ARMORED CORE 3 Replay ~ Stray Crow~ 作:神父三号
ここからゲームの進行度的には終盤に入ります。
そろそろAC6の新情報が欲しいですね。実機のプレイ画面とか。
キサラギ管轄の第一層特殊実験区セクション614最北端、機密ゲート。
開放された巨大なセクションゲートの前にはユニオン・キサラギのMT部隊や車両群が粛々と長蛇の列を形勢して、少しずつこの密林生い茂るセクションから撤退していた。
《こちらレッドアイ、東方に敵影なし。ストレイクロウ、そっちはどうだ?》
「こちらストレイクロウ。西側も大丈夫だ」
今のところはな、と付け加えてソラはレーダー表示から視線を切り、ACの頭部カメラを上方に向けた。
大粒の"雨"が、偽物の空からやむこと無く降り続いている。
それだけではない。黒く分厚い雲はまるで地鳴りのような唸り声をあげ、時折白く光っては恐ろしい破裂音を響かせていた。
"雷"と呼ばれる、自然現象の一つらしい。
クレストの超大型ミサイルを貫き、そして管理者の"実働部隊"の襲来を告げた号砲だ。
結局、防衛ラインを敷いて守っていたユニオンの本拠地は、あれから間もなく放棄された。
ソラが帰還した時には既に、実働部隊の猛攻によって基地施設は壊滅させられ、AC"ゲルニカ"を含む多数の味方戦力が戦闘不能に陥っていた。
ゲルニカのレイヴンであるゲドは幸いにも死亡はしていなかったが大怪我を負い、スクラップになった愛機と共に、一足先に輸送機で空へと消えた。
今こうして敵襲を凌いで撤退作業に付き添っているACは、ストレイクロウ、グナー、レッドアイ、エキドナの4機だけだ。
まだ作戦行動が出来ているとはいえ、情報共有によれば全機既にAPは2000を切っている。
満身創痍もいいところだった。
セクション南部に陣を敷いていたクレストからの追撃はない。
おそらく、あちらでも撤退が始まっているのだろう。
もはや交戦を継続することすらままならないほどに、両軍とも実働部隊の猛威に脅かされているのだ。
《……レッドアイだ。各機へ通達。東から敵増援が接近……10機だ。……速い。やはりクレストじゃないな》
《あいつらまだ来るの?しつこいわよ、いい加減……!》
《エキドナ、あまり前には出ないようにしなさい。グレネード切れてるでしょう?ゲルニカみたいになるわよ》
《……分かってる。でも、援護はするから》
「気負うなよ。撤退が終わるまでの辛抱だ」
後輩のレジーナをなだめながら、ソラは愛機の足を東へと向けた。
ブースタで撤退中の部隊の頭上を通り過ぎ、迎撃に向かう。
ストレイクロウの多機能型レーダーにも、敵影が映った。
確かに速い。通常のMTの速度ではない。
つまり、管理者の部隊ということである。
睨みつけていた密林の隙間から、MT部隊が現れた。
まず滑り出てきたのはクアドルペッドだ。本来はキサラギの高級MTである。
その後ろでスクータムがシールドに半身を隠し、バズーカを構えながら真っ直ぐ高速で向かってくる。
《散開!1機ずつ確実にしとめて!》
ワルキューレの指示のもと、AC4機が扇のように広がる。
距離500。MTのパルスやバズーカが一斉に火を噴いた。
通常のMTとは比べものにならない連射速度。
ソラは必死の形相で弾道を見切り、操縦桿を振り回して砲撃を回避しきった。
最も近いクアドルペッドに向けて、中型ロケットを放つ。
しかし、人が乗っていては到底不可能なほどの急制動からの切り返しで、砲撃は容易く躱された。
次の一手を思考する暇もなく、クアドルペッドは猛烈な加速で突進してくる。
投擲榴弾を進行方向に向けて放った。
やはり急停止から反撃のパルスが乱射される。
だが、こちらも有効射程距離。
ストレイクロウの右腕のマシンガンが唸り、一発被弾したパルス光弾の、数倍の弾丸を浴びせ返した。
クアドルペッドは無秩序なまでの高機動で躱そうとするも躱しきれず、脚部に被弾してそのまますっ転んだ。
撃破はできていない。だが、無力化した相手に意識を割いている余裕などない。
次に迫ってきたスクータムがバズーカをストレイクロウに向けて突っ込んできた。
時速300kmに達するほどのブースト速度は、息を落ち着ける間すら与えてくれなかった。
「……!」
砲口はこちらを捉えている。が、撃ってこない。
距離を詰めて確実に当てる気か。そういう判断すら出来るのか。
そこまで考えてソラは、すぐさま左腕の投擲銃を放った。
榴弾が胸部装甲に当たって爆裂し、のけぞったスクータムが直後、バズーカを上空に誤射する。
一瞬の差だった。
バランスを崩したまま突進してくる敵機の腹を、ストレイクロウは中型ロケットで貫いた。
《ごめん、抜かれた!》
レジーナの切羽詰まった通信が耳に飛び込んでくる。
誰も応答できなかった。
レッドアイに突っ込んでいたスクータムが爆散。
グナーが空中から撃ち下ろしたスナイパーライフルが、クアドルペッドをしとめる。
ストレイクロウの前に、2機目のスクータムが来た。
捕捉を振り切るように機体を不規則に揺らして後退しつつ、ソラはトリガーを引いた。
マシンガンが唸り、まずバズーカを、次いでシールドを、そして本体の足を蜂の巣にした。
《これで……2機目!あと何機!?》
《2機逃がしたぞ!クアドルとスクータム!》
《こなくそぉっ!》
前方にもう敵はいない。
ソラは急いでストレイクロウを180度切り返した。
撤退中の車両が、砲撃を受けて何台か吹き飛ぶのが見えた。
焦りで思わず舌打ちが漏れる。
オーバードブーストで暴れ回る敵機に迫り、背中にロケット弾を見舞って、沈黙させた。
もう1機をしとめたのは、グナーの狙撃だった。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」
心臓が口から飛び出そうなほどに、ソラの息が荒れる。
極限状態もいいところだった。
バズーカが数発直撃すればもう後がないほどのAPで、防衛戦を強いられているのだ。
通信機からも、他のレイヴン達の苦悶の呻きが聞こえてくる。
正直言ってもう一度、襲撃があれば――
《全機、警戒を継続して。もうすぐ撤退作業が完了するわ。……何とか、頑張りましょう》
ワルキューレの弱々しい発破に汗を拭い、ソラは操縦桿を握り直した。
鼻の奥がツンとして、頭がガンガンと締めつけられるように痛い。
集中のし過ぎかもしれない。
密林でのAC戦から超大型ミサイルの発射阻止、そしてこの撤退部隊防衛と、通常の依頼の数倍の仕事量をこなしているのだ。
《っ、やば……鼻血出た》
通信機の向こうで、レジーナがぽつりと呟いた。
何とか体勢を立て直して撤退を再開した混成部隊を見つめながら、ソラは詮無きことを思った。
この依頼は成功なのか、それとも失敗なのか、と。
………
……
…
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FROM:レイン・マイヤーズ
TITLE:情報共有
夜分遅くに失礼します。
先日のミッションはお疲れ様でした。
各社の報道は確認していますか?
ユニオン・キサラギとクレストの決戦が正体不明部隊の乱入で痛み分けに終わった後、同様のものと思われる高性能MT部隊が各地で目撃され始めています。
報道されているだけでも、第一都市区、第二都市区、産業区に部隊が出現し、企業の関連施設のみならず民間人にも多数の被害が出ています。
また、無用な混乱を避けるために報道こそされていませんが、第一都市区の生活用水を管理するバレルダムに対しても襲撃があり、レイヴン数名が対応して最悪の事態を未然に防ぎました。
正体不明部隊の攻撃はあまりにも無差別で、まるでレイヤード市民全てを標的にしているかの動きが目立ちます。
この事態を受け、ミラージュ、クレスト、キサラギの3社及びグローバルコーテックスによる緊急会議がとり行われました。
コーテックス上層部からの報告によれば、正体不明部隊はやはり、管理者によって指揮される"実働部隊"だという認識が持たれたようです。
とにかく前例のない事態が続いています。
そこで、コーテックス所属の全レイヴンに対して、情報共有や今後の方針対応も含め、近日中に非常招集をかける予定です。
詳しい日時が決まり次第、改めて連絡します。
おやすみなさい。
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………
……
…
第一層第二都市区セクション301、グローバルコーテックス本社ビル。
30階でエレベーターを降りたソラは、"中央講堂"のネームプレートが掲げられた大扉へと近づいていった。
大仰な扉だった。このビルにありがちな無機質さはなく、厳かな装飾が細かく施され、どっしりと分厚く格式ある風情を醸していた。
どこからどう見ても、普段使いをする場所ではない。
何か特別なことに使われていそうな場所だった。
それこそ、今日の非常招集のような。
待機していた職員に促され、ソラが扉横の生体認証端末に手をかざすと、ゴゴゴと重たい音を立てて大扉が開いた。
大扉に相応しく、中はとても広かった。
カレッジの講義室のような階段状の空間で、床には真紅の絨毯が敷かれ、規則正しく並ぶ机と椅子の正面には巨大スクリーンが備え付けられている。
金持ち用の映画館みたいだ、と職員から資料を受け取りながらソラは思った。
「よう、C-1ランカー」
ぼんやりとスクリーンを見上げていたソラの死角から、声がかけられた。
一度聞いたら忘れない、低音ながら刺すような鋭さのある声だ。
振り向くと、最前列の机の上にえらそうに厚手のブーツをどかっと乗せた、粗野な大男がそこにいた。
その隣にいるのは、ユニオン防衛作戦でも協働したワルキューレだ。
「……ロイヤルミスト」
「ワルキューレに聞いたぞ。サイプレス……テン・コマンドメンツを仕留めそこなったんだってな。何やってやがる、間抜けめ」
Aランカーのいきなりの暴言に、ワルキューレが何か言いたげに口を開こうとしたが、注意するだけ無駄だと思ったのか、頬杖を突いて目を逸らし、むすっと押し黙った。
「なら、あんただって間抜けだろ。仕留めそこなったのはお互い様だ」
「はっ……とっとと行け」
ロイヤルミストは顎で斜め後方をしゃくり、その後は大きく欠伸をして、シートに背をもたれた。
もうそれ以上つっかかってくる気はないらしい。
ソラは講堂を見渡した。
通常の研修室のゆうに5倍以上の広さ、数百は席がある中央講堂には、既に何人ものレイヴンが着席していた。
2、3人で固まっているレイヴン達もいるが、基本は皆間隔を開けてバラバラに座っている。
最後列の端には、赤い眼帯をした黒髪のファナティックがいた。
スケッチブックに、何かを熱心に描いている。
「先輩、先輩」
見ると、中央付近の席で立ち上がったレジーナが身振り手振りで激しく主張してきた。
無視――する理由もないため、そのまま隣まで行き、席に座った。
妙に勝ち誇ってふんぞり返るレジーナ。
ソラは気にせずに、入口で貰った資料に目を通した。
配布資料は、近頃盛んに報道されていた各地の正体不明部隊襲撃の詳細をまとめたものらしい。
都市区や産業区を襲った部隊の情報は、ソラも逐一チェックしていたが、中には知らない事件もいくつかあった。
各企業の重要施設への襲撃情報だ。
レインがメールで言っていた通り、一般には報道されていないケースも多数あるようだ。
「先輩、こういうことって今まであったの?」
「何が」
「レイヴンの非常招集」
「……ないな、俺は初めてだ」
「ふーん。じゃ、やっぱあいつらのせいか……あ、ミラージュの何とかブリッジまたやられてる」
「あのー……隣、いいですか?」
ソラとレジーナが資料から顔を上げると、頬がほのかに赤い、見知った少年が気まずそうに笑っていた。
頭には包帯、右腕にはギプス、左腕は松葉杖をついている。
「アップルボーイ……どうしたんだ、その怪我」
「いやぁ、前の依頼で撤退中にクレストのミサイルに吹き飛ばされちゃいまして……ははは」
「……あー……」
ソラは気まずさに額をかいた。
ユニオン防衛戦で、アップルボーイのACエスペランザは消耗激しく途中で戦線を離脱したはずだ。
おそらくその際に、ソラが超大型ミサイルを阻止した余波を受けたのだろう。
ユニオン陣営にいたゲドも、生き残りはしたが入院して絶対安静状態だと聞いていた。
とはいえ、戦場に出るとはそういうことだ。
それに、グローバルコーテックスの高度医療ならばほとんどの怪我は後遺症なく治るだろう。
陣営を分かれて対峙した遺恨を引きずっているわけでもなく、気安く話しかけてくる同期のアップルボーイにソラは特に何も言わず、席を詰めてスペースを開けた。
「あ、ソラさんはあの時ユニオン側にいたんですよね?ぶつからなくてよかったです」
「……そうだな。というかお前、そんなボロボロの身体で招集にくるなよ。病院で寝てればいいのに」
「そうはいきませんよ。全レイヴン参加の非常招集だって書いてあったし」
「あれ?参加不可能なら後で資料と議事録送るって書いてなかったっけ?」
「あっ、そういえばそうでしたね……でも、せっかく来ちゃったし……いたた」
「うーん……顔は及第点だけど、間が抜けてる感じが減点」
座ろうとしただけで苦しそうに呻くアップルボーイ。
そんなアップルボーイを、腕を組んでえらそうに品定めするレジーナ。
ソラは歳下のレイヴン2人に席を挟まれ、それとなくため息をついた。
「ああっ!?Aランカー様だか何だか知らねえが、俺の栄光のキャリアにケチつけるとは良い度胸だな!!」
講堂の最前列で野太い声が張り上げられる。
視線を送ると、これまた馴染みの巨漢が、ロイヤルミストに絡んでいた。
ワルキューレが2人の間に割って入り、取っ組み合いにならないように必死に仲裁している。
ソラのMT乗り時代の恩師、スパルタンだった。
どうやらロイヤルミストが不躾な発言をしたらしい。
「ありゃー、ワルキューレさんも大変ねー。面倒見が良い人って、だいたい損する立場よね」
「あれEランカーのスパルタンさんですよね?悪い人じゃないですよ。戦場で一緒になりましたけど、頼りがいもあったし」
「いいや、あたしのクソ親父センサーが告げてるわ。あれは酒癖悪いタイプ。多分、呑んできてるわね。さいてー」
「そんなまさか……まだ昼間ですよ?それに非常招集あるってメールが来てたのに」
ソラを挟んでひそひそと囁き合うアップルボーイとレジーナ。
ソラはじっと腕を組んで我関せずの態度を貫いていたが、ロイヤルミストから離れたスパルタンの視線が不意に向いてきた。
そのままむさ苦しい大男がのしのしと階段を上がってくる。
「よう、林檎少年。席詰めてくれや」
「あ、はい。お疲れ様です、スパルタンさ……ん」
「ちょっと、お酒臭いわよおっさん!昼間から呑んでんじゃないわよ!」
「ばっきゃろー、気つけ程度にしか呑んでねえよ!非常招集だっつーから気合入れて来ねえとな?な、ボウズ」
「……俺に振らないでくれよ、旦那」
スパルタン、アップルボーイ、ソラ、レジーナが並んで座る講堂の中央。
多くのレイヴンが来ている以上、騒いで目立つのは避けるべきだったが、豪放なスパルタンと勝気なレジーナのせいでそうもいかなかった。
中年と少女の間でギャーギャーと他愛のない言い合いが始まり、アップルボーイは赤みのある顔をさらに真っ赤に染めて恥じ入り、ソラは腕を組んだまま天井を仰いでひたすら黙っていた。
そうこうしている間にも、バラバラとレイヴン達が講堂に入場してくる。
騒ぐソラ達を見て鼻で笑う者、呆れる者、楽しそうに野次る者、完全に無視を決め込む者、反応は様々だった。
そうしてそれなりの人数が集まったように見えた時。
前方のスクリーンの前に、1人の青年が歩み出た。
「レイヴン諸君、今日はよく来てくれた」
講堂中に、よく通る声だった。
金髪碧眼のその青年は長身の背筋をピンと綺麗に伸ばし、全身から自信と覇気が満ち溢れているような、ただならぬ雰囲気を醸し出している。
「多くの者には初見となるな。A-1ランカー"エース"だ。よろしく頼む」
講堂が俄かにざわついた。
無敗でアリーナの頂点を極めたというレイヴン、エース。
3人しかいないAランカーの中でも最強を謳われる、渡り鴉の王者だった。
「やば、超イケメン……」
息を呑むレジーナ。食い入るように見惚れるアップルボーイ。鼻毛を抜くスパルタン。
「多忙を極める諸君にわざわざ集まってもらったのは他でもない。グローバルコーテックスの、ひいては私達レイヴンの今後について話すためだ」
最前列で、ロイヤルミストが手を挙げた。
エースが目配せし、発言を促す。
「この会議はトップランカーサマが仕切んのか?コーテックス上層部は何やってる」
「まさか。私は挨拶を求められたから壇上に上がっただけだよ。本題はこの後上層部がする。ただ、その前に一言だけ言わせてくれ」
エースは講堂をゆっくりと時間をかけて見渡し、その後口を開いた。
「レイヤードは今、未曾有の事態に直面している。我々レイヴン1人1人の戦いが、この地下世界の行く末に直結する時が来たと言っていい。そのことを念頭に置いて、これからの話を聞いてほしい」
エースはもう一度、まばらに席に座ったレイヴン達に視線を送り、軽く会釈をしてスクリーンから離れた。
そのまま、最前列のロイヤルミストの隣に腰かける。
ロイヤルミストはそっと、机に乗せていたブーツを下ろした。
どうやらエースは、今回の非常招集で話される内容について、事前に知らされているらしかった。
「えー、ここからは我々グローバルコーテックスが話をします。各レイヴンにおかれましては、スクリーン及びお手元の資料をご覧ください」
眼鏡をかけた神経質そうな痩せぎすのコーテックス担当官が、スクリーンの脇でマイクとリモコンを手に持って話し始めた。
照明が落とされ、大型スクリーンに戦闘の映像が映り始める。
木々がへし折れて荒れ果てた密林でMT部隊が入り乱れるように交戦する様子を撮影したものだ。
映像の画質から、ソラはそれがどうやって撮られたものかすぐに見当がついた。
ACの頭部COMによる、戦闘ログだ。
「報道で聞き及んでいるでしょうが、先日特殊実験区におけるユニオン・キサラギとクレストの大規模戦闘に、正体不明部隊が乱入しました」
それだけなら特に大事というわけではありませんが、と担当官は続け、リモコンを操作する。
スクリーンが切り替わり、レイヤードの各階層の大まかな見取り図が映された。
「この乱入とほぼ時を同じくして、第一層第二都市区セクション318キサラギ管轄市街地、第三層第一都市区セクション515クレスト軍事工場、第三層産業区セクション560ミラージュ研究所と、同じく正体不明部隊による襲撃が確認されました。以後さらに襲撃は続き、現在企業からコーテックスに報告があがっているだけでも、既に20か所近くに達しています」
各階層に、襲撃のあった場所とその被害規模が記されていく。
軍事工場壊滅、研究所炎上、市街地に至っては居住区が直接狙われ、1ヶ所あたり千人規模の死傷者が発生していた。
「これら不明部隊はスクータムを中心としつつも、カバルリー、フィーンド、クアドルペッドといった各企業の高級MTが混在しており、少なくとも一介の武装勢力が確保できる代物ではありません。そして、そのいずれもが通常のMTとは明らかに一線を画した高性能を発揮……現場で遭遇したレイヴンは実感していることでしょう。さらにその全てが鹵獲もままならず、襲撃行動後に自爆し、痕跡を辿ることすら困難となっています」
スクリーンに表示されたのは、スクータムが3点バーストバズーカを撃っている場面だった。
レイヴン達がざわつき始める。中には、明らかに不安がるような声もあった。
ソラは当然の反応だと思った。この正体不明部隊と交戦したことのないレイヴンも、多数いるのだろうから。
当事者であるレジーナは、真剣な顔でスクリーンを睨みつけていた。スパルタンも同じくだ。
アップルボーイは落ち着かない様子で頭の包帯をさすっている。
「重要なのは、この正体不明部隊があらゆる企業や施設、民間人を無差別に攻撃しているということです。クレストはユニオンの関与を強く主張していましたが、当のユニオンもこの部隊によって壊滅的な打撃を受けています。客観的に見て、ユニオン主導とは言い難いものがありました。そこで、三大企業及びグローバルコーテックスは、この一連の襲撃事件について先日緊急会議を実施しました。こうした対応は先の不明生物の大量発生以来でしたが、今回の会議の結論としては……」
担当官が言葉を切り、息を継いだ。
「これらの正体不明部隊は管理者によって直接指揮される"実働部隊"である、という見解に達しました」
しん、と講堂が静まり返った。
そして少しして、さざ波のように動揺が広がっていく。
管理者麾下の"実働部隊"の噂は、傭兵ならば聞いたことがある者も多い。
だが、それが三大企業及びグローバルコーテックスの出した公的な結論というならば、話は別だった。
半ば都市伝説めいた死神部隊が実在し、あまつさえ今まさにレイヤードで暴れ出しているという話を、力ある企業達が支持しているのだ。
「"実働部隊"、ね。ガチのマジでそういう話になるとはなぁ」
「それしか思い当たるフシがないんだから、そうなんでしょ。まさかその辺の武装勢力が超強化されたMTを使ってますなんて、ありえないし」
「僕はまだ戦場で戦ったことがありませんが……でも、もしそうだとしたら……」
スパルタン達もまた三者三様の反応を見せる。
だが、ソラが気になっているのは、そこから先の話だった。
「話の途中だが、質問をしたい」
講堂の最上段から、澄んだ声が響いた。
赤い眼帯をはめた傭兵、ファナティックだ。
「今までオカルトの類だった"実働部隊"の存在を、企業やコーテックスがついに認めた、というのは分かった。企業の技術力を越えた高性能MTの存在から、管理者の暗躍という説に帰結するのは十分にうなずける。だが、そう認識したとしてコーテックスはどうする気だ?グローバルコーテックスは管理者直属の組織で、我々レイヴンはそのコーテックス登録下の傭兵だろう?」
「質問に感謝します。ここまでの話は、各専属補佐官を通してメールでお知らせした内容を復唱したにすぎません。この程度の情報共有ならば、わざわざレイヴンに集まっていただく必要もなかった。本題はここからです。ですが、その前に1つ」
担当官の眼鏡がエースを、いやその隣のロイヤルミストに向いた。
ロイヤルミストが身じろぎし、ソラの席からでも分かるほどに大きなため息をついた。
「わざわざ俺に言わせるんじゃねえよ、クソったれ。……まあいい。気づいてる奴らもいるだろうが、アリーナが完全に止まった。マッチングが偏るとかでもなく、完全に止まった」
机を拳で殴りつけ、ロイヤルミストが吐き捨てるように言った。
ソラはアリーナの異常に気づいていなかったが、ワルキューレやエースは神妙そうに頷いていた。
「その通りです。そして、その件を管理者に問い合わせた上層部に対して、次のような返信がありました。これが、今回の非常招集の本題です」
担当官が深呼吸して、スクリーンを切り替えた。
メールの文面のようだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
FROM:管理者
TITLE:-
管理者の最上位命令により、アリーナの開催を停止します。
管理者の最上位命令により、レイヴン試験を停止します。
管理者の最上位命令により、依頼の審査を停止します。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「はぁっ!?」
レジーナとスパルタンが同時に吠え、机をバンと叩いて立ち上がった。
同じように声をあげたレイヴンは、他に何人もいた。
ソラも思わず声をあげそうになったが、レジーナに吹っ飛ばされたアップルボーイがもたれかかってきたので、何とか冷静さを保つことができた。
あまりにも衝撃的な内容だった。
「……グローバルコーテックスは、管理者直属の組織です。管理者によって選ばれた人材が管理者の命令を忠実に実行する……そのための組織です。そして、この混乱に対して出された管理者の命令が、この文面となります。何度問い合わせても、返ってくる内容は同じものでした」
「ちょっと!ちょっと待ってよ、アリーナやレイヴン試験はともかく、依頼の審査停止ってそれ……!?」
「そうだ、おかしいぜそんなの!レイヴン廃業と同義じゃねえか!こちとらせっかく念願のレイヴンになったってのによ!」
「何かの間違いじゃないの?こんな内容……」
「アリーナの様子がおかしかったことには気づいてたが……」
「管理者はどうかしてしまったのか!?」
「いや、落ち着けよ。管理者が言う以上は何か深い考えが……」
「確かにそうだ、管理者が意味も無くこんな命令を出すとは思えん。今は冷静になるべきだ」
「どう冷静になれってんだよ!?」
「今後、俺達レイヴンはどうなるんだ……?管理者に見放されたってんなら、もう……」
「もう一度管理者に問い合わせるべきだ!こんなの普通じゃないぞ!」
口火を切ったレジーナとスパルタンに釣られ、講堂中のレイヴン達が次々に思いの丈を言葉に乗せる。
ざわめきは次第に喧噪に変わり、面と向かって言い合いを始めた者たちも現れ始めた。
担当官は騒ぎを鎮めるでもなく、じっと神妙な表情で目を瞑っていた。
「いい加減にしろ!!」
痺れを切らして動いたのは、最前列の大男だった。
ロイヤルミストはその場で席を立つと、猛禽を思わせる威圧的な眼差しでギロリと講堂を睨み回した。
アリーナの顔役として最も名実の知れたAランカーに一喝されてまで言い合いを続ける者はおらず、炎のように燃え盛っていた混乱は瞬く間に勢いを失った。
「キレたいのは俺も同じだ。だが、エースの野郎に臭い挨拶までさせたんだ。ハイ分かりました、じゃあレイヴンは全員クビですってつもりはねえに決まってるだろ。……さっさと話を先に進めろ、コーテックス」
「ありがとうございます、ロイヤルミスト」
担当官は眼鏡をくいと人差し指で押し上げ、再びマイクを口に当てた。
「グローバルコーテックスにとって、管理者は絶対的存在。コーテックスのあらゆる業務は、管理者の命令を実行し、補佐するという形で執り行われてきました。最たる例はご存知の通り、依頼の仲介。管理者は様々な情報を元に高度な予測を立て、レイヤードの秩序に影響を与えない範囲で日々大量の依頼を見極めてきたのです。当然、我々職員がすぐさま代行できるほど容易いものではありません。アリーナの開催においても同じです。管理者抜きでレイヴン間の緻密なスケジュール及びコンディションを調整するのは困難でしょう。そして、レイヴン試験についても、適性ある人材をレイヤード市民から選抜することは実質不可能になりました。管理者がどういう基準で人材を選んでいたのか、我々は知らされていないのですから。……グローバルコーテックスは今回の管理者の最上位命令により、ほぼ機能不全に陥ったと言わざるをえません」
一拍置いて担当官は、ですが、と言葉を繋げた。
「管理者の"実働部隊"の相次ぐ襲撃、あれら高性能MTに対して、企業だけでは為す術がありません。このレイヤードにおいて人類が有する最強の武力は"アーマードコア"とあなた達"レイヴン"なのです。管理者が依頼審査を停止したからといって、この混乱期に我々が何もしないわけにはいかない。そこで、コーテックスは従来の中立的な立ち位置を維持しつつも、その機能を制限する形で"新体制"を整え、活動を続行します」
「機能を制限した上での"新体制"……それは具体的には、アリーナ及びレイヴン試験を停止するということでいいのか?」
ソラが挙手して問いかけると、担当官はこくりと頷いた。
「我がグローバルコーテックスは、レイヤードで発生する様々な紛争をレイヴンの派遣によって解決する……その基本的機能の維持のみに今後しばらくはリソースを集中します。幸い、管理者がコーテックス関連業務を停止しても、各インフラやコネクションは生きていますから、組織を再編成すれば業務継続は可能な見込みです。また、この新体制は三大企業の合意も得ています。どの道、管理者が一切の干渉を停止する以上、我々は自分で考えて行動しなければならない。アリーナやレイヴン試験を再開するのは、この新体制が安定してからとなるでしょう」
「質問!今回の動きは管理者への反逆行為に該当しないのか?最上位命令で停止がかかってるんだろう?勝手に依頼仲介の継続をするのは、まずいんじゃないか?」
とあるレイヴンが手を挙げて聞く。
「……メールの文面では『管理者の最上位命令により、依頼の審査を停止する』とあります。依頼仲介のプロセスは審査と受理に分かれており、審査のプロセスはこれまで管理者のみが行っていたものです。受理についてはコーテックスも補佐という形で関わってきており、今回の命令でも特に何も言われていない。詭弁に思われるかもしれませんが、依頼の仲介業務を続行することは反逆行為に当たらないと上層部は判断しています」
「ごめんなさい、Dランクのフレアです。私からも質問させて。アリーナが完全に停止したのはごく最近だったはず。実働部隊の各地出現に伴う三大企業との会合、そして管理者のメールから新体制移行決定まで随分動きが早いけど、これは裏で準備が進んでたの?」
「結論から言えば、その通りです。各地で停電やセクション封鎖が相次ぎ、アリーナに不具合が出始めた頃から、上層部では何度も今後のコーテックスの在り方に関する会議が行われてきていました。しかし、それはあくまでこのまま事態が悪化し、管理者の悪影響が決定的になればという前提でしたが。そしてその結果が今回の管理者からの命令、というわけです。コーテックスとしても、誠に遺憾なことではあります」
「了解したわ。でも、管理者抜きで依頼の仲介を続けるのって、その……無視できない大きな問題があると思うんだけれど」
「……ええ。そうですね。今後問題になってくるのは……」
言葉を詰まらせた担当官に変わって、エースが席から立ちあがった。
「フレアの指摘の通りだ。今回のコーテックス新体制における最大の問題は、依頼の審査を管理者が実施してくれないという点だ。特に、レイヤードの秩序を脅かすような逸脱行為に該当するかどうかの中立的判断が、非常に難しい。先のユニオン本拠地を巡った攻防戦で、クレストがかつて逸脱行為に認定された超大型ミサイルを持ち出したという話もある。正体不明部隊襲撃の混乱に乗じて企業の経済戦争が加熱し、そこに我々レイヴンが加担していけば、レイヤードの秩序に影響を及ぼす事態に発展しかねないのではという、懸念がある」
「はい、エースの言う通りです。ですからこの新体制移行に伴い、レイヴンの皆様にここに集まっていただいたのです。あなた方は、適性試験に合格したその日に、管理者より送られてきたメールを覚えていますか?携帯端末をお持ちの方は、その時のメールを今この場でご確認ください」
ソラは促されるままに携帯端末のメールボックスを開いた。
もう1年近く前になるだろうか。
レイヴン試験に合格した直後に送られてきたメールは、きちんと保存されていた。
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FROM:管理者
TITLE:0824-FK3203号
0824-FK3203号をレイヴンとして認証。
以降、グローバルコーテックス登録下での活動に限り、ACの使用を許可します。
今後は、自己の有する影響力に十分配慮し、レイヤードの一員として遵守すべき規範を逸することなく、行動することを希望します。
なお、著しい逸脱行為があった場合、実力をもってこれを排除することを、あらかじめ警告しておきます。
では、今後の活躍に期待します。
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「今後、グローバルコーテックスはこれまで通り、レイヴンに対して依頼の仲介や各種サポートを約束します。ですが提供される依頼は、管理者によって審査されないものです。極端な大量虐殺や大量破壊を伴う内容の場合は検討しますが、中立性の担保や癒着の危険性を考え、基本的には我々の方で依頼の選別をすることは控えるつもりです。見方を変えれば、あなた方レイヴンは今まで以上に自由になります。依頼の審査をするのは、レイヴン自身になるといっていいでしょう。だからこそ、あなた方は最初に管理者から送られてきたそのメールにある通り、自己の有する影響力に十分配慮し、このレイヤードの一員として行動していただきたいのです」
担当官はそこで言葉を区切り、深々と頭を下げた。
それは謝罪なのか、懇願なのか、あるいは同情なのか、ソラには分からなかった。
「本日あなた方をここにお呼びしたのは、このコーテックス"新体制"への移行を知っていただくため、そして、レイヴンとしての初心を思い出していただくためです。会議はこれで終わりといたします。エース、すいませんが……」
話を振られたエースが、再びスクリーンの前に立った。
毅然で堂々とした姿勢と、ゆるぎない眼差しは、戦士の手本と言ってもいいほどだ。
「グローバルコーテックスは変わる。変わらざるをえない時が来た。だが、それは我々レイヴンも同じだ。これから自分がどうあるべきか、どうすべきか。それを今まで以上に考えながら日々の依頼に向き合わなければならない。度重なる停電やセクション閉鎖、生態系異常、そして管理者の実働部隊の猛威。レイヤードはもはや適切に管理された楽園ではいられないのかもしれない。だが、私は信じている。戦うことは、理想を追うことだ。理想を追うことはつまり、レイヴンとして高く飛ぶということでもある。レイヴン達よ、戦おう、高く飛ぼう。以上だ」
謳い上げるような演説に対して、拍手は起きなかった。
エースは立派な人物だと、ソラは思った。
アリーナ随一の実力に、高潔な人格が伴っている。
だが、その実力と人格をもってしても、レイヴン達を導いていけるわけではない。
もとより、戦場で出会えば敵か味方、そういう微妙な立ち位置の人物なのだ。
そして何より、ここからの情勢は誰しもにとって完全に未知の物となる。
コーテックスの担当官は、まるで管理者の"実働部隊"に立ち向かうために、コーテックスは活動継続を決めたように語っていた。
事実、三大企業も目下レイヴンに望む役割は、実働部隊に対するための尖兵だろう。
だが、これからの依頼が対実働部隊に終始するかといえば、おそらくそうはならない。
実働部隊の暴虐の最中でも、企業は企業で争い続けるのが目に見えていた。
さらにクレストは、ユニオンに対しても苛烈な掃討作戦を続行するだろう。
それは言ってしまえば今まで通りではあるのだ。
企業は今まで通り戦争を起こして、レイヴンは今まで通り傭兵としてその戦争に参加する。
だが、そこに管理者が横槍を入れてくる。
混乱は続くし、さらに深まっていくだろう。
実働部隊の猛威と企業の争いが加速していけば、もう誰にも取り返しのつかないことになる可能性だってある。
そして、わざわざレイヴンに初心を思い出させようとする辺り、コーテックスもそれは十分に分かっているようだ。
分かっていて企業と合議し、早々と新体制を起こしてまで依頼仲介の継続を決めた。
結局誰も彼も、今できることをするしかないのだろう。
明確に様子がおかしくなり始めた管理者の下、レイヤードの中で生きていくにはエースの言う通り、戦うしかないのだから。
《フェーズ2、終了。フェーズ3へ、移行》
あの時、あの"雨"と"雷"が降り注ぐ中で、管理者はついに賽を投げた。ソラにはそんな気がしていた。
もう、後戻りはできないのだと。
やはり管理者はユニオンの言う通り、本当に狂ってしまったのだろうか。
"雨"がやみ、"雷"が収まるように、耐え忍んでいればいつかは、この管理者の行き過ぎた暴走は止まるのだろうか。
もしも止まらないとしたら、その時は――
「んー、まあやることは特に変わらないんでしょ?依頼が来て、選んで、こなすだけ。アリーナが無くなっちゃったのは残念だけど、シンプルに考えるのが一番よ」
「おう、ジャリん娘。まさかの意見一致だな。そうだ、傭兵ってのは好きなように依頼を受けて、がっつり金を稼いで、ぱーっと散財する。それでいいんだよ」
「そ、そうですか……?なんかそれもちょっと違うような……もっとこう、レイヤードの平和とか秩序とか……いたた」
「ばっきゃろー、こまけえこと言うな林檎少年。仕方ねえなぁ……俺がおめえを鍛えてやる。今から娯楽施設に来い!」
「ええっ!?ぼぼぼ、僕は未成年ですよ!怪我だってしてるし、それに娯楽施設利用は申請しないと……」
「んばっきゃろー!根性が足りねえんだよ!漢気を叩き込んでやらぁ!今すぐメカニックに社員証とツナギを持ってこさせろ!」
「あーあ、最低なおっさん。あたしはカフェに寄ってかえろ。先輩もたまにはどう?特に趣味とかなさそうな先輩に、あたしが優雅なティータイムって奴を教えてあげるわ」
「ん、ああ。いいぞ」
うきうきと帰り支度を始めたレジーナに適当に生返事を返しながら、ソラの視線は階段を下りてくる黒髪のレイヴンに向いていた。
退出しようとしていたファナティックと、目が合った。
「ソラ、不思議なものだな」
「何がだよ」
「コーテックスは管理者と決別するかのように新体制への移行を宣言した。なのにレイヴンに対しては、管理者からのメールを見て初心を思い出せと言っている」
「…………」
「結局のところ、我々にとって管理者とは何なのだろうな。親か、神か、それともそれ以上の存在か」
「……あんたはどう思うんだ?」
「さあな。ただ、私が今レイヤードに生きているのは確かな事実だ。ならば私の"意思"も"力"も、管理者の管理するこの地下世界と無縁ではいられないだろう。……これまで以上に」
彼女はそう言うと、少しだけ微笑んで、立ち去っていった。
"意思"と"力"。
レイヴンがレイヴンであることの証。
ファナティックの言うように、これまで以上にそれが試されようとしていた。
ゲーム本編ではアリーナが停止されることはありません。本作オリジナルの要素です。ご了承ください。