どけ!わたしはおねえちゃんだぞ!!   作:シヌメユ

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 性癖に従って書いていきます
 ケチつけるまえにおまえも性癖晒さないか??




#1 はじまり

 

 

 

 

 目が覚めたら幻想郷だった。

 ああいや、目が覚めたらっていうのはおかしいかもしれない。正確には物心がついたら。気が付いたらともいう。

 わたしがわたしであることを自覚したそのとき、真正面には一人の女の子がいた。

 すらっとした眉。おっきな瞳。ぷにっとした唇。子供らしい丸い顔。めっちゃ艶やかな黒髪。そして何より――特徴的なおっきい赤リボン。

 どうみても霊夢! 幼少期の!!

 え、やばい。どうしよう。めちゃんこかわいい。これ抱きしめていい!? お持ち帰りしちゃっていい!!?

 荒ぶる心が外に出ないように唇を噛んで耐えていると、霊夢らしき女の子が心配そうに、

 

「ねえ、だいじょうぶ? なんかようすおかしいよ――おねえちゃん」

 

 おねっっっ―――おね?

 さっきまでの騒がしさは嘘のように、わたしの思考は停止した。

 おねえちゃん……おねえちゃん? おねえちゃんとは? あの? あねといもうとでいったらあねのほう??

 声をかけた矢先に固まったわたしに危機感を覚えたのか、霊夢(仮称)はわたしの肩をつかんでぐらぐら揺らす。

 

「おねえちゃん! おねえちゃん!?」

「――かふっ」

「わっ、血! けが、けがしたの!? おねえちゃん!!?」

「ま、まって、ゆらさないで……。大丈夫、大丈夫だから」

 

 ついに涙目になってしまった霊夢(暫定)を宥めながらいったん離れる。

 いや、正直、まったくもって大丈夫じゃない。

 今だって肩から手が離れたとたん、まるで大切なものをなくしたかのような喪失感におそわれた。病気か??

 でも考えてみてほしい。

 自分にとっての生涯の推しキャラだよ。手が届くはずのない存在がすぐそこにいて、しかも子供時代で、しかもおねえちゃんって呼ばれる。

 ――無理! 幸せすぎて吐きそう!! 吐け!!!

 おっといけない。またあらぶってしまった。こんなんじゃまた霊夢(決めつけ)に泣かれてしまう。

 おろおろと困惑した様子の女の子にそっと近寄り、まだ乾いていない涙を服の裾で拭ってやる。

 

「ごめんね。ちょっと混乱しちゃって」

「こんらん?」

「うん」

 

 おまえがかわいすぎてな! と言い出しそうになるのを唇を噛んで抑え込んで、女の子の頭をなでる。

 たちまち笑顔になった女の子。うんうんかわいいね。死んでも守るね。

 さて、まずは状況の整理だ。

 わたしは――何してたんだっけ。仕事から帰って缶ビール開けたのを最後に記憶がない。寝たのか? え、じゃあこれ夢? いやでも唇めっちゃ痛いしちがうか。ちがうな。ちがうだろ!!

 で、この子はたぶん霊夢、わたしの見立てによるとまず間違いなく霊夢で、つまり今いる場所は幻想郷。順当に考えるなら博麗神社かな? 巫女装束じゃないあたり、完全なプライベート霊夢。神。なるほど博麗神社の謎の祭神とはつまり霊夢のことだったのだ。証明完了。

 そんでわたしは霊夢のおねえちゃん。は?

 

「頭痛くなってきた……」

「あたまいたいの? だいじょうぶ?」

「あ、うん。大丈夫大丈夫。だっておねえちゃんだからね!」

 

 しまった油断した。妹に心配させるなんて姉として失格すぎる。

 大丈夫アピールでVサインを作りながらめいっぱいの笑顔を作る。にこにこ。

 が、その様子を霊夢はどう思ったか。おそるおそる手がわたしのほうへ延ばされて、そっと、頭の上にのせられた。

 

「いたいの、いたいの、飛んでけ!」

 

 ――。

 

「ふふーん! おねえちゃんどう? いたいのなくなった?」

 

 ――。

 

「おねえちゃん?」

 

 ――?

 

「おねえちゃん!!?」

 

 がふ――っっっ!???

 なんだ、いま、なんだ? なにがおきた??

 ん???

 あたま、なでられた?? え? とんでけされた??

 あ、やばい。もたない。

 意識が、とおく――。

 

「――! ――」

 

 ああ。とおくでれいむのこえがする。

 わたしはどうなるんだろう。

 つぎ目覚めたら、自分の部屋にいて、缶ビール片手に寝っ転がってるんだろうか。

 まあ、しかたない。ゆめだったんだ。

 束の間のことだったけど。しあわせだった。

 ああ、でも、そういえば。名前を呼んであげられなかったな。心残りがあるとしたらそれだけかな。

 いや、嘘。心残りはめっちゃある。

 いっしょにご飯食べたかったし、いっしょにお風呂に入りたかった。

 いっしょの布団で眠りたかったし、いっしょに縁側でお煎餅食べたかった。

 考えれば考えるほどやりたいことが出てくる。

 ああくそ。起きてもすぐ寝たらまた見れるかな。見たいな。そしたら、今度こそ。

 

「おねえちゃんに、わたしはなる」

 

 

 

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