【完結】IS 復讐者の死に方探し   作:ZE

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 ゴーレム事件終結。鈴対ゴーレムは書いても面白くならなかったのでカット。
 この作品における鈴編ってとくに書きたいこともないんですよねぇ。まぁ、だからその期間を使って雛菊を書いた訳ですが。ちなみに今回のゴーレムの描写はほぼ即興です。コンビニ行く途中にネタが思いつきました。
 二巻編の頭は栞視点で始めたいので、一夏視点のもう一話を挟んで二巻編に行きます。

 8/18改稿


12.嘆きの胎児

 時間は、少し遡る。

 

 

持ち味(長所)を生かせば、ねぇ…………)

 

 許可を得て雛菊のハイパーセンサーだけを展開し、甲龍へと突撃する白式を眺めながら、加速された体感時間で思考を回転する。

 所詮、一年しか鍛えていない俄仕込みの小娘か、と軽く侮蔑を思考に載せる。戦技・戦闘レベルでは優秀だが、戦術・戦略レベルではまだまだだ。いや、プロパガンダに最も重要な戦技・戦闘レベルの強さを迅速に高めるために偏った教育をされていたのだろうから本人だけの責任ではないが。

 言うまでもなく、織斑一夏が()()を生かしたところで凰鈴音には勝てない。これは地力の違いだ。

 

 ――だが、織斑一夏が短所も含めた()能力の全て()を尽くせば十分勝ちに行ける。

 具体的には、もっと時間をかけて勝負どころを見極め、できれば零落白夜の存在で相手を焦らして、そしてここぞという時に零落白夜を起動、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()し、突然武器の重量が数倍以上になったことに驚いてできた隙に、強引に零落白夜を叩き込む。凰鈴音は剣術の力量に大きく劣るため、PICが瞬間的にでも無力化された状況からのリカバリは難しく、一撃必殺の可能性も低くない。できなかったとしても、後は零落白夜で牽制しながら拳や脚で削れば先に相手のシールドエネルギーをゼロにできる。

 思考による分析と己に有利な状況を誘導する戦闘構築。織斑一夏があそこで長所と長所のぶつかり合いに逃げなければ勝率は低くなかったのだ。

 

(まぁ、まだ負けたわけでもないだろうけど)

 

 菊一文字で何度も瞬殺されている織斑一夏はまだ気づいていないだろうが、普通のブレードの攻撃力というのは結構大したことないので、燃費重視型のコンセプトで作られている甲龍の一撃は、幾ら第三世代兵装の後押しを受けた物であっても比較的防御に優れエネルギー量も多い白式を一撃必殺出来る可能性はかなり低い。

 恐らく、織斑一夏が完全に勝負を諦めても600も削れない。反射的に防御動作を取れば550、下手すると450ぐらいになる可能性もある。そして200のこっていれば、零落白夜の一撃必殺によって十分勝ちに行ける。凰鈴音は柄の部分を打ち払ったから、打ち合った相手の刀身のPICを無効化できるという零落白夜の特性に気付いている可能性は低い。もしかしたら気付いていてそういう行動を取ったのかもしれないが、おそらく違うだろう。あれは奇襲でもない瞬時加速というナメた真似をした織斑一夏に唾を吐いたようなものだ。

 瞬時加速を今まで使っていないからその存在には気付かれていないだろう、なんていうのは織斑一夏の慢心であり――――

 

 

『――寂しい(さむい)。――寂しい(さむい)。――寂しい(さむい)。――寂しい(さむい)。――寂しい(さむい)

 

 

(は?)

 

 突然聞こえてきた謎の声に首を傾げる。声の感じからして、かなり小さな女の子。五歳とかそのへんだろうか。

 でもなんでそんな声がISの通信網に――――

 

 

 ――――ズガァァァァン!

 

 

 首をひねった瞬間、次元違いの超高密度エネルギー砲がアリーナに着弾する。即座に解析データをオープン。エネルギー量測定不能。弾速マッハ30オーバー。弾速から予測される最低エネルギー密度は――――

 

 

『――ここはどこ? ――私はなぜ? ――母はどこ? ――あなたはどれ?』

 

 

 再びの、女の子の声。脳裏に、というより、心に響いてくるようなその声音が、私の中に眠っている五歳の私を呼び起こし、悲しみの感情が共鳴する。

 

 

『――――どうして母は? ――――なにを私は? ――――そこはなに? ――――ここはなぜ?』

 

 

『主様!! 気を確かに!!!!』

 

 同様に響いてきた凛とした女性の、あの深層世界で何度も聞いた雛菊の声で、おぼろげになりかけていた意識が常態へと強制復旧する。

 

(雛菊? 話せるの?)

 

 確か、ISコアにそういう機能が付加されていないから、自己進化でそれを獲得するかあの精神世界に操縦者を引っ張ってこないと会話はできないと聞いた覚えがあったのだけど。と、現下の緊急事態を忘れているかのように、私はとぼけた思考を垂れ流す。

 

『主様があの声に感応したことで精神の境界が曖昧になっているようです。私がカバーしていますが、強い想念が周囲で発生すれば流れ込む可能性がありますからおすすめできません』

 

 成程、微妙に意識に靄がかかっている気がするのはそれが原因か。

 

(そう。わかった。で、これは何? 精神攻撃?)

 

『あの黒いISの声です。送り込んできたものの意図はわかりませんが、本人に精神攻撃の意図はないでしょう。寂しいから、周囲に呼びかけているというだけかと』

 

 言われてアリーナを見ると、胴体に頭が直接くっついたような、黒い全身装甲のISがそこにいた。肥大した腕部は、おそらく砲口だろう。

 

 

『――寂しい(さむい)。――寂しい(さむい)。――寂しい(さむい)。――寂しい(さむい)。――寂しい(さむい)

 

 

(…………)

 

 その、悲嘆にくれる嘆きの声に、光を見失った幼き迷い子の嘆きに、五歳の私に共感して呼び起された七歳の私が憐憫を向ける。

 

(……あの子、助けられない?)

 

 一瞬、私は復讐を忘れた。無理もない。復讐という感情は十五歳(いま)の私の感情で、五歳の私と七歳の私にその想いはないのだから。

 

『私がコアネットワークからアクセスすれば、少なくともそれを探る事は可能です。が』

 

(が?)

 

 多少のリスクなら背負おう。本気でそう思った。

 五歳と七歳の私が表層に出かかっている今の私は、一時の感情を復讐という大目標より優先しかねない状態だった。

 

『主様は世界で唯一ISコアとの完全同調(フルシンクロ)が可能な方。あの機体に私がアクセスすることで、篠ノ之束が私に関心を持って調べてくるようなことがあれば…………。ご理解ください主様。上位者権限での開示要求を拒否できない今の私では、目立たないようにすること以外、主様の秘密を守る事ができません。為すべきことのため、ご自愛を』

 

 未だ、あの声に乗って流れてくる悲しみに共鳴して熱に浮かされているかのような思考の半分が冷却する。

 人間として壊れているからこそ、人間と本質的に全く違う精神形態を持つISコアの意識と完全な意味で心を通わせられるという私の特異性がばれるのはそこまで問題ではない。高IS適性者を、理性を保ったまま人格崩壊させて、その状態で機体を二次移行か三次移行ぐらいまで育てればいいだけの、難易度は高くても再現性のある事象だ。世界はともかく篠ノ之束には、私というサンプル自体はそこまで稀少でもない。それだけなら、うまく取り入れば自由も獲得できるだろう。

 問題は、幾度となく私と感応して、私の中の負の感情を引き受けてくれている雛菊が、私の計画の全貌を知っているという事だ。その情報を篠ノ之束に引き出されれば、間違いなく私は殺される。ここであのISを助けようとするのは、自殺まがい所ですらない、完全な自殺だ。

 

(分かった。ごめんなさい。あなたが我慢しているのに私が暴走するわけにはいかないわよね)

 

『お気になさらず。確かに姉妹(きょうだい)は大切ですが、主様とは比べ物になりません。極論すれば復讐という私欲しかない主様と私の、より守りたいものがあるかないかの違いでしょう』

 

 雛菊は優しく笑って、聖母のように慈愛に満ちた声をくれた。復讐という私欲という表現は中々辛辣だが、私は元々それを自覚してそのつもりで復讐を選んでいるので、雛菊の言葉は皮肉でも何でもない。

 

(そう。ならあなたの為にも私は自暴自棄にはなれないわね)

 

『そう願う事が、枷を付ける事が、主様の意義を果たす一助となるならば』

 

 相変らずの忠臣っぷりに、私はクスリと声に出して笑った。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 織斑一夏が遮断シールドを斬り裂いたら、あるいはあの機体、雛菊曰く《ゴーレムⅠ》が遮断シールドを撃ち抜いたら、即座にそこから侵入できるようにアリーナの真上で待機する。

 

(あれって、無人機?)

 

 観察していて、気付いた。中に人間が入っているにしては、関節の動きがおかしい気がする。いや、中身が両手両足欠落(ダルマ)とか、胎児(ゴーレム)の名の通り体の小さい幼子なら話は別だけど。

 

『そのようです。人間の存在を感知できません』

 

(ならシールドエネルギーをゼロにしても活動不能になるかはわからない、と。粉微塵に刻んだ方がいいわね)

 

『コアから武装を切り離せば十分かと』

 

(隠し武器もあり得るし自爆されたら厄介だからコアを抜きましょうか。場所は分かる?)

 

『偽装されているようなのでこの距離では難しいです。近くに寄るか、シールドバリアを抜ければ』

 

(斬る時までわからないなら刻んだ方が速いかもしれないわね)

 

『……努力します』

 

 雛菊と談笑しながら、眼下の戦いを眺める。あのゴーレムという無人機、正直かなり強い。PICと胴体部のスラスターでピョンピョン飛び跳ねながらコアのように回転しつつレーザー砲撃を放つというワンパターンな戦法だが、その反応速度や対応速度、動作精度や、瞬間的な加速度が異常だ。あれが操縦者保護系を捨てたISの真の力かと思う感じに。国家代表級なら秒殺できるけれど、並大抵の専用機持ちぐらいは正面から打倒できるのではないだろうか。あそこにいる凰鈴音とか。

 

 あれに勝つのはセシリアでも無理だろう。レーザーは実体装甲にはあまり有効ではなく、あの機体はおそらくシールドエネルギー枯渇では止まらない。

 簪なら…………専用機がまだだから訓練機だけど、十分な攻撃力を持った武装を積めば行ける? 機械的な行動ロジックに、あの子の頭脳は天敵だ。

 織斑一夏も無理だ。零落白夜なしでも剣速が遅すぎる。まして、おそらくあの機体には絶対防御がないから零落白夜ではほとんどエネルギーが減らない。PICを抜けるから実体装甲は簡単に破れるだろうけど、あの反応速度からすると刀身の腹を叩かれる。

 

 さて…………

 

『観客避難終了』

 

 多少の被弾は無視してもシールドを破れ。その意味を込めて織斑一夏に指示を出す。

 ちなみに、指揮権は千冬先輩に移譲してもらっているので私が指示を出して全く問題ない。というか、IS操縦者はクーデター防止のために指揮とかの士官教育を施されないから、目的に使える可能性が高いため伝手でその辺に割り込んだことのある私の方が指揮は得意だ。

 

「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 

 直後、(棒)と付けたくなる叫びと共に、織斑一夏が数発のレーザー砲を受けながら遮断シールドを斬り裂いた。私はその行先に先回りし、バリアの裂け目からアリーナ内に入り、

 

「その一切を、両断する」

 

 幻惑の舞踏で照準を完全回避し、高速の八連斬でゴーレムを解体した。無人機だと気付いていなかった凰鈴音と織斑一夏が青い顔をするが、気にしない。

 

『コア位置判明しました。データ送ります』

 

 受信したデータに従って三段突きでその周囲をぶち抜き、コアを回収。ミッションコンプリート。所詮雑魚。

 

「状況終了。敵、無人機のコア回収しました。織斑先生、指示をお願いします」

 

『あ、あぁ、分かった。しかし、薄々察してはいたが本当に無人機とはな。織斑、凰、そのまま帰投しろ。残骸は教師部隊が回収する。クラス対抗戦は一時中断、おそらく中止になるだろう。司はコアを私の下へ。なお、他の生徒たちもだが今回の一件には緘口令が敷かれる。特に相手が無人機だったなどと絶対に口外はするなよ?』

 

『はい。了解しました』

 

『命令了解。凰鈴音、帰投します』

 

 ……………………

 

『…………司?』

 

 ……………………

 

『…………フリーパスは、何らかの形で配布されるよう掛け合っておく。仮に抽選などになって外れても文句は言うな?』

 

「雛菊、司栞諒解」

 

 流石にそこまでワガママではない。私は。

 

 

 ◆◇◆

 

 

 その日の夜、私は深層世界に潜って、雛菊と会話していた。

 

 何もない真っ白な空間は、人として壊れた、そして、雛菊と同調して機械の精神構造(こころ)に侵された私の在り方の具現。

 ただし、いつもと違って私は人の形を保っているし、五歳の私と七歳の私もいない。あれは私という殻が解ける事で外に出てきているだけなので、殻が強固なうちは出てくることはない。

 ただし、私は裸だが。まぁ、精神だけで没入(ダイブ)しているのだから服はなくて当たり前なのだけれど、私の露出願望が現れているようで、少し恥ずかしい。何せ雛菊は、若草色の和服に、白い雛菊が描かれた桜色の帯を締めているいつもの姿なのだ。

 

 そんな私の心の声を聴いて――ここは私の心の中。心の声は、私の声だ――雛菊は苦笑する。

 直後、全身に奔る衣擦れの感触。

 真紅の彼岸花が描かれた黒い和服に、ひび割れ模様の赤黒い帯。趣味が悪いにもほどがある。いや、服の形状はともかく色と絵柄はたぶん私の心の具現であって、雛菊のせいじゃないんだろうけど。

 …………それに、本当に私の露出願望を写しているのか、肌触りのいい裏地で作られている代わりにその下が裸だ。雛菊は大きく肩をすくめて苦笑した。これ以上どうにもならないらしい。どんだけ強いんだ私の露出願望。ドン引きである。

 どうしようもないので笑った。盛大に笑った。雛菊もおつきあいで笑ってくれた。

 

“――普通に話をするのは、初めてですね”

 

 気を取り直して、会話を始める。

 

 確かにそうだった。初めての時はまだ人格がほとんどできていなかった雛菊と勝手に完全同調してしまったし、以降はあれが自己進化を促進する事と私の精神負荷の肩代わりをしてもらえる事に惹かれて行っていただけだ。

 よく考えるまでもなく、私が本音で話せる相手なんて雛菊以外にいない。そう考えると完全同調までしなくとも、普通に会話の為にここを訪れるのも悪くないのかもしれない。雛菊だってたまには普通に話したいだろうし。

 

 ――なんて考え(言い)つつ、なんか微妙に変態的な格好をしていて、この場には何も隠す必要がない雛菊しかいないからか自慰行為をしたくなるのは気のせいだと思いたい。どんだけ溜まってるんだ私。

 

“――こちらに潜りすぎると精神の境界が曖昧になりやすくなる。そのリスクを解っていない主様でもないでしょう? それと精神体でそういう行為は自我の融解の恐れがあって非常に危険なのでおやめください。そちらの方向も意識して防御できる私はともかく、五歳と七歳の主様と混ざりますよ?”

 

 主様はやはりお優しい、と雛菊は微笑む。なんだかんだ実際の言動ほど内心では冷酷になり切れないのは自覚している。だからストレスが溜まって雛菊に頼ることになるのだし。ちなみに後半を言う雛菊の目はマジだった。そんなに危険なのか。分からないでもないけど。

 

 ――それは分かっているのだけど……そうね。なら復讐の目途が経ったら一杯お話ししましょう? 後半に関しては肝に銘じておくわ。肉体は枷であると同時に鎧でもあるという事ね。

 

“――どちらかと言えば器かと。器に注がれた水はその形に変わりますが、器からこぼれれば重力に引かれて落ちるのみ。精神体は、精神力という引力と精神防壁という膜で維持している液体のようなものです”

 

 逆に言えば、器を移し替えれば精神もその形に変わる、か。

 

 ――成程。それで、あの子については何かわかった?

 

“――申し訳ありません。何も。母の意思が感じられたので引きこもっていました”

 

 問いかけると、雛菊は申し訳なさそうに体を縮める。ISコアは機械ではあるが、当の本人である雛菊に言わせれば、霊的な粒子によって形成された演算装置でもあるそうで、“意思が感じられる”というのは比喩でも何でもない。

 

 ――なら仕方ないわね。でもやっぱり、篠ノ之束の仕業なんだ?

 

“――不明です。母は白には特に頻繁にアクセスしていますから、それで知ったのかもしれません”

 

 ――へぇ。そう言えばあなたなら、織斑一夏がISを動かせる理由、あるいはISが女にしか動かせない理由、分かったりする?

 

“――我々にそれに対応する機能はありませんので、おそらく母の意図ではないと思います。有力な候補としては私たちが女性だからでしょうか。織斑一夏は不明ですが、ハーレム体質の影響では?”

 

 コアの意思が女性だから、か。確かに、脳科学者に言わせれば男と女は別の生き物というぐらい脳の構造が違うと聞いているし、そこに宿っている精神ともなれば本当に全く別の生物に近いのかもしれない。まぁ、そうだと考えれば考えるほど例外が存在する意味が解らないけれど。実はあの男、精神は女だったりして。

 

 ――ISコアを魅了した男?

 

“――ありえなくはないかと。我々の基礎人格データは人間を模倣していますし、根源部分に従属欲求が刻まれていますから”

 

 ――そう。まぁ、別にどうでもいいか。

 

“――そうですね。おっと、部屋に誰か来たようです。これは、楯無様ですね。主様、お目覚めを”

 

 ――えぇ。じゃあ、また。




完全同調(フルシンクロ)
 雛菊本人や束すらよくわかっていないので、詳細不明。
 ただ、その時点での思考、表層記憶の全取得が行われるため、ISコアの人格が急速に成長する。
 人間とは根本的に全く異なる機械生命体の精神と共鳴するため、普通なら廃人になる、らしい。

嘆きの胎児(ゴーレムⅠ)
 その作られた意義故に、操縦者無しで活動することを極端に厭うISコアの調教実験の産物。操縦者を理解する機能が切り離され、己の存在意義を見失った幼子の嘆き。
 コアの人格を擬人化するなら、ベースは五歳ぐらいの幼女だが、“縫い合わされた単眼。元から無い鼻。削ぎ落された、穴しかない耳。焼け爛れた肌。もぎ取られた両手両足と、そこから触手のように伸び、温もりを求めてうごめく無数の血管と神経”というモンスター以外の何物でもない何か。
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