ARMORED CORE 3 Replay ~ Stray Crow~   作:神父三号

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前回右腕部武装が変更されたので、武器構成をまとめて記載しておきます。
フレーバー程度ですので、気にしなくても大丈夫です。

右腕部武装:CWG-BZ-50(50発バズーカ)
左腕部武装:CLB-LS-2551(緑ブレード)
右肩部武装:CRU-A10(初期肩レーダー)
左肩部武装:CWM-S60-10(10連小型ミサイル)

全体的な機体構成はレイヴン試験妨害阻止・2の前書きをご参照ください。


侵入者挟撃

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

我がキサラギの兵器開発拠点の1つ"リックス研究所"に対し、何者かが秘密裏にハッキングを仕掛けている。

我々は独自に調査を行い、その犯人グループの所在地特定に成功した。

 

犯人達は隣接セクションの、閉鎖済みの兵器工場に併設された立体駐車場に潜んでいるようだ。

偵察員の報告によれば、普及型ではない特殊MTを複数機確認している。

ただの悪戯にしては、あまりにも用意が良すぎる。

なんとか捕らえて、その所属を明らかにしたい。

 

そこで、レイヴンの出番だ。

立体駐車場を奇襲し、敵戦力を排除してくれ。

周辺に我が社の特殊部隊を待機させ、逃亡を図るだろう犯人達を一網打尽にする。

 

我々を甘く見たらどうなるか、彼らには存分に思い知ってもらうつもりだ。

 

なお今回は、複数のレイヴンに仕事を依頼する。

情報の破壊や漏洩を防ぐ意味もあり、迅速に始末してほしい。

 

状況が状況だ。手早く片付けた場合は、報酬の上乗せを約束する。

よろしく頼む。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

《依頼主は前回と同じくキサラギ社。作戦区域は第三層第一都市区セクション549、立体駐車場となっています。成功報酬は15,000Cですが、達成時間次第で加算あり。予測戦力は、特殊MTが5機前後ですね。他に何らかの迎撃手段を備えている可能性はありますが》

「特殊MTって、具体的に機種は何だ?」

《偵察から写真は提供されていますが、キサラギも詳細は不明とのことです》

 

レインが端末に送ってきた写真を、ソラは見た。

重装の二脚型MTに見えるが、明らかにスクータムではない。見たことのない機種だった。

ソラの脳裏を、ファルナ研究所の一件がかすめる。

 

「……協働するレイヴンの情報は?」

《C-9ランカー"トラファルガー"ですね。依頼遂行率、アリーナ勝率共に高い、優秀なレイヴンのようです》

「Cランク……分かった、やろう。レイン、キサラギに返事と輸送機の手配だ」

《……レイヴン》

「ん、何だ?」

《いえ、あの……この未確認MTが以前のモノレール防衛時のような、異常に高性能なMTだったら……》

「……それはその時の話だ。というか、そんなこと毎回考えてたら、受けられる依頼がなくなっちまうだろ」

《……そうですね。すいませんでした。すぐに手配にかかります》

「ああ。……悪いな、心配させて」

《いえ……》

 

レインとの通信を終え、ソラはブリーフィングルームの天井を眺めた。

ソラがそうであるように、レインもあのファルナ研究所を襲ったMT部隊の件がまだ気にかかっているらしい。

だが、いつまでも気にしていてもしかたない。

この見慣れない特殊MTが何であれ、レイヴンである自分にできることは依頼をこなしていくことだけなのだ。

それに可能性としては、単にミラージュかクレストが新開発したMTの可能性の方がずっと高い。

つまりは考えすぎ、あるいは考えるだけ無駄かもしれないのである。

 

「どうも……ダメだな。ずっと、頭の中で引っかかってるんだ……切り替えないと」

 

ソラは机の端に軽く頭を打ちつけた後、パイロットスーツに着替えに向かった。

 

 

………

……

 

 

《輸送機が立体駐車場上空に到着。レイヴン、地上からトラファルガーのAC"ダブルトリガー"が侵入を開始しています。こちらも攻撃を》

「分かった、ストレイクロウ発進する」

 

ソラはフットペダルを踏み締め、ACを輸送機の後部ハッチから発進させた。

時刻は17時30分。

西の空に傾いた人工太陽が照らす立体駐車場は10階建てで、かなりの大きさがある。

兵器工場に併設されているものだ。道路幅も相当広い。

おそらく、MTも収容できる規模で作られているのだろう。

その駐車場の屋上に、ストレイクロウはドスンと力強く着地した。

 

《ダブルトリガー、1階を制圧中。迎撃用のガードメカが多数展開している模様です》

「よし、こっちも上から下に向けて制圧していく」

《念のため、各階を満遍なく調べてください。この襲撃を受けて犯人グループがどの階層に移動したのか、分かりません》

「了解」

 

ブースタを吹かし、階下に続く下り坂を降りる。

まず、9階。突入した途端、豆鉄砲のような機銃の嵐が掃射された。

床を滑るように動き回る、自律制御ガードメカだ。

さらに、天井据え付けのパトライトが一斉に輝き始め、非常事態を知らせる。

通常の照明の光もある。どうやら、施設の電源が丸ごと生きているようだった。

 

「鬱陶しい」

 

ソラはACの右腕に装備したバズーカで、ガードメカの群れを一撃で吹き飛ばしていく。

パトライトの赤く鋭い発光がACの頭部カメラに何度も差し込んできて、少し気が散る。

だが、惑わされるほどでもない。ソラは冷静に地上を走り回っていたガードメカを片づけ終え、レインに通信を入れた。

 

「レイン、上空の輸送機を旋回させて、カメラで駐車場の屋上と外観を確認させてくれ。犯人が生身で脱出を図る可能性もある」

《了解です》

 

これで9階はクリア。ソラはACを走らせ、8階へと向かった。

8階でも、同じような歓迎を受けた。

ガードメカの弾幕、目障りに光り輝くパトライト。

バズーカの砲撃で、うるさい自律兵器達を一発で黙らせていく。

 

《こちらダブルトリガーだ、3階を制圧。上階のレイヴン、聞こえるか?》

「ストレイクロウだ。聞こえてる。今8階を攻撃中。ガードメカばっかりだ。あとパトライトがやたら明滅してる。こっちがどの階にいるか筒抜けだぞ」

《下の階でもそうだ。だが、上下から挟み撃ちすれば、相手の逃げ場は確実に潰れていく。とにかく挟撃は続行だ》

「ああ。このままやろう」

 

トラファルガーからの通信の通り、ソラは黙々とガードメカを蹴散らし続けた。

8階もクリアして、7階へとACを降ろす。

7階は、少し様相が変わっていた。

床を走るガードメカは同じ。だが、それに天井を這うガードメカが加わったのだ。

 

「くだらない揺さぶりだ。所詮自律制御のガードメカじゃ……ん!?」

 

輝いていたパトライトが消え、加えて駐車場の通常照明も全て落ちた。

ソラは投光器を起動して前方の視界を確保。

だが、この駐車場は外の明かりを取り込まない窓無しの密閉構造になっている。

暗い駐車場内には大量のコンクリート柱が乱立していることもあり、見通しは一気に悪化した。

 

「レイン、駐車場の消灯を確認。何があった?」

《おそらく犯人が電力供給を切ったと思われます。……っ!輸送機のカメラが非常階段に人影を確認!地上に逃亡するものかと!》

「キサラギに伝えろ!周辺に特殊部隊が待機しているはずだ!」

《分かりました!》

《ダブルトリガー、4階を制圧完了。ストレイクロウ、今どこだ》

「7階だ」

《遅いぞ、急げ》

「だが、こちらの輸送機が階段から逃亡する人影を確認したぞ。キサラギの部隊が……」

《それは別の話だ。依頼は、駐車場の敵勢力の排除だ。お前が遅れているのは事実。違うか?》

「……いや、あんたの言う通りだ。すまない」

 

Cランクレイヴン"トラファルガー"の物言いは不愛想だが、正論だった。

階段から地上に逃げた連中は、キサラギが対応する話なのだ。

レイヴンである自分達の目的は、立体駐車場の掃討である。

ソラは気持ちを切り替え、7階のガードメカを片づけることに専念した。

床と天井の両方からガードメカが攪乱してくる。

だが、ACの防御スクリーンの前には小口径の機銃などほぼ無意味である。

落ち着いてバズーカを命中させ、丁寧に片づけていった。

 

《ダブルトリガー、5階制圧。今から6階に向かう》

「ストレイクロウ、6階に到達」

 

先に6階に入ったのは、ソラだった。

だが。

 

「……?何もいない?MTもガードメカもなし……どういうことだ?」

 

ACの頭部望遠カメラで、真っ暗な駐車場内をぐるりと見まわす。

だが、やはり敵は一切確認できなかった。

レーダーにも、敵の機影は表示されていない。

まさか、逃げられたか。上下からしらみつぶしに挟撃したのに、どうやって。

MTを放棄して生身で逃亡した可能性はある。

だが、この階にはその放棄された特殊MTすらいない。どういうことなのか。

ソラの頭の中で、ぐるぐると疑問が渦巻いた。

そんな時、駐車場のフロアのちょうど対角線上に位置する上り坂から、トラファルガーのACダブルトリガーが上がってきた。

 

《ストレイクロウ、どうした?》

「ダブルトリガー、敵がいない。レーダー反応も無し。6階はもぬけの殻だ。これは……」

《……ああ。そういうことか。くだらない真似を》

 

そう言うなり、ダブルトリガーは両手に携えた銃器を適当な方向に向けて垂れ流し始めた。

ソラが状況についていけずに見守っていると、爆炎の中からMTが突如現れて膝を崩し、爆散した。

 

「……!?光学迷彩?ステルス機能のMTか!」

《全部俺がやる。邪魔にならない位置に突っ立っていろ》

 

ダブルトリガーは消えている敵の位置が全て分かっているかのようにフロアをうろつき、的確に処理していく。

右腕のショットガンと左腕の拡散投擲銃が斉射される度に、特殊MTが光学迷彩の皮を剥がされて吹き飛んでいった。

 

《……く、クソっ!何で分かるんだ!?ちくしょうが!》

 

ソラのACが通信を傍受した。

敵MTがステルスを解き、一か八かダブルトリガーに仕掛けていったのだ。

だが何の甲斐もなく迎撃され、分厚い弾幕によってぐちゃぐちゃの金属塊に変えられて、そのまま沈黙した。

 

《……これで全部だな。任務終了だ、ストレイクロウ。あとはキサラギがやるべき仕事だ》

「ああ……なあ、どうしてステルス中の敵の位置が分かったんだ?」

《俺はお前の教師じゃない。自分で調べるんだな、ルーキー》

 

トラファルガーは突き放すようにそう言うと、ダブルトリガーのブースタを吹かし、また下の階へと降りていった。

ソラはトラファルガーが撃破した敵MTの元へとACの足を向けた。

キサラギが事前に寄越した写真にあった特殊MTで間違いなかった。

レーザーライフルやマシンガン、ミサイルランチャーらしき物を搭載していて、豊富な武装からも高級機であることが分かる。

あえなく全滅はしたが、どこかの企業が新開発したMTに違いなかった。

 

《レイヴン、キサラギより通信です。立体駐車場から逃亡した犯人グループの身柄を確保。作戦は終了とのことです。お疲れ様でした》

「ああ……レイン、ちょっと調べものを頼んでいいか?」

《はい?構いませんが……》

「帰還してから、ブリーフィングルームで話そう」

《分かりました》

 

 

………

……

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

FROM:キサラギ

TITLE:礼状

 

レイヴン、よくやってくれた。

犯人グループの身柄は無事拘束、尋問の結果、その所属も明らかに出来た。

どうやらミラージュが、新型MTのテストも兼ねて工作部隊にハッキングを行わせていたらしい。

 

相も変わらず、くだらない小細工ばかりする連中だ。

地下世界第一の企業を自負しているらしいが、結局のところ、この姑息さが奴らの本質といってもいいだろう。

 

なお、今回君達が撃破した特殊MTの残骸は、こちらで回収した。

比較的損壊の少ない個体もあったため、これで奴らのノウハウを知ることもできそうだ。

期せずして、ミラージュの新型MTのデータが手に入ったのは朗報だった。

レイヴンに依頼した甲斐もあったというものだ。

 

また依頼する。その時は是非、協力してくれ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

《……レイヴン、これです。コーテックスのデータベースにありました。2年ほど前、試験的に光学迷彩を使用した高機動MT"カバルリー"がとある戦場で確認されています》

「カバルリーに光学迷彩……高機動高火力のMTにステルス機能が合わされば、確かに有用だ」

《しかしながら、高速移動する機体に光学迷彩を有効に定着させることができなかったのか、結局その後量産は行われていません》

「だから代わりに、二脚型の重装MTに光学迷彩機能を付与して実戦投入か。なるほど、ミラージュも色々工夫するもんだ」

《それと、戦闘中にダブルトリガーがステルスMTを捕捉できた件についてですが》

「ああ、こっちでも調べたよ。というか、パーツカタログに答えがあった。ステルスセンサー付の肩部レーダーなんてものがあったとな」

《ええ。ダブルトリガーはこのレーダーを使っていたから、ステルスに惑わされることなく対処ができたようです》

「特殊MTが相手って聞いた時に、トラファルガーはピンと来ていたのかもな。頭部もECMキャンセル機能付きだったようだし、特殊な相手への備えは万全だったわけだ」

 

ソラはレインの寄越したデータと、携帯端末に表示させたトラファルガーの開示情報を見比べながら、思わず唸った。

レイヴンに必要なのは、ACの操縦技術だけではない。

傭兵として依頼に集中する姿勢。

アセンブリによる適切な状況対応。

トラファルガーは自身を教師ではないと語ったが、その在り方はソラにとって良い教師そのものだった。

 

「まだまだ、勉強することが多いな。やっぱり」

《……作戦自体は成功でした。ですが、こういう特殊な事例は、とにかく経験を増やしていくしかないですね》

「だな。レイン、これからもサポートをよろしく頼む」

《はい、分かっています》

「あー、レインにもチーフにも頼ってばかりだな、俺は」

《……別に私は構いません。できることがあれば、遠慮せず言ってください》

「……ああ。そうする。じゃあな、今日はお疲れ」

《お疲れ様でした。……おやすみなさい。レイヴン》

 

専属オペレーターとの通信を終えたソラは、改めて携帯端末上のトラファルガーのデータを見た。

C-9ランク。Eランクの自分にとっては、まだまだ届かない高みだ。

 

「……それでも高く飛ぶんだ。いつか……本物の空を見るまで」

 

未だ偽物の空の天井すら、ソラには遠かった。




ステルスMTは実際のゲーム本編では、ステルスセンサー無しの肩レーダーでも機影が分かります。本小説では少し設定を改変していますので、ご了承ください。
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