。痺れが酷くなってきていい加減足を崩そうかと思ったとき、廊下の方から人の気配がした。気配は2つ有り、一つは足音を消すのにまだ不慣れでもう一つは完全に足音を消して堂々とこちらに来る。

 

崩しかけた足を痺れを我慢し、姿勢を正す。何の声もなく無遠慮に開いた襖からは、大人びた雲雀と一歩下がったところに草壁が立っていた。

 

「ワオ!驚きだね。まさか本当に雌獅子が生きているなんてさ。」

 

「驚きどころじゃありませんよ?!早く綱吉さんに知らせないとっ!」

 

言葉とは裏腹に驚いた様子の無い雲雀と、まるで幽霊を見ている様な素振りの草壁。対照的な2人にクスッっと笑いが漏れる。

 

「僕を前に何笑っているのさ。」

 

「だって本人確認する前に、私を雌獅子と断定してるみたいだからさ。」

 

「それはですね、この基地は炎圧と網膜と声帯を登録している人間以外入ることができないんです。偽物だった場合声帯と網膜までは幻術で誤魔化しても、炎圧だけはどうしようもありません。」

 

「炎圧って?」

 

草壁が雌獅子の質問に答えようとしたその時。 

 

ブン ガシッ!

 

風を裂く音と同時に雲雀のトンファーが雌獅子にしっかりと摑まれていた。

 

「ほら、偽物なんかじゃなかっただろ。 ついでにちょっと付き合いなよ。」

 

雲雀の付き合えとは、言うまでもなく戦えという意味だ。白蘭が言っていた、この世界の綱吉を確認するために綱吉の元へ行きたいのだが、どうやら一度戦わねば居場所すら教えてもらえないみたいだ。

 

 

雲雀は雌獅子に疑問など抱かない。なぜ最後に見た姿より幼いのか、なぜ炎について知っている口ぶりなのか、誰と接触したのか。そんな事はどうだって良いのだ。例え幼かろうが、武器がなかろうが、リングを持っていなかろうが、雌獅子ならば咬み応えがある。だから早く戦わせろ。雲雀の眼には闘志が燃え盛っていた。

 

半ば強引に引きずられて訓練室に入る。雌獅子は苦笑いしながらも雲雀の好きにさせた。

 

 

 

突然ではあるが、雌獅子には固有の武器が無い。

 

雌獅子は武器を使えないのではない。すべての武器を十分に使いこなしてしまうので、得意な武器も苦手な武器も存在しないのだ。戦場ではその場にある使い勝手が良さそうな物で済ますことが多い。彼女は武器を十分に使えるだけで生きてこれたのだ、生き残ってしまえたのだ。そのため今まで固有武器を必要としてこなかった。

 

十全に使いこなせる武器が必要だと、雌獅子は雲雀との訓練で実感することとなる。

 

 

 

 

左袖に仕込んでいた警棒は最初の一撃で無残に折れ曲がり、右袖に縫い込んでおいた数本のナイフは砕け散り、胸のポケットにあった銃の弾丸は弾かれ、腹に折りたたんでおいた三節棍は引き千切れ、背中に差していたククリ刀は刃が潰れた。まだ襟裏に吹き矢と右足に巻き付けたムチと左足に3個手榴弾があるが、雲雀を倒すことはできない。

 

「うん、降参。」

 

ただでは負けなかった。何発かの拳と切り傷は受け取ってもらった。

雌獅子との力試しとしてはこんなものだろうと、両手を挙げて彼の勝利を告げる。それなのに雲雀は如何にも不服だと言わんばかりの表情だ。雲雀は10年前に比べて格段に強くなった。成長に伴い手足が長くなったため攻撃範囲が広がり、一撃に重みが加わった。大振りだった攻撃の型は小さくなったことで、素早さも上がっている。

 

トンファーの仕掛けをリング戦の時と同じものしか使わなかったのは、ハンデのつもりかもしれない。だが未来に来て間もない雌獅子に、トンファーに炎を纏わせて戦うのは如何なものか。同じハンデをくれるのならば、仕掛けをフルで使ってこられた方が余程マシだったというものだ。

 

荒い息を整えると、優奈は雲雀を真っ直ぐ見つめる。

 

「で、どうして私を外に出したくないのかな?」

 

「知らないね。」

 

「とぼけても無駄だよ。  知ってるでしょ、超直感を。」

 

雲雀は舌打ちをし、眉間に皺が寄る。こういう時の仕草はザンザスに似ているなぁと思う。そのことを双方にはまだ言っていない。いつか喧嘩をした時に言ってやるつもりだ。

 

「この時代、リングと炎で戦いの8割が決まってると言っても過言じゃない。けれどリングと炎はつり合いが取れていないと意味がない。僕でもリングに不足を覚えるのに、優奈ははめれるリングすらない。」

 

雲雀に名前を呼ばれた事に少々驚きながらも、彼が言いたかったことに予想がついた。

 

つまり、この時代では雌獅子は満足に戦えないと言いたいらしい。白蘭に聞いた話では大空の属性を持つ人間も稀だが、大空の属性のリングも稀だと言っていた。草壁が言っていたエンアツはきっと炎圧。炎の圧…炎にも強さがあると推測できる。

 

雌獅子は力を引き出すためのリングが無く、炎を纏える武器も無い。仮にリングがあっても、雌獅子の炎圧に武器が応えられない。

 

「…ふう。」

 

「分かったかい。 大人しく過去に戻れるまでそこに居なよ。」

 

けれど…

 

「分かったよ。雲雀と戦えるようになれってことだね。」

 

明るくはっきりと告げる。直ぐにお荷物ではなくなると。

雲雀は獰猛に笑った。

 

「楽しみだ。」

 

お荷物のままではファミリーにも、家族にも、弟にも会えない。皆を護るために強くならなければと眼を閉じた。

 

 

 

 






未来編の構想を友人と練っていて、余りにも長くて

俺たちの戦いはこれからだ!END  にしたくなったのは秘密。
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