ARMORED CORE 3 Replay ~ Stray Crow~   作:神父三号

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VS D-13フィクサー

偽物の空が、いつものように曇り空を映し出す朝。

ソラの専用住居に併設されたガレージに、新たなパーツコンテナが運び込まれてきた。

 

「よう、レイヴン様。お目当てのパーツが届いたぞい」

「よし、待ってた。チーフ、整備班に集合かけてくれ」

「あのミラージュから貰った中型ロケット、本当に2つとも即売っちまってよかったのか?」

「ああ。好きに使えって言われたんだ。好きに使っただけさ。おかげで一気に80,000Cボロ儲けだ」

「その割にここ数日落ち込んでたじゃねえか」

「……ちょっとバレルダムで色々あってな。そう、色々……」

 

ソラは遠い眼で呟いた後、携帯端末のメールボックスに視線を落とした。

頼んだ覚えのない環境保護に関するメールマガジンが、既に20件近く溜まっていた。

送り主は分かっている。

ミラージュのダムを占拠したのに捕まらず、なぜか先日レイヴンになった環境保護団体の女"ビルバオ"からだ。

着信拒否しても、アドレスを変えてひっきり無しにメールマガジンが届くのである。

近々、コーテックスに他レイヴンからの妨害行為案件として報告しようかと思っていた。

それとも、ミラージュにでも通報した方が有効だろうか。

 

「まあいいけどよ。どれどれ、新パーツは……ほー、エクステンションの連動ミサイル"R/24"と、ロック速度向上オプション"L-AXL"か」

「エクステンションは前から興味あったパーツなんだ。高くて手が出なかったけど、いい機会だったから。オプションはまあ、金が余ってたからつい」

「悪くねえが……連動ミサイル垂れ流したら弾薬費がバカにならんぞ?」

「分かってるよ。アリーナ戦か、ここぞという時に使う予定だ。……基本、対AC用かな」

「なるほどのう。確かに、そろそろ依頼で他のレイヴンとかち合い始めてもおかしくねえわな」

「一度採掘所の地下水路で追いかけられてたことはあったしな。今後のことを考えての、一種の保険だ」

「保険な。そういうこと考えられる程度には、レイヴン稼業に余裕が出てきたってことだの。わはは!」

「ああ、皆のサポートのおかげでな。ははは」

 

ソラとアンドレイは顔を突き合わせて笑い合った。

その横で整備班がコンテナからパーツを取り出し、ハンガーへと運んでマッチング作業に取り掛かっていく。

既にソラの愛機"ストレイクロウ"に、初期配備品の面影はほぼない。

レーダーとコア以外は全て、自身の実力で稼いで買ったパーツに差し替わっている。

それは、ソラが積み上げてきた実績の証でもあった。

 

「……わはは。これだけモノになってきたら、もうそろそろじゃろうなぁ」

「へ?何がだよ、チーフ?」

「すぐ分からぁ。マッチングが出来たら、いつも通りテスト行くんだろ?今日はちょいと長めに動かしてこいや」

「長めに?」

「ああ、多分そうすりゃお前さんも感じるはずだ」

「……?」

 

ソラはベテランのメカニックチーフの呟きが理解できず、首を傾げるのだった。

 

 

………

……

 

 

その日の夕方。

テスト場で動作確認を終えたソラは、ガレージで待機しているアンドレイに連絡した。

 

《よぉ、テストお疲れさん。んで?どうだったよ、ご感想は?》

「……重いな」

《ほお、ブースト速度がか?》

「いや、機動性は大して下がってないけど……ジェネレータが、なんていうか……」

《気づいたか。さすがだの》

「ENの回復が遅くて、すぐレッドゾーン間際になっちまう。これはエクステンションを装備したせいか?」

《それもある。だが一番の根本的原因は、お前さんがACを振り回せるようになってきたからだ》

「俺が、ACを?」

《そうさ。ACに対する要求が増え始めたとでも言うべきか。物足りなくなってきてんのよ、自分自身の機体に》

「……どうだろう。あまり、自覚してねえ」

《少なくとも、ジェネレータ出力には物足りなさを感じとる。違うか?》

「……それはそうかも」

《なら、グレードアップせい。そうやってACは強くなっていくもんだ》

「分かった。考えてみるよ。ありがとう、チーフ」

《わはは、まあガレージに帰ってきてから悩めや!》

「おう。じゃあな。……ジェネレータの買い替えか。金もう残ってないけど、とりあえず帰ってカタログ……ん?」

 

ソラの携帯端末が、いつもの着信音を響かせた。

管理者からのメールだった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

FROM:管理者

TITLE:アリーナ参加要請

 

E-1ランカー"ソラ"に、アリーナにおけるオーダーマッチへの参加を要請します。

対戦相手は、D-13ランカー"フィクサー"となります。

 

勝利報酬:19,500C(別途褒賞あり)

 

参加手続きを専属補佐官に確認し、指定の日時にアリーナ用調整ガレージA-2へ出頭してください。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

………

……

 

 

テスト場から専用住居に帰還したソラは、ブリーフィングルームに入り、専属オペレーターのレインと連絡を繋いだ。

恒例となった、アリーナ戦前の打ち合わせである。

 

《今回の対戦相手は、D-13ランカー"フィクサー"。レイヴン歴は3年ほどです。……元Bランクのレイヴンですね》

「元Bランク?なんでそんな上位だった奴がDランクの底にいるんだ」

 

ソラはレインの報告に思わず声をあげた。

Bランクといえば、レイヴンの上位10名に入る強者達である。

 

《それが……アリーナの対戦成績に非常にムラがあるレイヴンのようです。ここまでムラがあるのは……》

「詳しいデータを送ってくれ。あと説明も」

《はい。私自身、少し気になって調べてみたのですが》

 

ブリーフィングルームの据え付け端末に、今回の対戦相手"フィクサー"の詳細なデータを送られてきた。

基本的な開示情報に加えて、レインが独自に調べ上げた戦績が掲載された、これまでよりも充実した内容になっている。

 

《フィクサーはレイヴンになってから、アリーナでほぼ負け知らずのままBランクまで昇格しています。そして半年ほどB下位とC上位を往復した後、突如連敗がかさみ、Dランクの最下位付近まで降格。それ以降、この辺りの順位でずっと停滞しています》

「停滞……勝ったり負けたりの繰り返しか。元々Bランクだったレイヴンが、Dランクのアリーナ戦で」

《ええ。特筆すべきなのは、Eランクから昇格してくるレイヴンに対してはかなりの確率で勝利している点です。9割近い勝率を誇っています。一方で、自分より上位のレイヴンとの対戦では、ほぼ負けている……》

「……ルーキーいじめの門番気取りか?」

《そのようにも思えます。あまりにも対戦成績が歪過ぎますし、何より……》

「……何より?」

 

レインが、通信機の向こうで言い澱んだ。

ブリーフィングルームに一瞬、不穏な静寂が満ちる。

 

《先輩オペレーターから聞いたことがあります。アリーナの一部レイヴンの間で、八百長が行われていると》

「…………」

《フィクサーはアリーナでの活動を主としたレイヴンです。依頼遂行数もレイヴンランクの降格処分やアリーナの参加停止を受けない最低限の数字となっています。私の調査では、こういったレイヴンは他にも複数います。特にA-3とA-2の2人は……》

「……最初、レインにアリーナの話を聞いた時に思ったんだよ」

《え?》

「上手くやれば、ほぼアリーナだけで食っていけるんじゃねえかってな。弾薬費も修理費もコーテックス負担で、死亡の心配もほぼ無く、報酬も企業の並の依頼以上にある。しかも、管理者公認の公営賭博の対象。まあ、俺が思うってことは当然他の奴らも同じこと考えるだろうな」

《……レイヴンは、どうするつもりですか?》

 

そう聞くレインの声音は、いつも以上の真剣さを帯びていた。

真面目で冷静な口調の中に、何かを探ろうとするような気配が混じっていた。

 

「どうもこうもねえよ。八百長野郎に気を遣ってやるほど、お人好しじゃねえ。蹴散らして、上にあがるだけだ」

《……そうですね。それでいいと思います。……安心しました》

「フィクサーの経歴の話はここまでだ。レイン、機体構成の話に移ってくれ」

《はい、まず武装はハンドガン、レーザーブレード、イクシードオービット内蔵コアに、種類の異なる肩部ミサイルユニットが2つ。一見統一性のない装備に思えますが、実はフィクサーはこれらの武装により……》

 

レインの声が明るくなり、流暢に対戦相手の機体説明をし始める。

ソラはふと、スパルタンやアンドレイがレインの声を褒めていたことを思い出した。

確かに、いつまでも聞いていられる綺麗な声だと、何気なく思った。

ソラはレインの説明を聞きながら、ついさっき携帯端末に届いていたメールを削除した。

A-3ランク"ロイヤルミスト"からのメールを。

 

 

………

……

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

FROM:フィクサー

TITLE:無題

 

お前のことは聞いている。

ロイヤルミストの提案を無視したそうだな。

 

なら、今回は本気を出させてもらう。

素直に負けておくことだ。

 

アリーナにも秩序があるからな。

お前みたいな新参は現実を知って、これ以上は望まないほうが身のためだ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

TO:フィクサー

TITLE:無題

 

下らないメールを送ってくるな。

 

お望み通り、踏み台にしてやるよ。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

………

……

 

 

ビーーーーーーー。

 

アリーナの開戦を告げる、景気の良い号砲。

それが巨大な円形の戦場に鳴り響き、両端のゲートから2機のACが飛び出した。

E-1ランカー"ソラ"のAC"ストレイクロウ"と、D-13ランカー"フィクサー"のAC"アインハンダー"だ。

2機は互いにブースタを吹かしながら、一気に距離を詰めていく。

 

「……行くぜ、元Bランカー!」

 

ソラはコクピットで気を吐き、肩部ミサイルユニットとエクステンションを同時に起動した。

まだ距離を詰めきらない敵のアインハンダーに向けてロック、ミサイルの束を発射する。

だが、アインハンダーは軽快な動きで左右に踊り、ミサイルの追尾を巧みに振り切った。

虚しく地面で爆発したストレイクロウのミサイル。

そして、お返しとばかりにアインハンダーもミサイルを発射してきた。

 

「……っ!?」

 

地面を這うような特殊弾頭の動き、そしてそれが破裂して、4つの光が扇状に広がってくる。

それがミサイルだと気づいた瞬間、ソラは回避行動を取っていた。

だが、大きく広がるミサイルを全て躱すことはできず、1発に被弾してコクピットが揺れた。

レインから事前に聞いていた特殊ミサイル、俗に言う"地上魚雷"である。

説明されるのと体験するのとではまた違う、特異な挙動の兵器だった。

ことAC戦においては、コアの迎撃レーザーを一定すり抜ける性質を持つらしい。

 

「……そういう武器か、面白え」

 

ソラは再度肩部ミサイルを、今度は多重ロックして放つ。

連続発射されるミサイルにエクステンションの連動ミサイルが合わさり、長く分厚いミサイル弾幕を形成した。

アインハンダーは下がりつつ躱そうとするも、躱しきれずに2発ほどに被弾、だが反撃でまたもミサイルを撃ち返してくる。

今度の敵のミサイルは地面を這わず、まるで放り投げられたかのように上空に舞い上がった。

そして、ある程度の高度に達して破裂、4発のミサイルが今度はストレイクロウを包み込むように殺到する。

これも特殊ミサイル、"マルチミサイル"である。

やはりまた、ストレイクロウの迎撃システムの反応が鈍い。

ぐっとフットペダルを踏み込み、ミサイルの包囲の内側に入るようにブースタで躱すソラ。

だがそこに今度は、間断ない射撃が見舞われた。

 

「……っ、ハンドガン!」

 

一発一発の威力は大したことはなく、衝撃も気にするほどではない。

だが、連続被弾に伴い、ストレイクロウの機体温度が急上昇し始める。

AC用ハンドガンの特性、熱量を発生させる特殊弾頭によるものだった。

さらにモニター上で、敵ACのコアから大型自律砲台が2つ切り離された。イクシードオービットだ。

 

 

『フィクサーのAC"アインハンダー"は2つの特殊ミサイルによって遠距離をカバーすると共に、こちらに接近を強制させてきます。そしてこちらが迂闊に接近すれば、今度はハンドガンの連射とイクシードオービットの高火力で一気にAPを奪ってくる。これが彼の基本戦術のようです』

『複数の武装を組み合わせての、きちんとした戦術プランがあるのか。これまでの対戦相手には無いタイプだな』

『ええ。この戦闘センスが、フィクサーを一度はBランクまで押し上げた原動力なのでしょう』

 

 

レインとの打ち合わせが、ソラの脳裏を過ぎる。

輝くオービットの砲撃が、ストレイクロウをかすめてアリーナの壁面を焦がした。

先ほどからずっと、ラジエータが悲鳴を上げ続け、ジェネレータが出力低下を、そしてAPの減少を告げてくる。

ジェネレータの出力低下によって機動性に制限がかかり、さらにハンドガンへの被弾が加速した。

AP残り5000。

周到。巧妙。そんな言葉すら浮かぶような、アリーナでの戦闘を知り尽くした戦術。

汗がじんわりと、ソラの額に浮いた。

だが。

 

「負けるかよ……八百長野郎!」

 

ソラは自分を奮い立たせ、ロックサイトに捉えたアインハンダーに向けてバズーカを発射。

大口径砲弾が直撃し、モニター上の敵機が大きく姿勢を崩す。

ハンドガンの連射がやみ、一瞬敵の動きが止まった。

好機。ソラはブースタでさらに敵の間近まで踏み込み、バズーカを連射した。

ストレイクロウが躍動し、アインハンダーの捕捉を振りきって、押し返し始める。

ハンドガンは確かに鬱陶しい武装だ。

だが、一発の威力はバズーカの方が遥かに上。

そして高出力のイクシードオービットも、AC同士の近距離戦では精度の甘さが災いして虚空を撃つのみだ。

ハンドガンの連射が止んだことで機体温度が低下、ジェネレーターも復調した。

機動性が回復し、さらに張りつきがしやすくなる。

一連の応酬で2機のACのAPが並び、そして――バズーカ砲弾の何度目かの直撃によって、ソラがフィクサーに逆転した。

 

「……!」

 

それでも至近に張りついてはしつこくバズーカを撃ち込んでいくと、アインハンダーがしびれを切らしたようにレーザーブレードを振るった。

分厚く青白いレーザー刃が、ストレイクロウの鼻先をかすめる。

この武装のことも、レインから聞いていた。

かつて高ランカーだった証、特注生産の超高出力ブレード。アインハンダーの奥の手。

イクシードオービットを格納し、空中で、地上で、敵のACはしつこく高出力ブレードを何度も振り回してきた。

一撃当てれば、また優位に立てる。そう思っているのだろうし、事実そうなのである。

そのあまりの荒ぶりようによって、ソラはついにACを敵機から離さざるをえなくなった。

詰めきっていた距離が開いたところに、フィクサーはさらに機体を大きく後退させ、ミサイル戦法に切り替えてくる。

 

「……やるな、元Bランカー!」

 

強引ながらも状況を仕切り直したその対応力を、ソラは素直に称賛した。

2種の特殊ミサイル、"地上魚雷"と"マルチミサイル"は全弾直撃することこそないものの、躱しきるのは至難の業である。

地を這うように迫り、空に打ち上げられては拡散し、ストレイクロウを上下からミサイルの嵐が何度も襲った。

ソラも負けじと、小型ミサイルを連動ミサイルと束にして撃ち返した。

だが、その素直過ぎる弾道をフィクサーは巧みに回避して、さらに反撃を見舞ってくる。

APという名の天秤が再び、フィクサーに傾き始めていた。

ストレイクロウの残りAP3000、アインハンダーの残りAP3500。

 

「もう一度っ……近づくしか、ねえ!」

 

ソラは何度目かも分からない扇状のミサイル弾幕にコクピットを揺らされながら、操縦桿横のレバーを引き上げた。

オーバードブースト起動。機体温度上昇、エネルギーの大量消費と引き換えに、機体が爆発的推力を得る。

アインハンダーの至近距離に、一息に迫った。

勝負の時だった。ソラは目を見開き、息を止め、歯を食いしばり、集中力を研ぎ澄ます。

敵ACのコアから再び、イクシードオービットが放たれた。

そして左腕から発振される、青白い刀身。

フィクサーも、よく分かっていた。

ソラが仕掛けた勝負を。

AC同士が最接近し、ほぼ零距離――

 

「今だっ!!」

 

ソラはオーバードブーストを停止し、慣性を受け流すように通常ブースタで機体を斜め前方に逸らしながら、無理やり旋回した。

イクシードオービットもレーザーブレードも、アインハンダーの攻撃は全て外れ、互いがすれ違い。

そして無防備な背中が、ストレイクロウの正面に晒された。

かは、と息を吐き出し、バズーカのトリガーを強く、引き絞った。

大口径砲弾が発射され、命中。発射され、命中。

敵が旋回しようともがく。だが、ひたすらロックサイトに捉えて、発射、命中。発射、命中。

 

やがて、敵APが残り1000を切り、500に迫った時。

アインハンダーは抵抗をやめて、一切の動きを止めた。

現実を受け入れないように、頭部を真上に向けながら。

 

「……そんなだから堕ちたんだよ、あんたは」

 

ソラは勝負を放棄した相手に、きっちりとトドメを差した。

 

ブォーーーーーーー。

 

戦闘終了を告げる、勢いの良いサイレン音。

ストレイクロウのモニターには今回も、『WIN』の文字が躍った。

 

元Bランクレイヴンを破っての、Dランク昇格。

大きな大きな戦果に、ソラは額の汗を拭って、独り吼えた。

 

 

………

……

 

 

「もしもし、いてっ。うぐ、やめろってば……あ、レインか?」

《はい、午前中のアリーナはお疲れ様でした。……Dランク昇格、おめでとうございます、レイヴン》

「ああ、レインの分析のおかげだな。今回は特にたすかっ……やめろチーフ、通話中だから」

《……本社でずっと、見ていました。本当に、勝ててよかったです。レイヴン、私は……》

「おいちょっと!人の皿に箸突っ込むんじゃねえよ!あとヒューヒュー言うのやめろ酔っ払い共!」

《……その、本当は少し心配、して……》

「え?すまん、整備班が鬱陶しくて。悪いけど、依頼ならキャンセルしてくれ。多分、今日は……このっ、俺のチキン返せ、無理だと思う!」

《…………あ、はい。あの、お疲れ様でした、レイヴン》

「ああ、お疲れ……だからうるせえよさっきから!!Dランクレイヴン様がオペレーターと喋ってんだろうがぁっ!!」

 

ソラはテーブルにダンと足を乗り上げ、チキンと携帯端末を手に叫んだ。

もうすっかりデキあがった整備班は、激怒するレイヴンを見て静まるどころかさらに大盛り上がりし、まだ大量に残っているクラッカーをパンパンとやかましく打ち鳴らした。

一斉に差し出されたグラスから無造作に1つを取り、勢いよく飲み干すソラ。

かなり度数の高い酒に当たったのか、先ほどまでは何とかアルコールに耐えていたソラも、一気に顔が赤くなる。

またテーブルがどかんと破裂したように爆笑し、白髭もじゃもじゃのベテランメカニックまでもがテーブルの上に立ち上がった。

 

「わはは、わははははははっ!!アリーナ戦で大儲けー!大穴勝利で大儲けー!我らがレイヴン、さいこー!管理者サマバンザーイ!!」

「なぁチーフ、さっき本社からメール来てたんだけどぉ、ひっく。明日には褒賞パーツ届くってよ!ちょうど欲しかった高出力ジェネだってよ!あとEN防御のオプショナルパーツも買ったからな!明日もベロベロだったらぶっ飛ばすぞ!!」

《…………》

「わははのはーーっ!あぁ~~、酒が!ン美味いィッ!!」

「あー、ダメだこの爺さん!ひっく、早く退職しろよもう!おい誰か代わりにチーフやる人ー!この爺さん下取りに出すからぁ!」

《……こほん。レイヴン、あまり羽目を外しすぎないように。では、失礼します》

「えぇ、レイン?ちょっと……あ、切れた……ひっく。お前らがギャーギャーうるさいからだよっ!どうしてくれんだオペ子の機嫌損ねたらぁ!!」

 

少し冷たい口調で切断された携帯端末。

ソラは赤ら顔で声を裏返し、何度目かも分からない大声で叫んだ。

結局、ガレージは深夜を通り過ぎて空が白むまでずっと、祝勝の宴で大騒ぎし続けたのだった。

 

 




フィクサーはゲーム本編では試合放棄はしません。ちゃんと最後まで必死に戦います。ご了承ください。
私はあのアセンが結構好きです。
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