ARMORED CORE 3 Replay ~ Stray Crow~ 作:神父三号
ゲームプレイを元にアセンを組み立てているので、機体強化は少しずつしかされません。
「ジェネレータにブースタ、FCS、そんでオプション……こりゃ一気に弄り回したもんだの、駆け出しレイヴンさんよ」
「まとまった収入が入ったからな。性能に限界も感じてたし、頃合いだった」
「まずは内装からってのは良い判断だと思うぞい。使い勝手に直結する部分だからのう」
ガレージでたたずむ自分のACを見上げ、ソラはメカニックチーフのアンドレイと並んで話をしていた。
整備ハンガーに固定されたソラのAC"ストレイクロウ"の周囲では、十数人の整備班が忙しなく行き交い、換装部分のマッチングを行っている。
アリーナ防衛による歩合報酬と褒賞パーツのミサイルユニットの内1つを売却したことでそれなりの資金を得たため、思いきってACの大改修を行ったのだった。
初期配備品からそれぞれ、ジェネレータを安定した性能の"ZS4"に、ブースタを効率重視型の"OX/E9"に、FCSを上位互換の"ST-6"に変更し、改修前のパーツについては売却した。
さらに、ジェネレータのオプショナルパーツとしてEN制御の効率化を促す"E/CND"を装着。
これで、特に機体の足回りについては初期配備品より数段の性能向上が見られるはずである。
「最初の説明でコーテックスは資金面の援助はしないと言ってはいたが、パーツの売値に色をつけてくれるだけで大助かりだよ。初期配備品を残してても仕方ないしな」
「そういやアリーナ褒賞の肩部ミサイルユニット、1個は売ったがもう1個残っとるぞ。どうすんじゃあれは」
「装備するよ。内装の交換が終わったら、皆に伝えてくれ。今のロングレンジライフルはチーフが勧めるだけあって良い武器だけど、あれ一丁じゃ対応力がな。FCSを多重ロック型に変えたのはミサイル用だ」
「ほうほう……」
アンドレイが感心したように唸り、もじゃもじゃの白髭をしごく。
アリーナ初勝利褒賞の肩部ミサイルユニット"S60-10"は2個あったため、試しに1個装備してみることにしていた。
スペック上はミサイル10発の連続発射が可能な武装である。
ライフルではどうにも出しづらい瞬間火力を補えるのではと期待してのことだった。
スネークウッドやゲドの戦い方を見ていても、複数の武装を巧みに使い分けていた。
これから先、依頼をこなすにしてもアリーナでACを相手取るにしても、武装の選択肢は多いほうがいい。
「ほーん……ここ数日コクピットでパーツカタログと睨めっこしてると思ってたら、やりおるのう」
「チーフがそう言ってくれるなら、一応強化の方向性はあってるってことかな」
「まあ、一端のレイヴンらしくはなってきたな。外見じゃなくて、中身がな」
「ああ、外装パーツは……正直まだ検討中だ。優先して替えるなら頭部か脚部だとは思ってるけど」
「うむ。いっそフロートにしてみるとかどうじゃ?」
「いきなりそこまで冒険するかっての」
「わはは……よっしゃ、せっかくだからまたこのスゴ腕ベテランメカニックが為になるアドバイスしてやらあな」
「ん?」
「ちとコクピットまで行くぞい」
アンドレイに促され、ソラはACのコクピットに上がった。
シートに腰かけたソラに対して、しわくちゃ顔のベテラン整備士が身を乗り出してくる。
アンドレイはそのまま外から腕を伸ばし、ACのメインコンソールをカタカタと弄った。
コンソール横のサブモニターに、現在のACの全身が3Dモデルで映し出される。
「せっかくらしくなってきたんじゃ。そろそろACのカラーリングを考えたほうがええ」
「カラーリング?……ああ、そういえば」
言われてソラはハッとした。
ストレイクロウはエンブレムこそ腕部に専用の物を貼りつけてはいるものの、機体色については未だに初期配備時の金属色のままだった。
「いかにも金属の塊ですよ、なんて色のままじゃACが泣いちまうわい。というかな、カラーリングもしてないんじゃいつまでもよちよち歩きって感じなんだわ」
「内装は大きく弄ったが、外装は初期配備品のままだぞ。色変えただけで、それっぽくなるかよ」
「なる。機体のカラーリングってのは馬鹿にできん。愛着が沸いて気合が入るし、名が売れれば敵さんには恐怖の象徴にもなる。言っちまえば、レイヴンの化粧みたいなもんよ。他のレイヴン達も、綺麗な色つけてたろ」
「……まあ、言われてみればな。けど、それで何でコクピットに」
くっくっくとアンドレイが喉を唸らせて笑った。
これだからひよっこは、と言外に言われているようでソラは少しむっとした。
「ACはな、いちいちペンキで装甲塗ったりしないんじゃ。そもそも防御スクリーンあるじゃろ?戦闘モードに入ったら塗料なんて蒸発して消し飛んじまう」
「エンブレムは無事じゃねえか」
「ありゃ塗料じゃねえ。装甲表面の薄皮を一枚剥いで構造粒子を電気的に刺激してだの……」
「はあ……まあ、いいけど。それで、どうやって機体に色塗るんだ?」
「スクリーンの電圧を細かく弄って色付けるのよ。ハイテクノロジーじゃろ?」
「防御力に影響が出たりは?」
「するか、心配いらん。ACの基礎設計は管理者サマがしとるんじゃぞ?そんな欠陥ありゃせんわ」
アンドレイが唾を飛ばしながら、ソラの眼前でACのコンソールをさらに叩く。
サブモニターに表示されたACの周囲に、各部のカラーリングを示すRGBゲージが表示され、ペイントモードが立ち上がった。
「ほれ、後は好きにせい。ここで設定しとけば戦闘モードに入った時、勝手に機体表面に色が乗る」
「へぇ……確かにハイテクだな。さすがAC」
「おう、もっと褒めろ褒めろ。わはは」
「別にチーフは褒めてねえよ」
「わはは、わはははははっ!」
アンドレイのいつものしわがれた笑い声がガレージに響いた。
景気の良い笑い声に、ソラは笑みを感染させられながら、ペイントモードを弄っていった。
黒色をベースカラーとし、サブカラーにくすんだグレー、各種ディティール部分には赤の差し色を施して、色合いを整える。
派手さはないが、"迷い烏"の機体名に相応しいとも言える、落ち着いたカラーリングとなった。
外装は初期配備品のままだというのに、色が変わるだけでストレイクロウがまるで別の機体のように見える。
確かにベテランメカニックの言う通り、これはレイヴンの化粧といってもいい――ソラはサブモニターの3Dモデルを眺めながら、愛機の様変わりした姿に少し感動した。
「目が輝いとるぞ、駆け出しさん」
「そうかな……いや、そうかもな。確かにこれは重要だったかも。礼を言うよ、チーフ」
「わはは、そりゃどういたしまして」
「内装のマッチングとミサイルユニットの装備が終わったら、テストに行ってくる。整備班には適度に休憩入れるよう言ってくれ」
「あいよ」
コクピットを下り、ソラはハンガーの通路から自分のACを見下ろした。
ガレージでは、ACは金属色のままである。
だが、内装も武装も、戦場でのカラーリングも昨日までとは大きく変わっている。
ストレイクロウは、確実に機動兵器としてより強く進歩していた。
「おーい!ちょっとええか~!」
「ん?なんだよチーフ」
「戦闘ログ見たけどお前さん、全然オーバードブースト使っとらんな?ジェネレータ変えたから、まともに使えるようになったはずじゃ。ついでにテストしてこいや!」
「オーバードブースト……?ああ、そんなのあったような……マニュアル読むか」
その後、ソラは整備班の作業を一通り見届けてから、テスト場へと繰り出していった。