ARMORED CORE 3 Replay ~ Stray Crow~ 作:神父三号
オプションが追加されたのでまとめて記載しておきます。
フレーバー程度ですので、武器以外は一切気にしなくても大丈夫です。
右腕部武装:MWG-XCW/90(90発レーザーライフル)
左腕部武装:CLB-LS-2551(緑ブレード)
右肩部武装:CRU-A10(初期肩レーダー)
左肩部武装:CWM-S60-10(10連小型ミサイル)
エクステンション:MWEM-R/24(2発発射連動ミサイル)
頭部:CHD-02-TIE
コア:CCM-00-STO
腕部:CAM-11-SOL
脚部:MLM-MX/066
ジェネレーター:MGP-VE905
ラジエーター:RMR-SA44
ブースタ:MBT-OX/E9
FCS:AOX-F/ST-6
オプショナルパーツ:OP-S-SCR(実弾防御上昇)、OP-E/SCR(EN防御上昇)、OP-E/CND(ジェネ容量増設)、OP-L-AXL(ロックオン時間短縮)、SP/E++(EN武器威力上昇)
朝早くのことだった。
セクション301の偽物の空は、いつもの如く曇り空。
レイヤード市民の誰もが見飽きている、分厚い雲が映し出されていた。
『急転直下!ミラージュ大誤算の撤収作戦、高ランクレイヴン投入も虚しく"大赤字"』
『蠢く卑劣な陰謀、キサラギの偏執的強欲と逸脱行為の数々』
『レアメタルは誰のモノ?協定と秩序を破る2社の行き過ぎた資源闘争』
「あーあ……すごいことになってら……」
専用住居のリビングで、ソラはソファに寝そべって携帯端末をつつきながら、独りごちた。
レインから一報を受け、各メディアの報道を閲覧していたのである。
どの企業系メディアも、トップニュースはグラン採掘所争奪戦の顛末についてだった。
内容はもちろん、争奪戦におけるミラージュの勝利――ではなかった。
そのまったく逆である。
キサラギがグラン採掘所を占拠したと、どこも報じていた。
各メディアをソラが見るに、争奪戦の顛末はこうである。
ミラージュによる非戦闘員及び駐屯部隊の撤収作戦にキサラギが奇襲をかけ、互いに複数名のレイヴンと大部隊が投入されての激戦となった。
戦闘はミラージュ側の勝利に終わり、キサラギの部隊は壊滅。
ミラージュは駐屯部隊を無事撤収させた。
しかしながら、それはキサラギの思惑の通りだった。
キサラギはミラージュが迎撃部隊を解散し、採掘所内がもぬけの殻となった一瞬の隙をついて、本命の特殊部隊を極秘のルートから投入。
施設全域の制御権を瞬く間に掌握し、鉱山からのミラージュの完全な締め出しに成功した。
部隊の損害著しく、レイヴンも撤収し、非戦闘員を大量に抱えたままのミラージュはどうすることもできず、そのまま採掘所から撤退するほかなかった。
とのことであった。
「ミラージュは完全にしてやられたってことか……」
確かに思い返せば、あの戦闘でキサラギの部隊は主力MTのクアドルペッドを大量投入してきた割に、手練れらしい手練れがいなかった。
あれが精鋭部隊ならば、ACをもってしても苦戦するMT乗りが複数名混じっているはずなのである。
もっとも、Cランク上位のレイヴンまで投入した大攻勢が、まさか本命でなかったなどと予想できるはずもない。
ミラージュが今回の攻防に関して、完全にキサラギに上をいかれたのは、客観的に明白だった。
怒り狂った罵倒の文面がミラージュ系の報道に躍っているのを見ても、それは確かだろう。
「最精鋭のデルタ1も本命側で温存されてたのかね。あいつがこれに関わらないわけがないし……それに」
ソラは携帯端末に表示した画像を拡大した。
キサラギ系メディアの映した採掘所制圧後の写真の隅に、白銀色のMTと思しき機影がほんの一部分だけ映っている。
おそらく、特殊工作傭兵の"デュミナス"である。
キサラギが施設の制御権を迅速に掌握できたのは、この傭兵のおかげでもあるだろう。
彼女の存在は、キサラギの極めて周到な事前準備を言外に物語っていた。
「俺の苦労がパーかよ……あーあ」
ソラはため息を吐き、携帯端末をポイと机の上に投げた。
礼状で高らかに勝利宣言をしていたミラージュの気持ちを慮ると、こちらまで顔が赤くなる。
ソラはそのままもぞもぞとソファの上で身体をくねらせ、もう一度ため息を吐いて。
「朝飯食うか……」
キッチンへと足取り重く向かった。
………
……
…
数日後。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
レイヴン、グラン採掘所での活躍は存分に見せてもらった。
その腕前を見込んで、重要な依頼を頼みたい。
我が社は偽の情報を流す事で、ミラージュの大部隊を自然区のアヴァロンヒル西部に誘き出す事に成功した。
このアヴァロンヒルに展開しつつある敵部隊を襲撃し、全滅させてくれ。
ミラージュは採掘所陥落の件で、相当焦っているらしい。
先の消耗を回復せぬ間に、我々の誘導にまんまとかかり、またも大がかりな戦力を投入してきている。
ここで痛手を与えれば、ミラージュの力を削ぐ、絶好の機会となることは疑いようがない。
なお、我々キサラギもグラン採掘所で大規模な攻勢をかけたばかりだ。
正規の部隊を動員することは厳しいため、今回は君の僚機に相応しい、有望なレイヴンを雇用している。
彼女と連携し、必ずこの奇襲を成功させてほしい。
よろしく頼む。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
《依頼主はキサラギ社。作戦区域は第一層自然区セクション720、アヴァロンヒル西部です。成功報酬は35,000C。予測戦力は、重装型MT"スクータム"が約20機、近接用MT"ギボン"が約10機、機動装甲車多数です》
「キサラギの野郎、採掘所でやり合った直後に依頼してくるのかよ……まあ、こういうの今までもあったけどさ」
《報酬額は多いですが、その分敵戦力もかなり大規模ですね……僚機がAC1機ということを考えれば、前回のミラージュの依頼以上の負担になるかもしれません》
「ちなみに僚機の『有望なレイヴン』って誰だ?」
《待ってください……あっ。D-12ランカー"レジーナ"です》
「レジーナ……あいつが?しかもD-12って俺のすぐ上……いや、すぐ下か?」
ソラは急いで携帯端末を開き、レジーナの開示情報を確認した。
レジーナは確かにD-12ランカーになっていた。
愛機のAC"エキドナ"も、右腕の携行型グレネードはそのままに、より攻撃的で実戦的なアセンに変貌している。
もっとも、D-8ブラッククロス搭乗のドロール、D-11ヴァリアント搭乗のチェーンインパクトが立て続けに死亡したことで、ソラ自身もD-11に繰り上がっていたが。
アリーナ戦の時以外、ランクをあまり気にしていなかったソラにとって、あの少女が既に自分の真下につけていることは予想外だった。
「いつの間に……」
《どうやら彼女もフィクサーに競り勝ち、Dランクに上がってきたようです。依頼遂行率も現在100%を維持。確かに有望なレイヴンですね》
「……こいつが出てくるんなら、俺が逃げるわけにもいかないか。レイン、依頼を受けるぞ。輸送機の準備だ」
《了解しました。……アリーナでの対決から、彼女もきっと成長しているでしょうね》
「成長してるのは俺とストレイクロウも同じさ。実戦で、先輩風吹かせてやるよ」
《……ええ。レイヴン、後輩に負けないよう、お願いします》
各手配を終えた後、奇遇にも協働することになった後輩レイヴンのことを、ソラとレインは語り合った。
彼女がレイヴン試験の説明会で、如何に騒ぎたてたか。
彼女がアリーナでの直接対決で、如何に手ごわかったか。
2人の話が面白おかしく弾むのは、それが初めてだった。
………
……
…
第一層自然区、セクション720のアヴァロンヒル西部。
見渡す限りの広大な荒野を、人工太陽を追うかのように、グローバルコーテックスの双発式戦略輸送機が飛行していた。
輸送機の内部では、黒の"ストレイクロウ"と赤の"エキドナ"、2機のACが獲物を待ちわびている。
《ふーん。じゃ、あの美人なお姉さんとあたしをダシに盛り上がったわけ?出撃の直前に。さいてー》
ソラの後輩"レジーナ"は非常にフランクな、というより礼儀の欠片もない馴れ馴れしさでソラに通信を繋いできていた。
「お前こそ、先輩レイヴンの専属補佐官に、随分と失礼なクチを聞いたんだってな?」
《知らないわよそんなの。急に呼び出してこれから試験に出ろ、出ないと市民権剥奪だなんて、そっちの方が失礼でしょ?管理者ってバカじゃないの?》
「……あー、それには同意する」
《でしょー?まあ、おかげであのバカ親父をブン殴れたし、無事レイヴンにもなれたし、いいんだけど》
「いいのかよ。もっと葛藤とかなかったのか。学生だったんだろ?」
《無いわ、別に。こちとらアホ親父が連絡も寄越さず金だけバカスカ入れるから腹が立って、中等教育ズルけて工場に潜り込んでMT乗り回して……》
「分かった分かった。その後は酒呑み傭兵に捕まってMT乗りでもやってたか?」
《そういうプランもあったんだけどね。気づいたら、色々すっ飛ばしてレイヴンになっちゃった》
「そうかよ。ご愁傷さま」
《本当にね。……それにしても企業ってどうして、奇襲だの破壊工作だの逃亡者追撃だの、悪趣味な依頼しかしてこないのかしら?もっとこう、素直に人様の役に立つような……》
「おい、そろそろ作戦時間だぞ。仕事する気になれよ」
《……分かってるわよ。そっちこそ、必要な時以外通信しないでよね。もう集中するから……すー》
年頃の少女らしく、ずっと姦しく騒いでたレジーナが急に声のトーンを落として、通信を切った。
《レイヴン、作戦区域上空です。既に輸送機のカメラが敵部隊の展開を捉えています。……あちらも、迎撃態勢を取りつつあるようです》
ストレイクロウのモニターに輸送機のカメラ映像が送られてくる。
ミラージュの部隊が展開しているのは、アヴァロンヒル西部の中でも比較的起伏の緩やかなエリアで、またその中央には、巨大な落下物が突き刺さっていた。
アヴァロンヒル西部では、5年ほど前にミラージュとクレストによる大規模な紛争があったはずだ。
その際に落下した、区画の天井板か何かだろう。
「……奇襲って言っても上空を飛んでたら、当然気づかれるだろうな。レイン、輸送機が敵の射程に入る前に下りるぞ。目安は距離1000だ」
《了解しました》
「エキドナ、それでいいな?」
《……問題無いわ。いつでもいける》
レジーナの声は、先ほどまでの騒々しさが嘘のように凍りついていた。
緊張している――わけではなかった。
その逆だ。恐ろしいほどに、集中している。
まるでスイッチを切り替えたかのように、一瞬で。
彼女の今の雰囲気は、アリーナ戦での異様な冷静さによく似ていた。
レイヴン試験で爆撃機に狼狽えていた少女と同一人物とは、到底思えない。
この集中力がレジーナのレイヴンとしての資質なのだと、ソラは悟った。
「……距離1000。ストレイクロウ、出るぞ」
《エキドナ、行きます》
2機のACが、起伏激しい荒野へと飛び降りた。
「援軍を呼ばれても面倒だ。一気に……」
《待ってください!剥がれた天井板の陰から……AC!?識別コードを照合します!》
「AC……!?情報にないぞ……」
《……D-6ランカーAC"リバイバル"確認!》
濃緑色のフロートACがオーバードブーストを起動し、一気に距離を詰めてきた。
その後ろで、他の部隊も一斉にこちらに向かい始める。
先行してきているのは、機動装甲車だ。
《……ストレイクロウ、ACは私がやるわ》
「いいのか?」
《フロートなら、そう時間はかからない。仕留めたら援護に回るから》
「了解した。頼んだぞエキドナ」
エキドナはあまり総弾数の多くない、瞬間火力に特化したタイプのACだ。
確かに、敵のフロートACを相手にさせて、その間に自分がMT部隊とやり合った方がいい。
ソラはレジーナの提案に納得し、オーバードブーストを起動した。
「先に行ってるぞ!」
突撃してくる敵AC"リバイバル"とあえてすれ違うようにして、高出力ブースタで突っ込んでいく。
リバイバルは一瞬マシンガンを構えたが、この一瞬の交錯で当てるのは無理と判断したのか、そのままソラのストレイクロウとすれ違った。
ソラの背後で、携行型グレネードの砲声が轟いた。
《レイヴン、敵は多数です。集中攻撃を受けないようにしてください》
「分かってる!」
オーバードブーストを停止し、荒野を慣性で滑りながら、ソラは第一陣の機動装甲車群をロックサイトに収めた。
レーザーライフルを向けられたことに気付いたのか、敵部隊は散開し始める。
だがそれより先に、レーザーの1射目が装甲車をぶち抜いた。
「レーザー強化オプション……どれくらい意味があるかだが……」
新しく搭載したオプショナルパーツ"SP/E++"を思いつつ、ソラはレーザーライフルを連射した。
1機、2機、3機と確実に機動装甲車を射抜き、撃墜していく。
敵もレーザーで撃ち返してくるが、大した威力ではないし狙いも甘い。
やがて、撃ち漏らした装甲車部隊が横を通り過ぎていった。
そして同時に、大口径砲弾がストレイクロウの周囲に着弾し始める。
重装MT"スクータム"が追いついてきたのだ。
「装甲車は後回しだ……まずは主力から」
《観念しろキサラギ!貴様らの奇襲など分かりきっていた!》
ACの頭部COMが、敵の威勢のいい啖呵を傍受する。
横一列に並び、バズーカを間断なく唸らせながらゆっくりと距離を詰めてくるスクータム部隊から、ソラはブースタで距離を取った。
昔乗っていたMTだ。スクータムの有効射程範囲は分かっている。
この広い荒野でならバズーカの射撃精度がどこまで遠ざかれば急激に落ちるかも把握しやすい。
適切な距離を見極め、ACを左右に躍らせて砲弾の嵐をかいくぐりながら、ソラはレーザーライフルの引き金を引いた。
極めて弾速の速いレーザー火線が飛来していき、スクータムの正面装甲を一撃で破って、沈黙させる。
強化オプションの効果はしっかりと出ているようだ。
シールドにさえ吸われなければ、バズーカの間合いの外からでもスクータムを倒せる。
ならばあとは、根気の問題だ。
レーダーに映っているスクータムは――10機ほど。
「レイン、残りのスクータムとギボンは何をやってる?」
《旋回中の輸送機のカメラが捉えています。二手に分かれて、レーダー範囲の外から大きく回り込んでいるようです》
「包囲狙いか。じゃあ、目の前をさっさと片づける!」
ソラはそう宣言し、レーザーライフルのトリガーを引き絞った。
レーザーが連発で放たれ、1発はシールドで受け止められるも、もう1発は装甲を貫通し、敵を撃ち沈める。
反撃のバズーカ砲弾も、ACの運動性で大きく動き回っていればそう痛打はない。
通り過ぎていった装甲車が回り込んできたのか、横合いから低出力レーザーで気を散らしてきた。
とはいえ、取り合うつもりはない。ソラは努めて冷静に、目の前のスクータム部隊だけを見てレーザーライフルを撃ち込んでいった。
やがて、敵の数が減り、砲弾の迎撃も減り、戦いやすくなってきた。
そして敵部隊の中にやはり、何人か手練れが混ざっているのにも気づいた。
「マーキング……右から2番目と左端。この2機以外は雑魚だ」
《レイヴン、迂回していたMT部隊が急接近中!スクータム10、ギボン10が挟み撃ちしてきます!》
「エキドナ!そっちは!」
《直に終わるわよ。あと……3発くらい》
レジーナの落ち着き払った声が応答してくる。
ソラは残り4機になった正面のスクータム部隊をまず片づけることにした。
レーザーでマークしたやり手以外を撃ち殺し、そのままオーバードブーストを起動、一気に距離を詰める。
2機のやり手は突進するACをもしっかり捕捉して、バズーカを当ててきた。
だが、もう遅い。レーザーブレードの間合いに、入っていた。
「まず1機!」
ブレードの光刃を振るい、身をかわそうとしたスクータムを仕留めた。
最後の1機は必死にブースタで後退しながら、バズーカを直撃させてくる。
半身になってシールドを大きく前に押し出し、少しでも粘ろうとするその手管は、ジダン兵器開発工場の腕利きを彷彿とさせた。
だが、あの時とは状況が違っていた。このアヴァロンヒルには、何の遮蔽物もないのだ。
機動性の差が、ACとMTの性能差が、如実に出る。
装甲車が決死の妨害をするように、モニター上を何機か横切った。
自動で最大範囲になったレーダーが回り込んできた敵部隊を映し始めている。
ソラはバズーカの被弾にも構わずにフットペダルを踏み込んで、ブースタ全開で突進した。
スクータムはシールドをしっかりと正面に構えている。
レーザーブレード発振。
斬りかかった。シールドを容易く両断。バズーカの反撃でコクピットが揺れる。
そして。
「終わりだ」
スクータムを真っ二つに両断し、ソラはぽつりと呟いた。
これで正面の部隊は全滅。残りAP6500。
無理攻めしなければ、何とでもなりそうだった。
《……こっちも終わり》
《エキドナがリバイバルを撃破!》
レインとレジーナから、ほぼ同時に通信が入る。
「エキドナ、損傷は?」
《AP5000。まだやれる》
「じゃあ左の10機をやってくれ。俺は右の10機だ……ギボンのブレードには気を付けろ。あと腕利きが混ざってるぞ。危なくなったら無理せず後退しろよ」
《了解。じゃあね》
フロート型でAPが少ないとはいえ、格上のDランカーをそんなにもあっさりやれるものかと、ソラは密かに感心した。
レジーナの集中力と技量は、やはりかなりの物だ。
そんなことを考えている内に、またスクータムのバズーカ砲弾が飛来してきた。
回り込んでいた部隊が追いついてきたのだ。
固まって来ればよかったものを――ソラは一瞬そう思った。
だが、実際に20機ものスクータムが密集すれば砲撃による同士撃ちがありえるし、ギボンの運動性とブレードも活かしづらくなる。
これだけ早くに正面部隊とACがやられなければ、十分有効な手だっただろう。
《敵MT部隊、さらに接近!ギボンが先行してきます!スクータムの援護射撃に注意してください!》
緩やかな高台からのスクータムの砲撃に、ギボンのミサイルとショットガンが混じり始める。
装甲車部隊は相変わらず、ACの周囲を大きく旋回しつつ鬱陶しい豆鉄砲のレーザーを何度も撃ち込んできた。
だが、特にもう脅威を感じなかった。
「……よし。もう少し」
ソラは先ほどまでと同じくACに距離を取らせ、先陣を切ってきたギボンにレーザーを浴びせた。
ギボンはブレードの間合いに入ることもできずに直撃弾を浴びて、荒野にひっくり返った。
「残念だったな、ミラージュ」
ソラは肩部ミサイルユニット及び連動ミサイルを起動。
3機でしかけてきたギボンにまとめてロックをかけ、ミサイル弾幕を発射。
上手く躱して生き延びた1機に素早くマーキング。
別方向から回り込んできたギボン3機にも、同じようにミサイルを放って、生き残りをマーキングした。
マーキングした連中が、果敢にもブレードで斬りかかってくる。
ソラはストレイクロウを跳躍させて躱し、オーバードブーストを起動して、大きく操縦桿をひねった。
大出力ブースタの急加速が一気に機体を敵部隊から引き離し、ギボンの必死の追撃を振り切って、振り出しに戻す。
ソラはバズーカの追撃を躱しながら、遠方に遠のいたMT部隊をまた、FCSでマルチロックしていった。
「これでキサラギに連敗だな」
トリガーを引いてミサイルを連続で撃ち放ちながら、ソラは地下世界最大企業の無念を慮った。
………
……
…
アヴァロンヒルから帰還する、輸送機の中。
格納庫には行きと同じく、黒と赤、2機のACが佇んでいた。
《んー……何かアレね。散々大部隊だの大がかりだの脅してきた割に、大したことなかったわね》
「ACがいただろ」
《居たけど?それでも大したことがない範囲よ。あのフロートAC、機動性だけだったもん。武装しょっぱかったし》
「……D-6ランカーだって聞いたが」
《あっそ。まあ?あたしが強すぎるのかもね。あーあ、これでまた企業からの胸糞な依頼が増えるわね、大変だわ》
「お前のポジティブさが羨ましいよ、俺は」
《何よ。いいでしょ、仕事終わりくらいポジティブになっても。先輩ってアレ?ガレージに帰ったら戦闘ログ睨みつけながら反省会とかするタイプ?》
「……たまにするが。いや、普通はするんだぞ。特に見たことのない相手と戦った時とか」
《えー、アホらし。終わったこと気にしても仕方ないじゃない。終わったら次のこと考えた方が絶対いいのに。パーツ何買うかとか、次の依頼まで何して過ごすかとか》
「次のこと考えるために、終わったことの整理つけるんだよ」
《はいはい、そうなんですか。……まあ確かに、そういうのも必要かぁ……うん》
作戦終了からずっと、ペチャクチャと喋り倒していたレジーナが不意に押し黙った。
ようやくうるさい口を閉じたかとソラが肩を回した時、また後輩の少女は口を開いた。
《ねえ、ちょうどいいから聞いていい?》
「あ?何をだよ」
《先輩、戦闘中に変な通信受けたことない?》
「……は?」
《この前キサラギの依頼受けて、ミラージュの何とかブリッジでドンパチした時なんだけど》
「…………」
《やばいくらい動きの良いギボンが5機くらい割り込んできてさ。キサラギもミラージュも片っ端からやられちゃったのよ》
「…………」
《まあ、結局あたしが全部片づけたけどね。そしたら、急になんか通信障害が出て、その直後に妙な、男と女の声が混じったような通信が入ってきて》
「……いずれ?」
《あー、それそれ。そんな感じのことポツリって言ってた。って、なんで知ってるの?》
「……他に何か言ってなかったか?」
《他?えーと、それだけだった……ような。というかそもそもAPやばかったし、オペレーターも聞き取れてなかったし。何だったんだろあれ》
「……レジーナ」
《何よ》
「帰ったらその戦闘のボイスログ、聞いてみてくれ」
《は?何で?》
「…………」
《ちょっと、急に黙らないでよ》
「…………」
《何なわけ?気になるじゃないのよー!》
ソラは喚くレジーナを他所に、彼女の話したことを考えていた。
異常に高性能なMT。企業への無差別攻撃。そして、奇妙な通信。
ファルナ研究所のモノレール防衛で、自分が体験したことと、よく似ていた。
"あれ"を体験したのは、自分とゲドだけではなかった。
レジーナも、同じような目に遭っていたのだ。
"あれ"は、やはり――
《……レイヴン?そろそろ、セクション301です》
「あ、ああ。分かった」
《ちょっとー!無視するなってば!あのアホ親父といい、レイヴンの男ってホント何でこう、自分勝っ》
うるさい通信機を切りながら、ソラは底冷えのするような感覚を、思い出していた。
管理者の"視線"を感じた、あの感覚を。
………
……
…
―――――――――――――――――――――――――――――――――
FROM:キサラギ
TITLE:礼状
レイヴン、よくやってくれた。
アヴァロンヒルに展開していた大部隊は、どうやらこちらの誘導に勘付いていたようだが、それでも君達の活躍によりこれを撃破することができた。
わざわざレイヴンを雇って待ち構えていたにも関わらず、奴らも哀れなことだ。
グラン採掘所の一件以来、ミラージュもキサラギの実力をいよいよ実感しつつあるはずだ。
我々は採掘所を巡る抗争は、まだ続くと見ている。
さらに今後は、事態を静観していたクレストも、この抗争に関与してくる可能性が高い。
レアメタル資源は、それほどに貴重ということだ。
地下世界レイヤードはクレストの言うような"秩序ある理想郷"では断じてない
管理者の監視のもとで、有限な物資を巡って誰もが争い合う。
それがレイヤードの現実だ。
だからこそ我々は、この現実に向き合い、正しい道をつねに模索しなければならない。
また依頼する。その時は是非、協力してくれ。
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………
……
…
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FROM:レジーナ
TITLE:確認した
輸送機であなたが言っていた件だけど、確認した。
あの声のログは無かった。
管理者の保管しているログバンクに照会をかけても、同じだった。
あれは何なんだろう。
気味が悪い。
何か分かったら、私にも教えて。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
レジーナはゲーム本編の僚機時はもう少し礼儀正しいです。小説化するにあたってだいぶ脚色しています。ご了承ください。